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フェアリーテイル・クロニクル ~空気読まない異世界ライフ~ 作者:埴輪星人

世界編

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プロローグ

「ようこそおいでくださいました」

 継承の儀式当日。エルザ神殿に出向いた宏達を出迎えたのは、事もあろうにエルザ本人であった。

「エルザ様?」

「わざわざ神様自身が出迎えるっちゅうんはええんですか?」

「この神殿には今、私しかいませんからね。必然的に、私以外が出迎えることなどできません」

「……まだ復旧しとらへんのんですか……」

 エルザ本人が直接出迎えることになったその理由。それを聞いて、思わずうめく宏。

 エルザ神殿の本殿なんていう重要な場所、いつまでも修繕せずに放置するはずがない。それゆえ、いい加減すでに復旧していると思っていたのだ。

 そのあたりの考えは春菜達も同じだったらしく、こんなに復旧が遅くて大丈夫か、という気持ちがもろに顔に出ている。

「何か思い違いをしているようですが、これだけの被害が出た土地や建物を復旧するのに、普通は二カ月や三カ月では終わらないものです」

「そんなもんでっか?」

「ええ。そもそも、この一帯が受けた被害となると、あなた達の故郷ですら一カ月やそこらで仮復旧までこぎつけることができる国は少数なのです。比較的土木技術が発達しているとはいえ、フォーレが復旧に手間取っているのも何らおかしなことではありません」

 元の世界の事まで引き合いに出されては、納得せざるを得ない。そういうものかと微妙に腑に落ちないながらも受け入れる一同。言うまでも無く、宏を基準に考えている日本人一同の感覚の方がおかしい。

 エルザ神殿が先の闇の主との戦闘で受けた被害は、この世界の平均的な土木技術からすれば、壊滅状態に分類できる。宏達の手によって瓦礫の撤去こそされているとはいえエルザ神殿は複数の場所で壁が粉砕され、建物自体もあちらこちらにひずみが出ている。仮に日本の技術があっても修復となるとなかなか難航し、下手をすると何カ所かは取り壊して一から建てなおした方が早いという結論になるかもしれない。

 その上、スティレンとエルザ神殿を繋ぐ道が中途半端に異界化が解除されたためにトンネルが完全に崩落し、もう一度掘りなおそうにも地盤がおかしくなっているために別の場所に穴を掘った方が安全ではないかと言う意見が出ている。仮に同じ場所にトンネルを通し直すにしても、相当高度な工法を使わねば掘った端から穴が埋まりかねない。

 何をするにも完全に異界化を解除してから、と言う事で、ジュディスが仮免許を得た時についでに土地を再度浄化し直してはいるが、残念ながら異界化の影響で土地が変質してしまった道は、そう簡単に復旧などできそうにない。

 なお、道が完全に潰れているエルザ神殿にジュディスが行く事ができたのは、アルフェミナがエアリスと一緒に送り迎えをしたからだ。色々あって四の五の言ってられない状況になっているので、エルザに関わる事は特例の大安売り状態になっている。

「それにしても、転移魔法で来るかと思っていましたので、直接ウルスから空を飛んでこちらに来るとは思いませんでした」

「エルとアルチェムとジュディスも一緒に運べるし、こっちの方がコスト安い思ったんですわ。エルはともかく、兄貴とか春菜さんの長距離転移はクールタイムも長いし」

「そうですね。使わないで済む札は、使わないに越した事はありませんしね」

 エルザ神殿までの交通手段に、よもやの空の旅を選んだアズマ工房一行。表向きはコストやクールタイムを口実にしているが、実際には作ったばかりの神の船を使いたかっただけであろう。

 神の船のスピードを考えると、移動手段が空の旅だろうが転移魔法だろうが、大きな違いは出ない。エアリス達にも空の旅を楽しんでもらおうとスピードはやや絞ったらしいが、それでも三十分ほどの移動時間だ。別段時間厳守が必要な儀式ではないので、三十分や一時間の遅れは問題にもならない。

「さて、空の旅でお疲れのところ申し訳ありませんが、早速儀式に移りたいと思います。よろしいですか?」

「うちらは単なる立ち会いなんで、特に問題あらへんですわ」

「そうですね。私もヒロシ様と同じくただの立会人ですので、いつ始めていただいても問題ありませんわ。そうですよね、アルチェム様?」

「はい。私の方も全然問題ありません。ジュディスさんさえ良ければ、すぐにでも始めていただいて大丈夫です」

 一息入れる暇もなく儀式を始めようとするエルザに対し、特に誰も異を唱えない。元々そのつもりだったというのもあるが、空の旅が思いのほか快適で、疲労らしい疲労を全くしていないというのもある。

 これまでに発言こそしていないが、当のジュディスがやる気満々で船の中で儀式の衣装に着替えて準備万端になっているのだから、単なる付き添いでしかない宏達が反対する訳がないのだ。

