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フェアリーテイル・クロニクル ~空気読まない異世界ライフ~ 作者:埴輪星人

ダール編後日談・こぼれ話

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後日談 その3

 それは、イグレオス神殿からの出向者も決まり、ようやく魔道具作りの訓練が始まる日の事であった。

「あの、ヒロシ殿、少々よろしいでしょうか?」

「どないしましたん?」

「この建物の地下から音が聞こえてくるのですが、何かあるのでしょうか?」

「音……?」

 神殿から出向してきた男性にそう問いただされ、少し考え込む宏。ダールの工房の地下には、収納庫と作業部屋が二つある。収納庫はエンチャントで容量を拡張した上容積を共有してあるため除外するとして、二つある作業部屋のうちどちらかから音が漏れている事になる。

「地下室から音、なあ……。何かあったかなあ……?」

 とはいえ、ウルスの工房とつながった今、ダールの地下作業室はほとんど使う必要がない。今現在も誰も使っていないはずで、音が漏れることなどないはずである。そう考えながら、何か引っかかるものがある宏。何か引っかかるものはあるのだが、それが何か思い出せない。

「ちょっと思い出せんから、地下室確認してくるわ」

 結局思い出せず、地下を確認した方が早いと結論を出す宏。男性をその場に残して地下に降りた瞬間に、忘れていた事を思い出す。

「せやせや。邪神像の浄化やっとったん、忘れとったわ」

 厳重に封印した扉の奥から漏れて聞こえてくる春菜の歌を前に、そんな風に独り言をつぶやく宏。地下遺跡に行く前に聖水に漬け込んで、春菜の歌を聞かせっぱなしにしたまますっかり忘れ去っていた邪神像。恐らく春菜であれば、地下室と聞いた瞬間に思い出していたであろうが、宏にはそんな人類として間違った記憶力は持ち合わせていない。結果、直接見るまでは思い出せなかったのだ。

 厳重に封印してあるといっても、元々そんな長期間放置する予定はなかったため、そろそろ効果が弱まってきている。結果として防音結界も効果が薄れてきており、ついに人によっては音漏れが聞こえてくるような状態になってしまったのだ。

「そろそろ熟成も進んでるやろうし、ええ加減処分した方がええやろなあ」

 熟成と言う単語が正しいかどうかはともかくとして、漬け込んでからかなり時間が経っている。もしかしたら消滅している可能性もないではないが、そこまでヤワだとも思えない以上は確認して処分すべきであろう。そう考えて春菜と澪に連絡を取る事にする宏。

『春菜さん、澪、ちょっとええか?』

『何? どうしたの?』

『師匠、何か作業?』

 声をかけてすぐに、春菜と澪が応じる。二人とも今日は何やらやりたい事が出来たとかで、別々に行動している。と言っても大した事をしている訳ではない。春菜は宏と真琴の誕生日に向けて、今の時期しか確保できない食材をチェックして回っているだけだし、澪は最近ようやくきつくなってきたブラを新調するため、オルテム村の近くでジャイアントスパイダーを狩っているだけである。

 ジャイアントスパイダー狩りに関しては、霊糸が腐るほど余っているのに何故に今更スパイダーシルク、と思わないでもない澪だが、宏が女物の下着、それも体に合わせたブラジャーなど作った日には半日は使い物にならなくなるし、澪が霊糸や霊布を扱うにはまったく技量が足りていない。かなり不格好なレースのパンティぐらいは作れるかもしれないが、それ一つ作る間にどれだけの道具を駄目にするか分かったものではない。故に、技量を伸ばす意味も兼ねて、かなり手の込んだやり方でスパイダーシルクを作ることにしたのだ。

『邪神像の事、覚えとるか?』

『あ~! そう言えばあれ、歌聞かせっぱなしじゃなかった!?』

『……そう言えば、そんなものもあった。ボク、すっかり忘れてた』

 宏が切り出した用件を聞き、思わず大声を出す春菜と思い出すのにワンテンポ遅れる澪。どうやら、二人ともきっちり忘れていたらしい。優先順位が低い上にあれこれあったため、ある意味では仕方がない事だろう。

『さっき、神殿から修行に来た兄ちゃんに地下から音が聞こえる、っちゅう話聞いてな。地下室に降りた時に思い出したんやけど、流石にそろそろ処分せんとあかん、思うねんわ』

『それは当然、そうだよ』

『で、な。モノがモノだけに一人でやるんもちょっと危ないやろうから、急ぎの用がないんやったら、悪いけど手伝ってくれへん?』

 宏からの要請に、迷うことなく承諾する春菜と澪。二人とも、現在やっている事はこれと言って特に緊急性がある内容ではない。春菜の用件は明日でも明後日でも問題ないし、澪の方も繭玉は十分に確保できている。後は夜なべしてちまちま作っていけばいいだけだ。

