2月14日
その日は雪が降っていた……
白い雪化粧をしたいつもの見慣れた街並は、今日という特別な日にピッタリなシチュエーションだろう。
「まだかな……」
私は白い息を吐く、真っ白な吐息を眺めていると身体の芯が寒さで余計に寒くなるのだった。
たくさんのカップル達が私の前を通り過ぎる……
「………」
私はその人たちをうらやましげに見つめ続ける。
私は傘もささずにある人を待っていた。
「響……まだかな」
初音響……私の大好きな人
幼なじみという境遇から、永らく抱いていたこの気持ちをぶつけることができなかった。
私がこの気持ちを吐き出すことによって今の関係が崩れ去るのだけは嫌だった…いや、恐かったのだ。
「あれ? お前傘もささずに何雪の中につったってんの……?」
「あ…響……」
でも、もう恐れない。
もう逃げないって決めたから。
「響……、これあげる」
「何これ、チョコ?」
私は今日のために作った不細工な形のチョコを渡す。
くしゃくしゃなそのチョコはいかにも不味そうだが、味には自信がある。
「ずっと好きでした、私と付き合ってください!!」
「……は…?」
唖然とする響、私は沈黙になるのを恐れ口から言葉を発し続けた。
口から羅列される言葉の一つ一つが胸をうち、自分が本当に響に惚れていたという事実を再認識する……。
思い出思い出思い出
ずっと一緒だった……。
私たちは……そしてこれからも……ずっとずっと。
「私……ずっと好きだったんだよ?」
「もうわかったから……泣くなよ……。」
私は泣いていたのだ。響を困らせてしまっている。
「その気はないが俺も好きだぜ、もちLOVEじゃなくてLIKEだけどな」
「私は……一人の男として好きなんだよ?」
「は? 冗談でもきもいよ? 何これ罰ゲーム?」
――!
「ふ……ふぇぇん…」
「ちょ…おま…」
その言葉を聞いて涙が止まらなくなってしまった。
道行く人々がみんな私たちを見ている。
ダメ、私……泣いちゃ泣いちゃ……
私は……ふられたのだ
これ以上は…響に……
「こんなにも好きなのに……響のこと…」
「…あぁ……ちょ……もう黙れよお前!!!」
叫ぶ響
「う…うぅぇ…響きぃ…」
「黙れよ馬鹿!! 近寄るな気持ちわりぃ!!」
響の拳が私の頬をえぐる、寒さのせいで余計に頬の痛みは激しかった。
「しかもなんだよこれ!? 幼なじみのお前がまさかこんな気持ち悪い奴だとは思わなかったよ!!」
地面に投げ付けられるチョコ……粉々になった私の思いと共に手作りバレンタインチョコは真っ白な雪に抱かれたのだった。
「ひどいよ……ひどいよ…響!! ……なんで私じゃダメなのよ!?」
私の最後の思いをぶつけた
響は言った……
「ダメも糞も、お前は男だろーが!!! このゲイが!」
END |