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賢者の弟子を名乗る賢者 作者:りゅうせんひろつぐ
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187 刻印の真実

という事でして定期的に……
コミック版は現在4話まで無料公開、5話が先行公開されております!
http://comicride.jp/pupil/
よろしくお願いします!
百八十七


「んじゃ、細かい話はもう後にして、飯にするか」

 ソウルハウルが何となく誤魔化すような様子で、食事の準備を始めた。そこら辺に置いてあった調理器具を集めて、ミラに背を向ける。どうにも照れ隠しのようだ。

「それならば、もっと良いものがあるぞ!」

 これ以上追及する必要はないだろう。そう察したミラは、気分一新、これでもかというほど自慢げに立ち上がった。

「だから、赤い実は要らないからな」

 冷めた目で振り返るソウルハウル。そんな彼にミラは、チッチと舌を鳴らし不敵に微笑みかける。

「食材の方ではない。その調理器具の方じゃよ」

 より一層、笑みを深めたミラは次の瞬間、その隣に《精霊屋敷》を召喚してみせた。
 そこそこ広い部屋に現れた、小さな屋敷。それを見たソウルハウルは、「おお?」と驚いたように声を上げる。

「これは面白いな。新しい召喚術か?」

「うむ。屋敷の人工精霊でのぅ。先日出会ったばかりじゃが、相当に頼りになる術じゃよ」
 どうだと言わんばかりにふんぞり返るミラ。しかしそんなミラの言葉など聞いてか聞かずか、ソウルハウルは興味に促されるまま、屋敷のドアノブに手を伸ばす。

「うん? 開かないぞ」

 押しても引いてもといった様子でドアノブを回しながら、ソウルハウルはしかめっ面で振り向く。

「む、そんなはずはないじゃろう」

 ミラは扉に駆け寄り、ドアノブを引く。すると難なく扉は開いた。

「主人でなければ開けられないって事か?」

「試した事はないが、そういう事かもしれぬな」

 そう言葉を交わしたミラとソウルハウルは、ならば試してみようと研究心の赴くまま色々と実験を始めた。その結果、精霊屋敷はミラ自身か、ミラが許可した者でなければ扉だけでなく、設備の全てが使えないという事がわかった。

「実に主人に忠実な屋敷だな。という事で、シャワーの使用許可を頼む」

 シャワーですっきりしたいというのは本能の一部なのだろうか、検証後、ソウルハウルは早速とばかりにシャワー室の前で服を脱ぎ始め、そうミラの許可を求めた。

「仕方がないのぅ。許可してやろうではないか」

 ミラは、ほんのり優越感に浸りながら、シャワーの使用を認める。ソウルハウルは「感謝、感謝」と口にして、シャワー室に消えていった。

(さて、夕飯は……あ奴に作らせればよいか!)

 床に特製寝袋を敷き直したミラは、そのままその上にごろりと横になった。腹は空いているものの、食事の準備はまだしない。それもこれも、実はソウルハウルの特技が料理であるからだ。
 一人前も二人前も大して変わらないだろう。そう考えたミラは、調理場を提供するついでに、自分の分も作ってもらおうという腹積もりだった。

(料理が出来るまでの間に、わしもシャワーを済ませれば完璧じゃな!)

 シャワーでさっぱりして出たところを、完成した夕飯が迎えてくれる。ミラは完璧な流れだとほくそ笑み、なんの料理を頼もうかと、ソウルハウルのレパートリーを思い返す。
 と、そんな時だった。

『えーっと、ねぇ、シン様。これで繋がっているのかしら。ミラさーん。ミーラーさーん。聞こえるかしらー?』

 ふとミラの頭の中に、そんな声が響いてきたのだ。

『何じゃ!? この声はもしや、マーテル殿か?』

 突然、精霊王の声が聞こえてくる事には慣れ始めていたミラ。だが今回、これまでとは違う声が聞こえてきた事に驚く。声の主は、どうやら始祖精霊のマーテルのようだ。声色と、聞こえてきた言葉でそう判断したミラは、何事かと問い返す。
 すると、ミラからの反応があったのが嬉しかったのか、『あ、ミラさーん! 凄い凄い、ちゃんと繋がったのねー』と、マーテルの喜ぶ声が騒がしく返ってきた。

