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フェアリーテイル・クロニクル ~空気読まない異世界ライフ~ 作者:埴輪星人

フォーレ編

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第15話

「いつも思うんだけどさ……」

 立てつづけにヒールポーション、マナポーション、スタミナポーションの三種を飲みほし、一瞬感じた怖気を誤魔化すように呆れた口調で真琴が口を開く。

「何でこの手のボスって、追いつめられると巨大化するのかしら?」

「真琴姉、その手のお約束に突っ込みを入れるのは野暮」

 真琴の軽口を、澪が妙な角度から窘める。それを言い出せば、彼らにしても巨大化している最中に手を出さないというお約束を守っているのだが、こちらは今攻撃してもダメージが出ないという明確な理由がある。

「まあ、マジレスするんやったら、巨大化っちゅうんは見た目にもインパクトでかいし、大きいっちゅうんはそれだけで単純に強いしな」

 真琴の余計なひと言に、真面目な回答をする宏。誰も真面目な答えなど求めていないのだが、こういう会話では誰かがわざわざちゃんとした答えを返すのも様式美だろう。

「あと、真琴姉。最初からパワーアップした状態で出て来い、ってのも、初回に関しては様式美に反するから却下」

「まあ、こいつらの場合、パワーアップにリスクがあるみたいだし、そこはあたしも突っ込む気はなかったけど?」

 相方のコアを取り込んでのパワーアップなのだから、そう簡単にできる訳がない。やり方がやり方だけに、できればやらずに敵を仕留めたいと思うのも当然であろう。合体ロボが基地の真ん前に居る敵と戦うためにわざわざ分離状態で出ていくようなケースとは、少々事情が違う。

「で、真琴姉。ちょっとは落ち着いた?」

「まあ、ね」

 年下に見透かされた事に対し、ヒヒイロカネの刀を抜きながら少々ばつが悪そうに答える真琴。いくら強敵だと言っても、年下の前で相手に飲まれてビビるとか、みっともないにもほどがある。

「何にせよ、相手が強かろうと弱かろうと、やる事は同じや」

 真琴が平常心を取り戻したところで、宏が全員を戦闘モードに戻すために声をかける。宏の言葉に合わせ、念のために全員に補助魔法をかけ直す春菜。最近は歌に比べて非常に影が薄いが、これがあるのとないのとでは戦いやすさが大違いだ。

「そろそろ動く」

「やな。っちゅう訳で、来いやあ!!」

 弓を構えての澪の言葉に同意し、宏がアウトフェースをかける。それを合図に、大きく動き始める闇の主。そこに合わせて、歌では無く何かの魔法を詠唱していた春菜が、誰よりも早く何かを仕掛ける。

「スネア!」

 春菜が何かの魔法を発動させると同時に闇の主の足首が大地に埋まり、一瞬バランスを崩す。

 中級障害魔法・スネア。性能はともかく見た目には非常に地味なものが多い障害魔法の中では比較的派手なもので、その効果は見ての通り、相手の足場を操作して転倒させようとする。某剣と魔法のTRPGのバージョン1、その一番最初のリプレイで、メインとなるスチャラカなパーティのとあるエルフが多用した事で有名な魔法でもある。

 実際のところ上手く決まれば効果はとても大きい魔法だが、下手に乱戦の時に使うと相手の転倒に味方が巻き込まれるため、いまいち使いどころが難しい。更に、足元が土や砂、ぬかるみなどある程度操作できる状況でなければ発動せず、熟練度が高くても頑張って石畳や岩場で発動できる程度と、そもそも使えるシチュエーション自体も限定される。TRPGの方と違って土の精霊がいなければ駄目とかそんな事は一切ないが、魔法で操作できそうな足場となると、必然的に似たような状況になってくるのだ。

 もっとも、使いどころが難しい一番の理由は、相手が地面に足をつけていなければ駄目で、多脚の生き物には効果がないことだろう。故に、そこそこの熟練度で習得していながら、春菜はこちらの世界に来てから一度も使った事がなかったのである。

「……達也もそうだけど、あんたも大概マイナーなスキル持ってるわよね」

 転倒こそしないものの見事にバランスを崩して動きが一瞬止まった闇の主。そこにとりあえず真空刃を叩き込みながら呆れたように春菜に突っ込みを入れる真琴。

「障害魔法って、使い方を見極めればいろいろ面白いんだよ?」

 無詠唱で発動できる障害魔法を発動しながら、真琴にそんな返事を返す春菜。次に発動したのはイッチ―、相手の身体のどこかにかゆみを発生させ、行動を阻害する魔法だ。流石に効果はないかと思いつつ、単に嫌がらせで使ってみた春菜ではあるが、どう言う訳か闇の主の抵抗を破ったらしい。脇腹あたりをかいている。

 流石にこれ以上余計な事をしてターゲットが移るとまずいと考え、般若心経ゴスペルを歌い始める春菜。流石に、本気で歌を歌っている時は、たとえ無詠唱のものでも並行で魔法を発動させる余裕はない。

