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賢者の弟子を名乗る賢者 作者:りゅうせんひろつぐ
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169/241

168 金策の地下都市

なにやらコミカライズの情報が少しずつ出てきているようです。
こちらがそのページですね。
http://comicride.jp/

公開は、7月28日からという事。
あと10日。楽しみですねぇ。
百六十八


 古代地下都市の二層目にある大神殿で一夜を明かしたミラは、下着姿のまま寝ぼけ眼で寝袋から這い出すと、夜のうちに無形術で乾かしておいた服を頭から被る。そして、もぞもぞと袖を通し、頭を出したその時だ。

「ふーむ……。誰じゃお主は?」

 不寝番代わりのホーリーナイトに組み伏せられていた、一人の男と目が合った。男は興奮した様子でミラの事を見つめていたが、声をかけられた瞬間、非常にバツが悪そうな表情を浮かべる。

「えーっと。君が大聖堂に入ってきた時、一人みたいで気になって……」

 心配だったからとでもいうように答える男。だがその目線は、むき出しのミラの胸元に向けられており、誰でも分かる程のあからさまな下心が表情に浮かんでいた。

「ふむ。ただの夜這いか。助平な奴じゃのぅ……」

 これだけ可愛いのだから気持ちは分からなくもない。とは思いながらも、まったくその気のないミラは、ホーリーナイトに指示を出し、その男に軽く仕置きをして容赦なく放り捨てさせる。直後、男のうめき声が小さく響いた。
 そんな朝の珍事件の後、ミラは何事もなく、朝食の準備を始める。準備といっても朝食は簡単で、パンと果物、そしてオールシーズンオレだ。


 朝食を済ませ片付けも終わり支度を整えたミラは、三層目に向かうべく小部屋から大聖堂に戻って来た。昨夜、ここを訪れた時にいた冒険者達は、半数ほどがもう出発しており、大聖堂が多少広くなったように感じられた。
 そんな中、ふとミラの目は、ある女性だけの冒険者グループの姿を捉える。特に、そのグループの二人、美人な女剣士と可愛らしい女術士を。
 そう、昨夜にたまたま偶然過失的に覗いてしまった二人だ。すると、あちらも気付いたのか、ミラの姿を見るなり顔を赤らめながらも、少々怯えたような目をする。ミラが何か余計な事でも言うのではと思っているのだろうか、どこか祈るように互いの手をぎゅっと握り合っていた。

(わしは応援しておるぞ!)

 ミラはそんな二人に小さく頷き応え、そっと口元に人差し指を立ててみせる。そして、何もなかったとばかりに顔を逸らせ、大聖堂を突き進む。その背後、二人の女性は安堵の表情を浮かべ微笑み合っていた。
 大聖堂の一番奥。特別な文字がなければ開かない扉の前に着いたミラは、その直ぐ脇で作戦会議中の五人グループを目にする。そこから漏れ聞こえてきた声は、前衛の要である戦士が体調不良のため、戦闘時の陣形などを見直す必要がある、などという内容だった。
 体調不良の戦士。壁に寄りかかりぐったりした様子の男。目が合うと同時に苦笑を浮かべた男を、ミラは呆れながら見返した。その戦士とは、夜這いの男だったからだ。一晩中ホーリーナイトに組み伏せられ、仕置きの後放り捨てられたのだから、体調不良も仕方がないだろう。
 どうしたものか、一度引き返すべきか。そんな事を相談し始めた彼の仲間に、ミラは「何やら、すまんかったのぅ」と心にも無い謝罪から入り、朝の出来事を全てばらした。その結果、ミラは夜這い男のグループ仲間からは真摯な謝罪を受け、仕置きについては当然、無罪放免。むしろ良くやってくれたとは、二人いた女性からの声だ。
 話によると、これが初めてではないらしく、時折問題を巻き起こすという。それでも一緒にいるのは、子供時代からの腐れ縁だからと、彼等は笑った。どうやら、全員が幼馴染のグループのようだ。
 そんな彼等は、もう一日休んでから攻略を再開する事に決めたらしい。全員に仕置きされる夜這い男の悲鳴を背に、ミラは第三層に続く一枚目の扉を開いた。
 全ての扉を抜けて行き着いた三層目。そこも、二層目と同じような光景と条件であり、多少ギミックの複雑さは増したものの、ペガサスに乗ったミラにとっては大した問題ではなく、四時間程度で文字を集め終わり、また大神殿から次の層に抜けていった。


