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路地

作者:きはむ
きはむです。しばらくお休みしてたので復活記念(自己満足)にホラーを書いてみようと思います。でも今までホラー書いたことないので出来はよくないんだろううなぁ……。気軽に評価、感想、罵声、待ってます。
 夏だった。
 学校の、いつもの通学路にある路地。
 学校の帰りに、僕はずっとその先を見ていた。
 別に何か怪しい雰囲気とか、嫌な予感がするとか、そんな危機的な事を感じていたわけじゃない。少なくとも僕には幽霊を見分けられる霊感なんか無いし、虫の知らせを感じ取れるような危機察知に優れた能力を持った男ではない。そこら辺にいる普通の少年である。
 そんな僕が興味を覚えたのが、この路地だ。
 と、言ってもさっきも思った通り別にそこら辺にありそうな、いたって普通の路地だ。
 だがその普通さに僕は違和感、というか不思議な魅力を感じたのだ。そこら辺にありそうなこの路地にだ。
 学校の近くの文房具屋と駄菓子屋の間にだって路地はある。だけどそこになんにも魅力を感じない。なぜなら普通の路地だからだ。
 もし僕と同じ感性の人間が『普通』だとしたら、僕と同じ事を思うはずだ。それほどあの路地には魅力を感じないし、この路地には僕を引き寄せるような魅力を放っているのだ。
 この先の路地裏へと続く路地は暗く、先の景色が見えない。そのどんどんと細くなっていく路地に興奮と恐れを感じるのだ。
 見開いた眼が闇に満ちたその路地の奥を探ろうと、血液の流れを逆流させてしまうほどに眼へと集中させ、瞳が赤く染まって見えるくらいに充血させる。
 だけど、一向にその先が見えないのだ。何をどう見てもその先は闇、暗闇である。決して見えることの無い、闇。
 闇。RPGにおける敵の象徴。物語におけるキーパーソンで、絶対的悪意の象徴。
 家へと帰って鞄を投げ出すように放り出すと、僕はすぐさまテレビの前のゲーム機の座り込み、電源を入れてゲームを始めている。それが僕の日常で、1つの生活パターンだからだ。
 そして魔王の手下、闇のモンスターたちをブチ殺すのだ。
 時にはストーリーを進めずに、街の周辺を歩き回って目的のアイテムや経験値を得るためにぶっ続けでやっている。僕がボタンを押すたびに醜いモンスター共が切り刻まれ、呪文を唱えては醜悪な怪物共の焼き殺しているのだ。
 僕はコントローラーすら見ずに、テレビに凝視しながらそれをしている。
 僕は勇者なのだから。普通の僕が存在するこの世界から解き放たれて、僕を勇者として迎えてくれる世界が僕にとっては日常だったのだからだ。
 それを邪魔する魔物は殺すべきなのだ。
 ……おっと、脱線してしまったようだ。
 この路地はまさにそんな闇を引き込んでいると過言ではないのだ。悪の巣窟――魔王の城、とでも言うべきだろう。だけど、この普通の世界に存在している普通の僕でもその闇に引き込まれそうになる。それほどその闇は魅力的なのだ。
 ――ねぇ……ねぇってば……。
 うるさい、黙れ。



 秋になった。
 学校の帰り道――今日も僕はあの路地をじっと睨みつけるように凝視している。
 薄汚れてる縹色のポリバケツの縁から腐った生ゴミが飛び出し、クシャクシャになっていたダンボールの上には腐臭漂う猫の死体があり、腹から黒ずんだ肋骨と血肉が飛び出して小さな黒い虫が臭いを嗅ぎつけて周りを飛び回っている。
 僕はその悪臭に眉をひそめる。そして唇を口の中へと押し込め、鼻を摘んだ。
 誰かさっさと片付けてくれないのかよ。
 僕は猫の死体から眼を逸らし、再び路地の奥へと眼を移した。路地に潜む暗闇があんな死体とはかけ離れた高貴で、深淵へと続いているかのような、そんな雰囲気を醸し出しているようだった。僕が住むこの普通な世界とは遠くはなれた奇矯な異世界へと繋がる道――まさにそれだった。僕が勇者と成れる、優雅で美しい世界だ。こんな世界とは違うのだ。
 後ろを振り返り、僕の住む世界を見渡す。
 コンクリートで固められた道に数え切れないほどの車がガソリンを発熱させ身の機械の稼動音をせっせと鳴らし、道から道へと弱弱しい人間を乗せてあちらそちらと走り回っている。
 歩道には1人では何にも出来ない人間達が当ても無い未来に理想を描きながら家と会社の間を歩き回り、不可解な言語を話す若者達がまるでマグロのみたいに止まると死んでしまうのかと思ってしまうくらいに世話しなく携帯のボタンを押し続け、歩道の壁となるくらいに横に広がってくっちゃべっている。
 誰かがキモイだの、さっさと死ねば良いだの、果てには恥ずかしげも無く性の単語を羅列のように繋げ話している。
 これが僕が住む世界なのだと思うと、絶望する。
 やはりこんな世界より、僕を勇者とし、英雄としてくれる世界のほうがよっぽど理にかなった世界だろう。
 僕はすぐ傍のベンチに座り、鞄から出した携帯ゲーム機の電源を入れた。
 今や見慣れた、美しかったムービーが画面に流れていく。僕は面を上げ、ここから見える路地の先を眺める。少なくとも僕は見慣れたこぎれいのムービーを見るよりもずっと、あの暗闇を見ていたほうが好きだ。
 ムービーをカットし、前回の冒険のしおりを開く。
 このゲームの中の世界では僕は勇者であり、世界を救う英雄である。僕の剣が切り裂き、友の魔法が焼き殺す。そして魔物共を駆逐しつつ金と経験を得られ、ヒロインとのアバンチュールを楽しむ。それがこの世界の法である。
 その世界での僕は裏切りの無い真の友情を確かめ合い、友との絆を紡ぐ。恋することができる。不完全なこの世界に無い充足を得ることだ出来るのだ。全く持って素晴らしい世界だ。ゲームの世界こそが僕の本当の力を出しきれる場所なのだ。
 ――聞いてよぉ……
 あーもー、うっせぇんだよ! 死ね!



