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山羅くんの不幸
作:紫水晃



第29話・トリプルデート?【泉水編】 再会


 

《AM08:10》


 先に言っておきます。

 泉水を見付けました。

 さて、どう見付けたかというと……。


……………………………


 それは金髪マッチョに追い掛けられているときでした。足は僕の方が速かったのでぐんぐん引き離していたのですが、このままではまた逃げられてしまうと感じたのか、金髪マッチョはバイクに乗って追い掛けてきたのです。

「それは反則だろっ!」

 そんな泣き言など外人である金髪マッチョが分かるはずもなく。『ホワァイ?』とものすごくムカつく顔で聞き返してきました。……あっ、こいつさては日本語分かるな!

 しかもそれだけではありません。バイクだけでも絶体絶命な状況なのに、金髪マッチョは更に僕をピンチに追い込むべく、なんと、機関銃を用意してきやがっていたのです。

「ホワァイ!?」

 今度は僕が言う番でした。驚愕して腰を抜かしかけます。完全な銃刀法違反。誰かこいつを捕まえろ!

 体力が限界に達し、走る速度が落ちていく中、照準を僕に定めつつ確実に仕留めようと近付いてくる金髪マッチョを背中に感じながら『今日が僕の審判の日か……』と半ば諦めかけたとき、……彼女が現れたのです。

「あ……」

 目の前にバッと飛び出してきた人影に思わず声が漏れました。その元気な姿に一瞬だけ頬を弛めます。

「泉水!」

 泉水桐花が不敵な笑みを浮かべ、釘バットを構えてそこにいました。この構えは……ホームラン宣言!

「早く来なさい!」

 泉水に怒鳴られ僕は疲労していた体にムチ入れてラストスパートします。それは助けを求めるためではなく、泉水を守るためにです。

 いくら泉水でも釘バットで機関銃を相手に出来るわけがありません。僕が逃げろと叫んでも泉水は無視するでしょう。……だから、いざとなったら命を賭けてでも泉水の盾になります……!


 ……………しかし、


「はっ?」

 僕が泉水の側に近付いた瞬間、ガシッと左手首を掴まれると、

「いぃっ!?」

 おもいっきり引っ張られ、泉水を軸にしてぐるりと回転させられ、

「ぬぉっ……!」

 僕の体が尋常じゃない力で宙に浮かされ、それから回転による遠心力も加わり、

「ちょ……ッ!」

 バイクで向かってくる金髪マッチョへと向かって、

「待っ―――――」



 投げ飛ばされました。



「なにぃぃぃぃぃぃぃぃぃっっっ!?!??!」


 どんな力学的要素で起きたのか、それとも泉水が本当に人外の者でその力を使ったのか、僕は放物線を描かない弾丸のような勢いで金髪マッチョへと突っ込んでいきます。

「いっけぇーーッ! 存ロケットーーーッッ!!」

 泉水のネーミングセンスゼロな言葉と共に、僕は勢い良く金髪マッチョにぶつかり、……ませんでした。

「はい――?」


 え、僕、無駄死に?


「そ、そんなぁぁぁ…………ゲフッ! ゴフッ! グルァァアア……!!」

 僕は地面に二回バウンドしてからずずずーっと滑っていきました。なんとも無様でした。

 ……でも、成果はあったようです。

 僕が飛んでくるのに驚いた金髪マッチョが、慌てて避けようとしたのでバランスを崩し、倒れないようにするため両手でグリップを握ろうとしてしまい、その際に機関銃を落としてしまったのです。

 ……そして、丸腰になった金髪マッチョの目の前に、……泉水の姿が……!


「死に晒せやぁーっ!」


 まるで金髪マッチョの顔を野球のボールに例えるが如く、バッターは一本足打法で迎え撃つ。泉水からして、それは打ちごろなストレートのど真ん中……!


 ――――ドゴォッ!!


 カキィーンという快音ではなく、なにかが潰れる鈍い音が響きました。


 ……泉水、宣言通りのホームラン。彼女が打ったタマは、外野スタンドを大きく飛び越え、どこまで飛んで逝ったのでしょうか……。

 ぴくりとも動かない金髪マッチョを見ながら、僕は合掌しました。


……………………………


 という感じで泉水と再び合流したわけです。

「よ、良かった……生きてる」

 金髪マッチョの脈を確かめてホッと一安心します。もし死んでいたら泉水が殺人犯になっているところでした。

「タ・モ・ツー……」

 金髪マッチョを道の脇に寄せている僕に泉水が睨み付けてきました。

「あんた、その金髪となに遊んでるのよ。探したんだからね」

 えぇ!? 遊んでるように見えたの!? じゃあなんでこんな仕打ちをしたんだよ!

「ムカついたから」

 ……ナルホド。だから僕にも投げ飛ばすという仕打ちをしたのか。そんな理由で……。憤りますが、助けてくれたのですから良しとしましょう。

「……そういえばさ、泉水。僕達が分かれる直前に『あーっ!』って叫んでたけど、あれはなんだったの?」

 それを聞くと泉水は一瞬だけ視線を泳がせると、

「……め、目の前で子供が車に牽かれそうになったから叫んだだけよ。すぐに助けたわ」

 若干不自然でしたが、まあそれ以上は聞かないでおきましょう。

「じゃあ、カラオケしに行こうか」

「そうね。……すぐそこにあるけど」

 後ろを振り返ると、本当にすぐそこにカラオケ店がありました。

「ホントだ……」

「入るわよ!」

 泉水の後に続くように僕も入ります。……と、その前に。

 ピポパポ………トゥルルル……………ガチャ。

「………あ、もしもし。警察ですか? あの、ユートピア商店街の××通りに………」

 通報をしました。

 ちなみに、金髪マッチョが持っていた機関銃は改造エアガンでした。それでも十分違法です。


……………………………


【AM08:10】


 初めて来たのでカードを作り、それから店員さんに部屋を案内されます。案内された番号室は『444』。不吉すぎだろ。

「じゃんじゃん歌うわよー!」

 泉水ノリノリです。カラオケが好きみたいですね。僕はメロンジュースを飲みながら、なにを歌おうかなと検索します。

「最初は私ね! これにするわ!」

 真っ先に入力した泉水がマイクを片手に立ち上がります。えーと……題名は……………んん!?

