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新しい味方

「シンクロはうまくいったのかしら?」

身長が二十センチは伸びた里香をラナはまじまじと見た。髪の毛が水色になり、目の色も少しずつ変わり始めている。

「まずい、このままだと追い越されるかも知れない……」

小さな子供だった里香にたった一日で追い越されるのは、ラナにとっては、なんだかしゃくに触った。

「おまけに、私より、りっぱな『大人』だ……」

母が用意していてくれていた『コマンドスーツ』に身を包むと里香はこう言った。

「身体が軽い、まるで何も着ていないみたい。母様ありがとう」

完全にシンクロするのにはこれからまだ数日かかると聞いて彼女は、たちまち作戦を変えた。


「ところで、人間界では何歳に落ち着くのかしら? あんた今幾つなの?」

その問いに里香のブローチが答えた。

「里香が人間界に着いたのは、レムリア年齢二歳と半年、人間界の年齢でいえば十三歳。人間界に着いて今日まで三ヶ月の滞在、よって十四歳と半年が人間界のスタート年齢……」

「し、しゃべったこのブローチ…」

ラナが飛び上がった。


「失礼な、わしは虹色テントウ、れっきとしたムシビト、生命体なのだ。まだ二色しか光らないが」

「なるほどね、ところであなたの名前は?」

「そんなモノない、虹色テントウは虹色テントウだ」

「じゃあ、あんたはテントウでいいや。私はラナ・ポポノーラ、ラナって呼んでね里香ちゃん」

「無礼な、仮にもマンジュリカーナ様に向かって」

「だって私十六歳、年上だぞっ。姉さんでもいいわよ」


 里香は一瞬にしてひとりぼっちになった。回りの状況が一変したのだ。ただ目の前の不思議な力を持つラナと虹色テントウ、この二人とともにシャングリアに向かい、人魚のかけらを手に入れる事が、母が彼女に託した『マンジュリカーナとしての役目』だという事は理解出来た。


「ラナ『姉さん』、シャングリラって何なの?」

姉さんと言う、心地よい響きの中、咳払いをしてラナは里香にこんな説明をした。


 ー地球には、海底の奥深く原始の大陸がある。それを『アガルタ』と言う、『カイリュウ』という王族の治める魚人達の国である。アガルタへの道は各地にある、その道は古くから『シャングリラ』または『シャンバラ』とも言われている。それは七つの海と五つの大陸にあるだけでなく、次元の違うレムリアそして天空にもある。シャングリラは閉ざされていて通常は通り抜ける事はできない『選ばれし者』しか通れないのだ。誰かがそこを通ればその道はすぐさま消滅してしまう。そしてまた新しく道が開かれる。モーゼ、イエス、ブッダ、アッラー、日本でもアマテラスとスサノオ、数えるほどだがシャングリラを抜けたものが人間界にも確かに存在したー


「そのシャングリラから人魚たちのもつ宝玉の力を集め、地球のマグマを噴出させる計画なのが、魚人を動かしている『メイフ』という訳なのね」

「里香、そうよ、その通り。メレナの様な人魚がシャングリラの番人なの、それぞれがひとつづつ七つの宝玉を持っているようだけれど」

それを聞いて、テントウが言った。

「少し外れ、リカーナ様が人間界に残した宝玉は六つだ。赤い翡翠だけはレムリアに持っていったのさ」

 テントウがそう言ったのを聞くと、ラナが尋ねた。

「じゃあ残りは五つってことね」

「残念だけど、それも楽観的な推測だな。僕の羽をよくご覧、二人とも」

「それって、テントウの羽なの?」

「羽だよ羽、さっき言ったろ、僕はムシビトだって!」

二人はテントウの羽にある、残り五つのくぼみに違いがある事に気付いた。


「テントウ、くぼみのふちが消えかかってるものがあるわ」

里香が真っ先に言った。

「そう、シャングリラから遠く離れた宝玉は僕にも感知出来ないんだ。何個かは既にメイフ達の手に渡ってしまったのかも知れない。今、シャングリラで人魚が守っているのは三個だ。残っているのは、アフリカ、南米そして南極大陸、この三大陸にあるシャングリラだけなんだ」


説明の後、ラナはテントウにねだって動きやすいコマンドスーツを手に入れた。

「なんか、スースーするけどまっいいか」

「アフリカは暑いからね」


挿絵(By みてみん)


「えっ、アフリカ?」

「そっ、サハラ砂漠のシャングリラ」

「サ・ハ・ラ……」

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