 冬になった。
 今日も僕はあの路地の前へと来ていた。休みの日でも一日に一度はここに行くと決めているからだ。例え雨が降ろうと雪が降ろうとここに行くことを止めない。それが僕の日課だからだ。
 だが今日の僕のテンションは最高潮に達していた。だからこの今日はこの路地に入り、路地裏の広場へと向かうのだ。
 僕は膝の引屈に汗を溜まらせながら路地へとおもむろに足を伸ばした。
 路地の中――外から見たら完全な闇だと見えたこの空間も、空の厚い雲から漏れ出す太陽の日差しによって辛うじて見ることが出来るほどだった。その辛うじて景色は、まるで嫌な意味での別世界を作り出していた。
 路地を作る左右の店の壁は黒ずみ、本来白かった壁を塗りつぶしていた。それに道の端や真ん中に堂々と廃品がダンボールに詰められて捨てられており、多くが錆び付いて蟲やネズミ達の住処となっている。草花も枯れて、活力を失っている。
 気持ち悪くなりそうな腐臭に耐えながら遅い足取りで進んでいき、路地の終点の広場へと着いた。四方を店で取り囲まれたデッドスペースが次第に忘れ去られたんだろう。土は黒とも白とも違う、灰色に染まり、四角くなった路地裏の真ん中には一本の枯れた大木が立っていた。
 僕は木の根元を傍に立て掛けてあったスコップで掘り下げていく。掘り出した土を山のように積み上げていき、額から流れ出る汗を腕で拭う。
 数メートルにおよぶ深い穴の底から、一本の手が這い上がってきた。
 汚らしい魔物だった。
 ……よかった。ちゃんと死んでる。僕の勇者としての生活を脅かす魔物は死んでいたのだ。やはりあれは幻聴だったのだ。
 喉もとの切り傷から見えるびろびろになっていた肉が土と混じり、黒くなっている血で覆われはみ出している。それに全身の肌は黒く染まり、筋肉は腐っている。原型も留めておらず、卵から孵ったウジも埋め尽くすほどに湧いていて気持ち悪かった。
 僕は肺に溜まっていた焦りと緊張が染み込んでいた空気を安堵のため息と共に吐き出し、力が抜けたかのようにその場に座り込んだ。そして力を入れてゆっくりと立ち上がり、魔物を生ゴミを捨てるように穴へ放り込むとスコップを手に取った。

 その瞬間、僕の背中に強い衝撃と鈍い痛みが突き刺さるように襲い掛かった。
 僕は悲鳴を上げながら倒れこみ、転げまわった。そして仰向けになり、背中を痛みの部分に手を当ててさらに地面に押しつけた。充血した涙目を蠢かせ、傍に立っていた男に眼を向ける。


 その場に立っていたのは、魔王だった。
 魔王が手に持っていた魔剣は僕の血で赤黒く染まり、ぽたぽたと落ちて地面に染み込こんで。行った。
 そして魔王はその剣をこちらへ向けると、僕の右手に差し込んだ。
 僕の手に今まで感じたことの無い激痛が走り、聞いたことが無い高くて耳障りな叫びが耳を劈く。仕切られた路地裏に僕の叫騒が延々と木霊し、心の中は全身に死ぬかも知れない恐怖が染み渡り、狂騒し、何がなんだか分からなくなってきた。
魔王の顔は笑いに変え、見下すような目で僕をあざけ笑っている。僕はその現実離れした態度に恐怖を覚えたのだ。
 殺されるという恐怖が全身の筋肉をピンと伸ばしたようにに緊張させ、僕は力の限り手に刺さった剣を引き出した。その結果、中指と薬指の間が手首ほどまでに割れてしまった。
痛みで痙攣するたびに筋肉の繊維が切れる感覚がした。
 僕は激痛と恐怖を内に内包しながら後退りし、穴の先へと手を伸ばした。
 やたら柔らかい感触が手の内に拡がり、引き上げる。
 それはさっき捨てた人間の死体だった。
 僕は恐怖したのだ。
 僕は弱弱しい人間なのだ。
 勇者なのではない、人殺しだ。
 僕は逃げ出すと振り向き、出口の路地を見つめる。
 だけど路地は厚く覆われた雲の光が無くなって消え去ってしまった。もう僕の眼には映らない。
 魔王が剣を振りかぶる。



 ――殺した殺した殺した殺したお前達は殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した何もしてない僕を殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した邪魔者扱いして殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺したんだ殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる絶対許さない殺してやる



 ごめんなさいごめんなさいごめんなさいでもぼくはわるくないわるくないわるくないわるいのはせけんだせいじだまわりのやつらだぼくらをあざけるやつらだぼくはわるくないわるくないわるくないにきまってるそうだそうだそうだそうだそうだそうだそうだそうだそうにきまってるそうにきまってるぜんぶまわりのやつらがわるいんだしねしねしねしねしねしねしねしねし
「死ねぇ、魔王」
 清水の手を取りながら、中村の包丁が僕の首




中二病。
おお、こわいこわい。


    駄目だった


ホラーなんて書いたこと無いお……。

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