「では、儀式に移りましょう。こちらにお願いします」

 誰も反対しなかったため、さっさと儀式を始めるため一行を案内するエルザ。別段後の予定が詰まっている訳ではないが、早めに耳に入れておいた方がいい情報もある。

「それでは、始めましょうか」

 所定の位置についたジュディスを見つめ、エルザが儀式の開始を宣言する。残りの寿命を引き延ばすために封印していた先代の巫女を解放し、ジュディスの対面に座らせる。

「……」

 エルザが発した人間にははっきりと聞き取れない、それどころか擬音や記号であらわすことすらかなわぬ音の連なり。それに呼応して、先代の巫女とジュディスの身体を優しく光が包みこんで行く。

 二人の全身を琥珀色の光が包みこんだところで、先代の、本来ならジュディスとそれほど変わらぬ年齢の巫女が、ジュディスの手をそっと握る。

「第百八十五代目の巫女として、あなたにエルザ様の力を託します」

「第百八十六代目の巫女として、謹んでお受けします」

 新旧、二人の巫女の宣言と同時に、つないだ手を伝い何かがジュディスの中に移動する。その動きにあわせて、二人の口からエルザの声同様、正確に聞きとることも擬音や文字で記す事も出来ない音の連なりが祝詞として飛びだす。

 祝詞の声が徐々に大きくなり、それにあわせて光が強くなる。光が床の魔法陣を埋め尽くし、祝詞が儀式の間いっぱいに響き渡ったあたりで、一つ異変が起こる。

「……春菜さん?」

「……」

 何と、春菜が正確に祝詞を復唱し始めたのだ。春菜の声により一層複雑に、美しく響き渡る音。その事に驚く日本人一行だが、どうやら巫女達には予想の範囲内だったらしい。ようやく本来の巫女として目覚めるジュディスはともかく、先代のエルザの巫女もエアリスもアルチェムも、一切驚くそぶりは見せていない。

 そのまま祝詞がクライマックスを迎え、何事も無くスムーズに力の移譲が終わり、徐々に光が収まっていく。光が完全に消えると同時に祝詞も終わり、後には全ての生命力を燃やし終えた先代の巫女と、本当の意味で新たなエルザの巫女となったジュディスだけが残される。

「……これで、……私の役目は、……おしまいです」

「……はい。お疲れさまでした……」

「……ここで、……命が、……尽きることに、……恨みはありません」

「……はい……」

「……でも……、……恋は……、……してみたかったな……」

 その最後の言葉とともに、枯れるように息を引き取る先代の巫女。その身体から小さく光がたちのぼり、輪郭がにじむようにうっすらと消えていく。

「……お疲れさまでした……」

 先代の巫女の姿が完全に消えた所で、その手に残された小さな結晶を祈るように両手で握りしめそう呟くジュディス。色々な感情が心の中を駆け巡るが、結局言葉にできたのはその一言だけであった。

 ジュディスの祈るようなその言葉にあわせ、しばし呪いと暗闘の犠牲となった罪無き巫女の冥福を祈り黙祷する一同。一分ほどの黙祷が終わり、言葉を発する事が出来ぬ雰囲気の中、ジュディスが宏のもとへ歩み寄ってくる。

「ヒロシさん。これを、お願いします」

「これは?」

「今の儀式で先代となった我が巫女の、魂魄結晶です」

 ジュディスから渡された小さな結晶、その正体をエルザが明かす。

「本来なら輪廻の輪に入れ、傷を癒してから別の存在として再び新たな命を生きるべきなのですが……」

「呪いの影響で、それができへん、と」

「ええ。呪いそのものは儀式の前に既に解除し、残っていた瘴気も先ほどの儀式で全て浄化できましたが、それでも今のまま輪廻の輪に戻すと、さまざまなゆがみが生じます。魂魄結晶になってしまった時点で記憶も人格もほぼ残ってはいませんが、それでも残滓程度とはいえ彼女のままで養生する期間が必要となります」

「それと、僕が預かるんとにどういう関係が?」

「宏殿には、我が巫女の魂魄結晶に身体を与えてあげてほしいのです。どのような形でもかまいません。どのような役割でもかまいません。少しでもその存在が残っている状態で、本来彼女が生きるべきであった期間を過ごさせてあげてほしいのです」

 エルザの主張を理解し、微妙に顔を引きつらせる宏。

 確かに、今の宏なら、材料さえそろえれば新たな身体を作るぐらいは訳もない。アンドロイドだろうがホムンクルスだろうが自由自在だ。性別だって必要とあらばどうとでもできる。生き物の姿にこだわらないのであれば、それこそ選択肢は無限大だ。問題などせいぜい、生殖能力の有無をどうするか程度だろう。