『すまぬ、ミラ殿。我だけミラ殿と話せるのはずるいと、マーテルに押し切られてしまってな』

 はしゃぐようなマーテルの声の合間から、今度は精霊王の声が届いた。話によると精霊王は、いつものようにミラの感覚を通じ冒険を一緒に楽しんでいたそうだ。しかしその途中でマーテルの雑談に巻き込まれたらしい。そして今の今まで、ずっと雑談に付き合わされていたため折角の冒険を見逃したと、落ち込んでもいた。
 そして雑談の最中、精霊達だけでなくミラと話す方法も教える流れになってしまったそうだ。ただ、話せるのは精霊王がミラとの会話を繋いでいる時だけ。つまり精霊王と話している際は、いつでもマーテルが交ざってこれる状態という事である。

『まあ、構わんじゃろう。その分、何かと頼りにもなりそうじゃからな』

 いざとなったら、古参の相談相手が二人いるという事。これはまた頼もしくも騒がしくなりそうだと苦笑しながら、ミラは楽しげに笑った。

『ところでミラ殿。誰かがいるようだが、迷惑ではなかったか?』

『あら、そうなの? ごめんなさいね、ミラさん』

 シャワー室から僅かに聞こえる水の音。精霊王はそれを聞いてミラ以外の誰かがいる事に気付いたようだ。

『いや、問題はない。あ奴は今、シャワーを満喫しているところじゃからな。当分は出てこぬじゃろう』

 長湯の傾向があるソウルハウルの事だ。シャワーだけでも相当長いだろうと、考えて答えたミラ。

『その口振りからして、もしやミラ殿の知り合いか。とすれば、探し人に出会えたのだな。我が見ていない時に……』

 覗き見ていた情報で、精霊王はミラが友人を探している事を知っていた。だからこそ精霊王は再会シーンを楽しみにしていたのだが、マーテルの雑談に巻き込まれ、その瞬間を見逃した事が実に残念そうだった。

『あら、ミラさんは人を探してここまで来ていたのね』

 そんな精霊王を押しのけるようにして、マーテルの声が入り込んでくる。

『うむ、そ奴は神命光輝の聖杯を作っておってな。その足取りを追って、ようやくここで捕まえられたというのが、今の状況じゃな』

『まあ! 聖杯作りで。凄いのねぇ』

 ミラが簡単に説明すると、マーテルは驚いたように声を上げた。流石は始祖精霊というべきか、やはり神命光輝の聖杯について知っているようだ。しかも、制作手順も全て把握し、その難度もまた理解していた。人の身では、ここまで手順を進めるのでも恐ろしく大変だっただろうと、とても感心した様子だ。

『よくぞあれを作ろうなどと考えたものだ。ミラ殿の友人は、実に酔狂なのだな』

 精霊王もまた、感心したようにそう言った。精霊王から見ても、制作手順は相当な難度のようだ。
 と、そんな声を聞きながら、ミラはふと思いつく。どうやら神命光輝の聖杯については、良く知っている様子の精霊王とマーテル。ならば聖杯の力で、本当に悪魔の刻印を消す事が出来るのか聞いてみるのはどうかと。
 実のところ、聖杯の力で悪魔の刻印を消せるというのは、まだ可能性だけでの話でしかないのだ。現状、そこに明確な根拠などないのである。だが、それしか可能性がなかったため、ソウルハウルはこうして頑張っているのだ。

『ところで、訊きたい事があるのじゃが』

 努力が報われるのか、それとも……。ミラは意を決したようにそう語り掛けると、精霊王とマーテルは、どんとこいとばかりに、何でも聞いてくれと応える。なのでミラは、可能性を求めて、ソウルハウルの努力が無駄にならないように願いながら問うた。
 神命光輝の聖杯の力で、悪魔の刻印を打ち消す事は可能か否かと。

『悪魔の刻印、か』

 何やら精霊王の考え込む様子が伝わってきた。もしや、聖杯の力でも悪魔の刻印はどうする事も出来ないのか。ミラは最悪の答えを覚悟する。
 しかし、その覚悟は次の言葉で、一気に霧散してしまった。

