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フェアリーテイル・クロニクル ~空気読まない異世界ライフ~ 作者:埴輪星人

邪神編

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第28話

前回書こうかどうしようか迷った、すぐに風化しそうな余計な小ネタを一つ。

「安心してください、無傷ですよ」
「こらまた、難儀なことになってもうたなあ……」

 体を張って邪神の攻撃を止めた宏は、邪神ともども亜空間を漂っていた。

 宏自身は完全に無傷、そこそこ損傷があった神鎧オストソルも自動修復で既に修理が完了しており、肉体的には一切問題はない。

 邪神の方は、いかにオストソルの機能が噛んだと言えど、自分の攻撃に巻き込まれてダメージを受けるような性質はしていないため、これまた攻撃前と状態は変わっていない。

 お互いに相手の存在は視認できてはいるが空間の問題で直接見ているわけでもなく、どちらからも手を出せる状態ではない。結局、双方ともに、ダメージに関しては現状維持であった。

「ぴぎゅ」

「ラーちゃんもおったんか。あの攻撃受けて、よう無事やったなあ」

「ぴぎゅ」

 現状を確認したところで、鎧の隙間からラーちゃんが這い出してくる。

 実のところラーちゃんは、戦闘中は一度も宏の体から降りていなかった。邪神の攻撃の時もオストソルの微妙な隙間をうまく移動し、背中側の鎧用アンダーウェアと神衣の間という、下手をすれば戦場のどこよりも安全な位置に潜り込んで攻撃をやり過ごしていたのだ。

「それにしても、どないしたもんやろうなあ」

 どうせ攻撃はできぬ、と邪神をとりあえず放置し、現在位置を確認しようと出来る限りの手段を講じる宏。今一番の問題は、現在位置が全く分からない事である。

 とはいえ、この手の空間感知は、宏の権能的には苦手ではないが得意とも言えない。それまでの経緯から感覚系が神としてもすぐれている方には入るが、能力値だけでどうにかなる種類のものでもない。残念ながらそのあたりの技術はせいぜいアマチュアレベル、専門家である春菜やアルフェミナの足元にも及ばない。

 いくら視力や空間把握能力が優れていようと、測量が必要な状況ではそれだけでは十分な情報を集めることはできないのだ。

 結局、宏が確認できたのは、神の城の大雑把な位置と、そこまで通じるルートが存在しない、空間の特性上転移陣を張ることもできないという、ある種絶望的な事実だけであった。

「本気で参ったもんやな」

「ぴぎゅ」

 かなり絶望的な状況だというのに、いつも通りの態度でそんなことをつぶやく宏。はっきり言って、全然参っているようには見えない。

 そのまま、せめて春菜達と連絡が取れないかと、さらにいろいろと確認を続ける。

「予想はしとったけど、やっぱりギルドカードとかその系統の通信手段は使えん。城とのリンクは生きとるけど、ノイズが乗りすぎてモールス信号レベルの通信も無理。タコ壺の方はオクトガル不在やからただの壺やし、こらホンマに参ったもんやな」

「ぴぎゅ」

「そういえば、ラーちゃんの食いもんも気にせんとあかんねんな。気合入れたらキャベツぐらいはなんもないところからでも出せるかもしれんけど、どうにも材料もなんもなしにっちゅうんは納得できる気がせんのが難儀やでな」

「ぴぎゅぴぎゅ」

「まあ、ごちゃごちゃ言うとっても始まらんし、ポーチの中になんぞ野菜があるかも……、って、なんや。倉庫との容積共有は生きとるやん」

 ラーちゃんのごはんになりそうなものはないか、と、腰の後ろのあたりに仕込んであったポーチを漁ったところで、何と倉庫との接続は普通に生きていることが発覚。まずはラーちゃんのために神キャベツを取り出しながら、どう連絡を取るかを考える。

「これ通り抜けれたら話は早いけど、普通の倉庫とちごて共有倉庫の場合は入ったら自力では出れんから、知的生命体は入れんように術式の段階でロックかかっとるしなあ」

「ぴぎゅ」

「ラーちゃんは微妙なラインやで」

「ぴぎゅ……」

「まあ、そういいな。そもそもラーちゃん入れたかて、向こうが気ぃ付かんと連絡手段にはならんし」

 妙にしょぼんとした感じの鳴き声を上げるラーちゃんを、そういって宏が慰める。

 根本的な話、ラーちゃんが倉庫を通って春菜達のもとへ移動出来たところで、まともなコミュニケーションを取れないのだから連絡手段にはなりようがない。

 なりようがないのだが、それを指摘するのはあまりに無情なので、あえて触れない宏であった。

「共有倉庫の接続たどって移動は……。あかん、経路が複雑すぎて、余計迷子になりそうや」

 見えている場所に行くために、一度現在いるビルの三階まで上がった後別のビルに移動し、そこから地下まで降りてさらに違うビルに、という感じの移動を要求されるという、まるで東京や大阪の中心部にある巨大駅のような複雑なルート構造に、早くもそこをたどっての帰還を断念する宏。