 だが、いかにベースとなる魂魄結晶があるとはいえ、それは本来神の領域である。宏に許されるのは、人に限りなく近いアンドロイドを作る事ぐらいであろう。

 エルザが言い出した事は、本来ならエルザがやるべき事であるはず。少なくとも、宏の考えではそうなる。

「それは神様であるエルザ様がやるべき事やと思うんですけど……」

「今回の一件で、少々特例を重ねすぎています。必要なこととはいえ、これ以上となると残念ながら、色々無視できない問題が生じてしまいます。それに、錬金術をはじめとしたいくつかの学問や生産技術は、ここを目的としていたはずです」

「錬金術の究極の目的の中には、確かに今回みたいなことも含まれとりますけど、それでも人間が手ぇ出してええ領域やあらへん思うんですわ」

「その主張も否定はしませんが、既に後戻りできないところまで踏み込んでいる宏殿が言っても、説得力はありませんよ?」

 自分でも薄々感じていた事、それをずばり言い切られて微妙に傷つく宏。こちらの神は、どうしてこう、デリケートなところを身も蓋もない一言でズバッとやる連中ばかりなのか、小一時間ほど問い詰めたい。

「あと、我が巫女が息を引き取る直前に、宏殿と目があっていたと思います。その気持ちを酌んで、と言うのもありますので、自分がどう思われようと私は引くつもりはありません」

「あれ、気のせいやなかったんですか……」

 どうにも断りづらい理由を持ち出され、思わずうめく宏。偶然、もしくは気のせいだと思っていた事柄だったので特に口にはしなかったのだが、エルザがここまで言う以上は偶然でも何でもなく、何らかの意味があるのだろう。

「……師匠」

「何やのん?」

「エルザ様が引かない以上、ごねても無理」

「せやねんけどなあ……」

 どうにも他にも気が進まない理由がありそうな宏に、澪とのやりとりで何か察するところがあったらしい春菜が口を開く。立場的には恋愛感情に関係なく宏の気持ちに賛成している春菜だが、このままでは話が進まないと見て割り込むことにしたらしい。

「宏君、何がそんなに気になってるの?」

「まあ、さっき言うた事が一番の理由やねんけどな。僕がこの結晶に身体作ったら、それが僕の趣味もしくは理想の嫁とかその類や、っちゅうことになりそうなんがなあ……」

「あ~……」

 宏が気にしている事を理解し、微妙に同情的な視線を向ける春菜。そうでなくても春菜達数名から言い寄られているも同然である現在、宏が下手なものを作れば、要らぬ憶測を呼ぶことになりかねない。

 仮に男性型で作れば真琴が喜びそうな方向で話が広まり、かといって女性型にすればどんな体型や容姿にしても、それが宏の好みとして扱われる可能性は非常に高い。少なくとも、春菜は全くそこを意識せずにいることなど無理だと断言できる。

 それ以前に春菜としては、どんな基準であれ、最初から魂が存在しているものの外見を、いくら体を作る事を任されたと言っても宏が勝手に決めるのは何となく嫌だ。

 かといって性別なしにしたり人型以外の身体を作ると、今度は関係者全員が納得しないのは間違いなく、どう転んでも宏には余計なプレッシャーとなる。

 一応、抜け道となる方法がない訳ではないのだが、それを周囲の人間が抜け道扱いしてくれるかどうかが分からないのが、今回の話のデリケートなところであろう。

「そもそもの話、正直僕が決めるんってなんか違う気ぃするから、どうしてもやらんとあかんねんやったら、性別とか容姿とか一切決まってへん子供型のマネキンみたいな素体を錬金術で作って、本人に性別と容姿決めさせるっちゅうんではあかん?」

「まあ、やるとしたら落とし所はそんなところだろうな。何でヒロがそれをやらにゃいかんのかって疑問は、全く解消してねえが」

 あからさまに、すがすがしいまでに逃げを打った宏に、達也からフォローが入る。その達也のフォローに、誰も異を唱えない。

 エルザが妙に強硬な態度をとる以上、何らかの重要な意図があるのは理解できるが、それと本来神が行うべき仕事を宏が押し付けられる事とは別問題である。別問題だが、ここまで強硬に迫られて断るのは難しい以上、宏の精神に少しでも負担がかからない方法で解決すべきなのは間違いない。

「宏の好みのタイプってのが気にならない訳じゃないけど、新しい命を始めるってのに神様でもない人間に勝手に性別とか容姿決められるってのもおかしな話よね、確かに」

 逃げ口上ながら反論しづらい程度には正論の宏の主張に、素直に同意してみせる真琴。勢いで余計な事を言って後悔しがちな真琴だが、ここで宏の逃げを許さないほど性格が悪い訳ではない。それに、自分が先代の巫女と同じ立場になったとしたら、宏が言った方法で容姿が決まるならまだしも、勝手に好みだの世間体だので外見を決められるのはいい気分はしない。