『悪魔の刻印って、何かしら?』

『聞いた事がないな』

 どうした事か、マーテルと精霊王が口を揃えてそう言ったのだ。

『なん、じゃと……』

 この世界と同じくらいの長い時を生きる両者が、まさか悪魔の刻印を知らないというのである。ミラの驚きは計り知れないものだった。

『ほれ、あれじゃよ。冥府の呪いやら、悪魔の祝福などと呼ばれている、あの刻印じゃ』

 そう説明したミラだったが、精霊王とマーテルは、全く心当たりがないと答えるばかりであった。
 と、ここでふとミラは思い出す。そういえば、冥府の呪い、悪魔の祝福などという呼び名はプレイヤーが勝手につけた通称だったと。そして悪魔の刻印というのもまた便宜上でそう呼称しているだけであって、刻印自体に正式な呼び名はなかったと。
 なのでミラは、刻印について詳細に説明した。ある日突然、皮膚を裂き身体に浮かび上がる事。六芒星と、その周囲に並ぶ記号や図形、そして中央に刻まれたXVの文字。この刻印が浮かんだ者は、時短くして、非業の死を遂げる。その際は、必ず傍に悪魔の影があったなどなど。
 ミラは、これまで見てきたイベントなどの情報を総動員して、知っている限りを話す。そして最後、聖杯を作る目的である、古代神殿ネブラポリスの最下層にいる女性の事も伝えた。
 すると、暫しの沈黙後、精霊王から驚くような答えが返ってきた。

『それはもしや、聖痕ではないのか?』

 聖痕。信心深い者の身体に現れる、原因不明の傷。それはかつての悪魔ならまだしも、今の悪魔には似つかわしくない言葉であった。しかし、精霊王のその言葉に、マーテルもまた『ええ、私もそう思うわ』と同意する。
 聖痕と聞いてのイメージは、大抵の人の場合、聖なるものを思い浮かべる事だろう。悪魔か天使かでいえば、どちらかというまでもなく天使が浮かぶはずだ。ミラも当然、そうであった。

『聖痕じゃと……? 聖痕というからには神聖な印象があるのじゃがのぅ……』

 幾つかのイベントを攻略したミラは、聖痕といわれた刻印に神聖な印象の欠片も抱けなかった。けれど、特徴からみてほぼ間違いなくミラが言っている悪魔の刻印とは、聖痕であると、精霊王とマーテルは断言する。

『とはいえ確かに、人にしてみれば呪いなどと変わらぬかもしれんな』

 精霊王は、そうぽつり呟くと、聖痕とはどういうものなのか話し始めた。
 まず聖痕とは、魂に蓄積されたまま眠る神聖な力が、何かの原因で目を覚ました時に表れるのだという。そして原因となる神聖な力だが、これは、聖痕というだけあって、正真正銘神の力だそうだ。
 ではなぜ人の魂が、このような力を宿すに至るのかというと、それは神の気まぐれや配慮、恩寵などといった物語のような理由ではなく、単純に偶然だという。

『ミラ殿、覚えているだろうか。我が眷属達の魂を見送ってくれた夜の事を』

『うむ、はっきりと覚えておる』

 ふと懐かしむような精霊王の声に、ミラはゆっくりと頷いた。遥か空の彼方に見えた、大きな光の川を思い出しながら。

『あの日、魂が還っていった『天ツ彼岸の社』は、神域と隣り合うように存在している。そのため、僅かだが神が放つ神聖な力が、時折零れ落ちてくる事があるのだ』

 精霊王の話によると、この零れ落ちた神聖な力は、相性次第で近くにいた魂に宿ってしまう事があるそうだ。神の力と相性が良いなど随分と幸運な印象だが、この場合は不幸だろうと精霊王は苦笑する。
 とはいえ、神聖な力というのは宿っただけなら、そこまで問題はないらしい。人の身に余るからか、当然発現方法など人が理解出来るはずもなく、神聖な力は魂の内側で眠り続ける事になる。
 場合によっては、時間はかかるものの魂に馴染み、恩恵を授かる、またはその者のマナに馴染み力を自在に扱えるようになる事もあるそうだ。

