「姉妹」
「私、高柳 尊って言います。もちろん、バリバリの女子高生です。2年ですよ!でっ、話って言うのは、妹の事なんです。」と、その娘はソファに座る前に切り出してきた。
かなり、せっかちの様だ。
まぁ、他に客もいないし予定も午後3時まで無いからこの可愛い女子高生とおしゃべりも悪く無いものか。
少し付き合ってやるとしよう。
「その妹さんがどうしたのかな?」
私は紅茶をテーブルに出しながら彼女を見ると、?!いつの間にか、もう1人、これまた可愛い女の子が隣りに座っていた。
「いつの間に!それに、誰だい、この娘は?」
「とぼけないでっ!この娘は、私の妹。祥子。そして、私達、姉妹はあなたの娘よ!」
「ちょっ、ちょっと待った。そりゃー何かの間違いだよ。君。だってね、私は娘を作った覚えは無いんだから。」
辛うじて平静を保っていた。
「これが私達のお母さん。もちろん知らないなんて、言わせないわよ!」
彼女が差し出したその写真に写っていたのは、先頃亡くなった私の妻だった。
「こ、これは?一体どういう事なんだ。」
「お母さんは、あなたに内緒で私達を育ててくれていたのよ。本当に愛してくれていた。とっても優しかった。でも去年、お母さんは突然私達の元に現れなくなった。入院してたのね。私達には知らされなかった。だって、私達はただのデータだから。」
「おいっ。今、何て言ったんだ!デ、データだって!なら、君たちはバーチャルデータ社の、、。」
「そうよ!私達はバーチャルデータ社コードjmtwpgjadmngpmwtjh7とdajdgqjtkldmtjk14。通称、7番と14番よ!」
「だが、私は妻にはやめろと言ってあったのだ。」
「お母さんは、いつも言っていた。あの人は分かってくれないって、子供、本当の子供でないなら意味がないって。でも、お母さんは、いつも私達を本当の子供として育ててくれた。だから妹にお墓参りに行かせてあげたいの。」
私は不覚にも涙していた。
止まらなかった。
あいつが居なくなった心の穴を埋める事が出来ないで、もがいていた自分に、今あいつが大事に育てた娘が2人も目の前にいるのだ。
何と言う幸せだ。
たとえ何と言われても私の心は決まっていた。
「さぁ、何をしてるんだ。早く行こう。」
「お墓参り?!」
「それもそうだが、先にバーチャルデータ社に行って手続きをしよう!君たちは私の娘達でもあるのだから。」
「お、お父さんっ。」
おわり
自身のアメブロ投稿からの手直しした作品。
アメブロでは8作目に当たります。
楽しんでいただけたら幸いです。