prologue
毎年お花見はお母さんと二人で夜桜を見にいってました。
広げたお弁当をふたりで食べるのはとても楽しくて。
でもそんな中いつも不思議だったのが。
毎年決まった、同じ場所でしか食べなかった事。
丁度草摩のお家のすぐ近くに位置している裏山の広場。
決まって一番奥にある大きな桜の木の下で食べていました。
不思議な事にその桜だけ、きついくらいの赤い花びらを身に纏っていて。
みなさんが近づかないような大木にお母さんは笑顔で私を連れていって。
お弁当と缶ビールを片手にあぐらをかいて木に語りかけているのです。
「どうして木とおしゃべりしてるのですか?」
わたしがこう訪ねると、決まってお母さんは笑顔で答えていました。
「――だって……」
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