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山羅くんの不幸
作:紫水晃



第34話・トリプルデート?【百合編】 一文字の違い


 



《PM00:30》


 ようやく僕はユーちゃんの住むマンションに辿り着くことができました。あとはインターホンを鳴らして彼女を呼び出すだけです。

 でもその前に、先に語りたいことがあります。

 それは、このマンションに着くまでの三十分の間に起きた出来事のことです。


 ……これは、僕の悲哀と苦痛と恥辱にまみれた……最低な物語。


……………………………


 公園から出た僕はマンションを目指して駆けていました。商店街を通ってショートカットしているところです。

 すると、いきなり前方からマイクを持ったレポーターらしき女性が話し掛けてきたのです。

『あの、すみません』

「へ?」

 僕は困惑します。急いでいるのになんの用でしょうか。

『急いでいるところ誠に申し訳ありません。少し時間をいただけないでしょうか?』

「はあ……」

 いったいなんなんでしょうか。女性の次の言葉を待ちます。

『ちょっとしたアンケートに答えてほしいのです。私共のテレビの番組で使いますので』

 見ると女性の腕に全国ケーブルの[不死テレビ]の腕章がありました。その後ろには大きな撮影カメラを持った男性がこちらをファインダー越しに見ていました。

「え、あ、はい!」

 どうしてテレビと聞いたら緊張してしまうのでしょうか。思わず頷いてしまいます。

『ありがとうございます。あなたが最後になりますので、慎重に答えてくださいね』

「わ、わかりました」

『それでは……。1.あなたのお名前は?』

「山羅存です」

『2.趣味は?』

「切手集めです」

『……へ? 3.そ、それが趣味になったきっかけは?』

 なんか食い付かれました。僕は思い出しながら答えます。

「いろんな種類があって面白いなぁって思ってたらいつのまにか集めてました」

『え、えーと……それでは4.特技は?』

 この人は新人なのでしょうか? だんだんおどおどとして聞いてきます。

「生きることです」

『あ、あの……真面目に答えてますか?』

 変なことを言う僕に若干涙目気味な女性。でも、これが僕の最近の特技なのです。……残念なことに。

「えぇ、大真面目ですとも!」

 そう断言しました。

『…………わ、わかりました。御協力ありがとうございます……!』

 女性はそう言うとまるで逃げ帰るように走り去っていきました。

「……あれ?」

 アンケートってあんなのでいいのでしょうか。というか逃げるように去らないでよ。

 そう憤慨しながら先へ進もうとすると、街によく見掛ける大きなテレビ(名称わからないです)がパッとつきました。

 別に興味はなかったのですが、その画面に僕の姿があったのだから思わず立ち止まってしまいます。

「え? もう放送してるの?」

 早いなぁと思いつつ、自分の姿にドキドキします。どうやらアンケートに答えているところを放送しているようでした。

 そして、声が流れてきます……。

『それでは……。1.あなたのお名前は?』

「山羅存です」

 なんというか、テレビの自分を見ると恥ずかしくなってきます。これがいま全国に流れてるんだよな……。学生服じゃなくて私服だったら良かったのに……と少しだけ後悔します。

 そして続いての質問。

『2.趣味は?』

「{下着}集めです」


 …………………はい?


 …………今、ナンカオカシクナカッタ?


 僕は聞き間違いだと信じつつも嫌な汗が流れるのを感じました。

『……へ? 3.そ、それが趣味になったきっかけは?』

 その不審な発言に女性が思わず聞いてしまいます。テレビの中の僕は思い出すように答えました。


「いろんな{下着}があって面白いなぁって思ってたらいつのまにか{女性用下着ばかり}集めてました」


 聞き間違いじゃNEEEEEEE!!??


 なにこれ!? なんか{}の中だけ声違うし! 絶対編集されてるよっ!


『え、えーと……それでは4.特技は?』

 この人は変態なのでしょうか? そう思っているためかだんだんおどおどとして聞いてきます。


「{×××××}です」


 放送禁止用語キター!!


 ってオォォォオォイ!?


『あ、あの……真面目に答えてますか?』

 変なことを言う僕に若干涙目気味な女性。でも、これが僕の最近の特技なのです。……残念なことに。


 な、わけねえだろォォォッッ!!!!