 標識も何もない以上、下手に足を踏み入れたら永久に迷い続ける羽目になりかねないのが難儀なところである。

「……まあ、適当な紙にメッセージ書いて、誰か気ぃ付くまで待つ……。いや、それはなんぼなんでも不確実すぎるか。この場合、共有しとるカバンとか倉庫全部に手ぇ加えて……」

 結局さっくり自力での帰還をあきらめ、手っ取り早く確実に早急に春菜達と連絡を取る方向で計画を進めていく宏。あまりまごついていると、特に春菜がいろいろ不安定になりそうで怖い。

 別に精神的に依存しあう仲ではないが、ここに飛ばされる直前の状況が状況だ。春菜の性格なら、ここまで仲良くなった相手が目の前で消滅したように見えたとなると、しばらく取り乱してもおかしくはない。

 なんだかんだと言っても精神的にタフなのですぐに立ち直りはするだろうが、それでもいらぬ心配をかけぬに越したことはない。

「倉庫の改造完了。メッセージはこんなもんでええとして、後は、これで気ぃ付いてくれるかどうか、やな」

 A4サイズの紙にでかでかとメッセージを書き、倉庫の中に突っ込んで追加機能を起動。ちゃんと作動したのを確認して一つため息をつく。

「さて、あとは向こうの反応待ちやし、ラーちゃんを見習って腹ごしらえでもしとくか」

 そういって、倉庫の中から関西でよく売られているオレンジ色のプラスチックフィルムに包まれた細長いポークソーセージ(ただし使われている肉は豚肉ではなくベヒモス肉)を取り出し、フィルムをむいて食べ始める宏。

 結局、最初から最後まで全く危機感を抱いていなかったのであった。







「宏君、返事して! 宏君!!」

 宏が亜空間でいろいろと試行錯誤をしているその頃。

 本来音が聞こえないはずの宇宙空間に、春菜の声が響き渡っていた。

「一度落ち着け、春菜!」

 宏の予想通り、見ていられないほど取り乱している春菜を落ち着かせようと、必死になって達也が声をかける。何度目かの声掛けにようやく反応を見せた春菜が、今までにない怒りと焦りをもろに表に出した、やたらと迫力のある表情で達也をにらみつける。

「この状況で、どうして落ち着けるっていうの!?」

「この状況だからこそ、落ち着けって言ってるんだ! 一度頭を冷やして周りを見ろ!」

「宏君が死んじゃったかもしれないのに、落ち着いてなんて!!」

「もう一度言うぞ! 周りをよく見ろ! 神の城が健在だろうが!」

 達也に言われ、ようやくその事実に気が付く春菜。三の大月とともに跡形もなく消える、などというショッキングな展開に、完全に視野狭窄を起こしていたのだ。

「リンクしてんだ。ヒロに何かあったら、あの城が無傷なわけがねえ。城に一切損傷がない以上、ヒロは無事だ」

「……うん。でも、それじゃあどうして……」

「分からねえ。だが、すぐに命の危機がある状況に追い込まれてる、って訳じゃないはずだ」

「よく考えたら、そんな状況だったらローリエちゃんがとっくに連絡をくれてるはずだよね」

 相変わらず平常運転で生産活動を続ける神の城を見て、とりあえずそこまで切羽詰まった状況ではない事だけは確信する達也と春菜。それだけに、気配も痕跡も一切残さず消えた宏を、どう探せばいいのかが悩ましい。

「とりあえず、これだけ呼びかけても反応がない以上、声が聞こえる範囲にはいないと思うわね」

「宇宙空間だからあまり意味ないけど、五キロぐらいの範囲には神も邪神も人も存在して無い」

 真琴と澪の言葉に、何かを考え込む春菜。冷静にさえなれば、それなりに打開策ぐらいは思いつく。

「……もしかして、だけど」

「何か思いついたことがあるのか?」

「うん。あくまでもしかして、なんだけど、通常空間にはいないんじゃないかな、って思ったんだ」

「……あり得るな」

 春菜の思い付きに、真剣な顔でうなずく達也。そもそもの話、三の大月そのものが消失したというのに、付近には全く痕跡が残っていないのだ。

 仮に高エネルギーにより粉砕された、というのであれば、破片ぐらいは飛び散っていなければおかしいぐらいには、三の大月は巨大である。

 それだけの大質量が消えたというのに重力その他のバランスが狂っていない点については置いておくにしても、破片どころか大技特有の余韻すら残っておらず、宏が無事である根拠があり、そのくせ邪神ともども気配すら感じさせない。

 この条件を満たしうる状況など、いくつもないのだ。

「できるかどうかわからないけど、少し時間を遡って調べてみるよ」

「おう」

 立てた仮説を確認するため、三の大月の中心から宏が攻撃を止めたあたりまで、空間の状態を調べようとする春菜。そのタイミングで、全員のカバンと神の船の倉庫が振動し、黒電話の呼び出し音のような音を出す。

