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その無限の先へ 作者:二ツ樹五輪(*´∀`*)

第五章「交差する世界」

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第4話「不退転」




-1-



 無限回廊第一○○層の攻略が始まっているらしい。
 詳しい情報はない。元々第七十一層以降の情報は同じように深層に到達しているクランにしか明かされていないので、攻略を開始したという情報だけが飛び交っている状態だ。ニュースや雑誌での扱いは良かったが、どのメディアでも大した情報はない。某チャンネルならきっとスルーしてアニメでも放送するような扱いである。関係者のコメントも適当なものしかなく、ローランさんとグレンさんくらいしかまともに答えていない。これはいつも通りの事だ。
 というのが俺が迷宮都市に帰還してすぐの話。それから半月程経ったわけだが、続報はない。進展がないという事は、つまり攻略は進んでいないという事なのだろう。最初の報道によれば、先行したのは< アーク・セイバー >。先遣隊が壊滅したというニュースが流れ、一○○層の難易度が高いものだという印象が深く浸透した。続いて<アーク・セイバー>の本隊、< 流星騎士団 >もその後を追うように攻略を開始したが、やはり状況は芳しくなさそうだ。
 掲示板で憶測が飛び交い、冒険者でない者すら街で噂をしている。彼らが口を揃えて言うのは無限回廊第一○○層の攻略難度の事と、かつて< 流星騎士団 >がぶつかった第七十五層に状況が酷似している事。あくまで予想でしかないわけだが、相当に困難な難易度になっているのだろうと。……俺も同感である。
 無限回廊第一○○層という階層は一つの区切りだ。ダンマスがそんな層を簡単に超えさせるわけがない。それはもはや確定事項と言ってもいい。あの人意地悪だし、相当に嫌らしい内容になっているんじゃないだろうか。
 とはいえ、攻略開始してまだ半月だ。ここ最近は< 流星騎士団 >が勢いを取り戻した為に一ヶ月で二層攻略する事も珍しくなかったが、基本的に無限回廊の攻略速度は一ヶ月一層程度である。焦るような段階ではないと、そう思っていた。

「やあ」
「……どうも」

 明らかに憔悴したローランさんが俺の前に現れるまでは。

 どちらかというと偶然通りすがったようにも見えるが、俺に用事があるようだ。俺を見て用事を思い出したのかもしれない。
 疲れている様子だが、別にやつれているとか服装がボロボロだとか、髭が伸びっぱなしだとかいう状態ではない。というか、この人は髭生えるんだろうかという美男子っぷりだ。違うのは纏っているオーラだ。以前会った時のような抜けるような爽やかさはなく、どこか淀んだ……そう、トカゲのおっさんに近い雰囲気を感じるのだ。……一瞬で無限回廊一○○層が原因と分かった。

「……大丈夫ですか?」
「ははっ、やっぱり分かるかな。……そりゃ分かるか」

 この声はひたすら疲れ切っている。だけど、何故か悲壮感は感じない。ギリギリの状態で精神力だけで立っているような、そんな雰囲気……そうだ、これは極限状態に追い込まれた戦士の姿に似ている。今にも倒れそう。肉体の限界を考えるなら既に倒れていてもおかしくない。だけど絶対に諦めないと誓った冒険者の姿だ。悲壮感を感じさせないのは、疲れ切った目の底に見える微かな克己心が原因なのだろう。死線を越えようと立ち向かう覚悟がそこにある。それはこれまでの死闘の中で限界を超えて戦い続けた者達の姿に似ていた。きっと、他人から見た極限状態の俺もこんな雰囲気を纏っているのだろうとも思った。
 だから、心配する必要はないのかもしれない。この人は挫折を知っている人だ。そこから立ち直った人だ。……グレンさんの言う『本物』だ。どんな困難な試練だろうが乗り越えられないという事ないだろう。俺の前に姿を現した理由は分からないが、誰かの助けなんていらないはずだ。もし助けるのだとしても、部外者の俺ではなく同じ< 流星騎士団 >のメンバーが相応しいだろう。
 ……いや、違うのか。この人はクランマスターだ。クラン員を助け、支えられる事はあっても弱音は吐けない。意地を張らないといけない。
 なんだか良く分からないが、この人は俺に拘っている。どんな影響を受けたのか知らないが、それはあのギフトの力もあるのだろう。俺の前にこうして現れたのも、きっとそういう意図だ。

「……話なら聞きますよ。これからちょっと用事がありますが、そのあとに飯でも行きますか?」

 実のところ、今日はとうとうバーサーカーさんがクランハウスにやって来てしまう日である。さすがにこれを延期するとバーサーカーさんが暴れ出してしまうだろう。現在ユキが逃げ出さないようにパンダ達が監視についている状態だ。ユキもさすがに観念したのか、一昨日から台本を書いている。相手と読み合わせない、一方通行のセメント台本である。……というわけで、このあとすぐにとはいかない。
 俺としてはサボタージュしてローランさんと飯食いに行くほうがいいのだが、一度同席すると言ってしまった以上、よほどの理由がない限り断れない。飯じゃ許してくれないと思う。

「悪いね。気を使わせたみたいだ……でもそうだな。うん、多分君と話したかったんだと思う」

 彼自身、何したかったのか良く分からないらしい。あるある。

「じゃあ、オーク麺にでも……」
「それは断る」

 断固拒否である。分からないでもないが、彼の中であの体験はトラウマに近いものになっているようだ。あの薬物中毒のような常習性は発症しなかったらしい。中心で一際輝いていたオーク麺のブラックホールことMINAGIは、彼の中でどんな印象になっているのか一度聞いてみたいところである。

「と言っても、俺の知ってる店はB級ばっかりなんで、ローランさんが満足できるかどうか……」
「じゃあそうだな、酒でも飲むか。飲めるんだろ?」
「飲めるのは飲めますが、アルコールは店だと厳しいですね」

 エロ関連と違って、酒に認識阻害をかけられているような事はない。街で飲んだとしても補導されるくらいで逮捕はされないと思うが、居酒屋でも注文はさせてくれないし、酒屋でも売ってくれない。剣刃さんに言えば酒の場くらい提供してくれるだろうが、あの人も渦中の人だ。やめておいた方がいいだろう。

「ウチ……< 流星騎士団 >のバーにしようか。結構いい酒も揃えてあるんだ」
「……ほう」

 そういえば、< 流星騎士団 >のクランハウスに足を運んだ事はない。バーそのものも含めて気になるところだ。カーレース場を作っている事は知っているが……なんだろう。バーなら< アーク・セイバー >のクランハウスにもあったはずなのに、印象が違う。なんというか、人間としてダメな印象だ。主にアーシャさんのイメージである。

「他にも誰か連れて行きましょうか?」
「いいや、こっちもクラン員には声はかけない。憂さ晴らしじゃないけど、思いっきり飲みたい気分なんだ。あんまりクラン員にそういう姿を見せるのもね。君も分かるだろ?」
「そうですね」

 俺もクランマスターになろうとしている人間だ。クラン員に格好悪いところは見せたくない。その気持ちは分からないでもない。
 頼り頼られ、弱いところも知り尽くした間柄でも見せたくない姿はあるだろう。だからこの人も俺のところに来たんだろうし。