「身体作るのを任されたからって、宏君が好みのタイプの外見で新しい身体を作るのも、そう取られるのを嫌って適当に決めたり作ってる本人が綺麗だとか可愛いとか思わない姿に作ったりするのも、後で色々としこりが残りそうな気がするよ」

 元より宏がエルザの代わりを務めること自体に反対である春菜が、落とし所としてはそこしかないと言い切る。容姿なんてものは根本的に、美容整形でもしない限り本人の意思など一片たりとも反映されない要素だ。同じ反映されないのであれば、自分以外の誰かの好みを強制されるよりは、偶然にゆだねた方がまだ納得ができる。少なくとも、春菜はそう思っている。

 親戚である天才科学者・綾瀬天音がかつて、世界で最初に人間そっくりのアンドロイドを作った際、容姿に関してどうするかとかそのあたりで相当あれこれ議論をした理由や経過、完成品を発表した後各地に連れ歩いた時に起こったごたごたを教えられているだけに、春菜のこのあたりの考え方は頭が固いと言われてもおかしくない所に落ち着いてしまっている。

 だが、それぐらい慎重に対応しなければいけないぐらいには、この問題は厄介な要素をはらんでいる。いくつもの事例によりそれを学んでいる春菜は、仮に宏が軽い気持ちで自分の好みにあわせて巫女の身体の造形を行おうとした場合、かなり本気になって一度真剣に考え直せ、と説得していたであろう。この件に限っては恋愛感情の有無は関係なく、それで関係がこじれたとしても仕方ないと割り切るつもりがあるぐらいには、親戚が経験した事例が重い。

 そんな春菜の雰囲気に、割と軽く見ていた人間も少しばかり考え直す事にする。

「師匠だけの問題じゃないから、今回は反対しない」

 あまり深く考えていなかった人間の代表である澪も、年長者達の言葉を聞いて確かに問題があると認識したらしい。真琴同様、自分に降りかかったとしたら恐らく納得できないだろうと思ったのが大きい。春菜の態度にも、感じるものがあったようだ。

「ただ、先代の姿をそのままコピーじゃダメ?」

「エルザ様が正確かつ詳細に僕に伝達してくれるんやったらできんことはないけどなあ……」

「残念ながら、自身の巫女以外に対するイメージの伝達は私の権能にはありませんし、生前の彼女の姿を知っており、それを正確に伝達できる術を持つものは例の呪いですべて亡くなっております」

「ダルジャン様は……」

「それも残念ながら、彼に頼むための条件を満たしておりません。何度も言いますが、我々も万能ではなく、またさまざまな条件に縛られる身の上なのです」

 エルザの説明を聞き、素直に引き下がる澪。神様自身が言うのだから、どうにもならないことなのだろう。

 もっとも、おかげでまた面倒な議論に戻らざるを得ないのだが。

「エルとかアルチェムは、どう思ってるんだ?」

「私は、どちらでも余り変わらないと思います」

「エルちゃん?」

「完全に偶然にゆだねたとして、その結果本人にとって不本意な外見になったとしたら、やはりヒロシ様が恨まれるのではないかと思います。身体を作ったのがヒロシ様だと言う事実がある限り、どう言う形で容姿を決めようと、それはやはりヒロシ様が作った事になるのではないでしょうか?」

 エアリスの鋭い指摘に、微妙に言葉に詰まる一同。そこに、微妙に能天気な態度で、アルチェムが口を挟む。

「多分、どんな容姿でも絶対に不満点はあると思うんですよ。ですから、作り方がどうであれ、後から修正できるんだったら、本人の意見を聞いて修整する形でいいんじゃないかな、と」

「それって、ものすごくずるいやり方のような……」

「でも、恨まれるのを避けるとすると、他の方法は無いような……」

 アルチェムの、ある種議論を根底から覆すような意見に、思わず絶句する一同。それを、面白そうに見守るエルザ。

 実際のところ、宏達が無意識に後から修整するやり方を排除している事に関しては、これと言って根拠がある訳ではない。せいぜい、自然分娩で生まれた彼らの場合、善し悪し関係なく親からもらった顔を致命的な理由がある訳でもないのに作り変えることに対し、倫理的な面で無意識に抵抗を覚えている程度である。

 今回の場合、生みの親である宏が創作物の外見を修整する事に抵抗がないのであれば、そのあたりの倫理的な意識は、大した問題にならない可能性が高い。無論、際限なく修正するのは人格形成の面でも他者との関係構築の面でも色々問題があるので、どこかで歯止めは必要ではあろうが。

「なあ、春菜」

「何?」

「お前、綾瀬教授の親戚だったよな?」

「うん。えっと、あとりさんたちの話?」

「ああ。あの人たち、外見決めるときはどんな感じだったんだ?」

 アルチェムの意見から連想したのか、先ほど反対する根拠として思い浮かべた存在について、達也からピンポイントで質問が飛んでくる。

 春菜が言うあとりとは、西暦二千年代前半に綾瀬天音が完成させた、外見、人格、性能、その全てにおいて十代後半から二十代前半ぐらいの女性とほぼ変わらない、完全な独立行動が可能な世界初の人造人間である。ほぼ、なのは、生殖能力がなくそっち方面の機能が搭載されていない事と、ケーブルなどで外部出力機器に接続する事ができる機能があるからだ。