『どのような病や傷も癒す、回復の奇跡の使い手という者を、ミラ殿は知っているか?』

『回復の奇跡の使い手か……。確か、アリスファリウスの教会にいた気がしたのぅ。三十年前の事じゃから今はどうか知らぬが』

 回復の奇跡。ミラは、アリスファリウスで発生したクエストにそのようなものがあったと思い出す。するとどうやら精霊王が言うに、その力の正体というのが神聖な力なのだそうだ。回復というのは、これの影響で最も発現しやすい力だという。
 だからといって、それも容易いわけではない。そのような事は極稀であり、大抵は肉体から魂が解放された時、つまり死した時に反動で霧散してしまうらしい。死というのは、神の力も打ち消すほどに強力な喪失現象であるという事だ。
 だが、そうなる前。神聖な力が魂の内側に眠り続けている状態のまま、ある条件を満たすとその力は目覚め、聖痕という形で現れるそうだ。

『つまり、わしが見たあの娘も、その条件とやらを満たしてしまった、という事じゃな』

『そういう事だ。そして目覚めた力は、まず力を意味する形に変化する。物質の支配する現世では、形が最も意味を成すからな。それが六芒星であり、図形であり記号だ。しかし当然それに人の器が耐えきれるはずはない。ゆえに皮膚を裂き現れる』

 そこまで説明を聞き終えたミラは、悪魔の刻印は、確かに聖痕で間違いないと納得した。
 では、聖痕が発現する条件とは何なのか。ミラがそれを問うたところ、大きく分けて二つあると精霊王は答えた。
 まず一つ目の条件は、魂の内側で眠る神聖な力と、同種の力による干渉。近くに同種の力を持つ何かがあった場合、それにゆっくりと共鳴していき、最後には覚醒するのだそうだ。その間、神聖な力は徐々に目覚め膨らんでいき魂を圧迫するため、人には何かしらの不調が表れるという。
 そしてもう一つの条件は、反対に、邪悪な力による干渉だった。神聖な力の対極である邪悪な力。それが近くに接近した時、対抗するかのようにして力は唐突に目覚めるという事だ。

『ふむ……。そうすると、あの娘の傍には、その内のどちらかがあったわけじゃな』

『そう考えて間違いないだろう。ただ、どちらの条件にしろ、そうおいそれとあるものではない。ミラ殿のいう娘は、どこでその力に触れたのだろうな』

 条件の一つ、神聖な力と同種の力とは、神か、またはその系譜、天使などの力。もう一つの条件、邪悪な力とは、呪いなどの忌みを持つ全てや、今の悪魔が持つ力などだ。精霊王が言う通り、これらはどれも、そこらに存在するようなものではない。極稀に生まれる神聖な力を宿した魂を持つ者が、これらの力を受けて聖痕の発現に至る確率は、極めて低いのである。
 しかし聖痕は現れた。女性はいったい、どこで条件を満たしてしまったのだろうか。

(そういえば、ソウルハウルが根城としていたあの場所に悪魔がおったな)

 もしかしてと、そう考えたミラは、ふとソウルハウルから聞いた事を思い出した。
 その女性は、いつも勝手にやってきて一通り騒いでいったが、いつからかその騒がしさが控えめになっていったと。そしてとうとう、悪魔の刻印、つまり聖痕が現れたのだと。
 騒がしさが控えめになっていった。これはつまり、徐々に膨らんでいく神聖な力によって不調をきたしていたと捉える事が出来るのではないだろうか。そうすると、邪悪な力ではなく、神聖な力による干渉が原因と考えられる。

『多分じゃが、あの娘は、どこかで神聖な力に触れたのじゃと思う。話によれば、新興宗教の信者らしいからのぅ、御神体か何かの影響を受けた、といったところではないじゃろうか?』

 そう予想したミラだったが、精霊王は、それは難しいだろうと答えた。

『可能性としては、あるかもしれない。だが、魂という壁を越えて内に眠る力に干渉出来るものとなると、神器と同等かそれ以上の力を秘めたものだ。その新興宗教がどれほどの規模かは知らぬが、御神体がそれだけの力を得るには、最低でも三万年の時は必要だろう。それも、かの三神教に匹敵するほどの宗派であり、唯一無二の御神体だった場合だ』