「まあ、そっちは誰か連れて来ても構わないよ。<アーク・セイバー>やアーシェの関係者とかギルド職員はやめて欲しいけど」

 アーシャさんの関係者は分かるけど……何でギルド職員? 誘う相手なんてククルくらいしかいないが、ローランさんとは接点はなさそうだし。俺がヴェルナーとかテラワロスと仲がいいとか思ってるんだろうか。

「だけど、いくら酔っても俺ノンケですからね」
「いや、掲示板でも書かれてるけど、なんで男色家みたいなイメージが付いてるんだ? 思いっきりノーマルだよ」

 そりゃ、いつまでたっても女の影がないからだろうに。アーシャさんにも手を出さないみたいだし、ベネットさんのお姉さんなんてこの街に来る前から懸想してたみたいじゃないか。

「一応、予防線を張っておこうかなと」
「あんまりモテないのはあの噂が原因なのかな……そろそろ結婚も考えないといけない年なんだけど」

 アレだろうか。この人は超鈍感系主人公さんなんだろうか。



-2-



 そして、そのまま待ち合わせしていたレーネと合流。クランハウスへと戻る。今回使うのはリビングなので誰も使わないように言ってあるが、台所では給仕役を買って出てくれたミカエルがコーヒーを準備していた。最近定位置になっている。

「なぜ、モンスターがいるんですか? アレ、無限回廊の十層で見かけましたわよ」
「ありゃモンスターじゃなくてパンダだ」

 確かに十層に出てくる上にボスもパンダだからモンスターと勘違いしてもおかしくないが、あいつらは動物だ。二足歩行して喋る奴もいるが、れっきとしたパンダのカテゴリーである。何故パンダが冒険者やってクラン員になっているのかは実は俺にも理解はできていない。考えると頭が痛くなるので思考は放棄した。

「ウチのミカエル君だ。ああ見えてお前の先輩冒険者だぞ。コーヒー挽くのが上手い」
「クマ」
「そ、そうですか……」

 アレクサンダーだったら説明もできるだろうが、残念なことにミカエルだから『クマ』としかいわない。意思表示のジェスチャーは上手いが、初見の相手には伝わりづらいだろう。無駄にアクロバットな意思表示は一見の価値ありだ。

「まあ、座っててくれ。今、ユキが来る」
「はあ……」

 突然のパンダに事態が飲み込めていないレーネだが、大人しくリビングのソファに腰を下ろす。

「あら、美味しい」

 ミカエルが用意したコーヒーを一口飲んでレーネが呟く。一応、歓待用にとラディーネにお願いして出してもらった秘蔵品だ。実は迷宮都市でもなかなか手に入らない逸品である。代金はユキさんの財布から出ているので俺もありがたく頂くが、確かに美味い。ラディーネの拘りが垣間見えるね。

「意外だな。コーヒーは慣れてないとクセがあるだろ。迷宮都市に来たばっかりじゃないのか?」
「当家は爵位こそ男爵家ですが、王宮財務官かつ迷宮都市の窓口役という役職持ちですので、この手の嗜好品は家にもありましたわ。兄たちは慣れなかったようですが」

 窓口って事は、迷宮都市の品が手に入る立場って事か。あれ、この子の家って何気にすごいんじゃないんだろうか。このご時世で迷宮都市の窓口役って美味しいってレベルじゃないだろ。

「なので、結婚の暁にはユキト様の実家を迷宮都市との交易代表にするつもりだったようです。元々、当家の伝手がなくても小口の取引はあったようですが」
「そういや、ポーション売ってたとか言ってたような」
「それが直接この街から運ばれた物かは知りませんが、おおっぴらには売ってないと思いますわ」

 ああ、そりゃそうか。いくらなんでも目立ち過ぎる。ユキもそこまで内情に詳しくはなかったし。……しかし、あいつの実家もすげえな。時勢が読めてるってレベルじゃねえ。そりゃ大商人にもなるわ。この子の実家もユキの実家も相当な金持ちなんだろうな。酒場で丁稚してた俺とはえらい違いだ。

「ユキト様の魅力の前には些細な事ですが、家同士の繋がりを強化する意味でもいい縁談だったはずですわ」
「それをユキの奴が破談にしてしまったと」
「わたくしは破談にするつもりなどありませんし、ユキト様もきっと聡明で高潔な理由があっての事でしょうから」

 え、何言ってんの、この子? ユキ、女になる為にこの街に来たんだけど。どう聞いても聡明でも高潔でもないぞ。

「あ゛ーー」

 ……とりあえず、パンダ二匹に挟まれて捕獲された宇宙人のように連れてこれたユキの姿に聡明さは欠片も見当たらない。まさか、直前になってまだ逃げようとしていたのか。

「ゆ、ユキト様?」
「ひ、久しぶりレーネさん」

『ちょっと、どういう事ですの?』という視線を送られたので、『知りませんわ』という視線を返しておく。だって、なんでこんな事になってるのか知らないし。レーネはツッコミできる状況ではないと判断したのか、そのまま続けた。

「い、嫌ですわ。以前のようにレーネと呼び捨てで構いませんのに……」
「そ、そう? ……じゃあ、改めて……レーネ久しぶり」
「お久しぶりですわ。無事に……出会えて何よりです」

 レーネも感極まって泣くような事はなく、絵面的には劇的だが感動の再会ではない。むしろ絶句している。だって肝心のユキさんがパンダに拘束されてるしな。
 パンダに促され、ソファに座るユキ。ユキが座ってもパンダはそのまま残り、同じようにソファに腰掛けた。座席的にはレーネとそれを挟むようにしてパンダ二匹、こちら側には俺とユキ、多分開いた席には今追加のコーヒーを入れているミカエルが座るのだろう。凄まじくカオスな状況だ。間違ってこの場に現れる人がいたら驚愕する事間違いなしである。

「…………」
「…………」
「…………」

 レーネとユキが向かい合って座っても、何も会話がない。俺も釣られて無言になってしまった。どうしよう。超気不味い。

「クマ」

 そんな中、コーヒーを持って来たミカエルの存在は救世主に見えた。よし、このタイミングだ。俺はこの場から去るぞ。

「じゃ、じゃあ、ここは若い二人に任せて俺たちはキックベースでもしに行くとしようか……」
「ク、クマ」

 しかし、体が動かない。何もない筈なのに肩が押さえつけらているような……これはまさか《 クリア・ハンド 》!
 馬鹿な。いつの間に発動させたんだ! くそ、せっかくミカエルが同調してくれたというのに、ユキは無言で『逃げるな』という視線を送ってくる。嫌だ。こんな胃に穴の開きそうな場にいられるか。俺は自分の部屋に戻らせてもらうぞ!
 無理矢理《 クリア・ハンド 》の拘束から逃れようと力を込めると、見えない手が増えた。くそ、MP残量を無視してでも縛り付ける気だな。せめてアルコールでもあれば……。こんなに酔いたいと思ったのは初めてだ。
 仕方ない。こんな空気のまま長時間いたくない。俺が進行すればいいんだろ。最初さえ進めてしまえば会話は続くだろ