 地味に味覚だけでなく食べたものを消化してエネルギーに変える機能も内蔵しており、事前知識無しに普通に接して、初見で人間ではない事を見抜ける人はそういない水準に達している。プロトタイプに当たるあとりですらそうなのだから、社会実験や実証実験のために製造された二号機以降がどれほどの完成度だったかは推して知るべしだ。

 女性型なのは、当初見込んでいた用途に女性の外見の方が有利なものが多く、社会実験その他においても都合が良かった事に加え、完成当時開発プロジェクトのメンバーのほとんどが女性だったため、男性型を作るには知識や経験、人材などが色々と足りていなかった事が理由である。

 流石に当時十代後半でまともな男女交際の経験もなかった天音に、男性型の人造人間を作る能力が無いのも当然であろう。

「えっとね。基本的に、十五歳から三十四歳の女の人十万人分ほどのサンプリングデータを取らせてもらって、それを平均化したものをベースにあまり不細工にならない範囲で乱数補正をかけて決定してたらしいよ」

「その外見について、当人達はどう思ってるんだ?」

「基本的に自分達の身体はいくらでも交換が効くって認識してるから、外見に対して特に思うところは無いみたい。せいぜい今活動している内容に対して不便な部分を改良してもらえればありがたい、とか、あまり極端に外観やサイズが変わると今までの学習データが使えなくなるから困る、とか、そういう感じ」

「なるほどなあ」

「人間の中で育ったAIだから思考形態は人間とそんなに変わらないけど、そういう部分はやっぱり人間とは微妙に違うんだよね。こっちから突っ込んで聞かない限りそこら辺を感じさせるような言動はしないけど、多分感受性の強い人とかは違和感を持つんじゃないかな」

「アンドロイドの場合は、そんなもんか。ただ、今回の場合はなあ……」

「うん。どの程度亡くなる前までの性格とか価値観とかが残ってるかが、ね」

 今回に限って言えば、元から人間の手によってつくられる前提の人造人間とは、そこの部分が根本的に違う。

「結局考えても意味あらへんみたいやし、今日明日すぐに作るようなもんやないし、同じやるんやったら素材からがっつりこだわりたいから、そのあたりの問題は最初の方針で作った後、当人と話してから考えるんが一番ちゃうか?」

 色々面倒くさくなってきたらしい宏が、割と強引に話をまとめる。あとりの話をはじめとして、いろいろ巫女さんチームに説明するのに手間がかかる要素が出てきたので、その手間を省きたいという意図もある。

「うん、そうだね」

「ヒロシ様の思うようになさるのが一番です」

 宏の強引なまとめに、あっさり賛同する春菜とエアリス。アルチェムは、もとよりこの話にそこまで深刻な問題を感じていなかったため、そもそも反対意見を出す理由がない。巫女さんチームは達也が話題に出したアンドロイドと言うものに興味はあるが、宏達が面倒くさがっているのに、わざわざ突っ込んで聞くほどではない。

 結局最初の結論に戻ったのだが、これ以上議論しても意味が薄い事は全員が感じていたようで、ようやくここでこの話が終わる。

「さて、そろそろ儂の用事を済ませてもいいかの?」

 儀式終了直後に降臨し、大人しく宏達の話に結論が出るのを待っていたダルジャンが、待ちかねたと言う態度を前面に出してそう口を挟む。それを見て、忘れていたと言う表情を素直に浮かべる宏。危うくこのまま神殿を出ていくところだったりする。

「長い話になりそうだから、お茶とお茶受け用意してくるね。エルザ様、ジュディスさん、台所、お借りします」

「どうぞ」

「あ、お手伝いします」

 エルザの要請のおかげで脇道にそれた上、長話が続いたため、いい加減みんなそろそろ喉が渇いている。春菜のその申し出に、みんな妙にうれしそうな顔をする。

 もう一つの長話の前に、とりあえず一息入れる一同であった。







「さて、前回話す余裕がなかった邪神の正体についてじゃが、一口で言うなれば、破壊衝動の塊と言う所じゃな」

 お茶を飲み、茶菓子のせんべいを一枚腹に入れた所で、ダルジャンがためも何もなくさっくり正体を言い放つ。

「邪神教団の連中はとち狂って至高神だとか言って崇めておるが、そもそもあれには人格と呼べるようなものはない。故に、祈ったところで加護だのなんだのと言うものは与えられんし、それ以前に意思疎通そのものが成立せん」

