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フェアリーテイル・クロニクル ~空気読まない異世界ライフ~ 作者:埴輪星人

ダール編

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第2話

「で、お前さん達の方は、どういう状況だったんだ?」

「どうって、普通に石材と宝石の原石を仕分けとったんやけど?」

「いや、その前の状況を聞きたいんだが……」

 イグレオス神殿・ダール分殿。互いの依頼の後処理やら何やらを済ませ、色々落ち着いたところでようやく昼食にありつけ(因みに昼食は自前のノリ弁当。内容的には普通のあれだが、この世界では地味に貴重な食材が入ってたりする)、状況のすり合わせに移れる宏達。もっとも、達也の質問の仕方だとその手のボケを返すのはもはやお約束なのだが。

「その前っちゅうと?」

「そもそも、あの石の山はどこから出て来たのかとか、新米達がやけにあんた達に懐いてたのはどうしてなのか、とか、それ以前に何があったのか、とか、いろいろあるでしょうが」

「まあ、いろいろあるのはあるんだけど……」

「師匠、春姉、何処から説明する?」

「せやなあ……」

 達也と真琴の言葉に、何から話すべきかというところを相談する。何からといっても、それほど長い時間かけて事態が進行したわけではないが、その分短期間にめまぐるしくいろんなことが起こったために、何をどう説明すればいいかが分からなくなっているのだ。

「……っちゅうか、結局何がどうなったんやっけ?」

「待てこら」

「いや、なんちゅうか、兄貴らが見た以上に流れがカオスやって、目先のことに対応しとったら気が付いたらああなった、みたいな感じやってん」

「もう最初から、時系列順に話せばいいじゃない」

「っちゅうても、発端はともかく、途中経過がいくつか、どれが先やったっけっちゅうんが、目先のことに集中しとったからちっとごっちゃになっとんねん」

 よっぽどだったらしい。もっとも、宏に関しては、目先の素材に意識が行っていて状況の変化をまるっと無視している可能性も否定できないのだが。

「とりあえず、状況を整理する時間がほしいから、先に達也さん達の方で何があったのか教えてもらっていい?」

「了解。っつっても、こっちの事情説明はそんなにボリュームはないがな」

「そうね。単にアリの駆除をある程度済ませて、さあ引き上げようか、ってタイミングでロックワームの群れとそれに襲われてる馬車を発見して、救助したら神殿の神官と陽炎の塔への補給帰りの商人が乗ってた、ってだけだから」

「ちょっと待って、ロックワームって……」

「あ~、やっぱ春菜もそこが引っかかった?」

 春菜と真琴のやり取りに一瞬怪訝な顔をし、すぐに何かに気が付いた様子を見せる宏。一方の澪は、何がおかしいのかが分からないらしい。

「なあ、真琴さん、ロックワームの群れって、どんぐらいの数やった?」

「五十ってところね。正直、護衛の騎士団の皆さんに足止め役を振れなきゃ、とてもじゃないけどあたし達だけで殲滅できる数じゃなかったわね」

「そらまた、おかしな話やな」

「宏君もそう思う?」

「まあ、なあ」

 このやり取りで、自分以外が何をおかしいと思っているかを理解する澪。だが、残念ながらこの付近のモンスターにそれほど詳しくない澪では、どのあたりがどうおかしいのかがぴんとこない。

「ロックワームが群れを作るのって、おかしい?」

「少なくとも、その数のコロニーは作らないよね?」

「性質的に厳しいわな」

 澪の疑問に対してほかのメンバーに春菜が確認を取り、宏が断言する。

「あたしとかは経験則のレベルだけど、やっぱり性質的におかしいんだ」

「せやなあ。あいつら、群れを作る個体数が二桁超えたら、二桁切るまで共食いしおるねん。せやから、ロックワームは基本、比較的若い個体しかおらん」

「そうなのか?」

「せやねん。まあ、このあたりのきわどいバランスの土地で、あんなでかい雑食生物がそんなでかいコロニーぼこすこ作ったらろくな事ならんから、多分ある種の生存本能やとは思うで」

「あー、なるほど……」

 実に分かりやすく説得力のある宏の解説に、思わず本気で納得してしまう一同。だが、そうなると余計に不自然な点が目立つ。不自然を通り越して、明らかに何らかの陰謀すら感じさせる。

「で、ロックワームは魔石系のええ材料がかなり一杯取れんねんけど、どんだけ回収して来とる?」

「まずそっちかよ……」

「重要やん」

「いやまあ、そうだが……」

 やはり最後は素材の方に話が行く宏に、苦笑しながら正確なところを告げる達也。持って帰れたの三匹分だけと聞き、今から回収に行って間に合うかどうかなどと本気で検討し始める宏。もっとも、ロックワームをちゃんと解体できる人間などそれほど多くないため、今頃は通りすがりの誰かが討伐証明部位だけをどうにか切り取って、他の宝の山はそのまま放置されているだろうとは思うが。

