4thフレーズ
雪の降り始めた裏通りを、俺は走る。
口には、親友との約束の証。一枚の手紙をくわえて。
久しぶりに俺の姿を認めた野良猫や野良犬が、驚きの目で見送る。
子供たちは、相変わらずに石を投げてくる。
驚異の目も、投げつけられる石も気にせず、ただひたすらに走る。
俺は、裏通りを抜け、街を出た。
街道を走る。目的地は、先に見えるあの山の向こう。アイツが話していた、故郷のある場所。
雪の降る山道を、俺は走る。
疲れと寒さで、手足の感覚が鈍る。口にくえわえた物さえ落ちなければ、後は構わない。
「見ろよ!」
「悪魔の使者だ!!」
「えいっ!」
「くらえ!!」
人間のガキはどこにでもいて、言う事成す事、全部ステレオタイプだ。
「やった! ざまみろ!」
感覚の鈍くなった体に、鈍痛を感じる場所が増える。
石を俺に当てたガキが快哉を叫ぶ。
その内容も口調も、大差が無い。
俺を追いかけて、同じガキどもが移動してるんじゃないかと疑いたくなる。
それでも、走り続けた。
雪の山道に、赤い足跡を残して。
俺の事を名前で呼んだ、ただ一人の親友のために。
「悪魔の使者」
どこからか聞こえる声。石が風を切る音が続く。
俺の名前は"ホーリーナイト"!
お前らなんかに、どうこう出来る俺じゃあ無い!!
心の中で叫び声を上げ、どこまでも走り続ける。
山の頂、道の一番高い場所。
下った先には、周囲を山に囲まれた、小さな街。まるで時の流れに置き去りにされた様な、佇まい。
疲れと、流れる血でよく見えないハズの俺の目に、なぜかくっきりと見えた。
アイツの故郷。 |