「あー、その、なんだ、ユキさんや、とりあえずこの街の来た目的とこれまでの経緯をお話しして差し上げなさい」
「な、何その口調……分かったよ」

 俺だって戸惑ってるんだよ。
 そうしてユキは一部しどろもどろになりながらも、王都を出てからの事を説明した。目的も説明する必要がある以上、前世の詳細も込みだ。
 嘘で誤魔化すという手も考えたのだが、どうしても通用する気がしない為、昨日の時点で却下した。ユキ渾身のノート一冊使った台本は灰へと姿を変えた。説明中、レーネは黙ってユキの話を聞いていた。特に驚きも怒りもしない。あまりに静かなので不気味である。

「……というわけなんだ」
「なるほど……つまり、ユキト様の前世の性別である女性に戻りたい、そして今はその途中段階ということですわね」

 説明を全て終わっても、レーネの反応は冷静だった。手がかすかに震え、置いたコーヒーカップがカタカタと音を鳴らしているが、少なくとも取り乱した様子はない。ここに至るまでに見てきたユキト様病は発症していないように見える。
 客観的に考えて、家出した婚約者を探してようやく見つけたと思ったら男やめてましたって話なわけだから、まっとうな話ではない。俺がその立場なら、受け入れることはできず呆然としてしまうだろう。バーサーカーという呼び名の人なんだから暴れたっておかしくない。そう考ればこの程度の反応は大人だ。ここだけ見れば淑女に見えない事もない。

「だから名前も分かりようにユキ20%という珍妙なものになっていると」
「いや、それはダンマスのイタズラだから」

 分かりやすいのは確かだが、ユキさんの意思でやっているわけではない。

「だからその……レーネとの婚約については……」
「感服いたしましたわ!」

 レーネは突然立ち上がり、声を張り上げた。ユキは困惑している。ついでに俺も困惑だ。
 え、何事なの?

「は? か、感服?」
「さすがユキト様……ユキ20%様と言うべきでしょうか」
「20%はいらないから」
「まさかユキ様がそこまでわたくしの事を考えてくれるとは」

 何言ってるんだろう、この子。おかしくなっちゃたのかな。

「ああ、まさか全てお見通しだとは」
「す、すまん。一体何の話をしてるんだ? 前後の流れがまったく掴めないんだが……俺にも分かるように言って欲しいんだけど」

 ユキもおそらく分かってない。

「仕方ありませんわね……あなたやパンダさんたちにも分かるよう説明して差し上げますわ」

 ミカエルたちは『え、別にいらないんだけど』という顔を見せたが、ここはスルーだ。パンダたちは知ってもしょうがないだろうが、俺たちは知らないとまずい事態が発生しかねない。

「お、おう、頼む」
「ユキ様はわたくしが可愛らしい女性が好きという性癖を見抜き、自分の身を犠牲にして捧げようとしていらっしゃるのです!」
「え……ええっ!?」
「いえ、みなまで言う必要はありませんっ! 必死に隠し通してきたこの性癖もユキ様にはバレバレだったという事。そこまで気を使って頂けるとは身に余ってはみ出る程の光栄ですわ!」
「ちょっ、ちが……」

 つまり、この子は可愛いもの好きってレベルで収まらず、同性愛者だったって事なのか?

「へ、へえ……問題は解決したじゃないか」

 まさかの大逆転だ。思いもよらない展開で問題が解決した。多分ユキも想定外だろうが。結婚できるかどうかは知らんが、一応100%になっても問題はない……ないんだ。

「いや、そういう問題じゃなくてって……えぇー」
「大丈夫ですわ! 王都なら人目憚られるような話でも迷宮都市なら問題ありません。そういう方も多いと聞きますし」

 いや、迷宮都市でも少数派なのは変わらないからな。褒められた趣味でもないよ。

「ほ、ほらっ、ボクまだ20%だしさ……」
「ユキ様なら何%だろうが、たとえ0%でも特にも問題はありません! はっ……20%……」
「な、……なに?」

 何か大変な事に気付いてしまったように一瞬レーネの動きが止まり、ワナワナと震え出した。さっきからこの子の思考パターンが一切理解できないんだけど。

「なんという事でしょうっ!? 今この場を逃してしまっては、20%のユキ様を堪能できないではありませんか!」
「はあっ!?」
「20%状態でユキ様の神秘を堪能させて頂くチャンス。逃すわけにはいきませんわっ!」
「いや、色々おかしいから。ちょ、ちょっとレーネ。レーネさんっ!?」

 野獣のような息遣いでユキに迫るレーネ。今の俺は傍観者だ。

「だ、だ、大丈夫です。このレーネに任せて頂ければ、天井の染みを数えている間に終わりますわ」
「何言ってんのっ!? 鼻血出てるってっ!? ちょ、ちょっ、何この馬鹿力っ!?」

 あー、レーネさん俺すら抑えこむ怪力だからな。もうユキはレーネさんに全てを委ねてしまうしかないのかもしれない。

●REC

 おっと、何故か不思議な文字が浮かび上がってしまったが、決してステータスカードの動画撮影機能を使っているわけではない。
 くそ、解像度を上げるGPをケチるんじゃなかった。

「ちょっとっ!? 何撮ってるんだよっ!? ここは助ける場面でしょ!」
「いや、だって婚約者なんだろ?」
「そうです! まったく問題ありませんわっ!」
「問題だらけだよっ!? は~な~せ~っ!」
「ああ、必死に抵抗するユキ様も何て愛らしい。大丈夫、大丈夫ですわ。先っちょだけ、先っちょだけですから」

 どこで覚えてきたんだよ、そんな言葉。

「ミッシェル! ミゲルっ! レーネを止めてっ!」

 ユキの悲鳴のような声で、困惑していたパンダたちが動き出す。俺も一応正気に戻った。

「は、離しなさいっ獣共っ! わたくしはこれからユキ様とめくるめく官能の世界に旅立ち……かはっ!」

 パンダたちの怪力をものともせずに暴走を続けるレーネだったが、何もないところから不意打ちを受けたように頭が傾き、昏倒する。……ああ、《 クリア・ハンド 》か。……というか、どっちか獣だよ。

「出てけーーーーっ!!」

 助けてくれたパンダもろとも、クランハウスから叩き出される俺たち。……あれ、何で俺も叩き出されてるの? 俺、家主なんだけど。
 さすがにユキの権限じゃ俺を入室禁止にできないから戻ろうと思えば戻れるが……アレを放置するのもまずいよな。レーネさん、転送ゲート手前に崩れ落ちていらっしゃる。

「つーか、お前何してくれちゃってるの?」
「う……うう、ユキ様がいけないんですわ。あんな神秘に抗う事などわたくしにはできようはずも……。なんて罪作りな方……」
「いや、罪作りなのはお前だから」