『ほな、こっちである程度の準備はしとくから、悪いけど早めに戻ってきてな』

『了解』

『すぐ行く』

 春菜達の返事を聞いて通信を終えると、とりあえず後処理のための準備の前に、弟子達に指示を与える事にする宏。内容は、触媒の採取。今日からの授業でエンチャントの練習に使わせる予定だった物を、自分達で確保させるのである。あまり危険のある場所に生えているものを使う予定はないが、念のために達也と真琴に連絡を入れ、護衛をしてもらう事にする。

「さて、どうなっとる事やら」

 念のための結界具やら何やらを準備しながら、微妙にため息交じりにこぼす宏。どうにも熟成のしすぎで、余計な方向に進化してるような気がしてならない。

 こうして、余計なトラブルを巻き起こしそうな危険物の処理は、着々と準備が整えられていくのであった。







「で、師匠。どうなってる?」

 ダールの工房に戻ってきてすぐに、澪が状況を確認する。

「中見んのは今からやけど、恐らく碌な事にはなってへんやろうなあ、思うわ」

 宏の言葉に一つ頷き、その先を促す澪。澪に促されて、封印を解除して少し扉を開く宏。扉の向こうは、妙に清浄な空間になっていた。

「……瘴気のかけらもあらへんなあ……」

「地脈まで浄化されてる?」

「みたいな感じや」

 どうやら、神の歌の性能を甘く見過ぎていたらしい。いくら二週間以上エンドレスで流し続けたといっても、単に録音しただけのものにここまでの浄化能力があるとは思いもしなかった。とはいえ、エアリスが本気を出せば儀式なしで同じ結果を出せるのだから、所詮は劣化コピーという事なのだろう。

「で、肝心のブツは、っと」

 一通り部屋の観察を済ませ、肝心の邪神像はどうなっているのかと確認すると、すっかり最終解脱を済ませ、妙に恍惚とした様子でピクリとも動かなくなっていた。既に瘴気など、かけらも漏れてはこない。

「なんかこう、極めて不気味や」

「うん、不気味」

「不気味だよね~」

 後ろから掛けられた第三の声に宏と澪が振り返ると、いつ来たのか春菜が二人の肩越しに邪神像を覗いていた。

「春姉、いつ来たの?」

「今さっき。それにしても、録音した歌を流し続けただけで、ここまで行くんだね」

「みたいやな。浄化系の装備作るときは、二週間ぐらい鍛冶場と溶鉱炉を封鎖して、エンドレスで歌流しといたほうがええかもしれへんなあ」

「なんか、だんだん歌って言う要素から外れて来てる気がするんだけど……」

 ジト目で放たれた春菜の突っ込みに苦笑しつつ、とりあえず邪神像を詰め込んだ瓶を回収する宏。どう処分するにしても、まずは解析してからだ。このまま砕いて捨てればOK、と言う訳にはいかないのは間違いないのだから。

「さて、こいつはどないな事になっとるのやら」

「素材にはなる?」

「なるとは思うけど、どういう素材になるかははっきり言えんわ」

 春菜の質問にそう答え、とりあえず同じ地下にあるもう一つの部屋に移る。上の階の作業場は今後も神官たちの訓練に使うため、妙な影響が出ては困るからだ。

「で、師匠。何から調べる?」

「まずは簡単なところで、瓶の聖水がどうなっとるからか、やな」

 そう言いながら水質チェッカーを取り出す宏を見守る春菜と澪。このあたりの作業では、まだまだ彼女達に出番はない。

「……物理的な意味では、このまま飲んでも特に問題ない感じや。魔法とか神秘とかそっち方面やとどうか、っちゅうと……」

 続いて取り出した魔石やその他もろもろの機材にスポイトで瓶の聖水をたらし、色の変化をはじめとしたもろもろの反応を確認する。見た感じ、害のある反応は見せてはいないが、少なくとも単なる聖水ではなくなっているのは間違いない。

「害はないけど、ただの聖水でもなくなっとるなあ。非常に嫌な予感がするわ」

「嫌な予感?」

「何ちゅうかこう、僕にとっては致命的な事になりそうな、そんな予感?」

「何でそうなるのかは分からないけど、何を心配してるのかは分かったよ」

「とりあえず、害はないはずやけど直接触るんは無しの方向で」

 宏の言わずもがなな注意に、真剣な顔で頷く二人。はっきり言って、触りたくもない。だが、世の中、トラブルと言うのは起こるときは起こるもので、

「くしゅん!」

 特に原因になりそうなものがあった訳でもないのに、急に鼻の奥がむずむずしてこらえきれず、思わず小さくくしゃみをする春菜。その挙動で作業机を揺らしてしまい、瓶の中から聖水がこぼれる。

