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賢者の弟子を名乗る賢者 作者:りゅうせんひろつぐ
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223 ミラ、お水の可能性を説く

という事でして、8巻の発売日とコミック版2巻の発売日が、10月下旬に決定したようです。
そして何やら、こちらでプレゼントキャンペーンのようなものが……

https://twitter.com/MMKTCs/status/898501643666313216

よろしくおねがいします!
二百二十三


 思いの他、ミラの布教活動が功を奏したところ、その効果が早速現れる。

「水場のないダンジョンは多い。そのくせ大半が深くまで続いていて、大抵は深い方が稼ぎがいい。これは、随分と捗るぞ」

「ああ、持ち込める水の量ってのは、滞在出来る時間に直結しているからなぁ。それがこれだけ簡単に確保出来るとなれば……」

 水が容易に確保出来るようになった時の影響、それによって広がるダンジョン攻略の幅。冒険者の数名が、その可能性に気付き、話し合いを始めた。
 ゲーム時代は、食事やら水やらと一切必要のなかったプレイヤー達が、稼ぎの良いダンジョン深部で大量の戦利品を稼いだものだ。しかし現実となった今、元プレイヤーの数は減り、その動きも慎重になったため、一部のダンジョン深部の戦利品が市場に出回る事が、かつてよりずっと少なくなっている。
 その原因は、ダンジョンの難易度だけではない。その環境だ。ダンジョンの深部であろうと、十分に通用する実力を持つ冒険者も大勢いる。だが、水などの資源の確保が原因で、長時間滞在する事が出来ないのだ。そこへ到達するまでにも資源は必要なのだから。
 長時間の滞在が出来なければ、当然戦利品も少なくなる。長い時間をかけて深くまで潜って、深部で少しの戦利品を得て帰る。幾ら深部の戦利品が高値で売れるとはいえ、それまでにかけた経費や時間を考えれば、効率が良い他の狩場へ行った方が、遥かに稼げるというものだ。
 つまり、半月かけて百万リフの戦利品を得るより、一日で十万リフは稼げる安定の狩場が冒険者にとってはありがたいというわけだ。
 しかし今回、ミラが見せつけた召喚術は、半月かけて百万リフを、更に倍増させる大いなる可能性だった。

「召喚術士か……。水の精霊を召喚出来る召喚術士を見つければ……俺達もロズリット遺跡の深くで稼げるんじゃないか?」

「ああ、思い切り稼げるな。水の代わりに食料を目一杯詰め込めば、一月はいけそうだ」

 とある冒険者のグループが、そう声を弾ませた。ロズリット遺跡は、岩山に囲まれた奥にあるダンジョンである。水場が近くにまったくないため補給は出来ず、深くまで潜る事が困難な事で有名な場所だ。
 だが召喚術士がいれば、それも解決する。水を気にしなくて済むようになれば、その分、空いた容量に食料などを詰め込める。水と食料、どちらもこれまでよりずっと大量に持ち込めるわけである。
 いったい、どれだけ稼げるのだろうか。とある冒険者グループだけでなく、他の冒険者やグループも、そんな可能性を夢見て盛り上がり始めた。
 ミラはそこへ、更に告げる。水の精霊の力は、この程度ではないぞと。

「水というのは、他にも用途があるじゃろう? 特に、補充の出来ないダンジョンでは、真っ先に制限される用途がのぅ」

 不敵に微笑みながら、ミラは周囲の冒険者を見回した。水の精霊の可能性に希望を膨らませていた冒険者達は、ミラが続けた言葉に更なる興味を抱いたようで、その視線が一気に集まる。
 そして視線の中には、ミラが言う制限される用途が何か気付いた者もいるようだ。主に女性が多いその者達は、より多大な期待に満ちた目をしていた。

「まずは、これじゃな。かのディノワール商会で売っておるので、これの事は知っておろう」

 十分に関心が集まった事を確認したミラは、思わせぶりにアイテムボックスから一枚の袋を取り出した。そう、『水だけで簡単魔動式洗濯袋』である。
 するとやはり有名な商品らしく、冒険者達はミラが意図する事を理解したようだ。納得する声と、そういえばそうだと思い出したような声が上がった。中でも一部の男性と多くの女性陣は、一際盛り上がりをみせる。綺麗好き寄りな一派のようだ。

