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フリーナイン
作:スグル



第32話「ミザリ・ラビィ」


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秋にはなり、残暑は去りつつある。
九乃助の住むアパートには、この夕方の涼しさがある。
しかし、九乃助は悩んでいた。
「金がない・・」
増える借金の膨張で、困っている。
そういう呟きを、キエラ座って聞いていた。
彼女は、九乃助の部屋にいる。
正座しながら、九乃助は貯金通帳を眺めている。
「だから、もう少し、お前もバイトかなんかで家計を助けてくれ・・」
と、九乃助は言った。
もう数話前から経済的にピンチなので、キエラはバイトをやってみようと思う。
しかし、彼女は本当にバイト経験がない。
それは、ヤクザの娘と言う生い立ちであるからだ。

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数日後・・

再び、九乃助の部屋にキエラがいる。
そして、茶の間で膝をついて座っていた。
「バイト先が、見つかった?」
と、横になっていた体を起こして、九乃助は驚いていた。
「うん」
なんと、キエラはバイト先を確保した。
バイトの経験がないのに。
「喫茶店のバイト」
と、キエラは言う。
「おおー、今度、コーヒー飲みに行って見るぜ」
九乃助は、家計が苦しいのを解ってバイトしてくれた彼女に感謝の念が耐えなかった。
さすが、自分の(偽りの)いとこの妹である。
純太のような、パチンコ通いとは違うと頷いていた。

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翌日の午後・・。

キエラのバイト先の住所を辿って、九乃助、レビン、純太の3人が道を歩いている。
どうやら、この3人が歩いている道は隣町の商店街。
2つの列を作って、ずらりと飲食店、衣服店、本屋、ゲームセンターなどの店が立ち並んでいた。
「キエラちゃんが、バイトって凄いですね」
と、レビンは商店街を目で眺めながら言った。
「ああ・・、どっかのパチンコ野郎と大違いだ」
と、九乃助は純太を睨んで言う。
純太の顔は、気まずそうだ。

「ああ、ここみたいですよ」
と、急にレビンが指を示した。
指の先は、「メイド・イン・カフェ」と書かれている看板がある店だ。
かなり変わっている名前の店名だ。
客層も、個性的な人々が多い。
特に、男性が多い感じである。
「変わった感じの店だの」
と、九乃助は店先を眺めて言う。
店から出て行く客の男が、ジロジロとレビンを見ている。
その視線が、レビンには、なんだか解らない。

九乃助が、店のドアの前に立った。
「よし、入るか」
そう言って、歩を進めた。
自動ドアが開く。
開いた瞬間・・。
九乃助の顔が凍った。

「はぁ?なにしに来・・・た・・・」

ドアが開いた瞬間、メイド服のキエラが出てきた。
そのキエラは、九乃助の姿が見えた瞬間、言葉が詰まっていた。

店内は、メイド服の店員がたくさん。
しかも、店内には、どこかの電気街でみるような絵ばかりがある。
肝心のメイド服の店員の対応は・・。
「早く、決めなさいよ!忙しいんだから」
「はい、どうぞ!」
など、とても接客に見えない態度が見受けられた。
なのに、客は嬉しそうである。
そう、ここは、今流行のメイド喫茶。
しかも、ただの喫茶ではない。
店員が、ツンツン、デレデレしてる喫茶。
そこが、キエラのバイト先・・。

状況を、理解した時の九乃助の顔には精気がなかった。
キエラも、対応に困っていた。
バイト先に、身内が来ると困る物である。
急に、九乃助はキエラの手を握った。
「ちょっと、表出ろ・・」
そう言って、彼女を外に連れ出した。

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「○○商店街だ・・、そこに、お嬢さんと焼野原が居る・・。あと、裏切り者一人・・」
九乃助らの居る商店街の街路裏で、携帯を握って、そう語っている黒服の男が居た。
もちろん、その黒服は、例のレビンの追っ手。
どうやら、見つかってしまったようだ。

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メイド服のキエラ、九乃助、レビン、純太の4人が店の外に居た。
九乃助の表情は凍っている。
純太は、食い入るように見ている。
レビンは、どこか悔しそうに眺めている。
「お前、今年で何歳・・」
と、九乃助が呆れ気味で聞いた。
「20です・・」
キエラは答えた。
実は、レビンより年上だった。
「このバイト始めたのは・・、この道歩いてたら・・、ここで働かないか・・。って言われて・・」
と、この状況の説明をキエラは始めた。
どこか、必死そうである。
腕を組んでいる九乃助は、ため息をついた。
バイトについたきっかけが、一歩間違えば、危ない道に入るような感じであるのが辛酸だと感じている。
別に、このバイト先自体を否定しているわけではない。
ただ、少し引いただけ・・。
「わーったよ。とりあえず、コーヒー飲んでくか」
と、九乃助は言った。
「ありがとう」
キエラは、笑顔で例を言う。
純太の目線は、キエラのメイド姿に釘付けである。
レビンも・・。