「あっ」

「ご、ごめん!」

 色々慎重に扱わなければいけない危険物をこぼしてしまった事に対し、大いにあわてながら布巾を取り出す春菜。慌てるとろくなことがないのはどんな時でも共通で、この時も慌てて素手で布巾を使って作業机を拭くという、危険物を扱う上であるまじき行動を取ってしまう。そのため、宏と澪が止める暇もなく、布巾にしみ込んだ聖水を直接触ってしまった。

「春菜さん、そら何ぼなんでもまずいで……」

「春姉、まずはゴム手か何かを用意してからだと思う……」

「あっ……」

 二人に指摘されて、思わずしまったという顔をする春菜だが後の祭り。触れて湿り気が分かる程度には滲み出ていた聖水が、ばっちり春菜の掌を湿らせる。

「とりあえず、触ったところ見せて」

「う、うん……」

 自分でもやばい、と思いながらも、宏の指示に従って掌を見せる。見た感じ、若干湿った感じがする以外には特に変化はない。肌が妙につやつやしているように見えなくもないが、聖水を肌に塗ると一時的にこうなるので特におかしなことはない。現時点で聖水としての特性は失われていないので、春菜の肌が普段以上につやつやになったのは問題ない。

「……とりあえず、見た感じ問題はあらへんけど……」

「師匠、この手のアイテムでの状態異常は、すぐに出てこない」

「せやなあ。しばらく経過観察やな」

 これと言って特に変化があるでもない春菜を見て、とりあえずしばらくは様子を見る事に決める宏と澪。実際、変化が出て来なければ対処のしようがない。

「うう……、ごめんなさい……」

「まあ、生理現象ばっかりはどうにもならんしなあ」

「なんだか私、ダールに来てからやらかしてばかりのような気がする……」

「まあ、人間、そんな時期もあるんちゃう?」

 どうにも普段やらかさない種類の迂闊と言っていいミスが続いている事に、心の底から落ち込む春菜。いい加減そろそろ、もう少し冷静に行動できるように色々切り替えなければまずいだろう。

 そんな感じでどっぷり落ち込んでいる春菜を、割と適当な言い方で慰める宏。実際のところ、やらかしている度合いで言えば、春菜達を巻き込んで勝手に地底に潜った宏に勝てる人間はいまのところいないのだが。

「そう言えば、やらかしたと言えば……」

「ん? 澪、なんかあるんか?」

「えっと、この像がここに来るきっかけになったデントリスさん、その後話題に上がってない」

「あ~、そう言われてみればそうやなあ」

 すっかりこちらにちょっかいをかけてくる事も無くなったデントリス。おかげで、全員存在そのものを完全に忘れ去っていた。

「別にどうでもええからスルーしとったけど、また変なちょっかいかけられても鬱陶しいし、間ぁ見て女王様か神官長に話聞いてみるわ」

「そうだね」

 久しぶりに話題に上ったデントリスだが、基本的にどうでもいい事だからか、それだけで即座に話が終わってしまう。恐らく宏が地下遺跡に行くという暴挙をしなければ、洗脳される前に噛ませぐらいにはなれるだけの活躍をする機会もあったのだろうが、今更もしもの話をしても無意味である。

「さて、気分変えて、もうちょいこいつらの特性をチェックしよか」

 宏の言葉に頷き、魔力パターンから何から何まで、調べられる事を徹底的に調べる春菜と澪。終わるころにはすっかり、デントリスの事も聖水に触ってしまったことも意識の表層から消え去っている三人であった。







 一方、弟子達の採取に付き合わされた達也と真琴は、と言うと。

「こっちの手伝いなんかしてていいのか?」

「大丈夫。もう、ダールでの調べ事は全部終わった。殿下からも許可は出てる」

「そうか、ならいいんだが……」

 唐突に表れたレイニーを交えて、とりあえず周辺のモンスターを適当に排除していた。宏に指定された場所がダールの街からも街道からもやや離れている事もあり、攻撃性は皆無だが放置するのも少々危ないタイプのモンスターが結構いるのである。

 無論、所詮は街の近くのモンスターなので、間違って噛まれたりしてもそれほど大きなけがはしない。どれほど運が悪くても、等級外ポーションで治らないほどの怪我はしない。それに、ゲームと違い、一度噛まれたからと言って仕留めるまでずっと攻撃を食らい続ける訳でもなく、慌てず騒がず相手のテリトリーから少し離れれば戦闘にすらならない。つまり、基本的にそれほど危険はないのである。

 それほど危険はないのだが、それでも怪我は怪我。しかも、今回は採取にも戦闘にも不慣れな神官たちが三人もいる。それゆえに、過保護だと分かりつつも達也と真琴を護衛につけたのだ。これがファム達だけならば、わざわざ護衛などつけない。いざという時の逃走用転送石を持たせて終わりである。

