挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
賢者の弟子を名乗る賢者 作者:りゅうせんひろつぐ
しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

更新通知 0/400

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

157/241

156 神の力

ちょっと早めの更新。

という事で、限定版が発売となりましたね!
お買い上げ下さった方、ありがとうございます!
通常版も三日後に発売! こちらもよろしくおねがいします。
百五十六


 悪魔が邪悪に染まった。その事実に未だ立ち直れないのか、天使ティリエルはうな垂れたまま。

「奪う事も授かる事も出来ないのに、その力がなければ棺は開けられない。それなのに棺は開いちゃってる。つまり、どこかにその力があったって事よね。じゃあそれはどこから……」

 そんな彼女を慰めるようにしてカグラはその背に優しく触れながら、今ある情報を並べる。するとその言葉を聞いたミラは、ふと思い出したかのように「神の力か」と呟いた。

「ひとつ思い出したのじゃが。確か聖剣サンクティアは、精霊王殿の娘だったじゃろう? もしや、封を破れる力を秘めておるのではないか」 

 聖剣サンクティア。精霊王の小指で拵えたそれは、神にも匹敵するという精霊王の力を宿している。そしてなにより、初めて出会った時の聖剣サンクティアは、鬼の呪いを纏う者の手にあった。可能性は、大いにあるだろう。
 しかし、精霊王はそれを否定した。確かにサンクティアならば、封を破れるかもしれないが、そもそもその力が振るわれた時点で気付けるはずだと。
 自然界を統括する精霊王の言葉だ。それに間違いはないのだろう。となれば、他にどのような方法があるだろうか。

「ならば、こういうのはどうじゃろう。棺の封印を開けた、ではなく、封印に小さな孔を開けたと。話を聞く限り正規の開け方は出来そうにないからのぅ。ならば、無理矢理孔を開けたと考えるべきじゃろう。そのために必要となる力はと考えれば、神の力に変わりはないにしても選択肢が増えたりはせぬか?」

 これまで話していたのは、正規に棺を開ける方法について。だが思い返してみればセンキの埋葬地は、棺に孔を穿ったような状態である。その違いにミラは着目したのだ。

『棺を開けるではなく、孔を開けるか。なるほど、それならばやりようはあるかもしれないな』

 深く感心したような精霊王の声が響く。棺を開けるためには、現世との繋がりを曖昧にしている境界を中和して、棺を形作っている特殊な物質『神霊晶石』をマナに変換するという工程が必要だそうだ。
 中和と変換の力。これが正規に棺を開けるのに必要な神の力だが、境界を切り裂き、神霊晶石を穿てるだけの力があれば、孔を開けるのも可能だと精霊王は言った。

『しかし、どのみち必要なのは神の力だ。でなければ、境界に干渉する事も出来ぬからな。だが当然、それだけの力は易々と得られるものではない。しかし可能性が増したのもまた事実だ』

「ふむ……。つまり、神の力である事が最低条件というわけじゃな。加えて、破壊力と」

 ミラは精霊王の言葉を整理しながら考えを巡らせる。そして暫くして、一つの可能性に辿り着いた。神から力を授かる事が出来ないならば、神の力を秘めたものを手に取ればいいのだと。

「アーティファクトならばどうじゃ? 確かあれは、神が人に贈ったものだと記憶しているのじゃが」

「そっか、アイリスの神槍とか凄いもんね。アーティファクトならいけるかも!」

 ミラが考えを口にしたところ、カグラもまた、その手があったかと同意する。神から力を授かるなどと、その事ばかり話していたためか、そこで思考が堂々巡りしてしまっていたようだ。
 アーティファクト。遥かな過去に、神が人に授けたものとされる遺物の総称。どれも他に類をみない、絶大な力を秘めたものばかりである。
 しかし精霊王の返答は、二人の予想とは違うものだった。

『アーティファクト……。ああ、英霊武具の事だったな。ミラ殿が言う通り、あれは確かに神が人に贈ったものだが、秘められているのは神の力ではなく奇跡の力だ。それは人の心に共鳴して、その願いを引き寄せるというもの。あくまでも、人の器に合わせ調整された力であるから、棺に干渉は出来ないだろう』