「っ! びっくりしたあ……」

「なんだ急に……、って、ヒロからの手紙……!?」

「えっ!? 本当に!?」

「もう取り出しちまったから、カバン見ても分からねえよ! 今から読み上げるから、ちっと落ち着け!」

 色めき立ってカバンの中を確認しようとする春菜を宥めつつ、見つけてすぐに反射的に取り出した手紙を広げる達也。中身を見た瞬間、読み上げる、という言葉も忘れて全力で突っ込みの声を上げてしまう。

「人に散々心配かけといて、えらく余裕だなおい!!」

 そう絶叫しながら、思わず手紙を甲板にたたきつけそうになる達也。それも無理はなかろう。

 宏からの手紙には

「ボスケテ(´・ω・`)」

 とだけ、A4用紙いっぱいに書かれていたのだから。

「……良かった。大丈夫そうでよかった……」

 達也が叩き付けそうになった手紙を横からひったくるように回収し、その内容を確認した春菜は目じりに涙を浮かべながら、心底安心したように宏の手紙を胸に抱きしめるのであった。







「エル様、交代の時間です」

 宏からのメッセージにより、春菜が落ち着きを取り戻してから少しあと。儀式開始からひと時も休まず神楽を舞い続けるエアリスに、アルチェムが交代を告げる。

「……」

 アルチェムの言葉が聞こえているのかいないのか、エアリスは神楽をやめようとはしない。それどころか、返事すらせずに儀式に没頭する。

「エル様、ヒロシさんの無事が確認されました。それに関連して相談したいことがあるそうですので、そちらの方をお願いします」

 交代を告げてもエアリスが反応しない事は、最初から分かっていた。それゆえ、一切を無視したように儀式を続けるエアリスの態度を気にした様子も見せず、同じように神楽のステップを踏み始めながら、もう一つ告げておくべきことを口にするアルチェム。

 儀式を切り上げるにせよ交代するにせよ、すぐに神楽を止めることはできない。なので、反射的に儀式を中断させぬため、また、エアリスが聞く耳を持たなかった時の切り札として、アルチェムはすぐにこの朗報を告げることはしなかったのだ。

「……!?」

 今度こそアルチェムの言葉に反応するも、まだ神楽のステップを止めず、返事も保留するエアリス。完全には儀式の引継ぎが終わっていないこの状況で、迂闊に声を出すのはよろしくない。

 アルチェムに返事をするのも安堵と喜びの感情を表すのも、儀式を完全に引き継いでからだ。そう心に言い聞かせ、アルチェムと神楽の動作が完全に同期したところで、交代のためのステップに移る。

 そうやって手間暇かけて、中断させたり効果を落としたりすることなくエアリスはアルチェムに儀式を引き継いだ。

「それでは、あとはお願いいたします」

 儀式の引継ぎを無事に終え、アルチェムに向かって一つ頭を下げるエアリス。儀式の動作に合わせて視線を送ることでそれに応えるアルチェム。

 儀式を行っていた聖堂を出ると、エアリスは矢も楯もたまらず、すぐにローリエのそばに転移する。

 直前まで通信で春菜達とやり取りをしていたローリエは、その打ち合わせと並行で資料作りをしていた会議室でエアリスを待っていた。

「お待ちしておりました」

「状況はどうなっていますか!?」

「まず最初に、マスターの命には一切危険がない事は断言しておきます」

 アルチェムと同じような反応を見せるエアリスに、ローリエが実に落ち着いた様子で説明をする。エアリスやアルチェムと違い、宏とのリンクがしっかりしているので、今回の件では取り乱す理由が薄いのだ。

 とはいえ、では困っていないのか、というとそういうわけでもない。リンクは生きているが位置をはっきり特定できず、また、相互にあまり直接的な干渉を行えない状態になっている。さらに言うなら、直接連絡を取ることすらできない。

 そのため、遭難中の宏をこちらに連れ戻そうにも、自力で出来ることが無くて困っているのだ。

「ただ、マスターとの連絡手段はどうにかなりましたが、それ以外に関しましては現在手詰まりでして……」

「連絡は取れたのですか?」

「はい。幸いにして、共有倉庫の機能は生きていまして、そこを経由してマスターと手紙をやり取りすることで、現在連絡を取り合っています」

「なるほど、分かりました」

 共有倉庫が生きているのであれば、そこを通ってこちらに出てこれるのではないかと一瞬考え、すぐにその考えを捨てるエアリス。それぐらいのことを誰も言わないわけがないし、そもそも、出来るのであれば宏がとっくにやっているだろう。

「それで、ヒロシ様とはどういう話し合いになっていますか?」

「それについては、手紙を見ていただいた方が早いでしょう」

 そう言って、現時点でスペースが完全に埋まってしまっている紙を見せるローリエ。受け取って真剣な顔で最初からじっくり追いかけようとしたエアリスだが、一分もしないうちに最初の方を読み飛ばす。