「の割には、ここで戦った連中みたいに、あからさまに加護らしいもんもらっとる連中おるんですけど、何でですのん?」

「奴らはこちらに来た際に自然発生した眷族のようなもんじゃからな。邪神が自分の意思で加護を与えておる訳ではない。もっとも、そもそも邪神は壊しつくし完全に消滅させる事以外に、意志と呼べるものは存在せんが」

「自然発生って……」

「下級とはいえ、創造神の手に余るほどの力を持っておる以上、単にそこに存在するだけでもなかなか笑えぬ影響を与えるからの。この世界にもあれに同調するような負のエネルギーが存在する以上、ああいうのが自然発生するのは避けられんのじゃ」

 邪神教団やバルドとの間にある、どうにも噛み合わない感じの何か。その理由がなんとなく明らかになってげんなりする宏。

 大本が破壊衝動しかないのだから、噛み合う訳がない。むしろ、そこから派生した存在の割に、今まで短絡的な行動に出ずに陰謀的な何かをメインに動けたものだと感心するべきであろう。

「むしろ、そんなん相手にようこの世界滅ぼされんですんどりますね」

「歴代の知られざる大陸からの客人達が、かなり頑張ってくれたからの。お主たちのようにあのアホ神のせいでこちらに引きずり込まれた者たちだけでなく、普通に自然現象で迷い込んだ客人達も、ずいぶん的確に邪神の妨害をしてくれたからの。あれは非常にありがたかった」

「それ以外にも、基本的に私達や邪神のような存在は、自身が発生した世界以外では大幅に力が落ちる傾向がある、と言うのもどうにか持ちこたえられた理由ですね。恐らく相手が本領を発揮できていれば、三千年前の時点でこの世界は滅んでいたでしょうから」

 宏が持った当然すぎる感想に対するダルジャンの解説、それにエルザが非常に恐ろしい補足をする。

「お主たちが西部から連中をほぼ駆逐してくれたおかげで、天秤そのものはこちらに完全に傾いておる。じゃが、それがなければ、そろそろじり貧になりつつあったからのう」

「まったくです。いくら相手の力が落ちるとはいえ、こちらもあれこれ制約がある身。しかも、三千年という年月のおかげで邪神がこの世界に馴染みつつあり、このままでは押し切られるのは時間の問題でしたから」

 茶飲み話に、非常に聞き捨てならない事を言いあうダルジャンとエルザ。冗談抜きで、こちらの世界はいろいろ際どい状況にあったようだ。

「まあ、話を戻すとしよう。今一度確認しておくが、お主らが近いうちに向こうに戻るには、少なくとも月から邪神を排除する必要がある。それはよいな?」

 ダルジャンの確認に頷く宏達。なぜそうなるのかまでは理解できていないが、そういうものだと思っておけば問題ないと割り切っておく。

「そのためには、あれがどのような過程を経て生まれ、どのような形でこの世界に食い込んだか、それを知っておいた方がよかろう。特に小僧の今の能力は、あれと相克の関係にあるからの。ある意味において最高の相性ではあるが、ある意味においては致命的に相性が悪い。故に、知っておくのと知らぬのとでは雲泥の差となる」

「その話は、私達も聞いておくべき事なのでしょうか?」

「お主ら巫女も、排除の過程で関わることになるじゃろうからの。理解できぬ要素がちらほら混ざるじゃろうが、そこは、そういうものだと流しておけばええ。重要なのは、邪神がなぜ生まれ、何故我らの住む大地に現れたのか、そしてどう対応すべきかという点じゃからの。細かい事は気にせん事じゃ」

 そう前置きして、ダルジャンがかの創造神が担当していた世界において、何が起こったのかを滔々と語り始める。

 詳細については長くなるために割愛するが、事情そのものは単純な話だ。例の世界で起こったとある事件で自浄作用で均衡が取れる範囲を超える量の瘴気が発生し、さまざまな問題が重なり合って邪神と言う形に凝縮、安定してしまっただけである。それが管理者である創造神の手に負えなくなり、誤魔化すためにこの世界に押し付けたのが、全ての事の始まりである。

 邪神の発生自体はよくある話なのだが、よくある話で済まないポイントが邪神の強さだ。普通は、力が削がれる他所の世界に送り込まれて、送り込まれた先の神々と拮抗するような邪神はまず生まれない。大抵はそこまで行く前に管理者が介入するか世界そのものが滅ぶので、それ以上の力を得ることができないからである。

 つまり、邪神が強大化するまで管理を放棄しており、それが表面化するといろいろ自分に不利になる状況に追い込まれるからという、どこまでも自分勝手な理由で他所の世界に押し付けた結果が、今の状況である

 更に、ここまで純粋に破壊と消滅に特化する邪神と言うのも珍しい。それだけ、コアとなった破壊衝動が強かった証拠でもあるが、創造神を脅かすほど世界そのものに対する破壊衝動を発生させると言うのは、やはり尋常ではない。切っ掛けとなったのは一人の人間だが、その世界に存在する生き物の大多数が、全身全霊をもって世界そのものを否定していなければこうはならない。