 そうして辿り着いた四層目。組合でDランクに設定されたそこは、これまでに比べ、随分と明るい場所であった。

「今日中にはここもクリアしたいところじゃな」

 地下であるにもかかわらず、全体が見通せるほどに光が満ちたそこには、白く大きな屋敷と宮殿が並び、まるで都会のビル街のようにどこまでも続いていた。
 三層目から更に半分の面積になった四層目。それでもまだまだ広大で、端は霞むほど遠い。

「しかしまあ改めて見ても、三層目までとはえらい違いじゃのぅ」

 手早く召喚したペガサスに跨り、颯爽と宙へ飛び上がったミラは、そこから望む光景を前に思わず呟く。
 朽ちてもなお華やかさが残る四層目には、かつてプレイヤーがつけた二つの呼び名があった。
 その一つは貴族街。言葉通り、まだ人がいた頃は、大国の貴族達が住む地区に勝るとも劣らぬ、気品に彩られた場所だったであろう。そう今の光景からでも想像出来る。

「さて、始めはこの宮殿じゃな」

 空を行く事数十分。ミラは東の端にある、一際大きな宮殿の前に到着していた。

(東は、日の出。確か、宮殿内の全てのトーチに火を灯す。じゃったかな)

 ペガサスの背から、ひらりとスカートを翻して飛び降りたミラは、小国の城にも匹敵するであろう立派な宮殿を見上げ、少々曖昧になっていた記憶を思い返す。
 四層目でもまた、次の層に進むには文字を集める必要があった。数は三つと少なくなったが、一つ一つの難度がその分上がっているのが特徴である。
 文字が入手出来る場所は、北と西、そして東にある一際大きな宮殿だ。そこにあるギミックを解く事で、文字を入手出来る水晶球のある場所への道が開くという仕組みだ。

「さて、手早く済ませてしまうとしようか」

 ペガサスを伴ったまま、ミラは宮殿に向けて一歩を踏み出す。そして敷地に踏み入った途端の事。荒れ果てた庭の底から無数のスケルトン飛び出し、ミラに目掛けて襲い掛かってきた。
 けれどミラは一切動じず、その直後に雷光が閃いた。ペガサスの放った雷が、瞬く間に全ての骨を塵に変えたのだ。
 貴族街と呼ばれる第四層の、もう一つの呼び名。それは、骨の都。地区ごとに様々なスケルトン族の魔物が出現するため、戦う相手を選び易く、打撃攻撃の得意なクラスや、不死系の魔物に強い死霊術士、聖術士にとっては絶好の狩場であった。
 ちなみに東地区では、主に動きの素早いスケルトンが出現する。しかし、素早いといってもミラとペガサス相手には到底及ばない。ミラが宮殿に近づくたびに飛び出すスケルトンは、顔を出した端からペガサスによって狩られていった。



「大漁ですにゃー!」

 スケルトンが掃討された広い庭を、軽快に駆け巡る子猫が一匹。[骨骨ファンタジー]と書かれたプラカードを掲げたケット・シーである。
 不死系の魔物を倒すと、魔動石が確定で入手出来る。ディノワール商会で購入した魔動式と付く道具の数々は、この魔動石でも使えるため、ミラはケット・シーを召喚し、無数に散らばるそれらを回収させていた。
 こそ泥の如く大きな風呂敷包みを背負ったケット・シーは、実にこなれた手際で拾い集めた魔動石を、「親分、これが巻き上げたブツですにゃ」と差し出し、ニヒルな笑みを浮かべた。