 はっきり言って、一枚目の表面は、実のあるやり取りがまるでなかったのだ。

 ネトゲなどでのチャットそのままのノリで会話をしているのだ。実のあるやり取りの方が少ないのも当然であろう。

「……とりあえず、本当にヒロシ様が無事であることはよく分かりました。ただ、あまりいい状況ではありませんね」

「はい。ハルナ様ですら、位置は特定できても移動経路を割り出せずにいます。アルフェミナ様にも協力いただいたようですが、空間の状態が悪すぎてどうにもならないようです」

「そうなると、私ではどうにもならないような気がするのですが……」

「いえ、そうでもありません」

 やけに力強く断言するローリエに、エアリスが思わず不思議そうに首をかしげる。すでに状況は神々が全ての権能を持って全力で当たる段階に来ており、いかに巫女だといえど現状単なる人間でしかないエアリスに出番などあるとは思えない。

「エアリス様にお願いしたいことは二つ。まず一つ目は、邪神に余計な力をつけさせないために、神々との戦闘で地上に散らばった邪神の破片を浄化する手伝いをお願いしたいのです」

「確かに、それならこちらの領分ですね」

 ローリエが持ちかけてきた話、それを聞いて真剣な顔でうなずくエアリス。神々は地上に対する干渉に大きな制限がかかっている。地上に邪神の破片をどうにかするとなると、間違いなくエアリスたち巫女や各地の神殿の方が手っ取り早く柔軟に動ける。

「もう一つは、マスターの力を増やすために、マスターと縁のある人物・もしくは場所によって行われている創造的な活動、それによって発生するエネルギーを儀式で増幅していただきたいのです」

「創造的な活動、ですか?」

「はい。今まで挑戦していなかった難易度の高い生産に挑戦する、新たな作物を育てる、先の戦争で受けた被害からの復旧・復興、なんでも結構です」

「それも問題はありませんが、私たちには、そのエネルギーの認識ができません。認識できない以上、入り混じったエネルギーの中からの識別はできませんよ?」

「エネルギーの識別は、この城で行います。こちらで識別し送り込んだものを増幅していただければ問題ありません」

「はあ……」

 ローリエの二つ目の頼みに、心底困った表情を浮かべてしまうエアリス。一つ目と違い、自分で感知も識別もできないエネルギーを増幅しろ、などと言われても困るのだ。

 認識できるエネルギーの増幅なら自信をもって引き受けられるが、認識できないとなるとそうもいかない。認識できない以上、増幅できているかどうかの判断もつかないのだから当然である。

 それどころか、反対側の、本来増幅してはいけないエネルギーを増幅してしまう危険性すらある。そして、おそらくそれすら認識できない可能性が高い。

 宏のためならどんなことでも引き受けたいところだが、その結果として宏の足を引っ張ってしまっては元も子もない。

 自然、判断も慎重なものとなってしまう。

「難しく考えなくても大丈夫です。そもそも、エアリス様が挑戦してくださる事、それ自体がマスターの力となります」

「そうなのですか?」

「ええ。未知の分野に対する新たな挑戦、という創造的な活動となるのですから、当然です」

 宏のパワーアップに関する何ともアバウトな判定基準に、戸惑いを隠しきれないエアリス。それがありなら、大体の事柄でパワーアップできるのではないかと真剣に感じてしまう。

 実際問題、エアリスが感じたように、宏のパワーアップに関しては、作る、生み出す、新しい、などが絡めばなんでも良かったりする。判定基準がアバウトであり、かつ、元の出自が単なる人間であるため、一つ一つでのパワーアップは微々たるものだが、人間出身である影響とこじつけのやりやすさから、邪神のようなパターンでダメージを受けたり力がそがれたりすることはない。

 残念ながらフェアクロ世界は宏が生み出した世界ではないため、すべての事象をパワーアップにつなげることはできないが、それでも縁の深い人間の行動や大規模な活動は、それ自体が確実にプラスに働く。

 その実例ともいえるのが、エアリスとアルチェムが主導し、世界中の巫女が参加している今回の大儀式である。天地開闢砲で邪神が受けたダメージがとんでもなく大きかったのも、大儀式によって天地開闢砲自身が強化されただけでなく、大勢の参加者全員にとって初めての試みである、過去に数えるほどしか行われていない大儀式の復活が、宏の創造神としての権能を大きく強化したことも影響している。

 結局、効率を度外視するなら、エアリスのような身近な関係者の行動は、挑戦という要素が入っている限り何をしてもパワーアップにつながるのだ。

「……とりあえず、二つ同時には難しいと思いますので、まずは急を要し、地上への被害も大きい邪神の破片への対応を優先させてください。破片が変質して、ヒロシ様を追いつめた例の幹部級のような強力なものが生まれる前に対処せねば、再び以前の状況に逆戻りですから」