「それにしても、どういう風の吹きまわし?」

「明日ぐらいから、フォーレに向かう。向こうでの先行調査がある程度終わるまで、またしばらく顔を見せられない」

「それで?」

「ここでお手伝いしてポイントを稼いでおけば、ハニーから少しぐらいご褒美もらえないかと思った」

「……まあ、いいけどね……」

 凄まじく下心満載のレイニーの回答に、結局そこかと言う表情を隠しもしない真琴。この分では、宏がレイニーのおっぱいを揉まざるを得なくなる日も近そうだ。

 普通なら揉まされる方にとってもご褒美じゃないのか、と、春菜には遠く及ばないまでも普通にそれなり以上には豊かなレイニーの胸元をチラ見しながら思う真琴だが、まだまだ宏にとっては拷問以外の何物でもない。揉んでくれと言って喜んで揉めるようならば、そもそも遺跡の地下の時みたいに状況的に不可避でかつ、恋愛感情が絡んでいなくても普通は文句を言われる事はないような状況で女体と密着して、ああもダメージを受けることなどあり得ない。

「宏も難儀な状況よねえ……」

「まったくなあ」

「何が難儀って、事情を知っててなお、いまいち同情しきれないところかしら」

 普通の男ならば羨ましいと思うであろう要求でいらぬダメージを受けることになりそうな宏。その事にいまいち同情できなくて困りつつ、素材としての状態も考慮しながらちょっと大型の芋虫を仕留める達也と真琴。滅多に噛みついてきたりはしないモンスターだが、こいつの歯は皮の手袋ぐらいは貫通してくる。運が悪いと指の一本ぐらいは普通に無くなるため、念のために先手を打って仕留めておく。

「とりあえず、この程度の協力だと、おっぱい揉んでっていう要求は通らないと思うけど、それでもいいの?」

「問題ない。それは第一段階目標だから」

「第一段階って事は、やっぱり最終目標って……」

「もちろん、体の隅々まで揉んでなめて吸って噛んで蹂躙してもらった上で、たっぷり子……」

「はいストップ。子供がいるところでそういう露骨な発言は無し」

 何処までも目標が明確でぶれないレイニーに、呆れてため息をつく真琴。何が厄介かと言って、こいつの場合恐らくではあるが、宏の行動であれば、鞭か何かで叩かれたところで普通に喜びそうなところであろう。

「非常にどうでもいい事なんだが……」

「何よ?」

「こいつの目標って、ある意味春菜や澪の目標と同じなんじゃないかって気がするんだが、どう思う?」

「……まあ、着地点はもうちょっとノーマルだとは思うけどねえ……」

 宏と男女の関係になる、と言うのは、別にレイニーだけの目標ではないのは事実だ。いろんな意味でもう少し慎みと言うものがあり、もう少し内容がソフトなものなのは間違いないが、それでもある種の通過点として肉体関係を持つというのは存在する。

 ただし、本来通過点、それも倫理・道徳的には結婚してから通過すべきポイントであるはずの事柄なのに、宏の場合は先にここを通過できないと結婚とかあり得ないぐらいにこじれている所が、色々な意味で非常に厄介なのだが。

「……これぐらいなら、素材取れる?」

「まあ、問題ないだろう」

 どうやら神官の一人がうっかりテリトリーに入って派手に刺激してしまったらしい蛇を一撃で仕留め、確認を取ってくるレイニー。基本的に大人しい上に特に毒とかを持ち合わせている種類ではないが、とぐろを巻いてからの体当たりは当りどころが悪いと骨ぐらいはやってしまう。こういう生き物を不注意で結構な数刺激しているあたり、宏がわざわざ護衛をつける理由も良く分かる。

「とりあえず神殿から来た皆様に関しちゃ、戻ったらちっとばかし反省会が必要そうだな」

「そうね。不慣れなうちは仕方がないとは言っても、もうちょっと落ち着いて慎重に行動してもらわないと」

 女性神官の背中を狙っていたバッタを追っ払いながら、戻ってからの予定を話し合う達也と真琴。今後も素材を自分達で集める必要がある事を考えるなら、採取すべき素材に全神経を集中させるのではなく、周囲に注意を配りながら素材を見つけ、丁寧に摘み取るという芸を身につける必要がある。

 一見して無茶苦茶な事を言っているように聞こえるかもしれないが、それぐらいの事はファムやライムでも普通にやっているのだ。神官たちは大人なんだから、子供にできる事ぐらいはちゃんとやって貰わなければ困る。採取周りは門外漢の真琴ですら、このあたりで採れるランクの素材なら周囲に意識を向けながら採集できる事を考えれば、それほど無茶な言い分でもないはずである。

 もっとも、真琴の採取技能は最初にボーナスが入る十で止まっているため、ここらで取れる物のうち半分ぐらいは識別できなかったりするが。

「……お仕置き?」

「目を輝かせてるところ悪いが、お前さんはする方でもされる方でも関係ないからな」

「……しょんぼり」

「……分かっていたこととはいえ、本当に子供の教育に悪い娘ね……」

「真琴、お前さんもジャンルによっては人の事は言えないって自覚あるか?」

 反省会と言う単語から勝手にお仕置きと言う言葉を連想したレイニーに、微妙に引いた視線を向けながら何とも言い難い会話を続ける達也と真琴。実際のところ、子供の前で教育に悪くない言動をしているのは、現時点では地味に春菜だけだったりするのが業が深いところかもしれない。

