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蝕む黒の霧  作者: 栗木下
1:魔王降誕
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第37話

今回は残酷、性的描写が多いので苦手な方はご注意を

「…っつ!前にもこんな事がありましたわね。」

 私はどこかの建物の一室で目を覚ましました。両腕には手錠とスキル封印の効果があると思しき札がかけられています。


「それにしても油断しましたわね。まさか私を狙う愚か者がいるとは思いませんでしたわ。」

 私はそう言いつつもなぜ私が狙われたのかを考えます。

 一番分かり易いのは金銭目的。次が私の体目的ですわね。仮に私が『霧人』だと理解した上で手を出したのだと仮定した場合ですと、クロキリに対して何らかの交渉を仕掛ける意図も考えられますわね。

 尤もその場合ですと犯人は真正の勇者か愚か者のいずれかですけど。


「まあ、どちらにしても犯人が不憫に思えてしょうがないですわね…。」

 そう。犯人が私の正体を知っていようがいまいがもう関係ない。こうなった以上クロキリは必ず犯人に報いを与える。それも全力で、です。


「助けに来るのは…イチコですかね…それなら私の聞きたいことを聞くいい機会ですわね…。」

 私は壁に身を傾けつつ聞きたいことを頭の中でまとめることにしました。



■■■■■



「あれがそうですか…。」

 私の前には大きな高層ビルが建っている。


『間違いないぞ。あれがうちの国での正人間教会の支部だ。ただ、位置がおかしいな。防衛の観点上、普通なら地下か高層階の二択なんだが中層にリョウは居る。となると今回は下のクズ共が勝手にやったことぽいな。』

「そんなのすでに関係ありません。そうでしょう。クロキリ。イズミ。」

『まあな。』

「(ジェノサイド)」注:筆談です

「さあ行きましょうか…。」

 私はビルの入り口に向かって歩いていく。そして一人の男が近づいてくる。


「そこの君。君は入信きぼ…」

 男が言葉を言いきる前に私の手は男の首を刎ねている。周りが悲鳴と喧騒に包まれる。

 ああ面倒です。煩いです。貴方達全員あの世送りにして上げます!


『あー、イチコ…って聞いてないな。しょうがないイズミ。最低限実行犯ぐらいは生かして捕まえておけよ…ってお前もか!はあ、しょうがない。乱し蜻蛉でも向かわせておくか。アイツならダンジョン外でもまともに戦えるだろ。』



■■■■■



 周囲が騒々しいですわね…。まあ、理由の見当はつきますけど。

 と、誰か近づいてきますわね。

「畜生!なんだあの化け物二人は!」

「あんなのとやりあってられるか!」

「とっとと女を連れて逃げちまおうぜ!」


 周囲の部屋から何かを叩くような音や女性の叫び声のようなものが聞こえてきます。どうやら、私を浚ったのは体目的だったようですわね。と、私の部屋の鍵を開けようとする音も聞こえてきましたわね。

 尤も…、


「ヒッ!お前らは!」

「貴方達が実行犯ですか。イズミ。こいつらは殺さずに捕まえますよ。」

「に、逃げ…ギャアアアアアアアアァッァァァァァァ!!」


 どう足掻こうとすでに犯人には絶望しかありませんけど。


 そして、叫び声が止む頃に私の前の扉から…光が漏れ始めました。



■■■■■



 想像以上のクズばかりでした。

 だって綺麗なのは玄関とその近くの数階だけで、それ以降は少し見渡せば無残な状態の若い女性信者にお布施と称して集められたであろう大量の金品。それに腕力とスキルだけが取り柄なゴロツキばかり。後は正気を失っているとしか思えない信者ぐらいでしたから。

 さすがのクロキリもこの光景に対してはこう命令しました。


『イチコ、イズミ、サポートとして乱し蜻蛉と大量のフォッグとスモークを出した。だから一人も逃すな。こいつ等を生かしておいても得は無い。俺たちにも、人間にもだ。』


 その言葉通り、屋上からいち早く逃げだそうとしていた支部長は乱し蜻蛉の餌になり、イズミは下の階から、私は上から確実にクズ共を仕留め、被害に遭った人たちを保護していきます。見逃しはフォッグたちがそれぞれのフロアをくまなく捜索するためありません。スキルを使ったところで無駄です。私と彼らでは明らかなステータス差があるのですから。

 そして私はリョウお嬢様の居る階にたどり着きました。イズミも同じく着きました。私の前には部屋から浚ってきた女性を出して逃げ出そうとする男たちの姿。彼らも私の視線に気づいてこちらを見ます。


「ヒッ!お前らは!」

 ああ、間違いないですね。リョウお嬢様の監視役をなさっていた男性の証言通りの顔です。本音を言えば今すぐあの世に送ってしまいたいですが、クロキリとの約束があります。ここは…、


「貴方達が実行犯ですか。イズミ。こいつらは殺さずに捕まえますよ。」

「に、逃げ…」


ゴキッ!


「ギャアアアアアアアアァッァァァァァァ!!」

 死なない程度に痛めつけるしかありませんね。


 その後私はリョウお嬢様以外の閉じ込められている部屋以外を開放し、浚われた女性を残さず助け、男共を全員縛り上げた後にリョウお嬢様の監禁部屋の前に来ました。

「(イズミが行く?)」

「いえ、私が行きます。」

 リョウお嬢様はクズの血で塗れた私を見てどう思うのでしょうね。でも、嫌われようが好かれようが関係ありませんね。これは私がやりたいからやったことなのですから。


そして私はリョウお嬢様の部屋の扉を…開きました。

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