「そうですね。まずはそちらを優先でお願いいたします」

「エネルギーの増幅に関しては、それが終わった後まだヒロシ様が戻ってこられていないときに挑戦させていただきます」

「分かりました」

 エアリスの判断に、小さくうなずくローリエ。戻ってこれない主を強化しつつ帰り道を作るのも重要だが、まだ健在である敵を削り、主の安全を確保するのも同等以上に重要だ。

「破片の落下に関して、分布などは分かっていますか?」

「大まかには観測しています。ただ、精度としては頑張っても誤差二キロが限界です」

「十分です。それでは、その分布に基づいて浄化を行います。朗報をお待ちください」

 方針が決まり、ローリエにそう告げ一礼して会議室を出るエアリス。そのままお手洗いや水分補給、長丁場に備えて軽食での腹ごしらえを済ませて、同じように交代時間で待機しているプリムラのもとに向かうのであった。







『いい加減、このやり取りが面倒になってきたんだが、いちいち倉庫に手紙を出し入れする以外の手段をどうにかできないか?』

 手紙のやり取りが四枚目になったあたりでの達也の注文に、宏が考え込む。

 正直な話、宏の方も同じようなことを思っていたのだが、あまりいいアイデアが浮かんでいなかったのだ。

「音声での会話はまあ、諦めるしかないとして、や。リアルタイムか、せいぜい衛星中継ぐらいのタイムラグでメッセージのやり取りができたらええんやけどなあ……」

 通信経路を構築できないか四方八方を精密探査しながらぼやく宏。システムそのものは大して問題なく作れるが、通信経路がどうにもならない。

 自身やラーちゃんが通れるようなルートを自力で探すのはあきらめるにしても、細く絞った魔力ぐらいなら通り道が作れそうな気がする。気がするのだが、どこを通しても途中で引っかかって進まない。

 そうやって宏が四苦八苦している間、ラーちゃんは力を蓄えるかのようにせっせと神キャベツを食べ続けていた。

「ぴぎゅ」

 その後、三度ほど手紙をやり取りし、宏の側からのアプローチがいよいよ手詰まりとなってきたときのこと。四玉目の神キャベツを食べ終えたラーちゃんが、何かを主張するように鳴き声を上げた。

「どないしたん?」

「ぴぎゅぴぎゅ」

 明らかに何かを訴えかけるラーちゃんに、不思議そうに声をかける宏。宏の疑問に答えるように鳴き、ほんの少しだけ糸を吐いて見せるラーちゃん。

 その糸を見て、宏はラーちゃんが何を訴えかけていたのかを理解した。

「なるほど、何かに括り付けるか張り付けるかして、そのまま向こうが取り出すまでラーちゃんが糸吐き続けたらつながるわけか!」

「ぴぎゅ!」

 宏が自身の主張を正しく理解してくれた事に、満足そうに高らかに鳴き声を上げるラーちゃん。その姿、その表情はやたらと自慢げだ。

 芋虫なのにドヤ顔ができるあたり、ラーちゃんは間違いなく宏の眷属であろう。

「ほな早速、有線通信のシステム作ってまうか」

 展望が見えたところで、通信システムの構築作業を始める宏。ただ糸だけを送り込んでもいいが、どうせなら最初から通信手段も確立しておいた方が世話がない。そんな言い訳をもとに、喜々としてものづくりに打ち込むあたり、どこまでも平常運転である。

「……よし、相手方に送る分は完成や。後は取り出した時に糸が切れんように倉庫の仕様をいじって、兄貴らがゴミかなんかと間違えんように付箋でメモ張り付けて……。よっしゃ。ラーちゃん、糸頼むわ」

「ぴぎゅ」

 宏の要請に応え、通信用の糸を吐き出すラーちゃん。その糸の端を通信端末(といっても、見た目はとてもそうは見えないものではあるが)に括り付けて倉庫に送り込み、呼び出し機能を起動する宏。どんどん倉庫に糸が飲み込まれていき、数秒後。誰かが端末を取り出す。

「よし。ラーちゃん、もうええで」

 ずっと糸を吐き続けていたラーちゃんにストップをかけ、終端側に自分用の端末を接続する宏。

 史上初の、亜空間からの有線通信システムが完成した瞬間であった。

『もしもし、聞こえとる?』

『おう、ちゃんと聞こえてるぞ。そっちはどうだ?』

『こっちも問題なし。これで、いちいち出し入れせんでも会話できるようになったな』

『そうだな。で、それはいいんだが、なんで糸電話なんだ?』

『そらもう、糸使った通信っちゅうたら糸電話やろう』

 達也の当然の疑問に、やたらと力いっぱい断言する宏。宏が用意した端末、それはどこからどう見ても紙コップにしか見えないものであった。

 とはいえ、亜空間を経由して別の亜空間にいる人間と通常空間にいる人間をつなぐのだ。原理は糸電話そのものではあっても、当然そのままで通信などできはしない。

 宏は、双方の紙コップにいろいろと手を加えていた。

 なお、紙コップに仕込まれた機能のうち、宏が最重要視したのが発言終了と聞く準備の完了を相手に知らせるものなのは、糸電話の仕様上仕方がない事であろう。

 こうして、おそらくどこの世界の歴史をたどってもまず実在しないであろう、亜空間糸電話が爆誕したのであった。そこそこノイズが乗っかっているが、糸電話で長距離通信などしているのだから、こればかりは仕方がない。