「それはそれとして、まだ続ける?」

 自分で振っておきながら、自分が関係ないとなるとあっさりなかった事にしたレイニーが、現在の作業についてそう質問をぶつけてくる。

「ん? ああ、そうだな。もうすぐ昼飯時だし、そろそろ切り上げてもいいかもしれんな。ちょっと確認するわ」

 レイニーの質問を受け、とりあえず達也が採取組の進捗度合いを確認する事にする。

「ノーラ、どんな感じだ?」

「そうですね。ノーラの籠の分量から考えるに、今日はそろそろ切り上げてもいいかと思うのです」

「分かった。ならそろそろ昼飯時だし、切り上げて戻るぞ」

「はいなのです」

 達也の言葉に従い、テレスやファム、神官たちに声をかけて回るノーラ。疲労で足元がおぼつかない神官たちを見守りながら、とりあえず達也と真琴のそばに集合するアズマ工房職員三人娘。

「それにしても……」

「神殿組の御三方には、いろいろと教育的指導が必要なのです」

「そっちの目から見てもひどいのか?」

「今日初めてこの手の作業をしているので、分量集まらないのはしょうがないんですけどねえ」

「それにしても色々とひどすぎるのです。ライムを連れて初めて採集に行った時も、いろんな意味でもっとましだったのです」

 テレスとノーラの手厳しい言葉に、そっちの目から見てもそうなのか、などと思わず遠い目をしてしまう。

「そっちの目から見ても、って事は、達也さん達も見ててひどいと思ったんだよね?」

「まあなあ」

「宏達と比べるのは間違ってるとしても、普通はもうちょっと周囲を見るわよねえ……」

「……隙だらけ」

 達也達からもなかなか容赦なく駄目出しが飛んでくる。正直なところ、素材集めは外注に任せた方がいいのではないか、と思うほどである。

「何にしても、戻ったら愛の説教部屋なのです」

「……微妙にネタっぽい発言が聞こえた気がしなくもないけど、とりあえずまずは徹底的に説教なのは同意するところね」

 深夜番組にありそうな単語を言い出したノーラに苦笑しながら、ダールの工房に戻ってからの予定を心のメモ帳にぎっちり書き込む真琴。その手の予定が予定通りに進まないのはいつもの事だが、流石に毎回ノープランでフリーダムに突っ走るつもりもない。

「それで、わたし、役に立った?」

「ん? ああ。結構助かった」

「神殿組が分散してたからね。二人だけだと忙しかったかもしれないわね」

 唐突にそう質問してきたレイニーに正直に答えを返すと、何処となく嬉しそうにわずかに顔をほころばせる。自我を得てからの日が浅いが故に澪とは違った方向で無表情なレイニーだが、日々着実に人格は形成されているようだ。

「ご褒美ねだっても大丈夫そう?」

「……内容によるな、多分」

「ハニーの汗をたっぷり吸ったタオルとか、駄目?」

「……本当に、いろんな意味でゆがみないわね、あんた……」

 もっとも、形成されている人格は、かなり駄目な香りが漂っているようではあるが。

「まあ、そこは要交渉ってところじゃない?」

「頑張る」

「明らかに頑張りどころを間違えてるとノーラは思うのです」

 などと緩い会話を続けながら、神殿組がまともに歩けるようになるのを待つ一同。この後工房では微妙に困った事態が発生するのだが、神ならぬ身の上の彼らには、この時点ではそんな事は全く予想できないのであった。







「さて、昼飯何にするかやな」

 達也達から今から引きあげると連絡を受け、ならばと昼飯の準備に入ることにした宏達三人。とはいえ、毎度の食事内容を考えるのは、これで地味に大変なのだ。

「師匠、春姉。ノーラ達に神殿の皆さんもいるから、品数勝負は厳しいと思う」

「そうだね。それを踏まえたうえで、澪ちゃんは何か食べたいもの、ある?」

「辛くなくて涼しい感じのもの」

 アバウトながら地味に厳しい澪のリクエストに、少しばかり渋い顔で頭をひねる宏と春菜。涼しいという事は冷やして食べる類のものになるだろうが……。

「この場合、選択肢として成立するんは……」

「ざるそばとか冷やしうどん、そうめんに冷やし中華、冷製パスタあたり?」

「せやな。で、神殿の皆さんは箸が使えんやろうと考えると、冷製パスタが無難やろうな」

 宏の提案に一つ頷くと、とりあえず材料を確認して並べていく。

「で、冷たいパスタはええとして、普通のパスタを冷やしたタイプにするか、冷たいスープで食べる奴にするか、どっちにする?」

「根菜類が結構多いから、冷たいスープのパスタがいいかも」

「了解。ほなその方針で」

 そう言って、冷たいクリームスープ、と言うより具が少なめの冷たいクリームシチューの仕込みに入る宏。地味に材料にロックワームの肉が混ざっているあたり、相も変わらず油断できない食卓である。