 春菜は地味にたくさん障害魔法を習得している。だが、大ボス戦では基本的に補助兼障害役として歌を歌っている事が多く、逆に雑魚だと障害魔法を使う間もなく戦闘が終わる。特に最近やり合う事の多い大ボスは邪神関係の連中ばかりで、障害魔法なんぞよりも般若心経ゴスペルの方が、相手の能力を落とすという面でははるかに効果がある。故に、折角習得して鍛えた障害魔法も、どうにも出番がないのだ。

 達也達と合流する前は戦闘らしい戦闘はほとんど無く、しかも宏の火力に難がありすぎて春菜が攻撃に回らないと駄目だったために、これまた障害魔法を使う機会がなかった。しかも、宏と二人だけで行動していた頃に戦ったボスクラスと呼べる相手は、障害魔法の大半が効きづらいボス蜘蛛と接近戦で完封した方が早かったスキンヘッドの二種。それ以降も自身が前衛をやる必要があったり、障害魔法をかけるには相性が悪い植物モンスターだったりと、どうにも出番がなかったのだ。

 今回わざわざ障害魔法を使ってみたのは、巨大化し、変身した闇の主の足が牛の蹄になっていたのを見て、もしかしたらスネアで転ぶかも、と思ったからである。般若心経ゴスペルだけというのも芸がない、なんていう、それはどうかと思う理由もある。

 歌だけというのも芸がない、と思っているあたり、地味にボス戦ではターゲットになりやすい割に影が薄い事を気にしているのかもしれない。

「ま、相手の出鼻もくじいた事だし、宴会のためにも早く終わらせるわよ!」

 春菜が歌に切り替えたところで、景気をつけるように真琴が叫ぶ。そのまま一気に距離を詰め、相手の攻撃をかいくぐって適当に切りつける。大技を使うにしても、まずは巨大化した闇の主の防御力その他を確認しておかなければならない。

「この図体は伊達じゃないか。やっぱ、硬いわ」

 切りつけた手ごたえ、その余りの硬さに顔をしかめる真琴。無属性で特殊効果のないコストパフォーマンス最優先の技とはいえ、一応中級の単発型攻撃スキルを入れたにも関わらず、かすり傷すらついていない。

「真琴姉、聖属性攻撃は?」

「できなくはないけど、光属性のと違って火力補正が低いのしかないのよね」

 真琴の手札を確認する澪に、渋い顔をしながら答える真琴。一定時間聖属性付与、などという気の利いたスキルは持っておらず、刀は元々属性攻撃スキル自体が少ない。もしかしたら、違う流派も学べばもっと多彩な聖属性攻撃も得られたのかもしれないが、今更言っても後の祭りである。

「サンクチュアリの効果で、聖属性が強化されてる。真琴姉、その補正の低い技でも、もしかしたら効果があるかも」

「そうね、やるだけやってみるわ」

 澪の意見を聞き、とりあえず試すだけ試してみる。使う技は清風斬。刀の技としてはほぼ基本の技で、名前に風が含まれているのに何故か聖属性が付いている。

 タイミングをはかろうとボスに目を向けると、丁度いい具合に宏が敵の漆黒の鎌をスマッシュで弾いてバランスを崩させているところだった。更に彼がもう一撃スマッシュを入れて相手にたたらを踏ませたのを見て、一気に距離を詰める。

「せい!!」

 気合とともに一閃。硬い膜のようなものを切り裂き、本体に刃を食いこませる。かすり傷にもなっていないが、間違いなくダメージは通った。バリアを打ち消すために聖属性の攻撃力をすべて持っていかれたのが痛いが、そこを持っていかれてすらダメージが通るのだから、本体の防御力は大したことはない。

「なるほど、単純な防御力じゃなくて、バリアを張ってガードしてる訳ね!」

「いわゆる汎用人型決戦兵器の心の壁みたいなもの?」

「多分、そんな感じね。バリアはむちゃくちゃ硬いけど、本体はタワーゴーレムや宏に比べればかなり薄いわよ」

 恐らく比較基準としておかしいであろうことを言い放ち、再び刀を構える真琴。

「問題は、どうやってあのバリアを無力化するかやな」

 再び鎌を振り下ろしてきた闇の主をいなしながら、渋い顔で問題を指摘する宏。聖属性攻撃でなければバリアを抜けず、バリアを抜くと火力が限界まで落ちる。聖水を使った簡易エンチャントは自身の武器にしか施せないため、宏だとどうにも微妙なのだ。

「ヒロ、真琴、まだ検証は終わってねえぞ」

 先走り気味の真琴とちょっと悲観的すぎる宏を窘めながら、威力を落として持続時間を延ばした獄炎聖波で相手をあぶってみる達也。

「流石に、対策ぐらいは打ってきやがるか」

 バリアの厚みを増やして打ち消しにかかった闇の主を見て、達也が舌打ちしながら結論を漏らす。

「となると、後はこの手のバリア対策って言うと、だ……」

「高出力を一点にかけてぶち抜くか、飽和攻撃で限界まで負荷をかける、ってところね」

 言うだけなら容易い事を口にしつつ、どうしても表情は苦くなる達也と真琴。そんな対策は子供でも普通に思い付く。どちらも実行できそうにないから困っているのだ。実行できない対策など、対策とは言わない。