『まあ、こうやってリアルタイムに連絡が取れるようになったから別にいいんだが、いちいち発言終了と聞く準備の完了を伝達せにゃならんのは、ちょっとばかりテンポが悪くなりすぎるぞ』

『せやねんけどな、上手くいくかどうかの確信が持てんかったから、まずは一番手間がかからんで技術的に枯れとる方法で実験したかったんよ』

『二つ用意するとかは無理だったのか?』

『ラーちゃんの負担が大きすぎるし、中で混線しかねんから今回は避けてん。ぶっちゃけ単なるテストやから、通信そのものに必要なことはともかく、それ以外のことであんまり複雑な事しても意味あらへんし』

 割と納得できてしまう宏の言い分に、思わず小さくうなってしまう達也。

 糸電話、それもわざわざ紙コップを使ったのはまず間違いなく宏の趣味と悪ふざけのたまものであろうが、それを認めさせるだけの根拠がない。いくら余裕があるとはいえ、一応非常時であるこの状況で悪ふざけに走ったことを叱るに叱れないところが、達也としてはものすごくもやもやする点である。

『……まあ、理由は分かった。納得はできてねえがな。ただ、このシステムはまどろっこしすぎる。俺はいいが、春菜や澪に話をさせるには、ちょっとどころじゃなく不都合が多いぞ』

『せやなあ。とりあえず、ラーちゃんの糸でどのぐらいの通信ができるかは把握できたから、一気に近代化させてまうわ』

『おう、頼むぞ』

 達也の言葉を受け、さすがにこのままではまずいと大急ぎでパソコン的な何かをでっちあげる宏。趣味に走って悪ふざけした成分について達也からのお叱りはどうにか回避したが、大いに心配をかけているであろう春菜や澪の心境を考えると、さすがに少々悪ふざけが過ぎている自覚はあるのだ。

 余談ながら、宏達の時代のパソコンは、大きさとしてはCDケースぐらいのサイズまで縮小されている。ディスプレイやキーボード、マウスといった機器は普通に生き延びているが、それらはすべて非実体の空間投影式のものに置き換わっており、その気になればデスクトップパソコンの機能と操作性を維持した状態でどこででも作業が可能である。

 また、パソコンにありがちな起動時の衝撃に対する弱さに関しても、起動状態のまま航空機から投下する実験でまったく問題なく動作する結果を出すというありえない堅牢さを見せ、また深海二千メートルぐらいまで水没させても一切壊れないというオーバースペックもいいところなスペックを兼ね備えている。

 結果としてノートパソコンは完全に駆逐されてしまい、また、電話としても携帯パソコンとしてもどっちつかずだった感があったスマートフォンも、普及しはじめた時期にこの仕様のパソコンが登場した結果、最終的にはパソコンに統合されてしまっている。

 スマートフォンの衰退により、最終的にカメラとメールと通話機能だけに特化した携帯電話が復活を遂げたのはご愛敬と言えよう。

 なお、CDケースサイズなのは、ソフトの供給メディアとしてCDやブルーレイディスクなどの類がまだ生き延びているほか、外付け機器の接続回りの使いやすさや接続端子の数の稼ぎやすさ、本体の堅牢さなど、様々な要素との兼ね合いの結果である。ポケットに入れやすいサイズの小型の機種もあるにはあるが、総合的な利便性の問題か、意外と普及していない。

 さらに補足しておくと、このパソコンを作ったのは春菜の親戚である世界一の天才科学者・綾瀬天音だ。スマートフォンが技術的に未熟な頃にとある財閥を筆頭とした国内メーカー各社と結託し、操作性や堅牢さ、記憶容量、バッテリーの持続時間や動作の安定性などを武器に、あっという間に世界中に日本製のパソコンをスマートフォン代わりに定着させてしまったことは、今でもこの種の業界で語り草となっている。

 特許だけでなく、これだけのものをスペックを一切落とさずに携帯電話と同等のコストで量産するだけの技術を持つのが日本だけ、さらに政治的にも天音の存在を時の政府がうまく利用することで、官民ともに日本の立場が強くなっていたからこそ可能だった奇跡である。