 普通に犯罪だから。強姦未遂じゃねーか。いくら男女の立場が逆とはいえ、通報されたら確実に逮捕される案件だぞ。

「せっかく軟着陸しかけたのに、なんで自分からご破算にするような事するんだよ」
「は、破算……ど、どうしましょう。わたくし、まさかあそこまで自分を見失うとは……」

 今頃正気に戻ったのかよ。超遅いよ。

「な、なんとか取りなして頂く事はできないでしょうか?」
「いや無理じゃね?」

 いくら俺が空気読めない奴でも無理があるよ。

「か、かくなる上はこのクランに入って交流の上で少しずつでも仲直りを……」
「……あいつサブマスターだから、俺がOK出しても入団蹴る権限持ってるぞ」
「そ、そんな……」

 石畳にレーネが力なく倒れ込んだ。五体投地とは正にこの事である。とても実家の方には見せられない姿だ。

「とりあえず今日のところは帰れ。ユキには一応俺のほうから言っておくから。……望みは薄いと思うけど」

 というか、俺まで巻き添え食らって怒られそうなんだけど、どうしてくれるの。

「うう……なんて事でしょう。今日はヤケ酒ですわ」
「いや、お前未成年だろ。この街は二十歳にならないと酒飲めないぞ」
「そんな馬鹿な……では、この傷ついた心はどうやって納めればいいというのですか」

 いや、知らんがな。ちなみに、もうユキの写真は品切れだぞ。撮らせてもくれないと思うし。

「そうですわ、渡辺さんが買ってくるというのはどうでしょうか。売っているのは見たことがあるので」
「俺は十五歳だ」
「……え? ……え?」

 二度見するな。どう見ても成人してるように見えるだろうが、れっきとした十五歳だ。あと三ヶ月くらいで十六歳です。

「クマー……」

 巻き添え食らって追い出されたパンダ三匹が途方に暮れている。あいつらも何とかしなきゃいけないんだが……レーネも放置するわけにいかないよな。これが行きずりの相手とか、見知らぬ相手だったら慰めてホテルへGo! なんだが、こんな目に見えた地雷は俺だってノーサンキューである。そんな事してバレたらユキさんとの関係に決定的な亀裂が入りかねない。

「あ、そういえば酒飲むのは可能だな」

 妙なタイミングで思い出してしまった。



-3-



「……なるほど。それでここに連れてきたのか」

 ここは< 流星騎士団 >のクランハウス内にあるバー。今日俺一人でお邪魔する予定だった場所にやって来た。……レーネとパンダを連れて。
 ここでなら年齢を気にする事もない。ちょうど飲みに来る予定だったわけだし、ローランさんには悪いが最大限利用させてもらおう。……いや、申し訳ないとは思っているよ。

「ほんとすいません。ほとんど無関係なのに……」
「誰か連れてきてもいいって言ったのは僕だし、それはいいんだけどね。パンダ三匹と傷心の女の子を連れてくるとは想像もしてなかった」

 俺も想像してなかったよ。

「すいません、バーテンさん。銘柄とかどうでもいいので一番強いお酒を頂けますか」

 もはや酒しか目に入っていないのか、カウンターの隅に陣取りバーテンの格好をした女性に注文するレーネ。

「すいません。好きなように飲ませて潰しちゃって下さい。何もかも忘れたいお年頃なんです」
「は、はあ……」

『どうしましょう』という顔を向けてきたバーテンさんに、レーネのお守りをお願いする。
 ……あのバーテンさん見た事あるんだけど、見間違いかな。

「というか、あのバーテンさんってベネットさんのお姉さんじゃ……」
「……本人はバレてないつもりだから無視でいいんじゃないかな」

 仮面舞踏会で使うようなマスクは着けているが、あの目立つピンク髪は誤魔化しようがない。以前、遠征で会ったベネットさんと瓜二つだ。
 ここにいるって事は双子のアネットさんという事なのだろう。クランマスター相手どころか俺相手でも誤魔化せるはずはない。

「本当は団員を入れるつもりはなかったんだけどね、勝手に入ってきたみたいだ。……君が嫌なら追い出すけど」
「いや、問題はないです」

 実害はなさそうだし、レーネの相手してくれる人はいたほうがいい。何故、潜り込んだのかも予想はつくし。



 というわけで、気を取り直して俺はローランと二人でボックス席を借りて飲む事にした。
 レーネの事はひとまず忘れる。……あ、ユキさんにメールだけはしておこうかな。『俺は悪くないぞ☆』っと……。いや、本当に何も悪くないし、なんでこんな目に遭ってんねん。

「ツマミは乾き物しかないけど……って、せっかくアネットいるんだから、何か作ってもらおうか。おーい、アネット!」
「あ、アネットじゃありません。私はさすらいのバーテンダーです」
「じゃあさすらいのバーテンダーさん、何かツマミ作ってくれるかな。ブランデーに合うやつがいいな」
「さすらいのバーテンダーさん。ついでにレーネのお守りをお願いしてもいいっスかね」
「か、畏まりました……あれ、なんでこんな事に……」

 アネットさんこと、さすらいのバーテンダーさんは自分の置かれた状況に疑問を持ちつつ、カウンターの奥へ向かった。
 ローランさんも慣れたものだ。あれが素なら、ベネットさんと違って残念な人である。いや、ベネットさんもそんな親しいわけじゃないんだが、オーラからして違う。ツマミもちゃんとした物のほうが嬉しいから助かるんだが。

 まだ料理は来ていないが、軽く飲み始める。あまりブランデーを飲んだ経験はないが、ローランさんに合わせて同じものをもらった。
 味は過去の経験に比較対象がないので正直良く分からないが、多分美味いと思う。というか、最初から用意してあったチーズとチョコがすげえ美味い。

「君とは一度ちゃんと話しておきたいと思ってたんだ」
「オーク麺の時は何かを話すような場でもなかったですからね」
「それは忘れてくれ」

 まあ、どう考えても醜態の類だからね。どちらかといえばMINAGIのほうが印象深いから、それはいいんだけど。
 ローランさん相手に引きずってたらいかんな、真面目モードに戻るか。

「随分と買い被られてるような気もするんですが」
「そんな事はないさ。トライアルを一日攻略して、新人戦でアーシェにあれだけ食らいつき、中級ランク昇格も最速、僅か数ヶ月でワイバーンやオーク・チャンピオンといった討伐指定種を撃破となれば過去に達成できた冒険者はいない。というか、これからも無理だろうね」

 並べて見ると凄まじいな、俺の経歴。どれか一つでも大変だ。

「オーク・チャンピオン倒した事も知ってるんですね。まだ数日なのに」
「この手の情報はクランマスターだったら勝手に集まってくるものさ。君だけじゃなく、何か話題になりそうなものだったら情報屋から勝手に送られてくる。大体スカウトの為の情報なんだけどね。< アーク・セイバー >なんて、専門の担当者がいる位だからウチは力を入れてないほうだよ」
「なるほど」

 そういうスカウト目的なら確かに情報は早いほうがいい。< 流星騎士団 >は入団条件が厳しいらしいけど、それでも目立つ情報は拾うんだろう。下級ランクでも入団できる< アーク・セイバー >はもっとか……。というか、クランで職員を雇うのってそんなに普通にある事なんだろうか。……将来的には、あのパンダたちも雇ったほうがいいのかしら。

