チートチャラ男の正義論
プロローグのつもり
まだ、桜が残る五月。
サクラサク四月は通り過ぎ、高校一年の新入生たちはいよいよ青春の幕開けを迎えようとしていた。
高校生活がだいぶ慣れ、友人が出来始める頃だろう。
新たなステージに立った彼らには一分一秒が無駄にできない。恋に部活にバイトに、とりあえず勉強。一日一日が瞬く間に過ぎ去っていく。
恋を求める高校生も、スポーツで汗を流す高校生も、履歴書を書く高校生もみんなが日にちを見ては、二度見して数え直して真面目に明日やろうとしていた。
そんな中、小さな噂が流れた。
入学式がつい先日あった、とそう感じるほどしか経っていないのに一年に転校生が来るらしい。
出処は確かで一年の教員会議をしていた話題が転校生のことだったらしく、たまたま通りかかった生徒が盗み聞きして手に入れたそうだ。校内新聞にもほんの小さな記事だが、いかにも欄を埋めるためのような広さのところに来るかもしれない的なニュアンスでぼんやり書かれていた。
それから数日、性別は男というのがわかった。それほど注目されていたわけではないが、特に話題がなかったために新聞部が聞き込んだそうだ。
男子たちは、少し肩を落としたもののそれなりに良い奴だといいなくらいで構え、女子は目の保養を望んだ。
青空で太陽がこれでもかと揚々と窓の外から照りつける火曜日。
一年C組は、昨日の帰りのSHRで仏頂面の担任から「明日、転校生が来る。」と、平坦な口調でサプライズ性の欠片もなしに言い放った言葉を思い出して、窓の近くの干からびている奴ら以外はそれなりに心を躍らせていた。
各々が希望を持ち、予想して楽しんでるうちに騒がれすぎず治まらずが続き、その答えをいち早く知ることができる小さな優越感と新たな出会いのドキドキに誰もが少なからず期待をしていた。
そしてそんなことになっているとも露知らず、これはやってきた。
「今日、転校してきた生徒がいる。入ってこい。」
恐ろしくスーツと眼鏡が似合う仏頂面で三十代後半位の真面目そうで頑固そうな担任教師、大倉誠が廊下にいる転入生に呼びかけた。
シツレーしまーす、という軽い声で茶髪で着崩したイケメンの、とても、凄く、見るからに、これ以上ないほど、それが凝縮されたような、超チャラ男が現れたのだった。
チートチャラ男の正義論
「どもー。はじめまして、俺の名前は坂本龍馬。どげんかせんといかんぜよ!!」
「真面目に自己紹介しろ!!あと、お前は龍馬じゃねし、ネタも違う人だよ。」
「やだな〜。まこっちゃん。ただの掴みじゃん。あとナイスツッコミ。」
「誰がまこっちゃんだ!!大倉先生と呼べ!」
「大倉先生? 誰それ。」
「私だよ!」
チャラ男が転校してきたら堅物担任と漫才を始めた。
なんだこれ。
教卓と生徒の机までの間の温度差が乖離していた。とりあえず、取っ付きにくかった担任の名前はまこっちゃんに決定した。
「あ〜、ほらドン引きされてんじゃん。俺孤立したらどうするんスか、おおく・・・まこっちゃん。」
「大倉先生だ。早く自己紹介しろ。まったく。・・・ボケるなよ。」
「そんな!俺からボケを取ったら何が残るって言うんだ!」
「真面目になれ!!」
それから十分ほど続き、まこっちゃんとチャラ男の見事な掛け合いにも慣れ、みんなも笑い始めてやっと本筋に戻った。
「コホン。では、自己紹介を。」
「えっ、ホントにやるの?」
「もういい!!黙ってろ私がお前の紹介をする!」
「そんなに俺のことを知ってくれているなんて・・・先生。ポッ。」
「気色悪いわ!!」
「俺の名前は軽井悠輔で〜す。趣味はスポーツ、筋トレ、勉強、読書にゲームと漫画にナンパ、それとまこっちゃんイジリのどれか。見た目通りチャラいぞ☆彡」
「あぁ、もうそれでいい・・・まて、最後のは聞き捨てならんぞ!」
「今後共、叩けば響くまこっちゃんをどうぞよろしくっす。」
「私をよろしくせんでもいい!!」
そうそんな感じの波乱が幕を開ける。
まこっちゃんのキャラ崩壊と同時に軽い感じで。
ふと思いついて咄嗟に仕上げたものです。
大変お目汚ししました。
誤字脱字、批判、アドバイス、文法間違い、意味違い等がありましたら報告、感想よろしくお願いします。
でも豆腐メンタルですので崩れない程度だと嬉しいです。
とりあえず、作者名を変えさえすれば、ダメージは薄く・・・!