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シカテマ疾風伝<第二部>
作:スピリットQ



あれから2年・・・ (1)


はたけカカシが六代目火影として任命されてから、一ヶ月が過ぎた。
数ヶ月前、ナルトが一時的に六代目火影となるも、その直後に、自ら降りた。
もっと修行を積みたいということと、椅子に座ってあれこれ指示を出すのは性に合わないという、
ナルトらしい理由からだった。
やはりそこは、師の自来也と似ているのだろう。

そして、アスマ亡き後に上忍となったシカマルは、その能力を買われ、火影の補佐役・軍師として参謀に抜擢された。
弱冠17歳の若さながらも、重要軍師の一人として、上層部の一環を担っている。
とは言え、まだまだ見習い期間と言ってもいい立場ではあった。

「さすが切れ者というべきか…」

カカシにも引けをとらない頭脳の回転の速さに、周りの上忍たちが舌を巻く。
一見、何も考えていないようにも伺える、そのやる気のない雰囲気をかもし出す彼が口を開けば、
目を見張るような閃きや案が次々提示される。
能ある鷹は爪を隠すと言うが、彼の場合、天才と何とかは紙一重とも言えてしまうかもしれない。
口々に挟み込まれる「めんどくせー」という口癖も、彼の素性を知ってしまえば、
愛嬌の一つにさえ見えてくるから不思議だったし、
ここぞという時にはちゃんとやるべきことを成し遂げてしまうのが、
彼の凄いところでもあった。

「では、次の任務にはその作戦で執り行う。以上!」

シカマルの提案を聞き入れ、会議は解散した。
数人の上忍たちが部屋を出て行く。
シカマルも書類を手にすると、その場を後にしようとするが、カカシに呼び止められた。

「シカマル、五大国の上忍会議と親睦会の準備は順調か? 何か不足していることがあれば何でも言え」
「特に問題ありません。あとは後日、各国の上忍が無事に木の葉に到着するのを待つだけです」
「そうか。五大国の上忍の代表者たちが集まるなんてのは滅多にないからな。
見落としがあってはマズイ。何度も確認しておくようにな」
「はい」

カカシの笑顔とマスクの下に、鋭利な思考と表情が隠れていることはもはや誰もが知っている。
そして、同盟国と言えど油断はするなという、無言のメッセージが孕んでいることも読み取れた。
両方が騙されていたとは言え、木の葉崩しの件があったのだから、シカマルにとっても重々承知の上だ。
結局は、自分以外は皆敵…、そういう言い回しもあるくらいなのだから。
しかし、カカシにとってもシカマルにとっても、それ以上に仲間を信じているのも事実だった。



お辞儀をして部屋を退散し、廊下を歩いて行くと、いのの姿が目に入った。
シカマルを待ち伏せしていたらしい。
ニヤニヤしながら近づいてくる。

「あんたも多忙ねー。でも、あんまりモテすぎちゃうのも困りもんよねー」

笑いながらシカマルの腕をつつく。
と、その時、シカマルが手にした書類の中から、一通のピンク色の封書がこぼれて床に落ちた。

「あらー? 何か落ちたわよー?」

そう言って、いのがすかさず拾い上げると、

「何でもねぇよ」

少々困った顔で取り上げた。
その様子を見て、女の直感が働いた彼女にはピンと来た。

「ちょっとやだー! もしかしてそれってラブレターじゃないのー? 
そう言えば、この間ももらってたってチョウジが言ってたけど、本当だったのー? 
あんたってば仕事だけじゃなく、女の子にもモテモテー?」

ケラケラ笑いながらも、バーン!と思いっきり背中を叩かれる。

「いてっ! …お前なぁ」
「なになに、それでそれで、その子とは付き合ったりするわけー? どんな子ー?」
「-----オレは仕事に忙しいんだよ。んな余裕ねぇよ」
「えー! 信じられないー! ふっちゃうわけー? 可哀想じゃないー!」
「…いの、お前、鏡見て言え。顔が喜んでいるぞ」
「……バレた?」

ハァ-----…っとため息をつくと、再びシカマルは歩き出した。


会議が始まる数時間前、道でばったり出会った見知らぬ少女に、突然手紙を手渡された。
頭を下げたまま顔を上げずに、両手でこのピンクの封書だけを黙って向けていた。
シカマルがそれを受け取ると、少女は真っ赤になりながら目の前から颯爽と走り去って行った。