「なんと……。アーティファクトとは、そういった代物じゃったのか」

「正解じゃなくて残念だけど、なんか代わりに凄い事知っちゃった」

 アーティファクトは、とにかく強力な力を秘めているという認識だったミラとカグラ。その力の正体を精霊王から聞かされ、二人は驚くと同時、大きな感動を覚える。まさかの歴史的新事実だ。

『ただ、考え方としては正解かもしれないな。ミラ殿のいる大地には、正真正銘神の力を宿した神器が存在している。そちらにある三つの大国が幾つか所持していたはずだ』

 精霊王はミラが思いついた可能性を肯定すると、アーティファクトとは違う、神の力そのものを秘めた神器の存在を認めた。更に、グリムダート、アリスファリウス、オズシュタインの三国にそれはあるという。

「あ、ああー! そっか。そういう事だったんだ!」

 精霊王の言葉を聞いた直後、唐突にカグラが声をあげた。そして、驚いたミラをよそに「ちょっと待ってて」といって部屋を飛び出していく。

「なんじゃ唐突に……」

『心当たりでもあったようだな』

 開けっ放しの扉を見つめミラが呟くと、精霊王はどこか楽しげに応える。人と長く話す事は久しぶりで、精霊王は普段よりも饒舌になっているようだ。だがそれを知る者はなく、精霊王自身も気付く事のない、ほんの小さな温もりだった。



 ミラは未だに俯いている天使の手を、ずっと握り続けていた。というより天使が離そうとしないので、そのままというのが現状だ。

「あったよあった。これ見てこれ!」

 静かに天使の様子を見守っていたところに、カグラが騒々しく戻って来る。それと同時、カグラは随分と自信満々に、その手にした紙の束をテーブルの上に広げてみせた。

「んー、なんじゃ。どこをじゃ?」

「ほら、ここ! この部分!」

 カグラはミラの手を握り直しながら、紙の束の一部を指差す。見たところ、それらは全て資料のようだった。「どれどれ」と、その資料を覗き込んだミラは、カグラの指し示す一文を目にした瞬間に「なんと!」と驚きの声をあげる。そして精霊王もまた『これは、なるほど……』と、得心したように呟いた。
 そこに書かれた一文。それは『神器は依然、見つからず』というものであったのだ。

「これはいったい、何について書かれたものなのじゃ?」

「ふっふーん。それはね──」

 ミラが訊くと、カグラはより一層自信を漲らせて答えた。この資料は、考古調査隊について調べたものであると。
 五十鈴連盟のセントポリー支部から初めてミラがカグラに連絡した後の事。カグラは今回の件に関わる様々なものについてまとめておくように指示を出していたそうだ。
 これはその内の一つ、考古調査隊についての調査資料の最新版だという。
 一週間ほど前にミラとカグラで行ったキメラクローゼンの最高幹部三人の尋問。その際にグレゴリウスが口にした、粛清した調査隊の遺体を隠し扉の先の祭壇に捧げた、という言葉を基に、同行を希望した越境法制官のルイーズも引き連れてセンキの埋葬地を再調査していたらしい。
 その結果、緻密に隠蔽されていた扉の奥で、白骨化した無数の遺体を発見したそうだ。更に綺麗に並べられた遺体は、持ち物などもそのまま残っており、個人の特定が容易な状態だったという。
 しかし、国の資料室に残されていた考古調査隊の名簿と人数が合わなかったと、その調査資料には書かれていた。当然、グレゴリウス等を加えた数も踏まえてだ。
 では、いったい誰が欠けていたのかというと。

「考古調査隊の隊長、ルードヴィッヒ・バーンシュタイン。彼の存在がこの瞬間から忽然と消えているの。しかも、ルイーズさんから聞いたんだけど、彼は調査隊の隊長として、神器『黄泉路の鉄槌』を貸与されていたんだって。ね、ね、繋がるでしょ?」

 カグラは、どうだといわんばかりの笑みを浮かべた。
 考古調査隊の隊長ルードヴィッヒ。カグラの持ってきた資料によると、その一人だけが未だに所在不明だった。それと同時に、彼が所持していたとされる神器も見つかっておらず、今は秘密裏に捜索されているそうだ。

