山羅くんの不幸(51/69)PDFで表示縦書き表示RDF


 このあいだ堂々とパクり宣言をしてきた無謀な作者が来ました。少しだけならと許しをだしましたが、良い子の皆さんは真似しないでくださいね? 悪い子は………××××にします。

 というわけで、いつか黒月先生の作品にパクられたところがでてくるわけですが、もし読まれている方は非難しないであげてください。それだけ言っておきます。


 ……あ、ちなみにどうでもいいことですが、ワタクシようやく二十歳になりました。
山羅くんの不幸
作:紫水晃



第38話・トリプルデート?【百合編】 質問


 



《PM00:50》


 ようやくユーちゃんの部屋へと案内された僕。にこにこ顔のユーちゃんに先に入ってと促され、アイドルの部屋ってどんな部屋なんだろうとドキドキしながらドアを開けた瞬間、……壁に貼られてある写真の多さにビクッとしました。

「…………………」

 四方の壁全てに貼られてある写真、写真、写真……。僕は呆然とそれらを見回します。写真はきちんと縦・横に並べられており、等間隔に揃えられているのですが……。

「…………ナニコレ」

 驚くべきことに、その写真全てには、……なんと、僕が写っているのです。

 いつのまにこんなに……と僕は背筋に冷たいものを感じました。どれもこれも聖帝学園制服姿の僕の写真なので、最近撮ったのだろうと推測します。……しかもアングルがどれもこれも不自然なような気がしますが……気にしないようにしましょう。

 口をあんぐりと開けたまま見ていると、ふと、部屋の隅っこに紙が落ちていることに気が付きました。

 まだ真新しいその紙にはなにかが書かれています。壁に張り付けられていたのか、セロハンテープの切端が付いていました。僕はそれを目を凝らしてよく見ました。


 [死ね]


 ………………。

 ……………………。

 ……えぇー…と……。

 僕は見なかったことにしました。そして数瞬後にはそのことを記憶から抹消しました。やがて自分の存在も消滅したほうがいいんじゃないかと内なる自分がナゼカ囁きましたが、それは無視しました。ダッテ僕、ナニモ見テナイモン。

「どうしたの?」

 一歩だけ部屋に踏みいった状態のまま固まっている僕に不思議に思ったのか、ユーちゃんが僕の隣から顔を覗かせて自分の部屋を見ました。

「…………………」

 ユーちゃんの顔が一瞬にして青ざめました。そしてその顔をしたまま僕に顔を向けます。

「こ、これはね……タ、タモくんを驚かせようかなと思っただけでなんの他意もないんダヨ?」

 語尾が若干裏返っていましたが、僕はハハハと渇いた笑い声を上げて手を振ります。

「な、なんだそういうコトか……。ちょっとびっくりしちゃったよ。ハハハハハハハ……」

「アハハハハ……」

 お互い不自然な笑みを浮かべます。部屋の真ん中の小さなテーブルの周りに二つ座布団があるので、僕とユーちゃんがそこに座ろうとしたときボソリとした呟きが聞こえました。

「これはハナちゃん……? まさか日登美さん……? でもこの数分の間にどうやって……? というかどうやって部屋に……?」

 と真剣な様子でぶつぶつ呟いています。どうしてここに日登美の名前がでてくるのだろう? ハナちゃんって誰? という疑問を抱きながら改めてユーちゃんを眺めます。

 天下のアイドルであるユーちゃんは容姿もまた天下逸品です。
彼女のチャームポイントである笑顔は今は浮かべていませんが、そうでなくともその整った顔立ちからは可愛らしさしか感じません。しかも今は結構露出度の高い姿をしているので色っぽさも加わり、なんというか、妙な気持ちになってきました。それにユーちゃんはミニスカート。透明のテーブルなので、座っているユーちゃんの膝の間から、……その……白いのが……見えて……。

 うわぁイカンイカン! と頭を振ります。僕も健全なオトコなのでいやらしい妄想をしてしまうところでした。

 そうして再びユーちゃんへと目を移すと、さっきまでうつ向いてぶつぶつ呟いていたユーちゃんがこちらを見ていることに気付きました。

「……ねぇ、タモくん。一つ聞きたいことがあるんだけど、いいかな?」

 ユーちゃんが身を乗りだして尋ねてくるので、どんなことを聞かれるのだろうと少し身構えます。

「う、うん。いいよ」

 さあどんなことを聞いてくるんだ? くるなら来い! 相手になってやる!!


「タモくんは、『もしなれるとしたら“ブラジャー”と“パンツ”のどっちがいい?』」


 とんでもない相手がキター! 全滅必至の強敵! これは予想外の展開だぜ!! ……ってなんだこの質問はァ!?

「………え、な、なんでそんなことを聞くの?」

 僕はこの特殊な問いに警戒します。

「ちょっと興味があったからだよ。ねぇ、タモくんはどうなの?」

 どうやらふざけて言ったわけではないようです。だからこそ厄介です。なんでそんなことを真面目に聞いてくるのでしょうか?

「…………………」

 ユーちゃんは黙って僕を見つめてきます。その目からは純粋な好奇心と、知りたいという欲求しか感じられません。


 ……え、これ答えないといけないの?


 僕は今までかいたことのないような汗をダラダラと流しました。

 これをどう答えろと? というかブラジャーかパンツの二択しかないの? どっちを答えても変態になるんじゃないのか!?