「『山羅くんの不幸』!?」

 なにそれ!? ナニユエそんなのがあるわけ!? え? 作詞:諏訪日登美。この人なにしてんの!? それから、作曲:真中百合。君もなにやってんの!? 歌手は……山羅存!? 僕、歌ったことないんだけど! というか今初めて知ったんだけど!

 そんなあらゆる疑問を無視して始まります。歌うは泉水桐花で……『山羅くんの不幸』!


【演奏開始】

 昨日も僕は不幸です

 家が全焼、家無き子

 今日も僕は不幸です

 親が蒸発お金も蒸発

 明日も僕は不幸です

 だって死んでるもん

 さらば皆様お元気で

 もしも許されるなら

 来世ではいつまでも

 いつまでも幸せに…

【演奏終了】


「……な、なにこれ重い! 重すぎる! しかも暗すぎる! やめてくれよ!」

 僕は泣きそうになるのを堪えて叫びます。

「なんなんだよこの歌! いつCD出したんだよ!」

「三日前よ。一日でオリコンチャート一位になったわ」

「これが!? 世の中病みすぎだろ!」

 僕は身悶えしながらも次の曲を入力しました。この最低な気分を一新するために誰でも知ってる名曲を選びました。

「それじゃあ歌うよ!」

 僕はマイクを持つと、


 ……………………。


「次、私ね!」

 泉水がマイクを持って歌う準備をしています。

「あれぇ!?」

 僕はなぜか憤然とした気持ちになりました。さっきまで気持ち良く歌っていたはずなのになかったかのようにされた気分です。なぜでしょうか。

「これはあんたも知ってる名曲よ!」

 そう聞き、曲名に目を向けます。……は?

「『山羅存の変態調査ファイル』!? 僕こんな特殊な題名の曲まったく知らないんですけど!?」

 そんな抗議をよそに始まります。歌うは泉水で……『山羅存の変態調査ファイル』!


【演奏開始】

 女の子を見掛けると裸になるのはなぜだろう?

 それは僕が変態だからか?

「違うッ!」

「ド変態だッ!」

【演奏中断】


「これはなんなのかな!?」

 僕は演奏を中断させて泉水に問い詰めます。返答によってはこのまま帰ることも辞しません。

「私も分かんない」

「嘘吐くな!」

「本当よ!」

「命賭ける!?」

「あんたのね!」

「なんでだよ!」

 また言い合いになります。でもこのままだとラチが明かなくなるので、僕から折れることにしました。なぜあのド変態の台詞が出てくるのか聞き出したかったですが、諦めましょう。

「……もぅ。そんなに怒んなくてもいいじゃん」

 あれ……? 僕から折れようとしましたが、意外にも泉水から折れました。

「冗談よじょーだん。……ゴメンナサイ」

「え、あ……いいけど」

 拍子抜けします。まさか泉水から謝るとは思いませんでした。

「せっかくカラオケに来たわけだし、楽しもうよ」

 それについてはなんの反論はありません。

「そうだね。……うん。僕も、怒ったりしてごめん」

 なにやら妙な雰囲気になりましたが、泉水がデュエットしよっか、と誘ってくるとすぐに霧散しました。


 そうして十時まで、僕達は点数を競い合ったり、モノマネ等をして歌い続けました。






(つづく)


 
 
山羅「今回は作者が読者に聞きたいことがあるようです。なので作者から手紙を頂いております」

泉水「その前に言いたいことがあるのは読者の方よね。『早く小説を創れよグズ』『なにやってんだよコラ』『死ね。氏ねじゃなくて死ね』『僕は新世界の神になる!』って言ってるわよ」

山羅「最後のものすごい特殊だね」

泉水「ま、いいわ。読みなさい作者の手紙」

山羅「うん。えーと、[どうも紫水晃です]」

泉水「誰?」

山羅「作者だよ。[私は皆様に聞きたいことがあります]」

泉水「ハハッ! 見ろ! 人がゴミのようだ!」

山羅「キミ黙っててよ。[私の小説に、こういうところを直せ、とかいう指摘はないのですが、それはこのままでOKですよって意味でいいですか?]」

泉水「OKOK。……ああ! ねえねえ! いま気付いたんだけど、OKって横から見ると大の字になって寝転んでる人のように見えるわよ!」

山羅「キミほんと黙ってよ。[だとしたら安心です。これからも応援よろしくお願いします]だってさ」

泉水「え、そんだけなの?」

山羅「あとは[ネタ下さい。ってゆーかくれ]ってのはあるけど、読むわけにいかないね」

泉水「読んでるじゃない」

山羅「……あ」

泉水「他には他には?」

山羅「あ、ちょっ…………グス、……作者さんごめんなさい取られました……」

泉水「えーと……[三時間で八時間眠ったような爽快眠法ねぇかなぁ][仕事しんどいマジめんどい][世の中やはり金か……]………愚痴ばっかりじゃん」


本音です。
あ。あと感想とかお待ちしております。それにより小説を創る気力が……………………………………………まあ、ほんの少しだけ上がります。











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