「チャイナ…キスしねーかィ」
「何馬鹿な事言ってるネ」
家々が建ち並ぶ一角にポツンとある空き地。箪笥等壊れた家具が無造作に転がっている。
その隅に置いてあるドラム缶に背を預け、酢昆布をかじる神楽。
反対側には同じ様に背を預け目を綴じる沖田がいる。
「なんでェ。キスぐらいいいじゃねーか」
「ふざけるな。私の唇を奪おうなんて百年早いネ」
沖田の言葉になんでもないように答える神楽だったが、内心は動揺しており顔は微かに赤らんでいる。
「だいたいお前仕事に戻れヨ」
「こんな天気良いのに働くなんざ馬鹿なヤツだけでさァ」
ガサガサと音がしたかと思えば沖田が顔を覗かせる。
今は顔を見られたくないとうつ向く神楽に、沖田は微かに微笑んだ。
「照れてんのかィ?」
「わ、私を誰だと思ってるネ!照れてなんかいないアル!」
沖田は神楽の顎に手をかけて上を向かせ、そっと唇を触れさせた。
いきなりの事で、神楽は抵抗する暇もない。
触れた唇が離れていき、至近距離で見つめ合う二人。
どうしたらいいかわからない神楽に、沖田は顔をしかめてみせた。
「酸っぱい…」
「煩いアル!酢昆布食べてたんだから仕方ないネ!」
「まぁ、悪くねーでさァ」
立ち上がり背伸びをすると、振り向かずに手を振り歩いていく沖田。
神楽はその背中を睨みつけながら酢昆布をかじる。
すると蘇る先程のキス。
顔を赤くした神楽は己の唇にそっと指先を触れた。
fin |