『鉄槌か。武器としての形を持つ神器ならば、充分に孔を穿つ事が可能だろうな』

 考古調査隊は、封鬼の棺に孔を開ける事が可能な状態であった事が、精霊王のその言葉によって証明された。神の力の性質というのは多岐に及ぶが、器の形で概ねは判断出来るという。

「それってつまり、この隊長さんが悪魔だったって事よね」

 事前に調べさせておいた資料が、謎の一つを紐解くのに役立った。その事に気をよくしたカグラは、実に得意げな様子で、もう一つの謎に踏み込んでいく。
 人が認識出来ないはずである棺の場所を、考古調査隊が特定出来た理由。ここでようやく、話が初めに戻った。

「そういう事なのじゃろうな。前にも王に成りすました公爵悪魔が、国を支配していたという事件があったのぅ。それを考えてみれば入れ替わっていても不思議ではない。しかも隊長などという肩書きならば発言力も高い。それとなく棺の方へ誘導する事も出来たはずじゃ」

 ミラがそれを口にすると、一瞬だけティリエルの身体が強張った。それはティリエルの知る悪魔ならば、絶対にありえない悪行だ。辛そうに顔を伏せるティリエル。それでもミラの手を離そうとはせず、その場から逃げようともせず、ただ事実として受け入れる覚悟をその目に浮かべていた。

「一つ気になったのじゃが、悪魔は神器を扱えるのじゃろうか? 確か先程、精霊王殿は、悪魔が神の力を得るのは不可能、というような事を言っておったが」

 精霊王も繋がっている影響か、不思議とティリエルの想いが手を通じて伝わってくる。それを感じながらも、ミラは更にそう言葉を続けた。

『問題なく、とは言えないな。携行するだけならば影響はないだろうが、神器は振るう際に強烈な神気が吹き荒れる。どれだけ強靭であろうと、邪悪に染まった今の悪魔ならば相当に効くだろう』

「なるほどのぅ。とすれば、そう無闇には使えぬという事じゃな。神器を振り回す悪魔とばったり遭遇などというのは御免じゃからのぅ」

 精霊王の答えに、ミラは安堵のため息を漏らす。そして、

「変わってああなったというのならば、今一度かつての悪魔に戻す手段があるかもしれぬ。そう考えると、出来るだけ悪魔との戦いは避けたいものじゃな。無力化出来るならそれに越した事はない。しかし、神器を振り回す悪魔と出会ってしまったなら流石のわしも手加減は出来ぬじゃろうからのぅ」

 と、ティリエルの手をしっかりと握り、優しく言った。今の悪魔からは考えられないが、かつては天使と協力関係にあったという。その真実を知った以上、ミラはもう悪魔を人類の絶対的敵対者とは思えなくなっていた。それは何よりも、ティリエルの落ち込みようを見れば余計にだ。

「うん。そうだよね。もしかしたらティリエルちゃんの知り合いがいるかもだし」

 カグラもまた即座に同意すると、ティリエルのもう片方の手を握った。棺の中で数十万の時を過ごしたティリエル。天使に寿命がないように、また悪魔にも寿命はない。だからこそ、中にはティリエルが付き合いのあった悪魔がいるかもしれない。
 けれど三神国防衛戦の時に多くの悪魔が葬られたため、それは実に小さな希望だった。それでもカグラは、ようやく解き放たれた小さな天使に微笑んで、きっといつか、と願う。
 見た目は少女だが、歳は数十万歳のティリエル。優しい言葉に顔をあげた彼女は、ずっと年下である二人を交互に見つめる。そして思いやられている事に気付くと、そっと笑顔を浮かべて「ありがとうございます」と、手の温もりを抱きしめたのだった。