 一点突破に関しては、真琴か澪のエクストラスキルで何とかなる可能性はある。だが、バリアに大幅に威力をそがれると分かっていて、迂闊に切れる札では無い。バリアを抜いた後の威力が低ければ、無駄撃ち同然の状態で長いクールタイムに入ってしまう。バリアを潰せればどうにかなると分かっていて、そのバリアに折角の大技の威力を削られるのは勿体なすぎる。

 飽和攻撃にしても、バリアにある程度以上の負荷をかけなければいけない。それだけの威力の攻撃を簡単に多数叩き込めるのであれば、最初から誰も苦労はしない。

 なお、ワンボックスの天地波動砲は、この場合論外である。神殿が近すぎて、全てを更地に変えかねない派手な火力の攻撃は出来ないのだ。

「ネックを一つ解決すれば、飽和攻撃自体は何とかなるんだがなあ……」

 様子見のために聖天八極砲を叩き込み終えた達也が、結果を見て更に渋い顔をする。同時起動で二発叩き込んだうち、一発は威力を見切られたか完全にバリアにはじかれたのだ。

「ネック? どんな?」

「魔力が足りねえんだよ」

 真琴の問いかけに、簡潔に返事をする達也。観察した感じ、同じ場所に数発連続、もしくは同時に聖天八極砲を叩きこめば恐らく貫通できる。だが、それをした時点で達也の魔力は枯渇する。

 確実にダメージを与えて追い詰めるとなると、一回二回聖天八極砲を直撃させた程度ではまったく足りない。相手の魔法防御は物理防御に比べてかなり高そうな事もあり、やるなら数十発、可能なら三桁の大台に乗るだけの数を叩き込みたい。だが、どれほど優秀なエンチャントがあろうと、生身の人間の持ちうる魔力量ではそれは不可能である。

 聖天八極砲で弾幕を張ろうとするなら、裏技での同時起動と詠唱破棄、強制冷却を駆使して実行することになる。その裏技全てを組み合わせると一発頭の魔力消費が十倍近くまで跳ね上がるのだ。恐らく、宏の持つ魔力量でも、三桁叩き込むには足るまい。

「とりあえず、聖属性が乗る魔法適当に使ってどうにかできねえか確認するから、そっちはそっちで打開策を考えてくれ」

「了解」

 真琴にそう頼み、他に聖属性が含まれる攻撃魔法を適当に発動してみる。だが、聖属性が含まれる魔法のうち、達也の手持ちで最高の威力を誇る聖天八極砲がバリアを貫ききれないのだ。獄炎聖波の下位互換であるメギドフレアなど、杖の同時発動限界である五発を全部同じ場所に直撃させても多少揺らぐ程度でしかない。

(こりゃ、厳しいな……)

 毎度のことながら、ボス戦ではどうにもパワー不足が目立つ達也。マジックユーザーなのに火力が足りないのは少々情けないのだが、残念ながら聖天八極砲より強力な魔法はコストが重すぎる上に効果範囲が広すぎたり詠唱が長すぎたりで、とにかく使い勝手が極端に悪い。

 もっとも、この問題は達也に限った話では無いので、フェアリーテイル・クロニクルのマジックユーザーの間では、一定ラインから上になると「知力を上げて魔攻で殴れ」「武器を鍛えて魔攻で殴れ」が合言葉になる。とかく、基礎スペックを上げる以外に解決策が無くなってくるのが、上位のマジックユーザーの状況である。

 もっとも、今回はそうそう基礎スペックなんて上がらない、という合言葉の限界に直面してしまっているのだが。

(ネックが魔力不足だから、外部から持って来れりゃどうにかなりそうだが……)

 そんな事を考えながら、牽制の手は止めずに周囲の力の流れを観察する。宏ほど感覚の能力値が高くないためはっきりした事は分からないが、それでも魔力の感知自体はできる。

 ぱっとすぐに分かるのは、宏と闇の主の発散している魔力の大きさ。意外にも、両者の間にそれほど大きな違いはない。つまり、宏とボスとでは、出力にそれほど差がない事になる。もっとも、闇の主の能力は聖域と春菜の歌の影響で大きく落ちている。その影響が無ければ、流石に宏の出力はボスにはかなうまい。

 保有量になると、現在進行形で聖域の効果と春菜の歌に瘴気とセットで削られている闇の主の方が分が悪い。だが、その分が悪い闇の主のリソースを削り取れないのが現在の問題であり、現状の日本人チームの限界なのだが。

(あれに対して直接どうにかするのは厳しい。現状の俺の手札では、どこぞの魔砲少女みたいに無駄に漏れてる他の連中の魔力を回収するのもできそうにない。ってか、回収できてもコントロールできるのかどうか、そこが非常に危ういな)

 手札の種類を変え、こまごまといろいろ実験しながらそんな益体も無い事を考える。とにかく、少しでも効果が大きなものを探り当てねば、じり貧で押し切られる。

(……ん?)