「とりあえず、素材については置いておくとして、そっちも神殿関係が絡んでるんだ?」

「まあ、俺達が巻き込まれたのはともかく、ロックワームの群れってのは明らかに神殿関係者狙いだろうしな」

「で、そっちもって事は、やっぱりあんた達のほうのごたごたも神殿関係?」

「主原因はそうだと思う」

「主原因は?」

 春菜の言葉に、怪訝な顔をするしかない達也と真琴。二人の反応に、どこか疲れた感じの笑みで分かりあってみせる宏達。素材がらみのテンションでそのときは気にならなかった宏だが、後から思い出してみるとなかなか疲れる状況だったらしい。

「本気で、何があったのよ?」

「せやなあ。とりあえず僕の主観で話するから、春菜さんと澪には補足頼むわ」

「了解」

「師匠、できるだけ脱線は無しで」

「努力はしてみるわ」

 あまり信用できない返事を返し、とりあえず起こったことを話し始める宏であった。







 話は、時系列的には達也と真琴がストーンアントを狩り始めたあたりに遡る。

「師匠……」

「宏君……」

 宏は、二人から白い目で見られていた。理由は簡単、あれだけ釘を刺されていたというのに、塗料の下塗りが甘い、というよりほぼ塗っていないと言ってしまっていい場所を発見してしまい、ついつい手を出してしまったからだ。そこだけ他の場所とは比較にならないほど綺麗に均等に塗られた下塗りの塗料は当然目立ち、棟梁にあっさりばれて質問攻めにあってしまったのである。

「流石にあれは見逃せんで」

「だったら、棟梁に報告すればいいでしょ?」

「手元に塗料あったから、代わりに塗ってもうた方が早い思った。後悔はしてへん」

「……開き直るのはどうかと思うな、私……」

 思いっきり開き直ってみせる宏に、ジト目で突っ込みを入れる春菜。もっとも、宏の作業量が増える以外にこれと言って不利益はないので、そこまで怒るような事でもないのだが。

「とりあえず、思いっきり目をつけられたよね」

「まあ、世の中そんなもんや」

「師匠にそれを言う資格はない」

 平常運転という感じで雑用を続けながらそんな会話をする三人。他の駆け出し冒険者たちも、忙しく荷物を運び道具を交換しといった作業にかけずり回っている。状況が変わったのは、持ち主の貴族であるカーリー・デントリスが顔を見せたあたりからだった。国政にも関わる高位の貴族である。

「進捗具合は、どんな感じかね?」

「本館の屋根の塗装は、半分は完了しました。特に何もなければ、本日中に本館は完了しますな」

「なるほど。その様子なら、明後日ぐらいには中に入れそうだね」

 そんな風に、デントリスと棟梁が進捗具合について打ち合わせをしているのを、やっぱり貴族の前では丁寧な口調になるんだななどと思いつつ資材の仕分けをしながら聞くともなしに聞いていた三人。今回使われている塗料は、後で多少の魔力を通す事で即座に定着する類のものだ。当然かなりの高級品なので、こういった貴族や豪商の建物ぐらいにしか使われない。故に、施工主であるデントリスの言葉は間違いではない。

 もっとも、今回塗装がスムーズに進んでいるのは、宏が棟梁に入れ知恵した異国の工法、という言い訳で誤魔化したエクストラスキル一歩手前のやり方が影響しているのは言うまでもない。この時点で工事の責任者が暫定的に宏に移っているため、彼の持つスキルが施工速度に大きく影響しているのだ。

「……ん?」

「どうなさいましたか?」

「このような工事現場に似つかわしくない、実に可憐な花を見つけてね」

「ああ、ハルナの事ですか」

 可憐な花、という言葉に即座に誰の事かを理解する棟梁。この場にいる女性は春菜と澪の二人だけ。どちらも一般的な水準をはるかに超える美貌を誇るが、そのうち彼の趣味嗜好に合致する年齢と体格体型を持っているのは春菜の方だ。なお、棟梁が春菜と澪の名前を覚えていたのは、単純に数少ない女性だからということに加え、宏と併せて三人とも八級というこんな雑用を引き受けるような等級ではないことも影響している。

「ふむ、ハルナと言うのかね?」

「はい。臨時雇いの冒険者ですが、ランクが八級ですのでそれなりの実力は持っているかと」

「八級の冒険者がこういう仕事を受けるとは、また珍しい」

「本人達は、来たばかりで街の構造が分からないから、それを覚えるためにこういった雑用を引き受けている、と言っとりました」

 やはり抱く疑問は同じか、などと思いながら、三人の事情を説明する棟梁。棟梁は特に断ってはいないが、さっきから基本的に三人一組で行動し、息の合い方も他の冒険者達とは比較にならないレベルなのだから、宏達三人がパーティかチームを組んでいる事は誰の目にも明らかである。