「流石に知っておるようじゃな。その通り、水の精霊を召喚出来れば、洗濯も思うがままじゃ!」

 そう言いながらミラは、デモンストレーションとばかりに昨日脱いでそのままだった下着を取り出し、洗濯袋に放り込んだ。そうして振り返り、ウンディーネに水を入れてもらう。
 スイッチを押すと洗濯袋が起動し、洗濯が始まった。

「マナの総量によっては、毎日洗濯する事も可能となるじゃろう。もう汚れたままの衣服とは、これでおさらば出来るというものじゃ!」

 ミラは、わしゃわしゃと音を立てる洗濯袋を掲げながら、そう宣言した。
 その結果、冒険者達の反応は、とても良好だ。見たところ、ずっと着続けた時の臭いを気にしていた者は、相当数いる様子だ。ウンディーネを見る目の輝き方が違う。

(うむうむ、予定通りじゃな。では、いよいよ本命といこうではないか!)

 それを確認したミラは、ここからだとばかりにとっておきを口にした。衣服を綺麗にしたなら、当然、もう一つ綺麗にしたいものがあるだろう、と。

「それって、もしかして……!」

「ああ……何て事なのかしら!」

 感極まったように、女性冒険者が声を上げた。即座に理解したようだ。ミラが最も推奨する、その可能性に。
 そう、洗濯はほんの入り口に過ぎない。それ以上に水を消費する、ダンジョンでは贅沢なそれを、それすらも水の精霊の存在によって解決出来てしまえるのだ。

「身体も洗えるって事ね! 凄いわ!」

 ミラが答えるのを待ちきれなかったのか、どこからかそう声が上がる。するとそれに続くようにして、あちらこちらから喜びの声が聞こえてきた。

「もう『清潔タオルペーパー』を買い込む必要がなくなるわけね! 素敵!」

「そうか、あの身体拭くやつの分の容量が空くのか。そりゃあいいな」

 絶対に譲れないラインとして、荷物の容量の一部を占めていた『清潔タオルペーパー』。コンパクトで軽量だが使い捨てタイプのため、長時間のダンジョン攻略などになると、やはり嵩張ってくるものだ。
 身体を洗えるという利点に、さほどピンと来ていない者もいた。清潔云々には、余り興味がないのだろう。しかし荷物に空きが出来るとなったところで、興味を示し始めた。

「その通りじゃ。水の精霊と契約している召喚術士とマナさえあれば、いつでもどこでも何度でも、シャワーが浴び放題となるのじゃよ!」

 ミラは、いい具合に関心が広まったところで、そう胸を張った。まるで、公約を宣言するかのように。
 ディノワール商会などで販売している、清潔を保つための便利な道具。ただそれらも結局は荷物として容量が必要だ。しかし水の精霊がいれば、その全てを気にする必要がなくなる。そして何よりも身体を洗うのに水より適したアイテムは存在していないのだ。

「シャワーまで出来ちゃうんだ!?」

「思っていた以上だったわ!?」

 これまで盛り上がっていた中、ミラの発言によって、大きな驚きが生じていた。ミラが口にしたシャワーというのが、それほどに予想外だったらしい。
 彼女達は身体も綺麗に出来るという事から、大きな桶などに水を溜めて身体を流すのだと想像していた。つまり、行水だ。
 ただ、それでも彼女達にとっては十分過ぎるほどの朗報であり、贅沢だった。それがまさかのシャワーである。大量の水を次から次へと垂れ流すそれは、水が貴重となる場面において、禁忌といえるほどの代物だ。しかも、水が豊富で施設が整った場所でなければ堪能する事すら出来ない。
 だからこそか、これまでの冒険者活動からくる節水生活も相まって、彼女達からシャワーという選択肢を見えなくしていたようだ。結果、水の精霊の利点は、それらの条件を悠々と越えていく。ゆえに彼女達は、驚いた。そして同時、ミラの言葉に歓喜した。