・・・・・・・・・・・・・

店内に入ると、キエラは営業モードに入った。
とりあえず、3人は一つのテーブルに落ち着いた。
そして、メニュー表を眺めていた。
キエラが、この席の注文を承っている。
「早く決めてよ・・」
と、営業中のキエラは言っている。
「じゃあ、コーヒー・・」
「私も・・」
「俺も」
と、3人はコーヒーを頼んだ。
あくまで、こういう店の方針なので、3人はこの態度に口答え出来ない。
だが、純太はどこか嬉しそうであった。
「えーっ、3人して、コーヒー?ばっかじゃないー」
と言って、キエラは注文を受けた。
「・・」
九乃助の顔に、青筋が走っている。
これが、接客業だと言うのかという顔である。
レビンの方は、メイド服ばかり見てる。
何故か、憧れている。

タッタッタッタッタッ!

急に、大人数の足音が聞こえた。
「!」
九乃助は、気配を感じた。
それは、店の外からである。
急に、立ち上がった。
「!九乃助さん・・」
立ち上がった九乃助に、レビンは驚いた。
「純太!レビンは、かくまって逃げろ!!!」
そう叫び散らして、店の外まで走り出した。
レビン、純太は、なにがなんだか解らない。
だが、言われたとおりに動いた。

「九乃助、どうした?走り回んないでくんない?」
と、キエラが自動ドアの前に立つ九乃助に言った。
「黒服どもが来た・・」
自動ドアが、開いた。
「えっ!」
キエラは、驚いた。
自動ドアが開いた瞬間、九乃助は短距離走のように飛び出していった。

・・・・・・・・・・・・・

「やっぱりな・・」

と、飛び出した瞬間、九乃助はにやけた。
自動ドアの向こうには、黒服の追っ手の大人数が待っていた。

「焼野原だ!!やれ!!!」

そう黒服の一人が叫ぶ。
九乃助が飛び出した瞬間に、黒服の大人数が迫ってきた。
「こんなとこまで来るな!!」
九乃助は、走りながら黒服の一人の顔面に拳を入れた。
黒服の腹に膝を入れる。
その隣にいた者の腹部には裏拳を撃ち込む。
次々と黒服は倒れて行った。
だが、人数は多い。
「ったぁああ!!!」
九乃助は大きく空気を吸い込んで、右足をサッカーボールを蹴るようにして、黒服の腹部に目掛けた。

・・・・・・・・・・・・・

その状況に、店内は大騒ぎになっていた。
商店街の人々は、その騒ぎから離れるようにしている。
店には、レビン、純太は居なくなっていた。
裏口から、逃げたのである。
キエラは、店前の状況を見て動いた。
そして、自動ドアの方に向かっていた。
「黒服め・・」
キエラは、自分のスカートをめくった。
彼女のスカートの下の太ももには、ホルダーが巻かれている。
ホルダーには、小型のナイフが・・。
そして、彼女は店の前に出た。

・・・・・・・・・・・・・

バゴッ!!

九乃助の拳が、黒服の一人の顔面に入った。
血を吹いて、黒服が倒れた。
だが、まだ人数はいる。
「焼野原ぁああ!!!!!!」
九乃助の後ろに、黒服が殴りかかろうとしている。
それに、気づいて振り向こうとした瞬間。

サクッ!!

黒服の殴りかかる右手から、血が吹いている。
「ぐあああ!!!!」
九乃助が、振り向いた瞬間に後ろの黒服が叫んだ。
その黒服の手には、アーミーナイフが。

目線を変えると、キエラが手にナイフを携えている。
そして、さっきの黒服に目掛けて投げた。
「営業妨害だから・・、消えてくんない・・?」
と、キエラが黒服に向かって言う。
「さすが、俺の妹分・・」
九乃助は笑って、そう言った。

「裏切り者が!!!」
今度は、黒服たちはキエラの方に向かって行く。
向かってくる黒服を、九乃助は蹴り飛ばした。
キエラは、迫ってくる黒服から逃げながらナイフを投げつけた。
照準は、手のひら。
次々と、キエラはナイフを投げつける。
九乃助は、黒服は次々と素手でほふって行く。

そうしている内に、黒服たちは退いて行った。
こうして、二人は黒服たちを退いた。

・・・・・・・・・・・・・

翌日・・

キエラは、九乃助の部屋で泣いていた。
九乃助、純太は気まずそうな顔をしている。
彼女は、先日の件でバイトをクビになったのだ。
あの件は、一応、正当防衛ではあるが・・。
メイド服での暴力行為が不味かった・・。
運が悪かったのだ・・。
九乃助は、ため息をついた。

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一方、レビンはパソコンのオークションを見ている。
「うわっ、高い・・」
スクリーンには、メイド服が映っている。
あの件で、メイドに興味を持ってしまったのだ・・。

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