「状況まで詳しく聞いたわけじゃないけど、あの前衛殺しを四人で仕留めたんだろ? クランマスターじゃなくたって噂になるよ」

 前衛殺し……確かにそんな渾名が付いてもおかしくない奴だった。ティリアはアレだが、あいつの前では正規の盾職以外まともに機能しそうにない。一発いいのをもらうだけでアウトだ。

「アンチスレとかでも、もう書いてたりするんですかね?」
「あはは、そうだね。実は僕も目を通してるんだよ。自分のは読まないんだけど、君のスレッドは面白いからね。まさか本人が出てくるとは思わなかった」
「匿名じゃないのに喧嘩売ってる奴がいましたからね。闘技場でデス・マッチしようぜって直接メールしたら逃げられました」
「そりゃ逃げると思うよ」

 あからさまな嘘や悪口は本人降臨以降消えたが、俺の場合は本当の事も混ざってるので火消しのしようがない。みるくぷりんの事なんて、ずっと見られてたんじゃないかって位詳細にまとめられてしまった。逆に言えば、もう怖いものはないという事になる。あれ、おかしいな……急に涙が……。

「じゃあ、俺が何やってるのかは大体筒抜けって事ですか」
「大凡は。遠征の話だって聞いてるよ。こっちは表沙汰にはならないだろうけどね」
「グレンさんから……ああいや、トップクランならそういう伝手もあるんですね」
「こっちは直接ダンジョンマスターから聞いた。アレは下手すれば無限回廊一○○層を超える以上の大金星だからね。兄さん共々あとで何かもらえるんじゃないかな」

 無限回廊二○○層の権限持ちを捕獲できたわけだから、ダンマスにとってはでかいよな。存在すら知らなかったわけだし。ひょっとしたら、無限回廊一○一層以降の構造すら影響があるかもしれない。報酬はもらったけど、別に何かもらえるかな。

「そういえば、グレンさんと兄弟なんですね」
「そうだよ。あんまりプライベートな交流はないけど、隠してるわけでもないし少し詳しければ知ってるってくらいかな」
「遠征の時、苦手に思われてるって言ってました。グレンさん側はそうでもないっぽいですけど」
「まあ……苦手かな。結局家は継がなかったけど、あちらは本家の長男、こちらは認知こそされていたものの庶子で、子供の頃からずっと家中で一番偉い人になるって聞かされてきたらやっぱりね。昔からそういう事をあまり気にしないっていうのも少し困る関係だったんだ。今更貴族云々もないけど」

 生まれの問題か。今更気にするような事でもない気もするが、やっぱり長年積み上げた関係を変えるのは難しいのかもしれない。性格の違いもあるし、一方が気にしないと言ってもお互いにっていうのは難しいだろう。

「ノスコールの家は代々家業として、男子はほぼ確実に騎士になる。だけど、そこでは家以上に格が違う。軍学校を卒業して長い下積みを超えて弓兵隊の兵長まで昇進したと思ったら、兄さんは士官学校卒業後一年で高級士官だ。家柄だけじゃそこまでの出世スピードはありえない。家格に才能が伴って、軍功に恵まれる運もある。軍内部の評価まで階級の上下問わず高いんだ。僕や二番目の兄さんの肩身の狭さったらなかったね」
「凄まじい傑物って事ですね。後世まで歴史に名前が残って教科書に載りそうな」
「はは、載るかもね。帝国が国土拡張する中で二つ三つは小国を落としてるくらいだから。今でも帝国の劇場で舞台劇やってるんじゃないかな」

 ガチの英雄じゃねーか。将棋で泣きの一回頼んできた人と同一人物とは思えない。

「家柄も名声も才能もあって、本人の性格もガチガチの真面目タイプじゃなくユーモアがある。人あたりもいいと……完璧超人ですね」
「性格はガチガチだったよ。昔は今みたいに冗談が通じる人じゃなくて、根っからの武人、騎士って感じだった」
「ああ、ひょっとして迷宮都市に来て変わったとか?」
「変わったのはここ数年だよ。だから今の兄さんには正直戸惑いもあるんだ。それが僕が凹んでた時期と重なってたから余計に」
「例の七十五層ですか」

 詳細な情報は公開されてないが、数年停滞していたっていう階層の話だ。< 流星騎士団 >といえば、必ず付いて回る話題でもある。今回の一○○層はその再現になると言っている者も少なくない。

「そう。いやー、あの頃はひどかった。僕やアーシェ含めて< 流星騎士団 >の中が淀んでるんだよ。まわりからの期待も大きいし、今みたいに張り合う相手もいないからニュースも僕たちの事ばっかりでさ。……正直、当時は辞める事も考えてたんだ。背負った物が大き過ぎて、辞められるわけがないんだけどね」

 正にトカゲのおっさんが危惧していた状況そのままだったって事だ。

「< アーク・セイバー >の後追いで第七十五層を超えても閉塞感は変わらない。むしろどんどんひどくなっていく。先行してる< アーク・セイバー >を抜いて、自分たちの力で先に進まないと解決しないのは分かってるのに、それができない。それが数年だ。……だけど、あの新人戦を見て見事に吹っ切れた。だから、君は僕のヒーローなんだよ」
「そんな事は……」
「卑下はしないで欲しいし、評価は素直に受け取るべきだ。過剰な謙遜は僕を始め、君を評価する人すべてを馬鹿にする事に繋がる」
「…………」

 軽い謙遜のつもりがド直球の言葉を返されて、二の句が出なかった。俺が俺自身を評価できていないにも関わらず、周りは評価する。本人が言うのだとしても、評価している相手を侮辱するような言葉は聞きたくないだろう。
 言葉が出ないので、代わりに酒を呷った。

「まあ、僕も似たようなもんだ。自分とまわりの評価が一致しない。そうじゃないって言っても聞いてくれない。そうやって他人に押し付けられた理想像すら背負う羽目になる」
「……そういうのは、重荷には感じないんですか?」
「感じるし、実際重荷には違いないんだ。……でも、その重荷で成長できるって側面もある」

 言ってる事は分からないではない。だけど、やはり自分の事だとむず痒くもあり、重くも感じる。勝手にやらせてくれって気持ちもある。その重荷で潰れる人だって珍しくはないだろう。人にもよるんだろうが、マイナスとプラスで言えば……俺はマイナスのほうが大きく見える。

「アーシェに聞いたけど、君は先輩らしく先に待ってろって彼女に言ったらしいじゃないか。それと同じだよ」
「ああ……言われてみれば、それも似たような事ですね」

 確かに俺も理想像を人に押し付けている。見事にブーメランだ。……でも、言った事は間違いじゃないはずだし、取り消すつもりもない。そう在って欲しい。理想で在って欲しい。それを超える存在で在って欲しい。それを飲み込める人だから尊敬できるんだ。
 ……だったら俺もそう在るべきだって事だな。自分で謙遜すらできないほどに結果を出せばいい。原因や経緯がどうであれ結果を出したのは俺だとマネージャーに言われたばかりじゃないか。