 天使ティリエルは当分の間、五十鈴連盟の本拠地に身を寄せるそうだ。そしてカグラ達を手伝いながら、他の分け身がどうなっているのか調べる予定だという。
 今は棺に孔を穿てる悪魔が野放しになっている状態である。もしも第二第三の棺が暴かれていたなら、いずれまた新たなキメラクローゼンが現れてしまう恐れが強い。そのように精霊王が懸念を抱いたところ、ティリエルが協力を申し出たのだ。
 封鬼の棺の数は、全部で七つあるらしい。しかもセンキの埋葬地は、その中でも一番規模の小さなものだったそうだ。他の棺は開いているにせよ開いていないにせよ、中は今回のものより遥かに酷い状態になっているだろうとティリエルは語る。
 それでももし、浄化が可能そうな状態にまで呪いが薄まっていたら頼みたいというティリエルの願いを、ミラは快く承諾した。


 精霊飛空船に乗って五十鈴連盟に向かうティリエルを見送ってから、更に数日後。セントポリーの街は普段と同じ様子を取り戻し、商人に冒険者と、大いに賑わっていた。
 国の運営については、アリオトが上手く転がしているようで、これといった問題は起きていない。
 善意の貴族を騙り、セントポリーの国政を操っていたキメラクローゼン。その際に使われていた符丁やら何やらをグレゴリウス等から聞きだし、今では完全にアリオトが善意の貴族に成り代わっているようだ。
 また、国政の各部署に潜伏していたキメラクローゼンの中級幹部が次々と捕らえられていったあと、その補充要員として配置された五十鈴連盟のメンバーも実によく働いている。それなりの役職の者達が大きく入れ替わったにも拘らず、国に混乱はなく、各部署は充分過ぎるほど機能していた。
 カグラのカリスマによるものなのか、五十鈴連盟のメンバーは、ミラが驚くほど優秀な者が多かったという事だ。
 ただこれまでと違い使える精霊力に制限があるので、一日中明るく賑やかというわけにはいかなくなっていた。セントポリーの街灯や照明は全てが精霊力を利用するものだったためだ。
 今は、一番騒がしくなる時間に精霊の協力者達が精霊力を貸してくれている。だが当然、このままではいけないという事で、繁華街を中心に街灯の入れ替え工事が始まっていた。ちなみにこの費用は全て、キメラクローゼンがしこたま溜め込んでいた資金で賄われている。
 こうしてセントポリーの街は、ゆっくりとだが確実に、精霊力に頼らない街へと生まれ変わっていた。



「おお、お主達も今日が出発じゃったか」

 早朝を少し超えた時間。宿をあとにしたミラは、多くの商会からなる商隊の中にいたエカルラートカリヨンの面々に、そう声をかけた。

「ええ、本当はもう少し早い予定だったのですが、まあ、あのような状況でしたので延期して今日になりまして」

「ああ、最後の最後で会えるなんて、これって運命!」

 商人達が慌しそうに馬車の積荷を確認している間の事。エメラに取り押さえられるフリッカをよそに、ミラは待機中のセロ達と暫しの時、雑談に興じた。
 セロ達は、どうやらこの商隊の護衛として、来た道を戻っていく予定らしい。帰りも頼まれたそうだ。
 そして鎮魂都市カラナックに着いたあと、半月ほどは子供達に勉強や剣技、術などを教えてから、今度は北に向かうという。

「子供達に教えておるのか」

 そうミラが言ったところ、ゼフが笑って答えた。フリッカがタクトに術を教えていたら、次から次に子供達が集まってきたのだと。
 そしてカラナックの術士組合の一室が、今では冒険者が教師を務める塾のような状態になっているとセロが続けた。

「教師役には一切報酬なんて出ないけどよ。なんだかんだで誰かしらがいて、毎日やってる。物好きな奴が多いよな」

 やれやれと、どこか呆れたようにそう言って笑うアスバル。だが、そこでエメラが「毎日教材作ってたアスバルさんも、相当なもの好きって事よね」と暴露すると、アスバルは「あれは、ただの暇潰しだ」と言い訳して赤い顔でそっぽを向いた。