(うむうむ、相当に印象が良くなったようじゃな。まだまだ限定的とはいえ、まあ上出来じゃろう)

 先日、古代地下都市で知った冒険者事情。そこでどういったものが求められているのか知った際、最も人気の高かったものが洗濯やシャワーなどの衛生面だった。水の補充が出来ないダンジョンでは、真っ先に切らざるを得ないものだ。

「召喚術士って凄いわね」

「ええ、こんな事が出来るなんて知らなかったわ」

 冒険者達の間で、特に女性陣の多くの目の色が変わる。余程、シャワーという言葉が効いたのだろう。

(良いぞ、もっとじゃ、もっと称えよ)

 予想以上に召喚術が認知されていくのを感じながら、ミラは周囲の冒険者達を見回しほくそ笑む。これで召喚術士の立場が少しは向上したぞと。

「むしろ、シャワーなぞ水の精霊にしてみれば、朝飯前じゃよ」

 そう駄目押しとばかりにミラが口にした時だった。突如としてミラの頭上より大量の水が雨のように降り注いだのだ。

「何事じゃー!?」

 突然の事に、ミラは急な雨かと空を見る。しかしそこには青空が広がっており、雨の気配など微塵もなかった。そして更に、冒険者達にも濡れた様子もなかった。
 そこでよくよく見ると、その雨はミラの地点のみへ局地的に降り注いでいる事がわかる。
 そう、それはウンディーネによるシャワーだったのだ。どうも、コップ、洗濯袋と続けてデモンストレーションをしていたため、シャワーもと、ウンディーネが気を利かせてくれたようだ。
 ただ、シャワーの時には裸になるものである、という点を若干理解していなかった。
 結果ミラは、下着まで全身ずぶ濡れとなったのである。

「とまあ、こういった具合じゃ。召喚術士は能力の融通が利き易いのでな。戦闘以外にも様々な活躍が望めるのじゃよ」

 ミラはびしょ濡れになった衣服を無形術で乾かしながら、召喚術のアピールをそう締め括った。

「ダンジョンでシャワーとか……夢に見た事が本当に出来るなんて思ってもみなかったわ」

「更に、さっき見た家の召喚も出来たら……ダンジョン攻略に革命が起きるよね!」

「潤沢に水を使えるのは、大きな利点だな。水が貴重な場面でも清潔さを保てるのは大きい。傷口を洗い流してから治療する事も出来るだろうし、回復薬の効果も高まる。感染症予防の面からみても、これは素晴らしいな」

 それぞれ理由は違うものの、集まった冒険者達の反応は、見たところ上々のようだ。水の精霊によるシャワーに希望を見出す者もいれば、水の確保が容易になる事で改善される要素を真剣に精査する者など、様々だ。
 最後の最後で少々恰好つかなかったが、これはアピール成功とみても良いだろう。ミラは、仲間同士で話し合いを始めた冒険者達を眺めながら、計画通りだとほくそ笑んだ。


 冒険者達の話し合いが盛り上がっていく。あれだけの可能性を見せつけられたのだから、それも仕方がないだろう。と、そんな者達の話の内容は次第に、召喚術の有利さから、その確保についてという内容に変わっていった。
 まず一番に挙がった問題は、水の精霊を召喚出来る召喚術士をどうやって見つけるかという事だ。
 続いて、いや、そもそもそれ以前に、召喚術士自体を滅多に見かけない。という今の状況に触れる。
 そこから更に、たとえ運良く見つけたとしても、その召喚術士が水精霊を召喚出来るかどうかが難点だと、考え込む。
 そしてようやく見つけた召喚術士が、水の精霊を召喚出来なければ、また次の出会いを待つ事になるだろうという流れになる。
 だが、そんな事をしていたら召喚術士とダンジョン攻略に行けるのが、いつになるかわからない。
 と、そこまで話し合った幾つかの冒険者グループは、結果、当然の帰結とばかりに、ミラへと視線を注いだ。大きな期待をその目に秘めて。

