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第二十話
ちくしょう…こんな時じゃなかったら、振りほどけるのに。
箱柳はこやなぎさんが、質問しているんだぞ! 答えろ!」
 力が出なくて、そいつに振り回されるままになっていた。
「何してるの?」
 都雅の声。
「何だ、八潮路やしおじか。お前には関係ないだろう」
「それが、関係あるんだ。今朝、友達になったんでね。その手、離したほうがいいよ」
 人が動く音がした後、俺の胸倉を掴んでいた手が離されて、俺はその場に崩れそうになった。
 誰かが、抱きとめてくれて倒れずにすんだけど。
「と…が?」
 何とか息をついで、名前を聞くと、小さく返事が聞こえた。
「見ての通り、要は具合が悪い。それとも、そんなことも分からないのかな、君たちは」
「何だと? 八潮路。お前が今まで平穏に暮らして来れたのは、誰のおかげだと思っている」
 箱柳の周りにいた誰かが、そう言った。その言葉に、都雅は小さくバカにするように笑う。
「保護者のお陰だろうね?」
「バカかお前はっ! 箱柳さんが、お前を範疇外はんちゅうがいに置いて下さってたからだろうが」
 おうおう…同級生にむかって“下さった”だってさ。具合の悪い俺でも、思わず突っ込み入れたくなったよ。
「こっちからお願いはしていないけど? 退かないなら、それなりの手段にでるよ」
 そう言うと、都雅は俺を背負った。
「都雅…っ」
「大丈夫?」
「何とか…」
「もうちょっと我慢して」
 そして都雅は突然、大声で叫んだ。
「あっ! 猫だっ」


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