「だからアーシェは格好良い先輩であろうと前へ向かっている。彼女だって失敗して落ち込む事はあっても、その結果を否定はしたりはしないよ」
「ローランさんも?」
「そりゃ僕もさ」

 なるほど。確かに格好良い先輩だ。

「それで、その格好良い先輩はなんの話をしたいんですか?」
「今日はただ愚痴を零したいだけだよ。話す相手がいないんだ」

 愚痴かよ。まあ分かってた事だからいいんだけど、会話の落差がひどいな。

「やっぱり、無限回廊一○○層の事ですかね」
「そう。今攻略している一○○層は半端じゃない。ちょっと尋常じゃない。洒落になってない。多分、参加している誰もがそう思ってる」
「ひょっとして、ダンマスへの愚痴ですか?」
「そうかもしれない。……でも、愚痴くらいしか言えないんだ。認識阻害で七十層以降の詳細は伝わないしさ。……それ含めての試練なんだろうね」

 それは攻略している当人たちにしか分からない辛さで、当人たちだけでケリをつけろって事か。厳しいね。

「冒険者になる為のトライアルの壁。最低限の実力をつけている事を証明する為の十層の壁、第三十層、第五十層、第六十五層、第七十五層と区切りごとに壁はあったけど、今回のは桁が違う。ここまででも十分人間やめているような状況だったけど、それ以上を求められるんだ」
「亜神ってやつですか?」
「ああ、そうか……君は知ってるのか。そう、文字通り人間やめる事になる。そのための最終試練だね。……伝わるか分からないけど、敵もまた亜神なんだ」
「え……?」

 多分、それを聞いた俺の顔は引きつっていただろう。
 亜神というからには完全じゃなくても神様に片足突っ込んでるような相手って事で……それが相手なのか。RPGで神と呼ばれるような相手が敵になる事はあるが、まさしくそんな状況って事かよ。

「本当に……洒落になってないですね」

 比較情報がないならまだいい。ゲームだけなら、神だってピンキリだし、他の種族のほうが強かったりする事もある。……だが、俺は知ってしまっている。俺がこれまで出会った亜神は二人。ダンマスとあの名無しの二百層管理者だ。おそらく、ダンマスと一緒に攻略しているパーティもそうなんだろう。あとは、確定じゃないがガウルに加護を与えてるっていう獣神もそうじゃないかと思う。そして、水凪さんに加護を与えてるこの街の運営者、四神。どれも神と呼ぶには神秘性が薄い気もするが、これまで得た情報から推察するに、文字通り神として君臨するのに相応しい力は持っている。遥か先に行っているダンマスを基準としていいのかは分からないけど、あの赤空のコロッセオで感じたプレッシャーがその一端だとしても手が出る相手じゃない。

「これも君には伝わるのか……基準がいまいち分からないな」
「俺の場合は事前情報があるんで、そのせいじゃないですかね」
「なるほど。じゃあせっかくだし、色々試してみようか。さっきも言った通り第一○○層の敵は亜神で、一体だけがボスってわけでもない。それも出てきたのが■■■■■■■■やら、最初の■■でさ、おまけに知らなかったんけど■■■の■■も一緒になって出てくるんだよ。あれは……」

 そこまでが限界だった。多分、それ以上は前提情報を持っているとしても、俺が知るべきでない情報なのだろう。
 気付いたら三十分くらい経ってたぜ。どんだけ愚痴言いたかったんだ、この人。

「ほとんど伝わらなかったみたいだけど、少しすっきりしたよ」
「そりゃ良かった」

 言うだけで楽になる事もあるって話だな。最前線で戦う人の心の一助になれるのなら光栄ってもんだ。

「ちょっとトイレ行ってくる」

 と言ってローランさんは席を立った。あんまりトイレって感じはしない人だが、人間なんだから排泄くらいするだろう。

 随分静かになったと思ってカウンターの方を見てみると、レーネは相変わらず呑んだくれたまま。なぜかパンダも一緒になって飲んでいる。
 ミカエルだけが何故かバーテンダー姿になってアネットさんの指導を受けていた。どうしてそうなったのかは分からないが、三歳のパンダにバーテンやらせるなよ。というか、妙に手際いいけどどういう事なの?

「うう……パンダさん聞いて下さい……わたくしはただ人類の先駆者としてユキ様のご神体を崇め奉りたいだけなのに……ええ、不心得者ですわね、そうですわね。……うう、バーテンさん、もう一杯下さい……ジョッキにロックで」

 ジョッキで飲むなよ。どんだけ瓶開けてるんだ、お前。奢りだからいいものの、その周りの瓶絶対高いやつだぞ。



-4-



 一人、グラスを片手に少しだけ真面目に考察してみる。認識阻害がかかっているからといって、想像する事まで止められたわけじゃない。この先どんな難関が待ち構えているか想像するくらいはいいだろう。
 といっても情報は少ない。確実なのは一○○層の敵は亜神で、何体かは知らないが複数という事。それだけだ。
 おそらくフロアボスも亜神だ。その時点でハードなのは分かり切ってるが、多分それ以上なんだろう。これまでだって想像を軽くぶっちぎってきたダンマスだ。そんな温いはずがない。
 気になるのは、亜神ってそんなに数がいるものなのかって事だ。仮にたくさんいるとしても、それは無限回廊のボスとして配置できるものなのか? ダンマスや名無しの管理者の話によれば、亜神ってのは世界の管理者に等しい。実際に管理しているかはともかくとして、その為の力はある。 そんな存在をダンジョンに張り付ける? 一度だけというならまだしも、そこにずっと置くわけにいかないだろう。

『あそこは亜神のテリトリーでもあるからな……無闇に敵を作る必要もないと交渉しているのだが、時間を掛けたのが裏目に出たって事だな』

 遠征の際、グレンさんはそう言った。あれは暗黒大陸と魔の大森林の遺跡に関する話だったはずだ。交渉してるって事は完全な意味でダンマスに従っているとは考え辛い。そんな奴らを無限回廊に配置するのは不可能だろう。他のダンジョン……たとえば[ 鮮血の城 ]だって、ボスはロッテじゃなく同じような格のモンスターによる交代制だと聞いた。俺たちが挑戦した時にロッテがボスだったのは、特殊イベントだからだ。無限回廊のパンダやヒュージ・リザード、グランド・ゴーレムもそうだ。あいつらはユニークな個体というわけでなく、複数体が持ち回りでボスをしている。討伐指定種はユニークらしいが、一回倒すとしばらくは出現しない。ラディーネが言った一期一会ってのはそういう意味によるところが大きい。だとすると、いくら最終試練である一○○層だからって亜神を張り付けるのは現実的じゃない。そこが住処というなら分かるが、いくらなんでもそれはないだろう。
 ここで思い出すのは[ 鮮血の城 ]第四関門[ 脅威の間 ]だ。俺の場合はアレな爺さんがそのまま相手だったが、他のメンバーはそれぞれが脅威と感じる相手をドッペルゲンガーが演じ戦った。それと同じ……似たような仕組みなら可能かもしれない。亜神のコピーが敵として複数出現する。ただし、[ 脅威の間 ]のような挑戦者に合わせたものではなく、最低限亜神としての格を備えたままの強さで……。
 ただの推測だが、考えるだけでもハードだな。強さを体感した相手がダンマスしかいないからいまいち想像し辛いが、一○○層攻略して亜神になった直後のダンマスだとしてもろくな事にならないだろう。
 本気を引き出せたかは微妙だが、俺たちはアーシャさんと対峙した事がある。それは確かに当時の俺たちと隔絶していて、今だってまともにやりあえる存在じゃない。だけど、いくら強いとはいえ想像ができる範囲の強さだ。おそらく亜神ってのはそれを更に超えて余りある存在……。