 ひそかに、いまだに日本以外では新機種の開発ができるほど技術解析が進んでいないのはここだけの話だ。

『とりあえず、そっちに端末送ったから、糸から紙コップ外して、適当なところに括り付けたって』

『もうできたのか。っつうか、そんないい加減でいいのかよ……』

『そもそもの話、糸電話に使った糸で通信するっちゅう時点で、システムとしてどうやねんっちゅうレベルやねんから、その程度のええ加減さは誤差の範囲や』

『そりゃまあ、そうだろうけどな……』

 そういいながら、とりあえず発言終了の信号を送り、切り替え作業を行う達也。

 自身の権能で達也が紙コップを外したことを確認し、宏の方も手早く端末を付け替える。ちなみに、糸はセロハンテープのような透明でちゃちなテープで紙コップに固定されている。

 糸を括り付けた端末を起動した瞬間、

『宏君!!』

 画面全体を春菜の顔が占拠したのであった。







「達也さん!」

「すぐ終わるから、焦るな!」

 宏から送られた端末の取り付け作業を、春菜が急かす。無事だと分かってはいても直接声も姿も確認できない状況が続き、春菜のフラストレーションは限界まで高まっていた。

「よし、作業完了。起動するぞ」

 そういって、どこから見てもCDケースにしか見えない端末を起動する達也。なお、この時の起動操作は宏達の時代のパソコンと同じで、ラッチ式のスライドスイッチだ。持ち運びの時にぶつけたりしても簡単に起動せず、直感的に操作が分かりやすい事が最大の売りである。

 起動と同時にディスプレイが空間に投影され、通信画面が展開される。普通のパソコンと違って真っ先に通信画面が展開されるのは、おそらく宏がそういう設定にしているからであろう。

 投影されたディスプレイの端をつまんで引っ張って拡大し、さらに通信画面を全員に見えるように調整してから端末の前を春菜に明け渡す達也。

 余談ながら、スマートフォンが駆逐された最大の要因が、今回達也がやって見せたように、本体をわざわざいじらずに簡単な操作で画面サイズや操作領域を自由に変更でき、さらに画面を見ることができる人間を自由に変更できる機能によるものだが、ここでは深くは触れない。

「宏君!!」

 達也が画面調整を行ってから約二秒後。通信画面に映りこんだ宏とラーちゃんの姿に、いろいろと我慢しきれなくなった春菜が、感極まった表情で叫びながら身を乗り出す。

 結果として、宏の側には妙な色香を漂わせる春菜のどアップが映し出されることになったのだ。

『近い近い近い!! ちょい落ち着きや、春菜さん』

「あ、ごめんなさい……」

 宏に大慌てで注意され、素直に上半身全体が写る程度に画面から距離を取る春菜。頭が一気にクールダウンした結果、自分の行動のあまりのはしたなさと余裕のなさに、先ほどまでとは違う意味で顔を真っ赤に染めてしまう。

「立体映像をオフにしてて正解だったわね……」

「大丈夫だとは思うけど、春姉のどアップを立体映像でとか、師匠にはいろんな意味で刺激が強すぎると思う……」

 テンパった人間を傍で見ていると他の人間は落ち着いてしまうもので、春菜のある種の醜態に、すっかり冷静になってしまった真琴と澪がそんなことを言い合う。

 画面の中では、宏が微妙に青ざめつつ赤くなるという、なかなかに複雑な顔色を見せていた。

 いかに慣れ親しんで恐怖症などほぼ発症しない春菜相手と言えど、通信でなければ唇が接触事故を起こしかねないほどのアップとなると、さすがに条件反射で恐怖心が沸き起こることまでは避けられないらしい。

 かといって、ほぼ日常生活に支障がなくなるところまで女性恐怖症が改善した今、健全な青少年としての感性も取り戻しつつある宏。春菜のような誰もが認める美少女に嬉しそうに詰め寄られれば、照れやら何やらによる動揺ぐらいはするようになっている。

 これが恐らくエレーナなどであれば、いくら好意的な美女であろうともう少し照れやらなにやらの要素は薄かっただろう。

 相手のことを思いやりながら地道に本気の好意を伝え続けた春菜の、その頑張りが報われた瞬間であった。

 とはいえ、所詮宏は宏だ。多少進展したところで恋愛関係まで発展するほど根性は座っていない。女性恐怖症などあろうがなかろうが、この方面は永久にヘタレから脱却することはない。そういう人材だ。