「なあ、澪。折角やから、アイスかなんか作っとくか?」

「ん。了解」

 材料を切り終えたところで宏にそう声をかけられ、微妙にウキウキした様子でアイス作りの準備に入る澪。アイス自体は作ろうと思えば作れるだけの機材も技量も持っているが、生産能力の問題で特にダールでは屋台で売る事は出来ないという悩ましいおやつである。

 その絡みに加え、作れるフレーバーがバニラと抹茶、後一部の果物系ぐらいだった事もあって、なんとなくこれまでそんなに積極的に作らずに来た女子御用達のデザートを、全身全霊を込めて自身の腕の限界に挑んで作り始める澪。まずはオーソドックスなバニラと抹茶だが、宏が厨房を明け渡してくれたら、春菜と協力してチョコレートやチョコミントも作るつもりである。

「あっと、そうや。忘れとった」

「どうしたの、宏君?」

「デザートっちゅうたら、こんなんも作っとってんけど、さっくり忘れとってん」

 そう言って宏が取り出したのは、まごう事なきナタデココ。ダールには熱帯雨林の地域もあるのだから、この手のものを作る材料も普通に流通しているのである。

「天草も結構確保しとるから、寒天作ったらフルーツポンチがいけんな」

「できたら、杏仁豆腐も入れたいかも」

「それもありやな」

 地味に充実する気配を見せるスイーツに、思わず顔をほころばせる春菜。これで小豆類が確保出来れば、フルーツみつまめやあんみつなどもいける。となると、ますます小豆が恋しくなる訳で……。

「ここまで出揃って、何で小豆の類が見つからないんだろうね?」

「せやなあ」

「ボクそろそろ、ぜんざいとか恋しくなってきた」

「水ようかんとかも忘れたらあかんで」

 チョコレートにコーヒーにナタデココと、色々な意味で食生活の幅を大きく広げる物が出そろったというのに、何故かいまだに発見できない小豆。ここまでくると、嫌がらせとしか思えない。

「まあ、ないもんはないからしゃあない。ここまで焦らされてんねんから、発見した時はとことんまでいじり倒さなあかんな」

「うん、そうだね」

 などと言いながら、パスタに添えるちょっとした前菜を次々に仕上げていく春菜。内容は砂牡蠣のカルパッチョとダール野菜のパテ、砂漠ウニ添え。なかなかに贅沢な前菜である。

「さて、あとは兄貴らが帰って来てからパスタ茹でれば終わりやな」

「そうだね」

 などと言いあっているうちに、玄関先に結構な人数の気配。丁度いいところだったので出迎えるために入り口に移動すると……。

「……師匠、春姉。なんか変なのが増えてる気がする」

「……まあ、兄貴と真琴さんが連れて来てOKやって判断したんやったら、多分問題はないんやろうけど……」

「……物量的にも問題ないのがちょっと悲しいかも……」

 宏の姿を見て今にも飛びついて変態チックな愛情表現をしようとしているレイニーと、そのレイニーを必死になって押しとどめている達也と真琴の姿があった。

「で、連絡なかったんだけど、どう言うこと?」

「向こうで合流して、な」

「かなり手伝ってもらっちゃったから、ご飯ぐらいはいいかな、って思ったのよ……」

 予想以上のレイニーの反応に、ちょっと失敗したかも、と言う表情を浮かべる達也と真琴。吊るしあげを食らっていたからとはいえ、前回が意外と大人しかったために油断した部分があったのは間違いない。

「ハニー! ハニー!」

「あ、こら、暴れるな!!」

「大人しくしないと、放り出すわよ!!」

 とにかく宏に飛びついてぺろぺろしようと必死になっているレイニーを、根性でステイさせようとする達也と真琴。まるで、しつけのなっていない大型犬の飼い主のようだ。

「ハニー!!」

 達也と真琴の奮闘もむなしく、暗殺者としての体術まで駆使してとうとう拘束を抜けて宏に飛びつくレイニー。だが

「駄目」

 どんなすさまじい見切りか、何と春菜が宏を抱き寄せて、レイニーの突撃を完全に空振りさせたのだ。そのまま、だれにも渡さないとばかりに宏の頭を自身の胸に抱え込んで、庇うような姿勢でレイニーを睨みつける。

「うう、ハニー……」

「一緒にご飯食べるぐらいはいいけど、それ以上は駄目」

「うう、ひどい……」

 達也と真琴に加えて澪にまで押さえこまれて、完全に涙目になるレイニー。だが、様子見することで合意しているだけで基本的には敵認定をしている春菜が、その様子にほだされる訳も無く……。