 しかし。


「えぇ、大真面目ですとも!」


 って、なに断言してんだ僕ゥゥッ!!?


『…………わ、わかりました。御協力ありがとうございます……!』

 女性はそう言うとまるで変態から逃げるように走り去っていきました。

 ……ナンダコレ。

「……………ハッ!?」

 僕は周りを見渡します。……さっきの放送を見た人達が変態を見るような目で僕を見ていました。目が合うと『ヒッ……』と脅えて後退りします。

「……ぅ………うわぁぁぁぁぁんっ!」

 僕はその場から逃げ出しました。この際、言い訳など意味を成さないことを知り尽しているからです。

 ……こうして、僕は悲哀と苦痛と恥辱を味わい、ユーちゃんの住むマンションへと着いたのでした。

 そして、僕は涙を拭いて、インターホンを押しました。


 ――ピンポーン……。


《PM00:30》


 僕がインターホンを鳴らして十数秒後、ドアがゆっくりと開かれ……途中、ゴツッ、という鈍い音が聞こえてバタンと閉まり、再びドアが開きましたがなにかあったのでしょうか。

「た、タモくん! いいいらっしゃいまひぇっ!?」

 おでこをさすりながら出てきたユーちゃんが今度は両手で口を抑えました。舌を噛んでしまったようで、涙目になります。

「う、うん……あ、お邪魔します」

 僕はなぜかドキドキしながらお辞儀します。なんででしょうか。僕はドジっ娘属性に開花させられたのでしょうか。

 もちろんそんなわけではありません。……なんというか、その……ユーちゃんの姿が、……かなりセクシーだったからです。

 おへそが丸見えになるぐらいの短いシャツを着ていて、サイズも小さいためか胸元が少し強調するように際立っています。その上に羽織るようにカーディガンが掛けられているだけなので、胸の谷間が見えて目のやり場に困ってしまいます。それに膝下ぐらいまでのミニスカートを穿いているので、すらっとした綺麗な生足が普通に見えるので思わず踏まれたいと……ハッ! お、思ってませんよっ!?

 今日の桐花が清楚な魅力を感じさせる服装だったなら、今日のユーちゃんはセクシーな魅力を感じさせる服装です。……改めて思います。なんで僕、学生服なんだろう。

「……………………」

 若干肩を落として落ち込んでいると、ふと視線を感じました。顔を上げると、じっと僕の顔を見つめるユーちゃんと目が合います。

「え、な、なに? ……僕の顔になにか付いてる?」

「えっ? ……あっ、ううんっ。顔にはなにも付いてないよ……」

 ユーちゃんは頬を赤らめて慌てた様子でぶんぶん首を振って否定するも、……そのあとをぼそりと付け足しました。

「……“憑”いてるけど」

「なにが憑いてるのッ!?」

 付いてると憑いてるの一文字の漢字の違いでかなりの恐怖を感じました。い、いったい僕になにが憑いているのでしょうか……?

「……ってか、ゆ、ユーちゃんって幽霊が見えるんだね……」

「う、うん……ちょっとした特技、かな……?」

 この超人気アイドルは、歌って踊れて演技も上手く、そして特技に幽霊が見えるという近年稀に見ない特殊なお人のようです。僕は幽霊とかユーフォーなどの超常現象的な存在は信じる方なのでユーちゃんを疑ったりはしません。ちなみに、なぜ信じるかの理由は簡単です。……僕のこの『不幸』さを呪いかなにかだと思わないとやってけないでしょう。

「そ、それで、……僕にはなにが憑いてるの……?」

 とりあえずそれがかなり気になりました。

「え、えーとね……その、……漆黒のドレスを身に纏った可愛らしい女の子が、タモくんの後ろで微笑んでるの……」

 お、女の子ですか……。背後霊の類でしょうか、……いや、僕のことだから……悪霊かな!?

「……それから、大きな鋭い鎌をタモくんの首筋に押し付けてるだけだよ」

「死神ッ!?」

 悪霊より厄介です。というか、首筋に押し付けてるってことはすでに死の宣告受けてるじゃん僕っ!?