 状況が状況だということもあって、あっという間に平常運転に戻ってしまう。

『とりあえず、ちゃんと通信は出来とるみたいやし、あれからの進捗を確認しよか』

『了解。つっても、既に人間の手に負える状況じゃねえから、動いてるのは実質的に春菜だけなんだよなあ』

『せやろうなあ』

『つう訳だから、俺と真琴と澪は、質問とか提案以外は基本黙ってる事にする。方針とか状況確認とかは春菜と進めてくれ』

『せやな、了解や。ちなみにこっちは、他の手段はほぼ手詰まりや。邪神の方も動くに動けん見たいやけど……。ん?』

『どうしたの、宏君?』

『いや、な。いつの間にか、えらい邪神が削れとるなあ、って』

 邪神が削れている、という言葉に一瞬怪訝な表情を浮かべ、すぐにその理由に思い当たって苦笑する春菜達。原因など分かり切っている。

『多分それは、この通信システムに絡んだ一連のあれこれのせいだと思うよ』

『っちゅうと?』

『亜空間を通り抜けて声を届ける糸電話なんて、多分どこ探してもないと思うんだ、私』

『まあ、せやろうな』

『この世界どころか、下手すると全ての世界で初めてのものかもしれないから、邪神の性質上ものすごいダメージになるんじゃないかなあ、って思うんだけどどうかな?』

『あ~、そうかもしれんなあ……』

 春菜の解説を聞き、納得してうなずく宏。

 そもそもの話、亜空間だの異次元空間だのを利用できるほど技術レベルが上がっていれば、必然的に有線での通信に頼る局面は減っていく。有望な無線通信の技術が開発されていくというのもあるが、それ以前にそもそも、その手の空間を利用しての有線通信など、どれほどの長さのケーブルが必要になるのかを考えるだけでも、誰もが現実的ではないと断言するだろう。

 今回は非常事態であり、通信に使った糸が特殊な代物だったから成立したが、普通はコスト的にも実現難易度的にも実現しようとは考えない方法である。

「つうか、二十一世紀初頭ならまだしも、今になってこの手の普通の通話を有線でやる事になるとは思わなかったぞ」

「達兄。安定性と確実性は有線の特徴なんだから、今回は選択肢としては当然」

「まあ、そうなんだがな」

 一般家庭では見る機会が減って久しい、パソコンにネットワーク通信のためのケーブルがつながっている姿。宏と春菜の会話を聞いてふとそれに意識を向けた達也の感想に、澪が技術面での指摘を入れる。

 短距離に限定されるとはいえ、どれほど技術が進歩しても、直接ケーブルをつないでの通信以上に確実に安定してデータをやり取りできる手段はないのだ。

「そもそも、糸電話に使った糸で普通にパソコン通信やってるって事実に突っ込むのは今更かしら?」

「そこを突っ込みだしたら、糸括り付けてるところが通信ポートでも外付け機器の接続端子でもないって突っ込みが入るからキリがねえんだよな」

「ん。根本的に、師匠のやることに突っ込みどころがなかったことの方が稀」

「今回は、そういう話は横に置いておこうよ、ね?」

 出来ることが特に何もない事もあり、どうでもいい話題で盛り上がる達也たちを、春菜がたしなめる。特に聞こえないようにとかの配慮をしていないこともあり、パソコンを通じて思いっきり宏の方にまで会話が届いていたのだ。

 それ自体は別に特に問題はないが、こういう会話は引きずられやすい。

 普段ならそのまま雑談に入っても問題はないが、今は一応非常時。宏が飛ばされてから現在まで、すでにかなりの回数脱線をしているのだから、いい加減わき道にそれるような真似は慎むべきである。

 暗にそう主張する春菜の意を受けて、とりあえず一度黙ることにする達也たち。それを見て、春菜が話を再開する。

『それで宏君。今、この糸を伝ってそっちの位置を確定したんだけど、通り道を強引に整地するにしても、私の力じゃ効率が悪いうえにちょっと足りてない感じなんだよね』

『っちゅうたかて、こっちからやとそっちの正確な位置とか春菜さんがどんなルートを作ろうとしとるかとか、まるで把握できんで』

『うん。だから、まずは私と宏君との間に細くてもいいからちゃんとしたリンクを作って、そこからの作業になるよ』

『それはええんやけど、そのリンク作ること自体、簡単にはいかんで』

『うん。だから、半分はエルちゃんの儀式待ち、って感じになるんだよね。エルちゃんには、宏君をパワーアップさせるための儀式をお願いしてるから』

『さよか。まあ、こっちはこっちで、継続してなんぞ道具類作る形でどうにかできんか頑張ってみるわ』

『私の方も、今の段階でも宏君とリンクが作れないか色々試してみるよ』

 進展はしたが、やはり基本的には手詰まり。そんな状況に、なんだかんだと脱線しつつも真面目に対策を探し続ける宏達。

 未熟な創造神と時空の女神を助けるためのカギは、エアリスたちに託されるのであった。
気がついたら、通信手段が糸電話になっていた件について。
いや、この期に及んでまだ何か作ること自体は、最初から決めていた展開だったわけですが。

あと、宏たちの日本で使われているパソコンについては、本編後日談でもうちょっと詳しく触れます。

ちなみにこの仕様のパソコンが天才の手により世に発表されたのが2005年末ぐらいで、市販されたのが2007年冬のボーナス商戦。
付属のエミュレーターでPC6001からMSX、ウィンドウズ、MAC、LINUXまで、思いつく限りどのプラットホームのソフトでも普通に動く上、処理がどのOSのパソコンより早い優れもの。

お値段は登場当時10万円ほどだったそうな。
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