「達也さん達を手伝ってくれたみたいだから、ご飯を出すのはいい。だけど、それ以上を求めるんだったら、ご褒美は一切なしだよ?」

「……分かった、我慢する……」

 更に力強く宏を抱きしめながら、厳しい口調で条件を突きつける春菜。最低限のご褒美も取り上げられそうになり、しぶしぶ春菜の出した条件を受け入れるレイニー。どうやらこれ以上暴れる事はなさそうだと判断し、レイニーを解放する達也達。その様子を見て、春菜の雰囲気が一気に柔らかくなる。

「さ、ご飯にしよ」

「それはいいんだが春菜、いい加減ヒロを解放してやったらどうだ?」

「えっ? あっ! ご、ごめんなさい!!」

 達也に指摘されて、完全に自分の胸の谷間に顔をうずめる形になっていた宏を慌てて解放する春菜。見ると、宏の顔は完全に土気色になっている。

「……柔らかい、……怖い、……柔らかい、……怖い」

 解放されたところで、そんなうわごとをぶつぶつつぶやく宏。彼が女体に対して一番密着したのは地下遺跡の時。あの時は春菜や澪は革製のものとはいえきっちり鎧を着こんでおり、ジュディスも防御用の厚手のローブを着こんでいたため、そこまで女体の柔らかさを意識させるほどではなかった。

 そのレベルですら結構なダメージを受けていたというのに、今回は霊布製の服の上にエプロンを纏っただけと言う軽装で、しかも春菜の豊かな胸にダイレクトに顔面を抱え込まれるという、どう頑張っても女体を意識せずにはすまない状態であった。抱え込んだ時の角度の問題で窒息するような抱きしめられ方はしていないが、そんなものは何の慰めにもならない。

 結果、服とブラジャー越しとはいえ、まだややかたさが残るものの十分すぎるほど柔らかい若い乳房の感触を顔の半分に押しあてられ、宏は性欲とは違う理由で正気を失う羽目になってしまったのである。

「てか、春菜。あんたちょっとおかしいわよ」

「そうだよな。いくらとっさのこととはいえ、普段ならガードするにしてももうちょっとうまくやるよな」

 不審そうな態度を隠しもせずに指摘する真琴に乗っかり、とりあえず前回と同じように鍛冶用ハンマーを取り出しながら、春菜の態度についてそんな追及をする達也。

「と言うか、春姉。なんで師匠の腕を抱え込もうとしてるの?」

「えっ?」

 更に澪にまで突っ込みを受け、自分が無意識に宏の腕を抱え込もうとしている事に気が付く。

「春菜、お前本当におかしいぞ」

「絶対、何かあったでしょう」

「……心当たりは、あるかな……」

 これ以上おかしな真似をしないように宏からできるだけ距離を置きつつ、明後日の方向に視線をさまよわせながら達也と真琴の追及に対してそう答えるしかない春菜。

「と言うか澪ちゃん、多分原因があるとすれば、あれしかないよね……」

「うん。多分あれのせいだと思う」

「あの聖水、こんな面倒な効果があるんだ……」

 春菜と澪の会話に、怪訝な顔をする達也と真琴。完全に蚊帳の外に置かれながらも、春菜の大胆な行動についてひそひそと何かを話し合うファムをはじめとしたその他大勢。状況としては、なかなかカオスな事になっている。そこへ

「どうやら、少し遅かったみたいですね」

「エルちゃん?」

「アルフェミナ様から御言葉を賜りまして、急いでこちらに来たのですが……」

 更に場をややこしくするように、エアリスが乱入してくる。どうやら、何らかの情報を持っているようだ。

「ハルナ様、お昼前に邪神像を漬け込んだ聖水に触れましたよね?」

「うん。多分、私が無意識に宏君に触れようとするの、それのせいだと思うんだけど、どう?」

「それで正解です。アルフェミナ様によるとあの聖水、触れた者が普段抑圧している感情や欲求を、問題にならない程度に開放する作用があります」

「……あれで問題にならない程度なんだ……」

 自分がやらかした大胆な行動、それを思い出してどうにも釈然としない春菜。痴女じゃあるまいし、人前で男の頭を胸元に抱え込むとか、問題にならない程度とは到底思えない。

「今来たばかりなので先ほど何をなさったのかは分かりませんが、余程一方的に嫌われているのでもない限り、普通は腕を組むぐらいは問題になりませんわ」

「あ~……、そういうことね……」

 エアリスが言う問題にならない範囲、というものについて春菜が理解したところで、更に話を続けるエアリス。

「普通なら問題にならない程度なのですが、ヒロシ様の場合は……」

「……うん……」

「後、もう一つ厄介な話がありまして」

「厄介な話?」

「はい。その効果はいわゆる毒や状態異常ではありませんので、万能薬で消す事は出来ません」

 何処となく警戒するような態度を見せる春菜にほんの少し憐憫の情を抱きながら、恐らく一番厄介であろう話を切り出すエアリス。エアリスの言葉を聞き、さっと顔を青ざめさせる春菜。

