恋愛というのは海のようだ
打ち寄せては引き、引いては打ち寄せ
満ちているときもあれば、嘘のように引き潮の時もある
その存在は大きく
知ってしまったならば脳裏に焼き付いてなかなか離れない
「私、アナタのことをもう好きになれない」
俺がこの言葉を聞いたのは、引いた潮が戻った直後だった
付き合い始めた当初は、好きで好きで仕方なかった
この人のためなら何でも出来ると思った
心の底からそう思っていた
しかし、海はいつの間にか引いていた
理由は自分でも分からない
本当にいつの間にか
残っていたのは、濡れた砂浜だけ
どうせならそのまま引いてくれれば良かったのに
ある日、君は泣いていた
何故だったんだろう
今となっては知る由も無いが
不意に不思議な感情が溢れて来た
悲しみではない
怒りでもない
勿論、幸福でもない
何にも例えられない
それは純粋な痛み
体を引き裂かれ
心を直接揺さぶるような酷い痛みだ
その時気付いたんだ
俺はキミが好きだ
一気に引いていた潮が戻って来た
俺の心は海で満たされた
しかしそれに気付いたのは少しばかり遅かったようだ
キミは俺のことを好きでは無くなっていた
俺は何をすれば良いのか分からなかった
泣こうにも涙が出ない
寝ようにも寝付けない
話そうにも相手がいない
キミは俺の中でこんなにも大きな存在だったなんて
いつも俺の側にいたキミ
隣で笑ってくれていたキミ
その重さに気付いたのは失ったあと
何故だろう
なんで俺はこんなにも頭の回転が遅いのだろう
あと少し
あと1日でも早く行動を起こしていれば違う結果だったかもしれないのに
俺は馬鹿だ
周囲に天才と呼ばれ
万能と褒められていただけで
自分は何でも分かる気になっていた
でも本当は何も分かっちゃいなかった
他人はおろか、自分の思っていることすら
満足に理解出来ていなかったのだ
どこまで愚かな人間なのだろう
今でもキミのことを思ってしまう
好きでいてはいけないのに
駄目だと分かっているのに
恋愛というのは海のようだ
打ち寄せては引き、引いては打ち寄せ
満ちているときもあれば、嘘のように引き潮の時もある
しかし1つだけ言えることがある
海は無くなってなんかいない
必ず何処かで満ちる時を待っている
必ず、いつまでも |