 どうにかできないかと必死になって周囲を観察し、地脈が随分と地表近くに出て来ている事に気が付く達也。かつては感知不能だったそのエネルギーの位置を確認し、そこで一つのアイデアが浮かんでくる。

(地脈から直接魔力を引っ張り出せば、魔力不足は解消する!!)

 ファーレーンでバルドの置き土産に対してエアリスが直接地脈から魔力を注ぎ込んでいるし、クレストケイブの新型溶鉱炉も地脈から魔力を得て稼働している。地脈のエネルギーを利用する事は不可能ではない。問題は、どうやってそれを行うか。

 敵にばれないようにこっそりと地脈に自身の魔力を流してみる。表面のごく一部が一瞬小さく動く。だが、その動きは達也の望むそれとは違う。

「達也、もしかして魔力切れ!?」

 色々なパターンを試しているうちに、攻撃の手が緩む達也。それに気が付いた真琴が、微妙に青い顔をして確認をとる。

「いや、大丈夫だ。主だった手札を試し終えたから、無駄撃ちを控えたんだよ」

 真琴にそう告げると、使う前から効かないだろうと想像できる達也のメインスキル、オキサイドサークルを気休め程度に叩き込んでみる。これで酸欠を起こして倒れてくれれば大笑いだったのだが、世の中そこまで甘くはない。ある程度の拘束にはなったが、効果時間の一割も経過せずに打ち消されてしまう。

(やっぱ、どうしても不自然になるな。もう少しで手がかりがつかめそうなんだが……)

 魔力を制御して手がかりを探る以上、どうしても攻撃が手薄になり、不自然になる。何か一つヒントがあれば、その時点で一気に答えにたどり着けそうなのだが、そのヒントがなかなか見つからない。

 などとやっているうちに、どうやら達也が何をしていたのかが敵にばれたようだ。何度か達也を直接狙おうとして宏に潰され、直接攻撃は不可能と悟ったか合体前と同じ手口に走る。

「そう何回もおんなじ手ぇが通用するかい!!」

 達也がやろうとしていた飽和攻撃を、闇の主が先に仕掛けてくる。合体してパワーアップしたからか、先ほどの攻撃を防いだ宏の力場でも、今回のものはいくつか防ぎきれていない。

 宏の力場の性能が固定であれば、恐らくそのまま押し切られていただろう。だが、宏が名前も何も知らずに使っている力場・ガーディアンフィールドは、分類上はエクストラスキルになる。スキルと名のつくものは基本全て成長するし、エクストラスキルともなれば、熟練度上昇による効果増強は洒落で済まない。しかも、ガーディアンフィールドの場合、格上からの飽和攻撃を弾くと非常に成長が早くなる。

 達也が力の流れを観察しているその場で、見る見るうちにガーディアンフィールドはその厚みと範囲を増し、前衛として清風斬でちまちま削っている真琴までその対象に取りこんだ。防御力に至っては、第二形態のバルドならば達也でも無傷でしのげる可能性が出るほど強化されている。

 その力場の動きを見ているうちに、達也が何かをひらめく。

(もしかして、こうすれば!!)

 宏の広げた力場を参考に、似たような感じの、だが性質自体は大きく違う力場を作り出す達也。それを外に広げるのではなく、足元地中深くまで伸ばし、地脈に突き立てる。その瞬間、達也と地脈の間に強固なラインが形成され、相互にエネルギーが循環しはじめる。

(っ!! こいつはきつい……!!)

 地脈から自身に流れ込んでくる力に呻きそうになり、だが、どうにかコントロールを失わずに踏みとどまる。

(こいつは長くは持たねえな……)

 宏ほどのタフさがあればともかく、肉体的には普通の冒険者(と言っても五級の平均よりは上だが)に毛が生えた程度の達也では、この負荷に長く耐える事はできない。持ってせいぜい一分程度だろう。制御限界なので、仮にオーバーアクセラレートで加速したところで肉体の負荷が増えるだけでほぼ意味はない。

 とにかく弾幕を張ろうとするのだが、闇の主も達也が地脈からの魔力回収に成功した事に気が付いたか、宏と真琴を盾にするように動くために上手く射線が取れない。宏達に一旦引いてもらおうかと声を上げようとしたその時

「遺体遺棄~」

 その能天気な声が辺り一帯に響き渡り、オクトガルが一匹、闇の主の頭上に何か瓶を落として転移する。瓶が闇の主の山羊のような形の頭部に当って割れ、中身をぶちまけた所で異変が起こる。

「がああああああああ!!」

 被弾した場所を中心に、闇の主の瘴気がきれいさっぱり消え去ったのだ。どうやら中身が聖水の類、それも相当強力なものだったようで、障壁だけでなく本体も結構な範囲を浄化している。いくら聖属性攻撃が強化されているといっても、いくら闇の主にとって聖属性攻撃が弱点だといっても、宏達が持っている聖水の威力ではこうはいかない。

(今だ!)