 いかに、例の創造神が怠慢をしていたかが良く分かる話である。そこまで世界全体が追い込まれている時点で、管理者失格だ。

「何というか、そんな無能を管理者にしてて、よくもまあ邪神が生まれるまで保ったもんですね」

「介入すれば、評価が下がるからのう。これで、神の世界と言う奴も色々世知辛いんじゃ」

「評価が下がると、何か問題があるんですか?」

「評価が下がったところで、それ自体は大した話はないがの。ただ、儂らのような舞台装置はともかく、それらを統括する管理者があまりホイホイ介入して世界をおもちゃのように好き勝手にいじりまわせば、状況によっては粛清されるでな。それを恐れて、たとえ必要な状況でも介入して評価が下がるのを嫌う創造主は少なくないんじゃ」

「それはまた、世知辛いですね……」

「アホ神がおもちゃにして世界を滅ぼした場合、そこまでにたまりにたまった負のエネルギーが悪さして、連鎖的に複数の世界が消失する事が良くあるでな。別に世界がいくつ滅ぼうと神々にはどうでもいい事なのじゃが、全部滅ぶとさすがに色々具合が悪い。故に、連鎖反応を止める必要があるのじゃが、それを担当するのが粛清を担当しているのと同じ存在である上、連鎖反応への対処は聞いているだけでも非常に面倒で厄介じゃ。必然的に、そういう事態を頻繁に起こす問題児の粛正に、ためらいも何もなくなるんじゃよ」

 話を聞いた達也の正直な感想に、創造神たちの世知辛い事情を語って聞かせるダルジャン。粛清を恐れて小手先だけのごまかしに走り、結局上手く行かずに自滅して消滅したあたりが、人間の世界でもそれなりによく見かける話と重なって何とも言えない気持ちになる。

「さて、ここまで破壊衝動に特化してしまうとな。誰かが物を作りだすというだけで、力が削がれはじめる。それが、これまで存在しなかったものであればあるほど、そして生産量が増えれば増えるほど、ダメージが大きくなる。インスタントラーメン工場など、最高の効果があったはずじゃ」

 大まかな背景を説明し終えた所で、宏と相克の関係にあるという意味の解説に入るダルジャン。その内容を聞いた時点で、すぐに宏が質問を飛ばす。

「その話でいくと、向こうはもの壊すだけでいくらでも力をつけられるっちゅう事になるから、こっち不利違いますん? 後先考えへんねんやったら壊すんは簡単やけど、作り直すんはかなり手間かかりまっせ?」

「それが、一概にそうとも言えん事情があってな。そもそもあの邪神は、農民が普通に農作業を行い続けるだけでもダメージを受けおる。力の総量が大きく、世界全体で見れば破壊されているものも大量に存在するが故に収支が釣り合っておるが、そうでなければ意外ともろい存在じゃ。それに引き換え、お主はまだ一応人間じゃからな。自分が作ったものを壊されたからと言って、存在を維持できんほどにダメージを受けることはない」

 邪神の、邪神であるが故の弱点を滔々と語るダルジャン。もし宏がものづくりの神であれば、確かにお互いに天敵であったであろう。

「まだ一応って、どういう意味か問い詰めてええですか?」

「後、お主のような職人が、作るために何かを壊す場合、それは破壊された事にならんから邪神が力を得ることはない。更にいえば、壊そうと思えば壊すものがなければならんからのう。結局、誰かがものを作らねば壊せんという矛盾も抱えておる」

 宏の抗議をサクッと無視し、ダルジャンが言いたい事を最後まで言い切る。

「そういう訳じゃから、邪神をどうにかするために二つ、お主らに行動指針を与えるとしようかの」

「あら、ダルジャン。あなたがそこまで具体的に話をするとは、珍しいですね」

「儂にとっても、益がある事じゃからな。それに、儂がわざわざ言わんでも、恐らく勝手にその方針で動く。それがこやつらの宿命じゃからな」

「では、別にあなたが指針を出す必要などないような気がしますが」

「最初から言っておいた方が、回り道が減るじゃろう? なにせ、こやつらは寄り道の達人じゃて。ここで行動指針も与えずに放置すれば、目的地にたどり着くまでにどこに迷い込むか分かったものではないからのう」

 ダルジャンとエルザの掛け合いに、非常に気まずそうに視線をそらす日本人一行。大体宏のせいではあるが、誰も止めなかったり止めても無駄だったりする上に、春菜あたりは消極的にではあるがあおっている事も多いのだから、宏一人の責任にはできない。

