喧嘩編 04
「ロリコンの癖に」
啓悟はぼそっと吐き捨てた。
「お前な……」
言いかけたが、やめた。
啓悟はこういう奴さ。
「……お兄ちゃん」
梨緒が啓悟を恐る恐る呼ぶ。
啓悟は満面の笑みで何だ? と聞く。
「……ごめんなさい」
梨緒は小さな声で謝った。
「高校のこと、黙ってて……」
いつの間にか夕焼けに照らされた公園の中で、俺と啓悟は微笑んだ。
梨緒は啓悟と目線を合わせない。
「……よく、言ってくれた」
啓悟は、先ほどの満面の笑みではなく、とても優しい、父親らしい顔になっていた。
「さて、帰るか」
俺は二人に促す。
すると二人は、
「うんっ」
「おうよ!」
と頷いた。
公園に伸びる、寄り添った三つの影。
どんなに時が流れても、この影だけは流されないよう、
頼りない二人を、俺がしっかり支えてやろう。
「で、なんで竹都の高校なの? オレと一緒じゃ嫌なの?」
帰り道。
啓悟が梨緒に執拗に尋ねている。
梨緒はちら、とこちらを見て、考える。
「んー、っとね」
「うん」
啓悟は自分でふったけど聞きたくないというように頷く。
「お兄ちゃんの高校はレベルが低いから」
「……」
「あと、竹お兄ちゃんと一緒だったら安心だから」
梨緒が少し照れ笑いを浮かべてこちらを見た。
そんな率直に言われるとこちらも恥ずかしい気持ちになるのだが。
啓悟は俺たちのやりとりを見て肩を震わせていた。
二人は、啓悟を見つめる。
はっはっは。
早速波乱の予感。
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