「なるほど。実に興味深い話だ」

「はあ……」

 デントリスの言葉に、また始まったとばかりに生返事を返す棟梁。この貴族は領民や王都の一般庶民の事もよく考え、搾取をしない割には民の生活向上に関わる事には気前良く金を使うなど、為政者としては悪くない人物ではある。だが、そんな彼も自身のスケベの虫だけは制御できないらしく、好みの女を見つけるととにかく蛇のように執念深くアプローチを繰り返す悪癖がある。今のところ、彼の好みが一定以上の年齢できちっと凹凸のある胸の大きな美女という手を出しても社会的に問題にならないタイプだからいいが、澪のような外見やもっと幼いのが好みだったら、周りの人間は実に大変だったに違いない。

 とりあえず、地位をかさに着て無理強いする事はないが、それでも口説かれた女は他国の王族などを除き、基本的に全員誘いに乗っている。そのうちの半分はその地位に負けて、最終的には満足しているとはいえ最初の段階では意に沿わぬ関係を結んだ女だ。残りの半分のうち七割は地位や金に目がくらんで遊びの関係にホイホイ乗って、半分のうちの三割は伊達男のデントリスと火遊びを楽しんでいるという感じで、今のところ彼と真剣に恋愛をして、などという女は一人もいない。奥方からして政略結婚であり、関係こそ険悪ではないが容姿も金もテクもある肉体関係前提の友人という感じから抜け出してはいない。

 そういう男だから、普通はこれと言ってバックがある訳でもない冒険者の小娘を口説く事に、何のためらいも持たないのも当然であろう。もっとも、巨大なバックがあって、下手をすれば国際問題になりかねないと分かっても、好みの女を見て口説かないなどという選択肢は持たないのがカーリー・デントリスという男だが。

「君のような美しい女性が、こんな仕事をしているとは珍しいね」

「そう言う口説き目的のお世辞は、間に合っていますので」

 施主であり国の基幹にも関わっている男に対し、見事な愛想笑いを浮かべながら平気でそっけない返事を返す春菜。この手の口説き文句はファーレーンにいる間に腐るほど聞かされているし、下半身直結型の貴族男性に口説かれた経験も豊富だ。故にデントリスがどういうタイプかぐらいは即座に見抜いている。この手のタイプは誘いを断ったところで気を悪くしたり地位をかさに着て脅したり、金の力でこちらに危害を加えたりはしてこないが、その分相手が手ごわいほど燃える。目をつけられた以上簡単にあきらめたりはしないだろうから、適当に相手をしてはぐらかし続ける以外ない。

 ファーレーンの王家に泣きつけば一発で話は解決するだろうが、この程度の事でわざわざ一国のトップの手を借りるのも馬鹿馬鹿しい。故に、春菜は完璧な営業スマイルでお呼びでない事を突きつけ続けることに決めたのである。もっとも、ファーレーン王家からすれば、宏達の囲い込みの観点から、むしろこういうことこそ泣きついてきて欲しい、というか、こんな事でアズマ工房がフリーな立場で無くなる事の方が厄介なので、知れば頼まれなくても介入しただろうが。

「おやおや、つれないね」

「自分で言うのもなんですが、これでも結構粉をかけられてますから」

 作業の手を止めずに、失礼にならない程度に愛想よく対応を続ける春菜。微妙な状況におたおたしている新米冒険者たちに指示を出しながら、宏と澪に全体の進捗を確認して手際よく次に必要なものを準備する。

「とりあえず、今は仕事中ですし、中断はこちらの信用に関わってくる問題なので、後にしていただければ助かります」

「本当につれないね」

「残念ながら、そういう人間ですから」

「なるほどね。作業の手を止めて済まない」

 流石に、今この状況で口説き続けるのは逆効果だと判断したらしい。使用人に来訪者がいる事を告げられた事もあり、この場は割とあっさりと引くデントリス。相手が誘いに乗ったのであればともかく、立場を利用して仕事中の女性を強引に誘って中断させるというのは彼のポリシーに反する。もちろん、この状況で誘いに乗ったとしても、デントリスの身分に負けてという可能性がある事ぐらいは理解しているので、誘いに乗った春菜のマイナスにならないように泥をかぶるぐらいはするつもりだが。

「これ以上仕事の邪魔をするのは避けるから、後でもう一度チャンスをくれないかな?」

「駄目だと言っても、あきらめないのでしょう?」

「もちろんだとも」

 にこやかにいい笑顔で言い切ったデントリスに苦笑し、しょうがないなあという感じでしぶしぶ同意して見せる春菜。もっとも、表情とは裏腹に彼女から発散される空気は限りなく冷たく、笑っているように見える瞳にはその実、デントリスに対しては何の感情も浮かんでいない。あるのは十把一絡げのナンパ男に口説かれて余計な時間を取られた事に対するわずかな苛立ちと、意中の相手がいる状況でまるでそう言う女のように扱われた事に対する怒りだけ。大貴族であるはずのデントリス相手には、全くと言っていいほど関心を持っていない。