「うむ。よくやった」

 宮殿の入り口に到達したところで、スケルトンの出現が収まる。ミラは、数十個に及ぶ魔動石を受け取ると、満足げに微笑みながら、続けて宮殿に踏み込んでいった。
 明り取りの窓が多く、多少薄暗い程度の宮殿内。スケルトン族の魔物が徘徊するそこを、ミラ達は何事もなく歩き回っていた。

「よし。これであと一箇所だけじゃな」

 宮殿の四階広間にあるトーチに、着火の無形術で火を灯したミラは、そのまま一番奥にある大きな扉に向かって歩き出す。
 そんなミラの背後では電光が幾筋も迸っており、殺到してくるスケルトンを手際よく塵に変えていく。ミラをギミック解除に専念させるため、魔物の処理はペガサスが全て請け負っていた。
 付近に出現するのはDランク相当のスケルトンではあるが、準備がなければCランクの冒険者でも撤退を余儀なくされる程の数で襲ってくるのが宮殿内の特徴だった。離れた場所から一体ずつおびき寄せて倒す、いわゆる釣り戦法で攻略するのが一般的である。
 とはいえそれは、実力が近い者達の場合だ。精強な軍勢を操るミラにとって、貧弱な集団など取るに足らない存在だった。
 ミラの手を煩わせる事もないと、ここぞとばかりに張り切ったペガサスが、スケルトンを駆逐していく。

「にゃにゃー!? ギリギリだったですにゃー!」

 更にケット・シーは、幾条にも宙を貫く雷を紙一重でかわしつつ駆け抜けて戦利品を回収するという、実にドキドキな連携をみせる。誰も見てはいなかったが。
 そうして攻略していった宮殿も終盤。ミラが開いた大きな扉の先には、聖火台のような大きな器と、それを護るように佇む巨大なスケルトンが三体いた。
 暁の器守と呼ばれる三体のスケルトンは、これまで蹴散らしてきたものとは明らかに違う気配を纏っている。器を護るのが最優先なのだろうか、ミラ達に気付いてはいるようだが、その場から動く様子はない。

「あれが最後じゃな」

 暁の器守を前にしても、やはりミラは躊躇なくその部屋に足を踏み入れる。
 瞬間、強烈な殺気が場を満たし、三体のスケルトンが動き出す。けれど、その足が二歩目を刻む事はなかった。ミラに殺気を向けた直後、それ以上の気配が場を塗り替え雷鳴が轟き、瞬く間に暁の器守は消し炭と化したのだから。

「さて、これでようやく最上階の扉が開いたはずじゃ」

 ミラが器に火を灯した時、遠くの方から大きなものを引き摺るような音が響いてきた。それはギミックが解除された証でもある音だ。
 そんな中、まるで自分の手柄だと言わんばかりに特大の魔動石を三つ抱えたケット・シーは、それを誇らしげにミラへ差し出した。



 四階広間に戻ってから階段を上り、そのまま最上階の部屋に入る。そこに魔物の姿はなく、大きな水晶球があるだけだ。
 水晶球に手を触れると、文字が一つ手の平に浮かぶ。

「まず一つ目か。やはりここは時間がかかるのぅ」

 東の宮殿攻略に、二時間かかっていた。それだけギミックであるトーチの数が多いのだ。次の目的地である西の宮殿も同じだけのギミックがある。しかし三箇所目の北の宮殿に至っては、半日はかかるほど複雑だった。それを思い出し、少々げんなりするミラ。

「まあ、やらねばならぬか」

 そう呟き宮殿を後にしたミラは、颯爽とペガサスに跨り二番目の文字がある西の宮殿に向かって飛び立った。
 その肩で、[ここはどこ、エルドラド]と書かれたプラカードを手に、「遂に伝説の古代都市を発見したのですにゃー!」とケット・シーが騒いでいた。



 外観は東とほぼ同じであるが、西の宮殿は地下にも地上と同じくらいの規模の部屋が広がっている。そして、西地区には近接系のスケルトンが主に出現し、庭に足を踏み入れると、早速とばかりに襲ってきた。とはいえ、ペガサスの敵でない事に変わりはない。