『それは厳しい、というよりもはや不可能じゃのぅ』

 信仰によって、御神体が神の如き力を宿す事もあるという。しかし、それに至るには途方もない時間と条件が必要だった。新興ではどうあっても達成出来ないだろう。

『初めから力あるものを御神体に据えた場合は、その限りではないのだがな』

 新規の御神体ではなく、元より力を秘めたもの、または曰く付きのものを御神体に据える事も珍しくはないそうだ。けれどこの場合でも、あの凍った女性のような状態になる事はほぼないという。
 まず、神器クラスの御神体など容易く調達出来るものではない。それは、プレイヤー達が群雄割拠していた、激動の時代から見ても明らかだ。
 神器。それは数あるカテゴリーの中でも不動の最上位に君臨する、神話級のお宝だ。誰それが手に入れた、どこそこで見つけただのといった情報が飛び交うも、その全ては偽りであり、噂以上に曖昧な存在だった。
 様々な文献を読み解き、ミラ達も含め、かつてのトッププレイヤー達が大陸中を駆け巡り追い求めたにも拘わらず、神器はその影すら現す事はなかった。
 そして結局、それを手にしたという確たる情報は一つも出ず、神器とはNPC専用であり、プレイヤーが扱えるのは伝説級までだというのが、一つの解になっていた。
 現在その所在が確認されている神器は、三神国の将軍が所持する三つのみ。それほどまでに、神器とは遠い存在なのだ。これを御神体に据えるなどしようものなら、その噂は瞬く間に大陸中へ広がっている事だろう。
 では、忌みのある品、呪物を御神体に据えた場合はどうか。
 この場合、対局となる邪悪な力を脅威と認識し、魂の内に眠る神聖な力は確かに目覚めるという。しかしこれでは、徐々に不調をきたしたという症状に一致しない。
 これらの理由から、新興宗教は関係ないという結論に至った。
 条件は、神聖な力による、緩やかな覚醒。これを満たせるのは、神器か、それに匹敵する何かだ。

(そういえば、神器の一つが行方不明じゃったな。関係しているのじゃろうか)

 封鬼の棺を穿つために使われたと思われる神器『黄泉路の鉄槌』。だが予想では、その神器は現在、悪魔が所持しているはずだった。となれば徐々に覚醒するよりもまず、悪魔の邪悪な力によって、一気に覚醒しているはずだ。
 と、そこまで考えたミラは、ふともう一つの疑問に行き当たる。

『ところでじゃな、悪魔の刻印が聖痕であるという事までは納得したのじゃが、ではなぜその聖痕を持つ者達は、悉く非業の死を遂げたのじゃろうか』

 浮かび上がった刻印、そしてその死に必ず影を見せる悪魔。それらが合わさって、冥府の呪いだの悪魔の祝福といった不吉な名称がついていたのだ。
 しかしその正体は、神聖な力によるもの。ではなぜ、悪魔が関係しているような状況になっているのだろう。ミラは、そう疑問に思った。

『それは、多分簡単な事だろう。先ほど話したように、稀にだが神聖な力を自在に操れるようになる者もいるからだと思われる』

 そう言ってから精霊王は、悪魔の行動の大筋を予測してみせた。
 聖痕の発現とはつまり、内で眠っていた神聖な力の覚醒。そして人は、その状態を制御出来るはずもなく、力は常に解放されたままとなる。これに、相反する力を持つ悪魔が気付かないはずはない。
 放っておいても、ほとんど自滅する聖痕保持者だが、稀にその力が馴染み自在に操れる者が出てくる。一欠けらとはいえ神の力だ。それは邪悪な力を宿す悪魔にとって、絶対的な脅威となる。
 ゆえに、万が一でも起きないよう、悪魔は聖痕保持者を見つけ次第、始末しているのだろうと、そう精霊王は語った。

『確かに、そう考えると納得じゃな』

 神聖でありながら、不吉な印象がついてしまった聖痕。しかしそれは、神聖ゆえに呼び寄せてしまった悪魔の存在によるものだった。精霊王の予測は理に適ったものであり、ミラが知る全ての状況に当てはめても、しっくりくる理由だった。
何やらハリーポッターの最新作が上映中だそうで。
凄く、気になります。

しかし映画とかもう、中学生の頃に友達と行ったきりで、
何というか……システムがわからない!

まあ、わかったところで、この出不精が動くかどうか……。
きっとこういう時にさっと行けると、リア充になれるんだろうなぁ。
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