「春姉、大丈夫?」

「本人に言うのも陰口叩くのもよくないんだけど、正直ああいう顔と身体だけが目当ての男は、はっきり言ってうざい」

 妙に上機嫌にデントリスが立ち去ったのを確認した後、恐る恐る声をかけた澪に小声でかなりきつい感想を漏らす春菜。もっとも、作業場が妙に静かになっていた事もあり、近場にいた男達にはその発言はきっちり聞こえていたのだが。

「ま、まあ、あれは師匠とは正反対のタイプだから、しょうがないんだけど」

「本当にね。宏君みたいに紳士的に、とまでは求めないから、せめて仕事中にわざわざ粉かけに来るような非常識な真似はやめてほしい」

「師匠は師匠でどうかと思うんだけど……」

 トラウマの事を差し引いてもこういう問題ではヘタレすぎる宏に関しては、紳士的と評するのは評価に下駄をはかせすぎている気はする。実際、今も春菜の静かな怒気にビビって目をそらし、微妙にガタガタ震えながら塗料の混合比率のチェックなどという今やらなくてもいい作業に没頭するふりをする、という見事なヘタレぶりを見せている。

 女を口説けとまでは言わないが、チームのメンバーが迷惑しているのだから、澪的にはこの場を去る口実になるような仕事を振るとか、そういった何らかのアクションは欲しいところだった。あくまでも澪の認識ではだが、この手のケースだと声をかける相手は実質的には男になるのだから、女性恐怖症はそこまで致命的な問題にならないはずなのである。

「それにしても、こんな工事中のお屋敷にお客さん?」

「あ、澪ちゃんもそこは気になった?」

「ん」

 どうせそろそろ昼食のための休憩だという事で区切りのいいところで棟梁の許可を得て作業の手を止め、デントリスが対応のために向かった正門の方に視線を向ける二人。今は正面玄関付近で作業をしているため、スキルの無い春菜の視力でもデントリスが二人ほどの来客と立ち話をしている姿が十分に見てとれる。澪の目ならば、来客が初老に差し掛かろうかという神殿関係者とその付き人と思われる見習いらしい少女の二人だという事も確認できる。

「来てるのは多分、神殿関係のそれも偉い人」

「そらまた、変な話やなあ」

「だよね」

 ようやく復活した宏が、二人の雑談に混ざってくる。見ると、宏が混ぜ終えた塗料は既に職人たちの手に行きわたり、下塗りの赤だった屋根が仕上げの色である緑に変わり始めていた。

「感じからいうて、割と高位の神官か司祭みたいやけど、わざわざこっちに来とるあの貴族様を探してまでって、どういう用事なんやろうなあ」

「私的にはそこを気にしたら、余計なフラグが立ってその事情に巻き込まれそうだから嫌なんだけど……」

「なんもせんでも巻き込まれそうなんがなあ……」

 宏の言葉は、それほど時間がかからぬうちに現実となる。もっとも、三人とも神殿関係者の変死というニュースを聞いた直後にこれ、という時点で巻き込まれる覚悟自体は微妙に出来上がっていたりするのだが。

「あとなあ」

「こそこそしてる人が一人、居るよね」

「居るなあ」

 宏と澪の言葉に、さすがに驚いた顔を見せる春菜。彼女の気配感知能力では、さすがにそこまで判断出来なかったのである。

「っちゅうか春菜さん」

「ん?」

「さっきの貴族、もしかしてアルヴァンのユニーククエの焼き直しなんちゃうか?」

「あっ……」

 宏の言葉に、初めてそこに思い至ったという表情を浮かべる春菜。ああいう口説かれ方をするのは珍しくないため、何かのクエストのフラグだとまでは考えなかったのだ。

「後、なんかこっち来とる気がするんやけど、どう思う?」

「来てるよね」

「間違いなくこっち来てる」

 色々といやな予感がする状況で、思わず内心でこっち見んななどと叫んでしまう三人。そんな三人の願いも空しく、デントリスと来客は宏達三人に目をつけ、こちらに歩み寄ってくる。

「どうしよう、また余計なフラグが立ってる気がするんだけど……」

「っちゅうか、あの人らに今から絡まれるよりももっと面倒な事が起こりそうな雰囲気や」

「えっ?」

「流石にこのレベルの瘴気だと、まだ春姉には分かんないか」

「澪、僕やとこそこそしとんのは一人しか分からんけど、他に居るか?」

「敷地外、というか二軒隣の屋根の上に、微妙に瘴気が滲み出てる何かがいる」

 宏と澪の会話で、どうやら何かが起こりそうだという事を把握する春菜。一応冒険者らしくという事でレザーアーマーを身につけてきたのが、思わぬところで役に立った形である。