「これは確かに、稼ぐにはもってこいの場所じゃな」

 またもこそ泥の如く魔動石を回収していくケット・シーを見つめながら、ミラはふと呟く。東から西に移動していた時の事。地上を見下ろした時、思った以上に冒険者グループの姿があった。スケルトンのみしか出現せず、魔動石という確定ドロップのアイテムもある。特に魔動石は、術具以外にも魔導工学や魔動式の冒険者用品など、需要もかつてより大きく増している。
 スケルトンのみで対策がし易く、安定した価値の魔動石が手に入る。この事から四層目は、今でも充分に稼ぎ場として賑わっているようだ。
 いったい、これでどれほどの金額になるのだろうか。ケット・シーから受け取った魔動石を見つめ、ほくそ笑んだミラだったが、どうにか本来の目的を思い出し、西の宮殿攻略を開始した。
 西は、日の入り。地下のトーチの火を全て消す事で、水晶球のある間への扉が開く。
 ミラは先程と同じようにずんずん進み、地下のトーチを消火の無形術で消していく。そしてペガサスはスケルトンを蹴散らし、ケット・シーが魔動石を回収するという、時間がかかるだけの簡単な攻略であった。
 最後、黄昏の器守を倒し大広間の器の炎を消してから、最上階の水晶球に触れ、ミラは難なく二つ目の文字を入手する。

「ここまではまだ、前座のようなものじゃからのぅ……」

 三つ目の文字を入手するには、難度、ではなく手間が格段に跳ね上がる。ミラは次の攻略について考えながら、北の宮殿に向かった。



「なにやら、人が多いのぅ」

 北の宮殿前に到着したミラは、そこに集まっている複数の冒険者グループを見回して、何事かと呟く。そんなミラに、一人の男が近づいてきた。

「君も、大宮殿の攻略かい? 一人、なのかな? 面白い顔ぶれだけど……実力は確かなようだね」

 男は、ペガサスとケット・シーを交互に見たあと、ミラの手の平に浮かぶ二つの文字と左手首の腕輪を確認して、問題ないとばかりに微笑む。対して、さっぱり状況を掴めないミラは、これはなんのお祭りだと訊いた。
 男は苦笑しながらも答える。これからグループ毎に手分けして宮殿を攻略するのだと。
 北の宮殿は地上と地下を含めると、これまでの宮殿を合わせた三倍の広さを誇る。ちょっとしたダンジョンを超えるほど広大な場所だった。
 だからこそ攻略には半日かかるのだが、それは基本的に一人で攻略しようとしていたミラの視点での場合だ。仲間がいれば、それだけ時間を縮められる。

「なるほどのぅ。では、わしもご一緒させてもらおう」

 男は、複数のグループからなるアライアンスをまとめるリーダーであった。これだけの人数でかかれば、半日かかるところを、二時間程度で終わらせられるかもしれない。これは好都合だと、早速ミラは同行を申し出る。

「ああ、もちろんだ。僕は、トライド。よろしく」

「わしは、ミラじゃ。こちらこそ、よろしく頼む」

 互いに自己紹介をして握手を交わすミラとトライド。彼の話によると、これから作戦会議を始めるところだったようで、ミラもその会議に参加する事になった。
 トライドがミラの加入を皆に告げると、反応は概ね良好だった。しかし女性の数人が、僅かに嫉妬を秘めた目をミラに向けていた。どうやらトライドは、結構な女性人気があるようだ。男性陣の一部は、それとは対照的にとでもいうべきか、一部の男性陣は心の底からミラを歓迎している様子だった。
実は先日、総集編的な音楽番組を流し見していた時に一聞き惚れした曲がありました。
ただ、総集編なので短く、そして何より丁度流しでじゃぶじゃぶしていた時だったので、タイトルもアーティスト名も分からず、そして歌詞のワンフレーズすら覚えていないという状態に。

流石にこれは調べようがないなと思いましたが、それでも一応調べてみました。
最近はどこいってもホットプレートの広告がついてくるインターネットで!

結果、見つける事が出来ました。
いやぁ、やっぱりネットは凄いですね。

ちなみに
BACK NUMBERさんの Sister という曲でした。
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