 だが、オクトガルが何をしたかなど、この際どうでもいい。ようやく射線が取れるのだ。遠慮なく叩き込めるだけ叩き込まなければ嘘だろう。

「行くぜ!!」

 まず手始めに、詠唱を破棄して強制冷却しながら、今の杖の同時展開上限の二倍、十発の聖天八極砲を叩きつける達也であった。







「ただいま~」

 闇の主に聖水を叩き込んだオクトガルが、神殿の儀式の間へ戻ってくる。

「おかえりなさい」

「上手く行きました?」

「直撃~、直撃~」

 帰ってくるのを待っていたエアリスとアルチェムに首尾よく行ったことを報告し、褒めて褒めてとばかりにドヤ顔を浮かべるオクトガル。

「上手く行ったんだ」

「良かったです」

 オクトガルの回答にほっとした様子を見せる巫女二人。現場にこっそり残っていたオクトガルからの連絡で宏達の苦戦を知り、儀式の合間に大急ぎでその場で作れるもっとも浄化能力の強い聖水を作り上げたのが一分ほど前。それを志願したオクトガルに託し、次の儀式を始めながらも祈るような思いで結果を待っていたのだ。

「それで、現在はどのような状況ですか?」

 やりさしの儀式を済ませ、現在の状況を確認する。元々聖水を作った後にやっていた儀式は儀式というほど大層なものではなく、単に流れを安定させるためのちょっとした陣の書き換えにすぎない。手順こそ凝ってはいるが、二人の動作は指定されたステップを踏むだけ、二分もあれば終わるものだった。恐らく二人がかりで舞のようなステップを踏まされていなければ、儀式などという大げさな単語は使われなかったであろう。

 この後しばらくは状況を確認しての微調整が続くため、現段階ではできる事がない。なので、オクトガルから現状報告を聞く事にする。

「それで、今どうなってるの?」

「タッちゃん頑張ってる~」

「弟事故死~」

「来年は甲子園~」

「渡米~、渡米~」

「中の人はグレーゾーンなの~」

 いきなり連想ゲームで方向がずれるオクトガル達だが、方向がずれるのはいつもの事なので細かい突っ込みはしない。

「そういえば、あなたを送り出す前、誰かが地脈とつながっていました。もしかして……」

「タッちゃん頑張ってる~」

「そうですか……」

 エアリスの質問に、答えといえるかどうか微妙な回答をするオクトガル。オクトガルの言葉から察するに、恐らく地脈に干渉していたのは達也だろう。地脈のエネルギーを扱うのは、巫女でもない人の身ではかなり難しい。そこまで考えて少々心配になり、地脈を通じて様子を確認するエアリス。

「……まあ……」

 地脈の流れを確認したエアリスが、思わず絶句する。一度にかなりの量の魔力を吸い上げている事もだが、その使い方の高度さに言葉が出ないのだ。

「エル様、どうしました?」

「……タツヤ様が、相当無茶をなさっているようでして……」

「そうなんですか? ……って、これ……」

「間違っても、地脈の力を使って行うような事ではありません……」

 エアリスの絞り出すような言葉に、表情を凍りつかせたままアルチェムが頷く。

 地脈の力は、大きさが大きさだけに繊細な制御には向かない。そのため、地脈から力を借りて何かをする場合、威力や規模を最優先にした大技の儀式か、宏が作った溶鉱炉のように垂れ流しになっている飛沫程度の力を回収して利用するかのどちらかが普通だ。

 間違っても地脈に直接接続した揚句、コンマ何秒単位のシビアなタイミングが要求される高度で繊細な魔法の使い方はしない。むしろ、使っている攻撃魔法を限界までブーストして叩き込む方が、使い方としては正しい。というより、一度の詠唱で同じ魔法を多数発動させたり、詠唱を強引に破棄したり、次までの冷却時間を無理やりキャンセルしたりという、制御が難しい上に世界に喧嘩を売るような真似をするために地脈からのエネルギーを必要とする人間は、まずいない。

 地脈から自身に流れ込むエネルギーの手綱を握るだけでも大変なのだ。そこに体力や制御能力を持っていかれている状況で、そんな集中力を要求する真似をできるかというと、普通はできない。

「……やっぱり、タツヤさんも知られざる大陸からの客人、ですね……」

「ですが、そろそろタツヤ様も限界ではないかと思います。まだ相手が倒れていない以上、私達もできる限り支援しなければいけません」

「ええ!」

 達也の奮闘を確認し、なすべき儀式を確定するエアリスとアルチェム。そんな二人を見ながら、オクトガル達はのんきに儀式の間を飛び回るのであった。







(どういう事だ!?)