 いや……と僕は首を振ります。ユーちゃんに限ってそんな質問をしてこないはずです。では、なぜこんな質問を……?


 『もしなれるとしたらブラジャーとパンツのどっちがいい?』


 ……………。

 ………………?

 ……………………!

 ハッ、として僕は閃きました。

 ……そ、そうか分かったぞ! これは“IQ問題”なんだ! テレビ番組にもあるIQクイズみたいに考えたらいいんじゃないのかな!? 確か文だけの問題はIQクイズの初歩の初歩で、ひらがなは漢字に、漢字はひらがなにすると真実が見えてくるはず!

 僕は考えます。どこを漢字にしたらいいのかと。

 ……そして、見付けました! もうこれしかありえない!

 これだ!


 『もし“慣”れるとしたらブラジャーとパンツのどっちがいい?』


 慣れたくねぇぇぇぇッ!? 絶対嫌だよそんなの! ってか元の文より更に悪化してるじゃん! 却下だ却下!

 でも、ここぐらいしか変えられそうなところないし……。まさかひらがなを漢字にするという初歩的な問題ではないのか? だとしたらいったい…………ん? ま、待てよ………そうかッ!

 今度こそ間違いない! 僕は握り拳を作りました。そうかなるほど……。いやはや、ブラジャーとパンツ、このワードにすっかり騙されていました。

 僕はブラジャーと聞いてまず女性が頭に浮かんでいました。では、パンツはどうでしょうか? これは女性だけではなく、男女共同じ名称で呼んでいるはずです。

 ……そう。これはIQ問題ではなく、“引っ掛け問題”だったのです。僕はすっかり先入観に捕われていました。“この質問にでてくるブラジャーとパンツは女性のもの”だと。


「……………………」


 …………でもそうだとして、男性用のパンツになりたいかい、僕?


 絶ッッッ対嫌だよ!


 ってかどっちを答えても最悪なのは変わりないじゃん! 僕は頭を悩ませます。いったいこの質問はなんなんだ!


 ……………あ。


 僕はふと思い付きます。それは天恵にも似た発想。悩める僕にもたらした、小さな奇跡。


 ……これ“心理テスト”じゃね?


 だとしたら……納得がいきます。ユーちゃんが意味のある質問をしているのなら、心理テストで僕の内面を読み取ろうとしているのではないでしょうか。

 が、しかし。ブラジャーとパンツのどれになるかでどんなことが分かるのでしょう?

 ……ま、いっか。そんな大したことではないはずです。ここは適当に選ぶことにしましょう。それじゃあパンツに……、


 否ッ! 断じて否ッ!!


 僕の本能が力強く叫びます。ど、どうしたんだ僕よ! なにを恐れている!


 お前は忘れたのか!? 今日、桐花と行った洋服店での悲劇を……!


 僕はうっと唸って思い出します。あの下着売り場で味わった恥辱はまだまだ忘れそうにありません。で、でもそれとこれとでは関係ないんじゃ……。


 なにを言うか! まだ理解してなかったのか!? お前は今日、“パンツ厄日”なんだぞ!!


 パンツ厄日!?


 そうだ! ……と思う。だからここはブラジャーを選ぶべきだ! ……たぶん。自分を信じるんだ! ……やめてくれ。


 おぉい!? 自信ないなら口出しするなよ本能!


 言うだけ言って引っ込んだ本能に怒鳴るも、返答はありませんでした。

 えぇーと…………僕は、ブラジャーを選ぶべきなのか?

 自分を信じてブラジャーを選ぶべきか、自分を信じずパンツを選ぶべきか。

 悩み考え……そうして僕は、心を決めました。


「…………ブ、ブラジャー……かな?」


 自分を信じることにしました。おそらくユーちゃんに質問されてこの間、十秒程しか経っていないと思います。

 そしてユーちゃんの反応は。


「ふーん……」


「……………………」

「………………」

「…………………え?」

 って、それだけかよぉぉぉっ!!!?

「そ、それだけなの!?」

 僕はユーちゃんに詰め寄ります。

「え……? う、うん。ただ聞いてみただけだから」

 えぇー!? じゃあさっきまでの僕の思考はまったくの無駄だったの!?


 そりゃないよー……、とがっくりしながら、ユーちゃんもまた手強い存在であることに僕は気付かされました。






(つづく)


 
 
山羅「ようやく作者が二十歳になったようですが、精神年齢はまだまだ未成年だと思われます」

百合「タ、タモくん。そんなこと言ってたら更に不幸にされちゃうよ?」

山羅「……大丈夫だよユーちゃん。僕のこれ以上の不幸は【死】しかないから」

チッ……バレたか。

山羅「ほら、ね(本当にそうなのかよッ!!)。僕は一応主人公だから死なれると困るんだよ。だからこれ以上の不幸はないんだ!」

百合「よ、よかったねタモくん!」

山羅「……でも、つまり僕はずっと不幸度マックスの状態のまま……ということになるんだよね」

百合「あ……」

山羅「チクショウ! 作者なんて死んでしまえ!」


もし本当に死んだら山羅くんは二度と完結しないとだけ言っておこう。

そして私はまだ二十歳なので死ぬわけにはいけません。だってまだ人生の五分の一しか生きていないのですからね。まだまだ楽しみたいんだこの人生を! 私が死んだら残された家族が…………!


…………。


はい。死亡フラグが立ったところでお別れです。



もしも本当に死んだら誰か代わりに完結させてあげてください。











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