「で、何て書いてあったの? …って、何よー、まだ封を切らずにいるじゃないー」

そう言っていのが再び封書を奪い、封を切り始めた。

「バカ、見んなよ!」
「えー、何々ー? ずっとあなたのことを見つめていました。よろしければ付き合って-----」
「返せ」

シカマルが無表情で手紙を奪い返す。

「やっぱりシカマルのこと好きなんだー」
「悪いが興味ねぇよ」
「じゃ、やっぱり断っちゃうわけ? …だってその子本気だよ。
 …きっと、一生懸命それ書いたんだよ」

先程とは打って変わって、いのが悲しそうな顔をする。
お前は一体喜んでいるのか悲しんでいるのかどっちなんだと、シカマルは呆れた。
しかし、冷やかし半分のいのが、徐々に本当に悲しげな顔をするので、シカマルの表情も曇る。

「その子の気持ちになってみてよ。ちょっとでも振り向いてやってよ! 見ててあげてよ! 
自分が意識しているのに、相手が意識すらしてくれないことがどんなに辛いか、あんたにはわかんないの?」
「……」
 
その刹那、シカマルの胸が締め付けられた。
まるでいつかの自分を見透かされたようで、心が痛み出した。
それは、ここ数年の間、封印していた気持ちだった。

アスマの敵を討ち、アスマの忘れ形見が生まれ、かっこいい大人に、
尊敬される忍となるべく決意を新にしてから、封じ込めたあの日の淡い想いだった。

-------忘れてしまおうと。

それからは、一心に勉学にも励んできた。
上忍にもなり、更に火影の誉れ高い右腕の参謀とまでのし上がった。

------それも全ては、あいつに認めてもらいたかったから…?


「シカマルのバカ! この鈍感! もう、あんたなんて知らない!」

突然、いのが走り出した。
わけがわからず、シカマルは呆然とその後ろ姿を見ていたが、追いかける気はさらさらなかった。
いのが何故、怒り出して目の前から去っていったのかもわからなかった。
ただ以前、自分のことを意識しているような告白はされたかもしれない。
でも自分にとっての彼女は、幼馴染であり、仲間であり、妹のようなもの…。
それ以上に当て嵌まる名詞や言葉はなかったし、考えられなかった。

「はぁー…、めんどくせー…」

そしてそれは、年上のあいつにとっても同じなのだろう…。
自分はきっと、弟のようなもの…。

窓の外を見やれば、遠くに暗雲が立ち込めていた。
今にも一降り来そうな鉛色の空。
雲の向こうで、稲光が鈍く光っている。

心の中がモヤモヤし始めていた。
チャクラが落ち着かない。
今までどんなことがあっても冷静でいられた。
だが、殊に、髪を四方に束ねたあの笑顔が目に浮かぶと、
何故だかチャクラのコントロールが効かなくなる。

もうすぐ五大国上忍会議がある。
その時、砂の隠れ里の上忍の一人として、テマリも参加するはずで、
シカマルは2年ぶりに会うことになる。
自分も色々成長したと思う。
背もあれからまた伸びて、今ではカカシと並ぶ迄になっている。

----自分はいつまで走り続けたらあいつに追いつくのだろうか…?

それは、戦友としての羨望なのか、或いは他の眼差しなのか、シカマル自身わからなかった。
ただ、どこまで走っても、辿り着けない様な気がした。
どんどん遠ざかって行く、そんなビジョンが脳裏に浮かんでは、霧のように消えて行く。
シカマルは、ずっとくすぶり続けている何が何だかわからない感情を、
無理矢理、心奥に封じ込めていた。
その霧が晴れる日が来るのだろうかと、自問自答しながら。

しかし、その封印が、近い内に解かれるであろう予感はしていた------





To Be Continued …




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今まで以上に、長くなりそうな第二部の始まりドエ〜ス。  
                                 
                                
今後、シカマルがどんどん、ブッ壊れて行きます(えへ)。
それはもー、神になろうとした信長の如く(うそ)。
その次、テマリ(ぐふっ)。

そういえば深夜の信長に、「手毬はないか?」という台詞が出てきた。
思わずニタァ〜…。
エビゾウじいさんって、この市川海老蔵から来てんだよね多分。
カンクロウは中村勘九郎だし。













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