 突如大きな魔力を身にまとい始めた達也。彼からなかなかの密度の弾幕が飛んできた事に、驚愕を隠せない闇の主。

 これが単なる弾幕であれば、それでも余裕を保つ事は出来たであろう。だが、達也の放った弾幕は、これまでの戦闘でもっとも威力の大きかった魔法だけで構成されている。一発二発なら、ぎりぎりではあるが直撃を食らったところでバリアで防ぐ事が出来るが、秒間十発前後となると不可能だ。

 飛んで逃げようにも先ほど頭上から食らった聖水のダメージが抜けておらず、飛行能力が失われている。結局、闇の主はなす術もなく、上位魔法による飽和攻撃などというとんでもないものをその身で受け止めるしかなかった。

「兄貴!?」

 突然の達也の行動に、驚愕の声を上げつつとりあえず闇の主から距離を取る宏。射線は塞がないに越した事はない。

「えらくいきなりパワーアップしたけど、一体何があったってのよ?」

「達兄、いくらなんでもその数は魔力が持たないはず……」

 真琴と澪の疑問に答える余裕も無く、ただひたすら無心に大量の聖天八極砲を叩き込みつづける達也。脂汗をにじませながらも、魔法を使う手は止めない。

 何かを察した春菜が、そろそろ相手が慣れて抵抗力がついてきたらしい般若心経ゴスペルをやめ、呪歌をゴスペルアレンジしたものに切り替える。

「何故だ! 何故貴様が地脈を!!」

 達也が地脈の力を使い始めた事を察し、その理不尽さに大きく吠える闇の主。そこに歌が流れ、魔法に抵抗しようとする力をそいでいく。

 春菜が歌った呪歌は、魔法防御と魔法抵抗を減少させる歌であった。歌っている本人を除き、敵味方関係なく聞くものすべてに影響を与えてしまうため、余程状況をちゃんと見極めねば使えないものだが、今回に限っては闇の主に魔法攻撃をする余裕などない。それに、精神力が高ければ呪歌の影響を振り払う事は難しくない。真琴と達也、そして聖域の効果とゴスペルアレンジの影響で抵抗力を大きく削られている闇の主には効果が出るだろうが、澪だと五分五分、宏なら間違いなく影響が出ないだろう。

 滅多にない使いどころ。それを見切った春菜は、ここが勝負どころとばかりに歌い続ける。三十秒を過ぎたあたりから達也の体、そのあちらこちらの血管が破れはじめ、そして……

「これが、限界か……」

 達也が弾幕を張り始めてから約一分後、ついに限界が訪れた。限界を迎えた達也を見て、春菜が更に歌の内容を変える。リターンヒールをゴスペルアレンジし、聖歌を維持しながら魔法を発動させたのだ。

「わりぃ、いろんな意味でこれで打ち止めだ……」

 その場に膝をつき、肩で息をしながら謝罪する達也。身体こそ春菜の魔法で回復したものの、集中力が限界を超えたため、立っていることすらできなくなったのだ。

「止めまで持って行きたかったが……」

「大丈夫! 奴も今のでバリアを張る余力すら無くなったみたいだから!」

 いろんな意味で非常に辛そうに告げる達也を励まし、追撃に移ろうとする真琴。だが、所詮バルドの上司とか言われそうなポカを繰り返したとはいえ、闇の主も曲がりなりにも邪神教団の幹部だ。仕留めきれなかった時点で、何もせずに終わることなどあり得ない。

「もはや、我が命も持つまいが……」

 既に立ち上がるのもやっとというところまで追い込まれ、更に地脈を通してスティレンから干渉してくる巫女の力に命を削られながらも、意地と気合で立ち上がる闇の主。

「我に力を託した同胞のためにも、このままで、終われるものか!!」

 地脈からの力、その飛沫を強引に取り込み、最後の賭けとして命を削りながら大技を発動させる闇の主。その技の性質を見切った宏が、思わず顔色を変える。

(防御力完全無効の物理属性やと!?)

 宏にとっての天敵とも言える技。本来ならそれだけの攻撃を宏に撃ちこむとなると、技の威力に関係なくバルドの十体やそこらでは足りないコストが必要となる。実効性のある威力を伴わせようとするなら、そのコストは指数関数的に跳ね上がる。真琴がタワーゴーレムに防御貫通の技を使えなかったのも、そこが原因だ。

 だが、元がダンジョンを作り出せるほどの力を有している闇の主が、己が存在を削って使うのだ。コストなどどうとでもなる。

「共に逝こうぞ! ソウルクラッシャー!!」

(あれは絶対に後ろに通されへん!)

 半ば崩れかけながら放たれた最後の一撃を見て、色々覚悟を決める宏。恐らく、宏ですら即死する威力。回避しようとすれば、いや、回避しようとしなくても、ほぼ確実に宏をぶち抜いて後ろの達也と春菜を襲う。体力的に余裕がある春菜はともかく、へたりこんでいる達也はこの攻撃を回避できない。

(誰か一人は道連れってか。最後までやらしいやっちゃな……)

 妙にスローモーションで飛んでくる黒い錐を見ながら、そんな益体も無い事をちらっと考える宏。恐らく、闇の主との戦闘が始まった直後にこの攻撃が来ていれば、冗談抜きでなすすべもなくやられていただろう。