「来おる!」

 ヘビーモールを取り出して、微妙な空間のゆがみに意識を集中する。ヘビーモールを選んだのは、単にこのあたりのモンスターは打撃武器が効きやすいからという、あまりあてにならない判断からである。

「こらやばい!」

 出てきた何かを見て、宏が叫ぶ。出てきたのは、ストーンゴーレムを主力とした魔法生物の群れであった。流石に魔力か召喚能力かの限界があってか、ストーンゴーレムは見える範囲ではわずか三体、他は一番強くてマッドマンという、八級でも魔法か魔法剣が使えれば一対一で余裕で仕留められる雑魚ばかりだったが、とにかく数が多い。その上、この場にいる人間の七割近くは、身体能力こそ高いが戦闘能力はほとんど持ち合わせていない職人たちなのだ。デントリスはそれなり以上の技量を有してはいるようだが、その彼と初老の神殿関係者を含めても、まともに戦力換算できるのは五人程度。突然の事に新米達は頭の中がパニックを起こしているようで呆然としており、迎撃行動など取れてはいない。

「こいやあ!!」

 とにかく敵をフリーにしては拙い。数がどうとか細かい事は抜きにし、全力でモンスターをかき集めるためにアウトフェースを気合とともに発動させる。

「自分らも冒険者のはしくれやったら、武器ぐらい抜かんかい!」

 その場にいた敵が全員自分に向かってきたところを確認し、まだ目立ったアクションを起こさない新米達を怒鳴りつける。宏に怒鳴られてようやく自分達がとるべき行動に思い至り、大慌てで荷物の中から各々の武器を取り出し、一番近くのモンスターに攻撃を仕掛ける。

「宏君、澪ちゃん!」

「助かるわ!」

「ありがとう、春姉!」

 レイピアを抜いて真っ先に女神の加護を自分を含めた三人にかけ、数を減らす事を優先する春菜。そこへ

「ハルナ君、大丈夫かね!?」

 客人たちとともに、わざわざ春菜のところにデントリスが駆けつけてくる。

「私の心配をしている暇があったら、一体でも数を減らしてください!」

 マッドマンを三体同時に始末しながら、春菜に対して格好をつけようとしているデントリスを叱り飛ばす。その言葉に、別の誰かが反応した。

「確かに、このお嬢さんの言っている事は正論だ。そうだろう、デントリス君?」

「アルヴァン!? 何故貴様がここに!?」

「どうにも不穏な気配があってね、色々探っているうちにここで事が起きるだろうと確信したから、少々待ち伏せをしていたのだが、いけなかったかね?」

「味方を挑発してる暇があったら戦う!」

 状況を忘れて斬り合いを始めそうな二人を一喝し、宏が転倒させたストーンゴーレムのコアを貫く春菜。新米達もそれなりに奮闘し、モンスターの数が徐々に減っていく。もっとも、この戦闘で最大の功労者が誰かと言うと、

「じゃんじゃんバリバリかかって来いやあ!!」

 ストーンゴーレムを全て抱え込んだ上で、敵の注意を引きつつ威圧で動きを止めるという荒技で、戦況を完全にコントロールしてのけていた宏であろう。とは言え、ストーンゴーレム全部といったところで、実際のところは三体のうち一体はほぼ最初の段階でスマッシュとスマイトでのお手玉により粉砕されており、残り二体のうち一体も春菜に仕留められたのだが。

「春姉! ちょっと別作業!」

「了解!」

 ある程度数を減らして宏の負担を減らしたところで、澪が武器を短剣から弓に切り替える。そのまま、二軒隣の大邸宅の屋根に立っている何者かに向けて、小手調べ的に二発ほど矢を放つ。眉間と心臓のあたりを矢が貫いたところで、その不気味な人影が空気に溶けるように消え、更に庭の状況が変わる。

「えっ?」

 邪魔にならないように必死に立ち回っていた見習いの少女の足を、岩でできた手が力一杯つかみ、引きずり回し始めたのだ。

「てい!」

 その様子を確認した宏が、即座にストーンゴーレムの腕を砕いた後弾き飛ばして鍛冶用ハンマーをポシェットから取り出し、ダッシュで近付いて岩の手を砕く。邪魔が入ったと見たか、更に増える岩の手を、出てくる端から砕いていく。年配の男性の方にも岩の手が襲いかかっていたが、こちらは年の功か実力の差か、宏達が手を出すまでもなく自分のメイスで何事も無かったかのように粉砕してのけている。

「そこかい!!」

 出てくる端から岩の手を砕きながら、本体と思われる場所を探り当てる宏。即座に武器をモールに持ちかえて、インパクトの瞬間にへヴィウェイトを発動しながらスマイトで地面を殴る。その頃には、ストーンゴーレムも含む他のモンスターはほぼ駆逐され、残りの異変はこの岩の手だけになっていた。