「そういう訳じゃから、まずは神器の名を得るにふさわしいものを作る事を目指すが良い。神器に限らず、神々の晩餐にふさわしいメニューを作りだすのも、神の酒と呼べるだけのものを作り上げるのもありじゃ。それとは別に、お主らの拠点を中心に、世界全体の生産能力と輸送能力の底上げを考えることじゃな。生産能力は、物量だけでなく種類や品質の向上でもよかろう」

 ダルジャンから告げられた行動指針に、少しばかり考え込む宏。前者はともかく後者は、輸送能力を触っていないだけで今までと大して変わらない。

「もう一つヒントじゃ。今迄から大体分かっておるじゃろうが、素材の分布そのものは、ゲームの頃とさほど変わってはおらん。せいぜい、向こうでは存在しておらぬ素材が色々転がっておる程度じゃ」

 考え込んでる宏にそこまで告げると、何の前触れもなく、そのままダルジャンが姿を消す。どうやら、彼の用事は全て終わったらしい。

「……まあ、細かい事考えるんは後にして、まずは飯にしよか」

「そうだね。エルザ様、また台所をお借りします」

「どうぞ。好きに使いなさい」

 エルザの許可を取って食事の準備に入る春菜。結局、物事を決める前にはまず食事、の鉄則は何一つ変わらない宏達であった。







「で、結局どうするんだ?」

「折角ここまで来たんやし、大霊窟の方から回りたいとこやな」

「大霊窟か。妥当っちゃあ妥当かもな」

 リヴァイアサンの白身煮つけ定食を食べながら、この後の方針を大雑把に話し合う一同。フォーレ側とはいえ、場所が大霊峰の二合目付近だけあって、予想通り宏の口から出た目的地は大霊窟であった。

 ジュディスはともかく、エアリスとアルチェムをウルスに送らなくていいのか、と言う疑問に関しては、アルフェミナに頼らない形で一度この地に足を踏み入れた時点で、エアリスは自力で転移できるので問題ないという答えが返ってくる。

「ただ、一度で全部終わるとは思えないんだけど、転移ポイントとか設置できるの?」

「そこは行ってみんと分からんけど、ゲームん時は転移ポイントは無理やったから、近場に小屋作ってそこ拠点にしたで」

「だったら、場合によっては拠点作りから?」

「そうなるな」

 ダルジャンに釘を刺されたと言うのに、早速手間のかかる話を始める宏と春菜。いずれ行くべき場所であり、何度も行くのであれば確かに必要になる施設ではあるが、最初からその前提で話をするのはどうか、と言う表情を隠さないエルザ。

 恐らく、ダルジャンから方針を告げられなくても、この後大霊窟方面に向かうのは変わらなかっただろう。そう考えれば、ダルジャンの誰も言わなくても方針は変わらない、という言葉はまったく否定の余地がなかった事になる。

「そうそう。ダルジャンから伝言です。先ほど伝え忘れたとの事です」

「伝言?」

「ええ。ウォルディスが、邪神教団の手に落ちたそうです。情勢がはっきりするまで、あちら方面の素材が必要なものは後回しにする方がよさそうですね」

「まあ、元から西部の難所に点在しとる素材中心に集める予定やったんで問題あらへんのですけど、そんなのんびりしとってええんですか?」

「あの国の場合、大抵の場合は邪神教団の手に落ちていようがいまいが大差ありませんからね」

 あまりに平然としているエルザに、思わず眉をひそめる宏達。もっとも、大図書館の禁書庫で見せられたあの国の行いを考えると、エルザの言葉も理解できないではない。

「……まあ、ええか」

「いいんだ」

「ええねん。別に、僕らがこの世界の政治情勢に関わる必要ないって、レイっちにも言われとるし」

 宏達はあくまで一般人だ。政治や国際情勢は、その国のそういう役職についている人間が考えるべき事柄である。その大原則を思い出し、あっさりそれで片をつけることにする宏と、それに反対する理由を見つけられない春菜達。特にウォルディスに対して思い入れの類がない、と言うのも大きい。

 幸せそうに食事をしながらその様子をうかがっていたエアリスが、ここで方針に影響を与える非常に重大な言葉を発する。

「ヒロシ様、ハルナ様」

「ん?」

「何、エルちゃん?」

「折角ですので、大霊峰の高い所で取れる美味しいものを、ウルスでも手軽に味わえるように出来ないでしょうか?」

「せやな。それがみんなで幸せになれる道やな」

「うん。折角だし、まずは美味しい物の発掘からだよね」

「知っとる限りでも、いろいろあるしな」

 エアリスの本能と欲求に忠実な言葉に、満面の笑みを浮かべて頷く宏と春菜。美味いものは正義。それは、国も世界も種族も超えた、絶対の真理である。

「あ、だったらオルテム村でも、どうにかできると嬉しいです」

「ダールとフォーレにもお願いします」

 余計なやる気に火をつけた宏と春菜に、便乗するようにアルチェムとジュディスが頼みこむ。こうして、いきなり目的が大霊窟からそれるアズマ工房一行であった。
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