 だが、ここまで旅を続けてきた宏は、今更大人しく死んでやるようなかわいげなど捨てている。闇の主からの飽和攻撃をしのいだときに使った力場の、もっと正確にいえばその根源となる力のもう一つの使い方にも気が付いている。後は、それがうまく機能するかどうか、賭けるだけだ。

「たかがへっぽこ上司の攻撃ごとき……!」

 気合を入れて身体の奥底から無理やり力を引きずり出し、活性化させる。その時点で自らの肉体が大きく変化したような感覚があるが、この場では無視して更に力を変化させる。体の隅々まで循環させ、さらに外部からも徹底的に力を取り込み、圧縮して循環し、を一呼吸の間にとことんまで繰り返す。

「なんぼの、もんじゃい!!」

 圧縮を始めた時点でごそっと持っていかれたスタミナを無視し、限界を超えて圧縮した力を相手の攻撃に叩きつける。次の瞬間、防御力を無視するという概念が圧縮された力とぶつかり合って打ち消し合い、致命的な威力を持つ特殊攻撃から一気にただの高威力攻撃に引きずりおろされる。エクストラスキル・金剛不壊の発動に成功した瞬間であった。

 そして宏に着弾。既に維持限界を超えた力場は消失しているが、スキルにより作り替えられた肉体に阻まれ、かすり傷一つつけられずに消滅する。

「……やはり、最後まで貴様が阻むか……」

「知った、事かいな!」

 ごっそり持っていかれたスタミナに膝をつきそうになるのをこらえ、息を整えながら闇の主の戯言を一言で切り捨てる宏。もはや死が確実だとはいえ、完全に死んだわけではない。この場に居る全員、それが分かっているため、確実に止めを刺すために大技の溜めに入っている。

「……最後の賭けも不発だったが……」

 切れ切れに言葉を紡ぎながら、まだ完全敗北を認めていない目で己の中の残滓を呪詛に変換していく闇の主。過去のバルド達同様、もはやここからの復活はままならぬほど消耗しているが、それでも一撃防いで何か最後っ屁をかますぐらいの余力は残っている。その余力を先ほどの攻撃に乗せておけば、と言いたいところではあるが、防御力完全無効の特性がなければ誤差の範囲なので同じ事だろう。

 もはや宏達を標的にしても無意味だ。ならば、せめて聖域に対して置き土産をしていくぐらいはしないと、犬死どころか相手にパワーアップのきっかけを与えただけで終わってしまう。

「同胞よ、後は頼むぞ!!」

 そう吠えて自爆しようとした所で、呪詛の芯となる部分を凄まじいエネルギーを乗せた一本の矢が撃ち抜いて吹き散らす。

「命中」

 エクストラスキル・巨竜落としを放って呪詛を拭き散らした澪が、淡々と告げる。最初は闇の主のコアを撃ち抜くつもりだったが、そこを潰しても呪詛が完成してしまうと判断し、直前で狙いを変えたのだ。

「そうそう毎回毎回置き土産を許すとか、あり得ないっしょ」

 澪の一撃を引き継ぎ、疾風斬で闇の主をばらばらに切り裂きながら、呆れたように真琴がコメントを残す。往生際悪く新たな呪詛を完成させようとしていた闇の主も、流石に消滅寸前でこの技に耐えきる事は出来ず、完全に邪神の眷族としての力を失ったコアだけを残して消滅する。

「ふう、お疲れ」

 念のために構えを解かずに様子を見ていた真琴が、コアが完全に沈黙したのを確認して、ため息交じりに終了宣言をする。

「流石に、ちゃんと大技二発で終わってくれたみたいやな……」

「あそこまでダメージ受けてて、それでもまだ疾風斬と巨竜落とし食らって余計な事できる余力があっちゃあたまんないわよ」

 ため息の後闇の主のコアを拾いながら漏らした宏の言葉に、疲れをにじませながら真琴が応じる。

「とりあえず、凄くお腹減った……」

 歌をやめて完全に警戒を解いた春菜が、キュルキュルと可愛らしく小さな音で自己主張するお腹を押さえて、切なそうに告げる。彼女の母方の家系の体質上、本気の歌を長く歌うと大量のカロリーを消費する。今回は一時間以上、それも命がけで歌っていたのだから、カロリー消費もかなりのものである。

 恐らく今体重をはかれば、五キロ以上落ちているに違いない。

「俺は気力が完全に尽きた。正直動きたくねえ……」

「スタミナ的な意味でこんだけ疲れたん、本気で久しぶりや……」

 今回エクストラスキルを長時間発動させた達也と、二つ同時に使う羽目になった宏が完全に地面にへたりこむ。

「ねえ、春姉」

「何?」

「ボクもお腹減った」

「ん、了解」

 澪の要求に一つ頷き、すぐ食べられそうなものを適当に漁る春菜。この後間違いなく大宴会に巻き込まれるが、春菜は宴会の席で歌わされるのが確定で、澪の胃袋は異次元につながっている。ここで少々食べた所で、体重には大して影響がない。