「あ、安心して! 『私は悪霊だ』って言ってるから!」

「…そ、そうなの……? よかったぁそれは安心…できないよ!?」

 死神よりかはマシなので安心しかけましたが、鎌を持っているので死神とそう大差ないことに気付きます。……ってかなんで自分で悪霊だって自己申告しているのでしょうか。

「……あ、もしかしてその悪霊! ユーちゃんが転校してきたときに飯島先生に憑いてた悪霊なんじゃ!?」

 僕は思い出します。飯島先生に憑いてた悪霊が僕の頭の上で『殺してやる』と何度も呟いていた(と聞いた)ことを。

「まさかあの日以来……ずっと僕に憑いていたのかっ!?」

「タモくん大正解!」

 僕が答えを導き出すと、ユーちゃんが手を叩いて喜びます。……全然嬉しくありません。

「ね、ねぇユーちゃん。どうしたらこの悪霊は離れてくれるのか聞いてみてくれない?」

 僕は恐る恐るユーちゃんにそう頼みました。ユーちゃんは頷くと、僕の背中の方へ向かって幽霊に話し掛けます。

「ねぇ、どうしたらタモくんから離れてくれるの? …………うんうん。……あ、なるほど!」

 ユーちゃんは納得したように何度も頷きます。そして嬉しそうな笑顔を僕に向けました。それを見て、僕も安堵した笑顔をユーちゃんに向けます。

 ユーちゃんは笑顔で言いました。

「タモくんが“死んだら”離れるんだって!」

「よしわかった! じゃあ今から死んで…これるかァッ!!」

 ノリツッコミを披露しつつユーちゃんに詰め寄ります。どうやら説明の仕方が悪かったようです。

「僕が死なずに済む方法を教えてもらって!」

 ユーちゃんは『ご、ごめんなさい!』と謝り、再び僕の背中の方へ向かって話し掛けます。

「タモくんは死にたくないって言ってるよ? 他に方法は…………え? 『下着泥棒をするような変態など滅べばいい』……? ……た、タモくん……そんなことをしてたんだ……。……え? 『それも小学生の女の子の下着ばかり』……。……そ、それは個人の趣味だし……仕方が、」

「その幽霊なに嘘吐いてんの!?」

 黙って聞いていればいけしゃあしゃあと! それにユーちゃんもユーちゃんで素直に信じないでよ! ……というかさぁ、この世の中はなぜこうも僕を変態に仕立てあげようとするんだよ、チクショウめっ……!


 数分して他のマンションの住人が怪訝そうに後ろを通りすぎるまでの間、なぜかまだユーちゃんの部屋のドアの前にいる僕は言い訳と自分の弁護をずっとしていました。






(つづく)


 
 
山羅「重大発表があります!」

百合「このあいだ短編で出した『パパと呼ばれて』が連載することになっちゃいました!」

山羅「感想やメッセージをくれた読者様方、誠にありがとうございました!」

百合「そして、……それは超(×100)不定期連載になると思うので、先に謝ります。ごめんね?」

山羅「そして、……三連載はさすがに疲れるので『後悔のない〜』を一旦削除して、いつか目処がついたらまた復活させようと考えています」

百合「この『山羅くん』も『パパと呼ばれて』も応援よろしくお願いします!」


収録が終わり…。


百合「あ、あれでよかったのかな……? もう少しボケがあっても……」

山羅「いやあれでいいんだよ! これがこのコーナーの本来の姿なんだから! というか、今までが異常だったんだよ!」

百合「つまらなくないかな……?」

山羅「そんなのは関係ないッ! このコーナーはこうあるべきなんだ! だから……だからなにも考えずに僕に付いてきて!」

百合「う、うん……。それじゃあ、しばらくのあいだ、二人で頑張っていこうね?」

山羅「う、うん……(どうせならこれからもずっと一緒にいてほしいのが本音だけど、口にしたら桐花に殺されそうだし、もし一緒にこれからもできても桐花や日登美に毒されそうだから黙秘することにしよう)」

百合「それでは、最後にもしもシリーズ一挙二話を配信するね」

山羅「それだけ短いですけどね」



【もしも『山羅くんの不幸』が戦隊モノだったら…】


 悪の秘密組織『シンタイケンサ』が悪行の限りを起こす20××年。今日も熱心に煙草を勧める組織の幹部(ニコチン大王)の前に、この世界を救うため彼等が現れた!