「どうぞ」

 一人思考の海を漂っていると、不意に引き戻された。見れば、アネットさんが色々料理を追加で持ってきてくれたようだ。
 酒に合わせたのか、食事というよりも肴という感じの物が多い。……料理できる人なのね。いつでも嫁に行けますよ。

「あ、どうも。初めましてですよね。渡辺綱です」
「どうも初めまして。故あって名は明かせないので、さすらいのバーテンダーとお呼び下さい」

 まだそのキャラ続けるのかよ。

「……一○○層大変そうですね」

 この人も< 流星騎士団 >の前線メンバーの一人だ。一○○層の難易度は身を以って体感しているはず。
 会話の内容に合わせてくれたのか、アネットさんは仮面を外した。ここからはさすらいのバーテンダーではなく、アネットさん本人の言葉という事なのだろう。

「……私たちが足を引っ張ってるんです」
「実力が足りてないって事はないでしょ?」

 曲がりなりにも九十九層まで攻略完遂しているメンバーだ。差はあるにせよ、足を引っ張るような事があるとは思えない。
 だが、アネットさんは首を振った。

「おそらくウチで挑戦の資格があるのは上澄みのほんの数人だけです。多分< アーク・セイバー >も同様で、かといって少数で突破できるような試練でもない」
「エースがいれば何とかなるって段階はとっくに飛び越えてるんでしょうね」

 役割分担して、それぞれに特化したメンツで攻略する。きっと、全ての面で最上級の駒を揃えないと突破できない。そんな試練なんだろう。
 ……人数は知らんが、六人じゃねえよな。ここまで話に聞いてるだけでも、一パーティだけで攻略するには通らない話が多過ぎる。非公開情報だが、おそらく七十層以降は一パーティのみの攻略じゃない。
 となると、それをソロで攻略しているというバッカスの異常性が目立つわけだが、それは置いておくとして……。十二人なのか十八人なのかそれ以上なのか分からんが、第一○○層はその人数分の特化戦力を求められている。< 流星騎士団 >も< アーク・セイバー >もその頭数が足りていない、と。

「私たちが団長や副団長レベルに追い付くには月単位、……ひょっとしたら年単位の訓練が必要になります」
「時間をかければ攻略の目処は立つと」
「そうですね。……無理ではないかと。ただ、その間にあなたが追いついてくる。それを許容するわけにはいないっていうのが団長の本音でしょうね。格好付けたいんですよ、先輩として」
「…………」

 なるほど。そりゃ直接俺には言えないよな。愚痴にもなるさ。

「たとえばなんですけど、< アーク・セイバー >と合同で挑戦するってのは無理なんですかね?」
「……は?」
「いや、上澄みの量が足りてないにしても、クランは二つあるんですから。二つ合わせれば足りるかもしれないし」
「…………」
「なーんて、状況の見えてない素人考えですけどね」

 検討するにもハードルは大きいだろう。俺が簡単に思いつくだけでもクラン間の関係、一○○層を最初に攻略するという名誉、普段一緒に戦ってないメンツとの連携だって問題だ。ただ、あくまで先に進む事を第一目標にするなら……それだけを目的に考えるなら検討くらいはしてもいいんじゃないかとも思う。

「……今度、会議で議題にあげてみましょう」
「あれ、意外とアリですか?」
「問題だらけです。ハードルは大きいですし、現実的な話じゃないですけど……一○○層のみに限定するなら……あるいは」

 誰でも考えそうな事だと思うんだが……意外に本人たちは見えない部分なのかもしれない。

「……ところで、今はさすらいのバーテンダーじゃなくて、アネットさんでいいんですよね?」
「あ、はい。アネットですよ」
「遠征の時にベネットさんが、姉さんが結婚しないといつまで経っても恋人も作れないって言ってたんですが」

 ニュアンスは若干違った気もするが、大体合ってるはずだ。

「……色々あるんです。ええ、大人の恋愛事情というやつです。決して私に積極性がないとかそういう事ではないんです」

 いや、そんな遠い目をしなくても大体想像はつきますけどね。

「あそこで呑んだくれてるお嬢さんいますけど、彼女くらい積極的だったら進展するんじゃないですかね。積極的過ぎてああなっちゃったわけですけど」
「ち、ちなみに参考までに……いやあくまで参考までにですけど、どんな事したんですか? 少し聞きましたが、酔ってるせいか意味が分からなくて」
「人の目の前でレイプ紛いの事をしました」
「できるわけないでしょうっ!?」

 いや、参考までにですよ。やれとは言ってないです。

「しかも、女性のほうからとか……ええ……?」

 どうやらウブな方らしい。……でも興味はあると。

「あ、ローランさん戻ってきた」
「うわっ、ではこれで。アネットはさすらいのバーテンダーに戻ります!」
「呑んだくれに色々聞いてみるといいんじゃないですか?」
「私はさすらいのバーテンダーであってアネットではないのですっ!」

 と言い残し、さすらいのバーテンダーはカウンターへと去って行った。

「……アネットが何か言ってた?」
「口に出すとさすらいのバーテンダーに殺されそうなので黙っておきます」
「僕がトイレに行ってるうちに随分仲良くなったんだね……」

 アネットさんが仲良くしたいのは、俺じゃなくてローランさんだと思いますけどね。

「しかし、見かけはほとんど一緒なのに、ベネットさんとは随分雰囲気が違いますね」
「ああ、遠征で会ったんだっけ。その時の事も色々聞かせて欲しいな……」

 その後、日付が変わる頃まで軽い話題が続いた。アルコールの影響か、時々俺の認識できない言葉も出たが、話の前後から察するに大した内容じゃないはずだ。多分、最初に誘われた時に言っていた飲んで気晴らししたかったというのがローランさんの本音なのだろう。
 俺に何かを求められても応えられないし、そんな力もない。ケツの穴は心情的にお断りしたいが、彼も別にホモではないはずだ。
 そして、酔い潰れたレーネとパンダ二匹はそのまま放置し、俺はなぜかバーテンダーの技術を身につけたミカエルと一緒に帰る事になった。
 こういう時、クランハウス同士だと近くていいね。数分で自分の部屋に戻れる。

「じゃあご馳走になりました。さすらいのバーテンダーさんじゃなく、アネットさんにもよろしく言っておいて下さい」
「はは、ちゃんと伝えておくよ」

 カウンターの奥で仮面をつけたさすらいのバーテンダーが反応したが、ここは無視である。

「少しは気晴らしになりましたか?」
「……ああ、そうだね。またいつか飲もうか。今度は二人だけじゃなくアーシェや兄さんも一緒に」
「そうですね。楽しみにしておきますよ。じゃあ、面倒かと思いますがレーネとパンダが目覚ましたら説明お願いします」
「了解」