「あー……わしには用事があるのでな」

 ミラは、そう言って全ての視線を却下した。その途端に落胆する冒険者達。しかし、答えは薄々はわかっていたのだろう、直ぐに立ち直ると、その内の一人がミラに質問した。水の精霊との契約はそう難しいものではないと先ほど言っていたが、それは具体的にどういうものなのか、と。
 最終的に冒険者達は、水の精霊を召喚出来なくてもいいので、まずは絶対数の少ない召喚術士との出会いを優先する事にしたようだ。そして、水の精霊を召喚出来るまで協力してしまえばいいのだという答えに至ったらしい。実に前向きな連中である。

(これはまた、理想的な流れになりおったぞ!)

 理由はどうあれ、このように協力的な冒険者達が、世の埋もれている召喚術士を見つけて育ててくれるというなら、これほど有り難い事はない。そして将来、立派に育った召喚術士が相応の活躍をしたならば、需要も増して召喚術士の数も増えていく事だろう。正のスパイラル突入である。

「いいじゃろう。水の精霊との契約について、語ろうではないか!」

 ここが勝負どころだ。そう見極めたミラは、一般的な冒険者、そして現実的な要素を含め、十分に可能であると思える方法や場所などを思い出しながら、なるべく優しく丁寧にわかり易く、水の精霊と契約する方法の説明を始めた。
 まず、水の精霊との契約といっても、その手段には大きく分けて二つあると、ミラは語る。
 一つは、湖や川などの水場の近くにいる水の精霊と仲良くなり、契約までこぎつけるというものだ。水の確保やシャワーなど、基本的な事は共通しているため、どの水の精霊でも、それらの条件は達成出来る。
 ただ、水の精霊と一言で表しても、それぞれに個性があり、得意とする能力が違ってくるものだ。戦闘向きの能力だったり、補助向きの能力だったり様々である。
 そのあたりは、実際に精霊と対話すれば、色々と教えてくれるはずだ。
 そして契約手段としてはもう一つ、精霊結晶を使う方法がある。
 精霊結晶。それは、太古の精霊の魂が結晶化したものであり、深い地層などから稀に見つかる鉱石の事だ。
 これを、精霊力の集まる特別な場で解放すると、赤子の精霊が生まれる。その赤子を愛情をもって育て、召喚契約するというのが二つ目の方法だ。
 この契約方法の利点は、まず精霊の特性をある程度選べるというところが挙げられる。精霊力の集まる特別な場というのは幾つもあり、その場所ごとに生まれる精霊が変わる。それは炎の精霊や風の精霊、そして水の精霊などといった司る属性の違いだけではない。海や川、湖に雨といった、同属性でありながらも違う特徴をもった精霊となるのだ。
 解放する場を選べるという事は、それらを見極め、何が必要なのか、どういった助けを望むのかといった点を考慮出来るという事。つまり、ピンポイントで理想の精霊と契約出来るというわけだ。

「一先ず、水の精霊についての特徴じゃが──」

 そう前置きしてから、ミラは特徴について詳細に語った。それとほぼ同時、ミラが説明する内容の重要性に気付いた何人かの冒険者は、即座にメモとペンを取り出していた。




昨日買い物に行った時、ゆで玉子用に多くの方が推奨していたマヨネーズを選びにいきました。
色々な種類があって迷いますね。
そうして選んでいた時、ふと思い出しました。
マヨネーズ系統のトップは、タルタルソースだと。
マヨネーズよりずっとお高いですが、重版が決まった今の自分は無敵です。
タルタルソ-ス買ってきました!

玉子感が増し増しになったタルタルソースみたいになって美味しかったです!


あ、それとですね。先日に、感想欄の方で教えていただいた厚揚げですが
これはいいですね!
トースターで表面をカリカリに焼くと、とても美味しいです。
しかもボリュームもあるので、中々の満足感も!

更に、先日教えていただいた、すりおろしオニオンドレッシングが、合う!
もしかしたら、タルタルソースも……。
+注意+
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