??「キサマらの悪行もそこまでだ!」

幹部「な、なにヤツ!」

 突然の声に驚くニコチン大王。周りを見渡し、崖の上に立つ四人の姿が視界に飛び込んでくる!

山羅「僕は、ヤマラレッド!!」

 キュピーンという効果音と同時にポーズをつけてそう宣言する全身赤タイツの男……!

 そして残りの三人も続けてポーズする!

諏訪「ヤマラピンク!」

 ピカーン!

桐花「ヤマラピンク!」

 ドォーン!

百合「ヤマラピンク!」

 ズギューン!

山羅・幹部「ピンク多すぎッ!?」

 ガビィーン!


 こうして今日も世界は救われなかった。



【もしも山羅くんがスタンド使いだったら…】


 今日も今日とで桐花にいじめられる山羅くん。

 そんなある日、謎の矢に射たれた彼は、スタンド能力に目覚めた!

 彼はそれを使って桐花をこらしめようと画策する!

山羅「ククク……待っていたよ桐花」

 下校時の校門前。

 ゴゴゴゴゴ…、と威圧感をかもしながら桐花の前に立ち塞がる山羅くん。

桐花「あんた……」

山羅「……へぇ? 見えるんだ。つまり、君もスタンド使いだったんだね」

 山羅くんの背中に……山羅くんと瓜二つのスタンドが寄り添うように立っている。桐花はそれを見て目を見張った。

山羅「これで疑問が解けたよ。君の、その超常的破壊力の源に」

桐花「……それで、あんたはなんの用? まさか、私に歯向かおうなんて考えてないわよね?」

 その静かなる殺気にいつものように泣いて土下座してしまいそうになるのをグッと堪え、山羅くんは不敵に笑みを浮かべる。

山羅「そのまさかだと言ったら?」

桐花「殺す」

 なんの躊躇いのなさに肝が冷えるが、山羅くんはバッと後ろに下がると、スタンド能力を発動する……!

山羅「残念だったね桐花……!」

 ゴゴゴゴゴ…。山羅くんのスタンドが山羅くんを守るように前へ立ち塞がる。

山羅「いまこの瞬間、僕のスタンド能力が発動した……!」

 その能力とは……!

山羅「僕のスタンド能力は“自分を不幸にする”能力だ!」


 ……………………?


山羅「……え? なにそれ? 自分を不幸にするってどういうことだよ!?」

 自分のスタンドに向かって怒鳴るも、……あれ? スタンドが消えた。おい、出てこいよ! コラァ!

桐花「……タ・モ・ツ・くん?」

 ハッとする。背中に感じる恐怖。謝っても許されないだろうと納得してしまうような威圧感。山羅くんは涙を流した。どうやら自分の能力が発動してしまったようだと。

桐花「紹介するわ。私のスタンド『クレイジー・キラー・クリムゾン・ザ・ワールド・レクイエム』よ」

 なんだろうこの、最強過ぎなんじゃね? と叫びたくなるようなスタンド名は……。

 そして山羅くんは、無駄だと悟りながらも謝罪の言葉を口にした。

山羅「ご、ごめんな、」



桐花「永遠に死に続けろ」


 そうして、山羅くんは5部のディアボロスのようになりましたとさ。



さて……。
読者の皆様に本気でお願いしたいことがあります。


ネタ下さい。


なんでもいい……! ネタをくれぇ……! 恥も外聞も知ったこっちゃない! 某萌え四コマ漫画のツインテールのツンデレ姉のドジな妹が言っていたミカンの皮を剥いてたら指が黄色くなったとかいうネタでも……あダメだ。これは……さすがに私も無理だ。

これからどう百合編を勧めていけばいいのか分からないんですよ。……なんというか、良い雰囲気になりそうなシチュエーションに笑いも同時にとれそうなところってないですかね……?

最近、百合編は泉水編と比べたらインパクトは少ないかもしれないがこれでも構わないのかな? 俺のネタって最近のはおもろいのかな? なんて心配になってきた紫水晃でした。……自分で創った小説にはあまり笑えませんからね。











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