「それにしても、まさかこれを頂けるとは思いませんでした。ミラさん。もしあの方にまた逢う事があったら、もう一度、ありがとうございますと伝えておいてくれませんか」

 セロは、腰に帯びた純白の剣に触れながら、改まるようにそう言った。
 決戦前夜にカグラが配った、対キメラクローゼン決戦武具『白銀滅鬼』。戦いのあとカグラは、それを報酬代わりといって、そのままセロ達に譲っていたのだ。
 白銀滅鬼は最高の錬金術師と最高の鍛冶師の合作である最上級の武器だ。黒霧石で作られた武具に対して絶対の力を持つという特性があるものの、それ以外に特別な力はない。だが、尋常ではないほどに鋭く頑丈であり、武器としての性能と製作者の銘という付加価値を加えれば、単純にみても十億は下らない価値があるはずだ。
 そんな代物を、ぽんと渡された。これにはセロも驚いたが、やはり一番の反応をみせたのはエメラだった。

「私からも! 未来永劫大切にしますって! 出来ればドヴァーリン様にも!」

 その時の事を思い出したのか、エメラは恍惚とした顔で身を捩る。その腰には、真新しい剣留めの帯が巻かれ、剣が二本下げられていた。一本は白銀滅鬼の剣、もう一本はグレゴールに依頼していた魔剣である。二重の喜びでどうにかなったのか、ここ最近のエメラの素振りは鬼気迫るものだったとゼフがぼやく。

「ギブ……」

 その手元、興奮で力加減を誤ったのか、フリッカが苦悶の表情を浮かべ落ちかけていた。苦笑気味にミラが指摘してやるとエメラは慌てて手を離し、結果フリッカは地面にぐしゃりと突っ伏した。
 直後、その動きを追えた者は誰もいなかった。途端に顔をあげたフリッカは低姿勢のまま疾走して、ミラの胸元に顔を埋めた。

「ぬぉ!」

 油断していたからか、それともフリッカの恐るべき眼光に射竦められたからか、回避が間に合わず、いいように揉まれるミラ。見ると、フリッカが突っ伏していたあたりに小さなビンが転がっていた。それは気付け薬の一種。フリッカは半落ちの状態から薬の力で一気に覚醒し、一瞬の油断を見事に捉えたのだ。

「大事にするー! ミラちゃんとお揃いだからー!」

 これまで抑圧されていたからか、いつになく激しいフリッカ。その腰に下げた白い短杖は、長さが違うものの、形状はミラが持つ白銀滅鬼の長杖と同じ。つまりフリッカの言葉通り、お揃いである。
 何事かと商隊の人々が振り返ったが、皆がフリッカという人物を理解しているのだろう、ミラに少しだけ同情の視線を向けたあと、何事もなく作業を再開した。

「まさか、このタイミングで来るとはのぅ……」

 充分に堪能出来たからだろう、手刀打ちの後エメラに引き剥がされていくフリッカは、とても満ち足りた顔をしていた。ミラは激しく乱れた服を整えながらも、相変わらずだと苦笑したのだった。



「では、ミラさん。またいつかどこかでお会いしましょう」

「ミラちゃん、またね! で……もしドヴァーリンさんに会えたら、サインを──」

「じゃあな! っていうかよ。ほんと、またどこかでひょっこり会いそうだよな」

「元気でな、嬢ちゃん。随分と忙しそうだが、身体には気をつけるんだぞ」

「ああ、ミラちゃん……。また離れ離れに。でも今度はこれがあるから!」

 セロ達が護衛する商隊の出発時間。各々別れの挨拶をする中、フリッカは悲しみを吹き飛ばすかのように華々しい笑顔で、手にしたそれを掲げる。ミラとお揃いの短杖、ではない。絹の如く銀色に煌く、艶やかな一本の髪だった。
 どうやら、ミラに抱きついたどさくさにちょろまかしていたようだ。

「お主達も、達者でのぅ」

 やれやれと呆れ返りながら、ミラは商隊と共に出発するセロ達を見送った。
という事でして、次話で事後処理終了予定です。次次話で、数年ぶりのアルカイト王国に戻ります。


でですね。先日お話しましたあのCDなんですが、
発売日に買いにいってきました。いってきたのですが……いやはや驚きました。
記憶にあったCDショップが全て消えていたのですよ。
これまでCDといえば、行きつけのアニメ専門店でしか買っていなかったので気付きませんでした。
なので、購入できずに帰宅……。どうしたものかとネット検索したところ、なにやらツタヤさんでもCD売ってるという事!
レンタルのイメージが強くて見落としていました。次出かける時に寄ってみようと思います!
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