「一時的に多少衝動が抑えられなくなる程度ですので、三日もすれば収まるとは思います。ですが、ヒロシ様のためにもハルナ様のためにも、効果が切れるまでは距離を置いた方がいいのではないか、と考えます」

「……そうだよね。でも、状態異常じゃないのにこんなことになるって、どう言う事なんだろう?」

「不思議に思うかもしれませんが、それはある種の祝福なのです」

「……祝福? どう言う理屈で?」

「何故その内容になったかまでは分かりかねますが、祝福扱いなのは聖水としての機能が強く残っているからだと思います」

 エアリスの言葉に、傍迷惑なという感想で一致する一同。実際のところは春菜の歌を聞かせ続けた結果、想いを募らせそれなり以上にアピールしつつも最後の部分では踏み込み切れない乙女達の後押しをするために、理性による衝動に対する抑圧をほんの少しだけ緩めるという機能を持ってしまったのだが、流石にそこまではアルフェミナも分からないらしい。

 結果として、この世界の誰にも因果関係が分からないまま、祝福として疑問符がつく性質を持った聖水が誕生してしまったのである。

「まあ、話は分かったとして、距離を置くって、どうするんだ?」

「そうですね。私と一緒に地底のアトラクションをたっぷり堪能するというのはどうでしょう?」

「二泊三日で、か? 許可が下りるのか?」

「大地の民の皆様とは、姫巫女としていろいろと話をする必要もありますし、それを口実にどうとでもできます」

 聖女のような顔で、なかなかしたたかにわがままを通すようになったエアリス。その妙な頼もしさに苦笑しつつも、とりあえず最初から話は決まっていた事を悟る一行。

「とりあえず、師匠も復活した事だし、お昼にしよう。エルも食べていく?」

「問題ないのであれば、いただいて帰ります」

「分量的には十分」

 とりあえず話がまとまった事を察し、とっとと昼食を済ませようと主張する澪。その話を遮るように

「ハルナだけハニーといちゃいちゃしてずるい……」

 などとレイニーが文句を言うが、

「そこはもう実績の差だ、あきらめろ」

「春菜であれじゃあ、あんただとどうなるか分かったもんじゃないしねえ」

 年長者二人にあっさり主張を叩き潰される。そのまま力技で昼食になだれ込み……

「地底って、前に話に出ていた遺跡の事なのですか?」

「せやで。ノーラも興味あるか?」

「無いはずがないのです」

 話に出てきた地底のアトラクションについて質問攻めが起こる。

「まあ、ここから直通の転送陣もあるし、地底でゲットできる素材とかもあるから、仕事に問題あらへんねんやったら、行ってきてもかまへんで」

「だったら、今日の講義が終わった後、皆で気合を入れて仕事を追い込んでくるのです」

「ライムも連れていっていいんだよね?」

「アトラクションのサンプルっちゅう観点やったら、ライムも居った方がええかもなあ」

 などと、丁度いい機会だからという事で、アズマ工房職員達の研修旅行という名の地底リゾート体験が急遽決定する。

「それで、今回のあれこれの原因になった邪神像、どうなんだ?」

「無害、とは言えんけど、デントリスさんとかみたいな方向性でおかしなことにはならへんで」

「素材としては?」

「なかなかいかついもんが作れるけど、他の素材の絡みがあるからすぐには無理や」

 達也の質問にそう断言して、パスタの替え玉をシチューに入れる宏。それを見て、もう少しだけもらってもいい? と言う感じの視線を向けてくるエアリス。育ち盛りで体格的にも一人前ぐらいでは足りなくなってきているのだ。

「とりあえず、春菜さん、エル。引率頼むわ。僕はまあ、神殿から派遣されてきた皆様方の指導とフォーレ行きの準備とを適当に進めとくから」

「了解」

「お任せください」

 エアリスのスープボウルに三分の一玉ほどの替え玉を入れてやりながら宏が告げた言葉に、ごく普通に了承の返事を返す春菜とエアリス。こうして、にぎやかな昼食とその後の神殿組への愛の説教部屋も終わり、この日は春菜が無意識に宏の手を握ったりと言った若干の接触以外は特にトラブルも無く終了する。そして

「ハルナさん、暴れすぎなのです……」

「ハルナ様、素敵です」

「むう、もうちょっと難易度を上げた方が良かったのであるか?」

「いや、あれを基準にされても……」

 聖水の影響で衝動が強まっている時に宏との接触を断たれた春菜が、その禁断症状を体を動かす事で発散しようとしてアトラクションを軽く二回ほど全制覇。五歳児としては規格外の運動神経を持つライムとセットで難易度調整に色々と問題提示をする形となり、モグラ達を悩ませる事になるのであった。
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