 あいつら、本当に酒飲んでるだけだったからな。しかも高い酒ばっかり。

「渡辺君」

 と、いざ帰るところで呼び止められた。振り返ると、そこには変わらずローランさんが一人立っている。
 ただ、さっきまでとは表情が違う。それは、何かを覚悟した男の目をしていた。

「肝心な事を言えずに終わらせるところだった。大分悩んだんだけどね」
「……なんですか?」
「アーシェが言った事だけど、僕も宣言する。僕は……いや、僕たちは先で待ってる。追いつけないくらい先で、先輩として君たちを待とう」

 それは、俺が押し付けた理想そのままの姿を体現してみせるという宣言だ。格好良い先輩で在り続けると。

「確かに聞きましたよ」
「……ああ、これでもう引けないな。こんな大言吐いたのなら一○○層程度で立ち止まるのは有り得ない。どんな手を使ってもあの壁は突破する」
「吉報を待ってます」

 この件で俺にできる事はない。今はただ先輩の姿と活躍を見守り、追いつこうと先に進む事しかできない。そして、それが後輩として正しい在り方なのだろう。それが、いつか無限の先で彼らに追い付き、共に進む為に必要な在り方なのだ。

 それとは直接関係ないが、俺がユキさんに許してもらう条件として、あの呑んだくれの処分はクランハウス出禁に決まった。
 それを告げた後のレーネは絶望的な表情になったが、大体自業自得である。……謝るにしても少し時間を置いたほうがいいんじゃないかな。暴走しないなら、少しくらい手伝ってもいいぞ。



-5-



 そんな阿呆な事件とローランさんの宣言から少しだけ時は過ぎ、十二月に入った。かなり肌寒くなり、外を出歩くには防寒具が必要となる季節である。マント一枚で何とかしていた去年までとは違い、今年はコートを買う余裕がある。たった一年でこうも違うものか。炬燵とか買っちゃおうかしら。
 十二月に入って街中から聞こえてくるのはクリスマスや年末年始の話題が多いが、実はもう一つ大きなニュースが話題を呼んでいる。無限回廊一○○層攻略について、< 流星騎士団 >と< アーク・セイバー >が一時的に合同でこれに当たると表明したのだ。詳しい体制も、そこに至った経緯も分からない。俺がアネットさんに言った事が原因か、最初からその予定だったのか分からないが、とにかくニつのトップクランは一時的に手を組んで一○○層超えという大きな壁に挑み出した。
 中旬に入った今、まだ一○○層が攻略されたという報告はない。だが、攻略はそんなに遠い未来の事ではないと確信している。あの日ローランさんが口にした宣言はそんなに安っぽいものではないはずだ。どんな分厚い壁だろうが、手段を問わずにぶち抜いてくれるだろう。

 一方、情けない話だが、俺たちも停滞している。最大の問題は水中戦闘だ。ユキやガウルも普通に泳げるようになり、俺も着衣状態での戦闘は可能となったが、とても実戦で戦える程じゃない。この状態でサーペント・ドラゴンに挑むのは自殺と変わらないだろう。というか、辿り着けもしない。訓練と装備開発は進んではいるが、年内の四十層攻略は絶望的と判断した。十二月後半はダンジョンへの挑戦自体が禁止されるという事もあり、本格的に攻略が進むのは、年が明けてからとなる。
 ククルの出したクラン設立の最短スケジュール通りでも五十層攻略予定は三月。まだ焦るような段階でない事は分かっているが、なんとかならないものか。ついでにクリスマスには巨大サンタと戦うレイドイベントもあるらしい。……ええ、参加しますが何か? 恋人のいらっしゃる方は羨ましいですね。

 十二月はイベントも多い。年中お祭り騒ぎしているような街ではあるが、年末、年始と更にイベントが続くのだ。
 ……クリスマスは置いておくとして、冒険者にとっての最大のイベントは年末のクラン対抗戦となる。各種ランキングが大きく入れ替わる日でもある。この時期は冒険者もダンジョン攻略を忘れ、対人戦に向けた調整を行うのだ。夜光さんもギリギリ間に合いそうだと直接メールが来た。
 まだクラン未設立なので俺たちがこれに参加する事はないが、< アーク・セイバー >からフィロスとゴーウェンが出場するらしい。それは中級ランクのチーム戦、クランごとに枠が決められた中での代表を勝ち取ったという事でもある。来年は競い合うライバルになるのだろうが、今年は純粋に応援してやろう。

 そして、もう一つ。意外なイベントが待ち受けていた。
 例の遠征……というか[ 静止した時計塔 ]の攻略メンバーと関係者に向けてパーティの出席依頼が届いたのだ。招待状はメールでも電話でもなく、手紙である。同じように手紙で送られてきたフィロスの果たし状とは違い、やたら達筆な字でどこの書道家だという感じの招待状だったが、最後まで読んでみると差出人はダンマスではなかった。

 主催者・差出人として記載されていたのは迷宮都市領主 那由他という名前。
 開催日は年末の十二月三十日。開催場所は迷宮都市領主館。誰に聞いてもどこにあるのか知らないという謎の場所だ。
 なぜダンマスではないのか、なぜ名前が漢字なのかは気になるところだが、領主という事はダンマスの奥さんのはずだ。これまでほとんど情報がない。表舞台に出る事も、映像記録すら存在しない。どんな人なのか気になるのも確かだが、その不透明さはあまりにも不気味だった。
 ダンマスとも連絡が取れないまま、時間は過ぎていく。それは、迷宮都市の謎が立てる足音なのか。……ただのパーティで終わる気がしないのは、気のせいだろうか。ダンマスが言うには王都消滅させられる人らしいけど、俺消されないよな。

 とはいえ、それらは全て少し先の事だ。今はとりあえず目の前の事に集中しようと、水中訓練の準備を進めている。ラディーネが用意した移動用ジェットスクリューがなかなかの曲者で、モノにするのに手間取っているのだ。ユキがあっという間に使いこなしているのを見ると、あの器用さが羨ましくなる。

「ツナ、ギルドから連絡が来たよ」

 ユキが部屋に尋ねてきてそう言った。居間にいたはずだから、置き電話への連絡だろうか。ギルドの連絡はこのパターンが多いが、ステータスカードへ直接連絡してはいけない決まりでもあるのかもしれない。

「メールか直接かけてくればいいのにな。保留中か?」
「いや、詳細はメールで送ったから、言伝だけ伝えてくれって言われた」

 なら大した用事じゃなさそうだな。

「なんかね、ベレンヴァールって人が迷宮都市に到着したんだって。確か例の戦争の勇者さんだよね?」
「ああ、そんな……時期か」

 ベレンヴァールに含むところは何もない。……ない筈なのだが、なぜだか嫌な予感がした。正体が分からない。危機感ではない。だが何かが動き出したような、放置してはいけない類の違和感が巨大な穴の向こうから覗いている気がした。


サンタ戦は多分三行くらい。(*´∀`*)
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