 とりあえず発見したベヒモス尻肉の燻製を取り出し、軽くあぶってかじる事に。

「あ、春菜。あたしにも頂戴」

「真琴さんも欲しいかなって思ったから、用意してるよ」

「春菜、愛してる!」

「宏君達も、食べるよね?」

「せやな。頂戴」

「あ、これ、エルちゃん達のところに持っていって。みんなで分けて食べてね」

「は~い」

 極度の緊張から解放され、神殿の状況を確認する前に軽くおやつ(というには重いが)で一息入れる事にする一行であった。







 一方、どこかの闇の中では……。

「……西部に残してきた連中が、全滅した」

「……やはり、強引にでも戦力を残しておくべきだったか……」

「だが、女型のモンスターを向こうに割くには、ウォルディスの状況が悪すぎた」

「……そうだな……」

 長く起こらなかった闇の主の欠員。その異常事態の発生に、残りの連中が騒然としていた。

「奴らの敵を討とうにも、今回の一件で西部の足がかりがすべて潰された。単純なテロ行為以外でもう一度手を出すには、最低でも五年は見ておかねばなるまい」

「テロ行為も、神共が力を盛り返したこの状況では、街の中での襲撃は力を大幅に削られるから難しい。下手をすればこちらが一方的に被害を受けるだけで終わりかねん」

「かといって、街の外で仕掛けた所で、それこそダールのバルドが始末された時のように、正体不明の大火力攻撃で一蹴されかねん」

「教徒どもは残っているが、残念ながらこちらから接触する経路が限定され過ぎている。それに、聖気に祝福されきった人間なぞ、司令塔なしでは大して使い物にならん」

 まさに八方ふさがり、という風情の状況に、思わず全員が沈黙する。

「……結局、我らが行うべき事は、何一つ変わらぬ」

「……そうだな」

 しばしの沈黙の後、闇の主の一人が出した結論に全員が賛同する。

「連中の行動予測は可能か?」

「ウルスでの行動から予測するならば、次はローレンの首都・ルーフェウスだろうな」

「……大図書館か」

 ルーフェウスと聞き、即座に目的地を割り出す。もっとも、賢者の国ローレンに来る人間は、大抵がルーフェウスにある大図書館か賢人学園、あとはローレンの国土中央付近にあるローレン大迷宮のいずれかに用事があるのだが。

「大陸中央に足を踏み入れたと思ったら、また手を出しづらい場所か……」

 自分達の勢力が残っている地域に来るのに、結局手を出せない事を闇の主の一人が嘆く。

「だが、裏を返せば、そこでそれなりの期間、足止めされるとも言える」

 その嘆きに対し、別の闇の主が別視点からの意見を述べる。

「そうだな。連中の進軍速度は分かるか?」

「分かっている限りで、ウルス・ダール間を十日を切るぐらいだな。ダールからフォーレまで、途中寄り道をして三日といったところだったか」

「……速いな」

「連中のゴーレム馬車は特別製のようだからな。あれより速くとなると、空を飛ぶぐらいしかなかろう」

 かなりの移動速度に、再びその場を沈黙が覆う。

「だが、大図書館に用がある以上、ルーフェウスでの滞在も一日二日という訳にはいくまい」

「うむ。フォーレからローレンまで一週間、ローレンからマルクトまで、やはり一週間とみて……」

「ウォルディスまで、移動だけで一カ月以上はかかる。大図書館にどれだけ時間をかけるかは分からぬが、それでも二カ月近い猶予はあるはずだ」

「ならば、一カ月以内にウォルディスを片づければ問題ないな」

 状況を分析し、ようやく余裕を取り戻す闇の主達。

「少々猶予が無くなったが、西部の連中がこちらに戦力を回してくれたおかげで、十分達成可能な目途はついている。このあたりでいい加減、一矢報いておかねばな」

「ああ。ウォルディスを落とせば、太陽神と月光神の力を大きく削ぐ事が出来る。時空神と大地母神がフリーになってしまったのは痛恨だが、その分を取り戻す事ぐらいはできよう。上手くやれば、イグレオスにとらえられているあの方の一欠けらを取り返すことも可能だ」

「ならば、連中については情報収集だけにとどめ、しばらくはウォルディス攻略に専念。西部の連中の仇討はウォルディスが終わるまで先延ばしだな」

「その分、徹底的にやってやる」

 まとめ役の一言に同調し、今後についての結論を出す闇の主達。

「では、我らのなすべき事をなすぞ。この世を聖気で満たすために!」

「この世を聖気で満たすために!」

 例の合言葉を唱和し、復讐心を胸の奥にしまい込んでウォルディス攻略の最後の詰めに入る闇の主達であった。
最初、異次元につながっている。 が
胃次元につながっている。と変換されて
ある意味間違ってないからそのまま行くべきかと悩んだのはここだけの話。

後、金剛不壊とガーディアンフィールドは表裏一体のスキルなので、どっちか取るともう一方の取得ハードルが大きく下がります。

地脈接続は、地脈のエネルギーを感知した経験がある、という条件が非常に厳しいため、これまた発見されていません。
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