「なっ!?」

「ほう。グラムドーンとは、なかなかに厄介なものが出てきたな」

 宏の一撃であぶり出されたのは、陽炎の塔の二階の階段を守るストーンゴーレムの変異種・グラムドーンであった。十五階建てである塔の二階の階段とはいえ、上級ダンジョンに分類される陽炎の塔を守るボスだけあって、基本スペックだけでもその戦闘能力はストーンゴーレムはおろか、砂漠に出没するモンスターの九割より強い。その上、地面と同化して予測できない攻撃を仕掛けてくるというなかなかに嫌らしい、上級者の登竜門のようなボスである。故に、それなりの実力者であるデントリスが顔を引きつらせる程度には強い。そう、確かに強いのだが……

「よっしゃあ! 石材ゴチや!」

 いくら強いと言っても、ダンジョンと一体化したイビルエントと比較すれば五枚は落ち、宏基準で特に火力のある攻撃を持っている訳でもなく、更に重量級の打撃武器に対して意外と脆いという弱点まであるとなると、宏にとっては単なるカモ以外の何者でもない。他の誰かが手を出す時間すらなく、コアだけを残してきっちり全身をばらばらにされて活動を停止する。所詮、総合性能ではケルベロスよりやや勝る程度のゴーレムなど、大した脅威にはならないのである。

「あ、あの!」

「まずコアは回収するとして、ちっと品質チェックやな」

 赤い顔をしながら宏に声をかけようとしている見習いの少女をスルーし、まずは素材収集にいそしむ宏。

「えっと、お手伝いしたいんですが、何をどうすればいいでしょうか?」

「せやなあ。持てる範囲でええから、ストーンゴーレムの破片とかもこっち持ってきて」

 それを見て、何をすべきか即座に悟った見習いの少女は、アプローチを変えることにしたらしい。宏の指示に従い、比較的軽いものを運んでいく。そんな少女の様子を見た他の冒険者たちが、宏を尊敬の目で見ながらゴーレムの残骸をどんどん運びこむ。

「さて、私は私の仕事をする事にしよう」

「待て、アルヴァン!」

「また会おう、デントリス君。それはそうと、お嬢様方」

「何かな?」

「次に会う時は、ヒーローの彼もいっしょに食事でも」

「お断りします」

 アルヴァンの誘いをにこやかに一刀両断してのける春菜に、これまた尊敬のまなざしを向ける新米達。そうして、彼が立ち去ってすぐぐらいのタイミングで達也達が合流したため、二人は一番カオスな状況を目撃することになったのだった。







「なるほどねえ」

 いくつか春菜と澪に補足されながら、とりあえず思い出せる限りの流れを話し終えた宏に、思わずため息を漏らす真琴。確実に一連の事件の黒幕に目をつけられている上に、デントリスとアルヴァンというこれまた面倒くさそうな連中に気に入られてしまった、というのは、正直かなり頭の痛い話である。

 因みに、宏が語った内容は実際にはここまできっちり整理されている訳ではない。また余分だと思われる枝葉を全てそぎ落としてあるためそれほどややこしい状況には感じられないだろうが、実際には口説かれる前にひと悶着あったり、一応お尋ねものであるアルヴァンを捕まえようと余計な事をした新米がいたり、戦況が落ち着いてきたあたりでまたデントリスとアルヴァンが揉めはじめたり(正確にはデントリスが一方的に突っかかり、アルヴァンに軽くあしらわれている訳だが)と、こまごまと場を混乱させる出来事はいろいろと起こっている。それに、宏は現実逃避していた間の事は、ちゃんと把握していない。

「で、アルヴァンって、結構いい男だった?」

「真琴姉が薄い本を妄想するぐらいには、色男だった」

「なるほど、それはいい事を聞いたわ」

「色男、なあ……」

 宏の何とも言えない表情を見て、不思議そうな顔をする一同。別にアルヴァンが色男だろうがなんだろうが、普段の宏ならば全く頓着するような事ではない。なのに、色男という評価に妙な表情を浮かべるところを見て、これはもしや春菜に脈があるのか、などと内心期待していると

「なあ、春菜さん。ちょっと確認したいんやけど」

 更に周囲の期待をあおるように、宏が春菜に話を振る。

「えっと、何かな?」

「ゲームの時のアルヴァンって、ほんまに男やった?」

「えっ?」

 その、誰にとっても予想外な問いかけに、その場にいた全員の目が丸くなる。

「ちょっと待って、師匠」

「ん?」

「あのアルヴァン、女なの?」

「少なくとも、僕はあれが女やって断言できるで」

「本当に?」

「僕が、天敵を見間違えると思うか?」

 物凄い説得力を持つ宏の言葉に、全員反論できずに黙ってしまう。思えば、服装や髪形以外での男女の識別が難しい育ちと年頃のファムを、宏は一目で女の子だと見抜いていた。他にも冒険者仲間のどう見ても女にしか見えない女装男を一目で男と見抜いていたりと、トラウマが絡むだけに性別がらみの感覚は常人の理解を超えるレベルで鋭い。

「まあ、アルヴァンが男か女かは、別段どうでもええこっちゃ」

「いやいやいや」

「よくないよくない」

 それなりに重要そうな問題を凄まじい暴論で切って捨てる宏に、達也と真琴が即座に突っ込みを入れる。

「いや、別段どうでもええやん」

「春菜を口説いてるのが女ってのは、それなりに問題があるんじゃねえか、と思うんだが?」

「あたしもそう思う」

「あれがそう言う趣味持っとっても、それ自体はこっちにゃ実害ないやん。あれが男でも女でも、春菜さんが口説かれるっちゅうのは結局変わらんやろうし」

「なんか、そこまでドライに割り切られるのは私としては結構複雑……」

 どっちに転んでも春菜が口説かれるという結果は変わらないという宏の言い分は、確かに間違っているとは言えない。言えないのだが、宏の口ぶりでは、春菜がアルヴァンに押し倒されても、性交渉的な意味では本当にまずい事態にはならないとか考えていそうなのが怖い。いくら相手が女でつくものがついていなかったとしても、本番をこなす手段などいくらでもある事ぐらいは、春菜の微妙な性知識でもなんとなくわかる。

 仮にアルヴァンが女性で、何らかの形で押し倒されてそう言う事をされたとして、今の春菜にとってある意味で一番大事な、出来れば宏に奪って欲しいものが無事だったとしても、きっとものすごく自分が汚されたような気分になるのだろう。男女関係なくそういう本を読んでいたりする事には寛容な春菜といえども、やはり性的な事は惚れた男以外とは絶対したくない程度には普通の乙女なのだ。

「感じから言うて、今日春菜さん口説いとったんは、どっちも力づくでとかは嫌いそうなタイプやから、春菜さん本人が徹底的に拒否すれば大丈夫ちゃうか?」

「その根拠は?」

「そらもう、力づくでやるっちゅうんやったら、アルヴァンの方はともかく、デントリスさんの方はとうの昔に権力使うて無理やり奪いに来とるやろう」

「ああ、なるほどな」

 女性恐怖症で男女の恋愛とか他人のものでも触れる気も無いくせに、妙なところで妙に説得力のある分析をする男である。もっとも、女性恐怖症ゆえに天敵について徹底的に観察、研究した結果の分析能力だという面があるのはここだけの話だが。

「とは言え、断りきれない事とかもあるかもしれないから、いっそ宏が春菜の初めてを奪っちゃえば?」

「そんな怖い事言わんといてえや……」

「怖いって、春菜なら合意の上だったらあんたが怖がるような事はしないと思うんだけど?」

「こっちではともかく、向こう帰った後の事考えたら怖すぎて、二次元以外にはよう手ぇ出せん……」

 据え膳でも絶対に手を出さないほど警戒心と恐怖心が強い男、東宏。春菜の方も宏の言いたい事が分からないでもないため、真琴の提案が出た時の妙な期待を捨てて話を変えることにする。

「まあ、その話は置いておこうよ」

「せやな。デントリスさんの方は最悪、ファーレーン王室のあれやこれやを出して国際問題的な方向に持って行けば何とかなりそうやし、アルヴァンに関しては今考えるだけ無駄や」

 期待してしまったという事と真琴の露骨な応援に対して顔が赤くなっている事を自覚しつつ、どうにか話を変えることに成功する春菜。相も変わらずどこか他人事の宏に微妙に傷つかなくもないが、宏自身にできることが特にないという事とジャンル的に手助けを求めること自体に無理がある事を考えれば、彼の態度に文句を言うのは筋違いだろう。そもそも、宏と春菜は仲間ではあっても恋人ではない。今までの態度で自力で対応できる事を示してしまっている問題である以上、まだどうとでもなる段階で宏が口を挟むのもおかしな話である。

「今回の件、やっぱり邪神教団が絡んでると思う?」

「ここまで露骨だと、他にあり得ないだろうな」

「召喚系であれこれやってくるのは、バルドの時も同じだったわよね」

「屋根の上にいた奴の瘴気のパターン、偽バルドに似てた」

 口々に状況証拠を上げていく一同。ファーレーンの時に比べると手口がやけに直接的だが、活動範囲が広い分かえって対処に困る面はある。

「とは言え、連中のやり口としては違和感はあるよな」

「せやなあ。ファーレーンの時はものすごい時間かけて浸透しとったみたいやし」

「その話、詳しく聞かせていただいてよろしいですかな?」

 状況の分析に夢中になっていた宏達に、落ち着いた老人の声がかけられる。その言葉にびくっと体を震わせ、恐る恐るいつの間にか入ってきていた老人に視線を向ける一同。

「大変長らくお待たせして申し訳ない。このイグレオス神殿・ダール分殿を預かる、神官長のボルドワと申します。まずは此度の事についてのお礼をさせていただきたい」

 予想以上の大物の登場に、いきなりディープなところに首を突っ込む羽目になった事を悟る日本人達であった。







 一方その頃、ダール城の王家の執務室。

「……やけに上機嫌ですね……」

「ふむ、やはり分かるか?」

「いつの間にか抜け出して、帰ってきたと思ったらその表情です。分からないはずがありません」

 脱走癖のある女王に対し、早速嫌味をぶつける女王の腹心・セルジオ。もっとも、脱走して戻るたびにこの程度の嫌味は聞かされるのだから、今更この女王が堪える訳が無いのだが。

 ダール王国の女王・ミシェイラは、現在二十八歳。この世界の基準では少々とうが立ったと言われてしまう年齢だが、実際には女盛りという表現が最もしっくりくる、あでやかな女性である。

 ゆるくウェーブのかかった金の長い髪にダール人の特徴である淡い褐色の肌、彫りの深いややきつめの印象を与える華やかな顔立ちに、春菜やアルチェムには一歩半ほど譲るが、それでも見事な凹凸を持つ肢体の、一言で評価するならふるいつきたくなるようないい女となる女性である。

 こんな彼女だが、実は王に即位した後すぐに崩御した夫との間に三人の子供をもうけた、立派な母親でもある。一番上の王子はそろそろ本格的に国政に関わりはじめようかという年頃で、年に似合わず理知的で落ち着いた性格をしている。そんなしっかりした息子に甘え切ったこの女王は、実務こそバリバリにこなしてはいるが母親としては愛情を注ぐ以外は思いっきり手抜きをしており、子供達がよくグレなかったと感心するレベルである。

「まあ、そう尖るな。妾にとって、これがいかに大事かはお主にも分かって居ろう?」

「ただお忍びで街を見て回るだけなら、私もこんなに頻繁に小言を申したりはしません」

「嘘をつけ」

 女王に是が非でもやめてもらいたい行為について口にする前に、彼女から即座に否定の言葉をぶつけられるセルジオ。

「お主のような人種は、仮に妾が普通にお忍びで街を見て回るだけでも小言を言うに決まっておる」

「そ、そんな事は……」

「それにのう。交渉というやつは、見返りなしで一つ譲歩すれば、後は際限なく譲歩させられるものと相場が決まっておってのう。お主が言いたい事は分からんでもないが、それを飲んだところで妾にはこれと言ってメリットなどない。そんな要求を何故飲まねばならん?」

 そんな事を食えない笑みを浮かべながら言い切るミシェイラ。流石に諸外国と対等に渡り合っているだけあって、口では到底勝てそうにない。

「何にせよ、先日目をつけた連中について、色々面白い事が分かった」

「ほう?」

「あくまでもこっそりつけておいた密偵からの情報じゃがの。連中、どうやらグラムドーンを相手に余裕で勝利できる程度の戦闘能力はあるようじゃ」

 何かを誤魔化すかのように、やけに密偵からの情報という単語を強調するミシェイラ。この場の会話において暗黙の了解であるとある事情を伏せるための符丁に苦笑しながら、もたらされた情報について素直な感想を告げることにするセルジオ。

「流石は、ファーレーンを救った英雄という事ですか」

「そう言う事じゃな」

 あでやかな笑みで楽しそうに語る女王。その様子はまるで、新しいおもちゃを手に入れた子供のようである。

「残念ながら、ファーストコンタクトは神殿に持って行かれたようじゃがな。別段向こうと敵対して居る訳でも無し、妾が直接接触する手段など、どうとでもなろう。それに、ファーレーン王家からの情報に相違なければ、奴らが目的を果たすためには、我が王家に接触せずに済ませる方法はないしの」

「御意」

 女王ミシェイラの意を酌み、深々と頭を下げるセルジオ。彼としても、ファーレーンを救ったアズマ工房の連中と友好関係を結ぶ事に関して、国益と女王の機嫌双方の面から見て全く異存ない事柄である。

「しかし、娘どもが屋台で作っておった食べ物は、どれも実に美味だった。昨日今日と冒険者をやっておるようで、屋台はやっておらんかったのが残念じゃ。特に鯛焼きという奴がよかったが、頼めばまた作ってくれるのかのう?」

「陛下……」

 国のためにある程度必要だとは言っても、ミシェイラのこの趣味といくつかの悪癖だけは、どうしても頭が痛いセルジオであった。
とりあえず宏はデリカシーってものを勉強するべきだと思うんだ。
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