くどいようですが、この作品は全くの創作です。
この作品はフィクションであり、この作品に登場する人物・団体は実際のものとは一切関係ありません。

史上最大! CNRアメリカ横断ウルトラクイズ(加筆修正版)
作:ともゆき



国内第一次予選・東京ドーム


 8月のある日、東京ドームの一角に怪しげな一団が集まっていた。
 彼らはこの日、CNRが主催する一大イベント「CNRアメリカ横断ウルトラクイズ」に出場 するために北は北海道から南は沖縄に至るまで、全国各地からここまで交通費自腹でやって来た一団だったのだ。

 午前6時過ぎ、何処からともなく、
「caviar! caviar!」
 今回の大会で海外リポーター&出題を務めるcaviarさんを呼ぶコールが聞こえてきた。
 やがてそのコールは少しずつ広がって行き、やがてドームに集まった全員が、
「caviar! caviar! caviar、caviar、caviar、caviar…」
 と「caviar」コールをするまでに広がっていった。

 そのコールが最高潮に達した頃、
「おはようございまーす!」
 MC席に待ちに待ったcaviarさんがやってきた。
 ウオーッ、と歓声が上がる。
「さあ、いよいよ始まりました、CNRウルトラクイズ。朝も早くからこれだけの皆さんに集まっていただいて私はとても嬉しく思っています!」
 再び歓声が上がる場内。
「それでは行くぞーッ! みんな、ニューヨークに行きたいかーッ!」
「オーッ!」
「どんなことをしても絶対にニューヨークに行きたいかーッ!」
「オーッ!」
「罰ゲームは怖くないかーッ!」
「オーッ!」
「…ホントだな?」
 笑いが起こる場内。
「それでは皆さん、お待たせを致しました。CNRアメリカ横断ウルトラクイズ、栄えある第1問を発表したいと思います」
 いよいよ記念すべき第1問が発表される、と知り固唾を飲み込む場内。
 caviarさんが後ろに立っているボードを見る。

「記念すべきCNRウルトラクイズ、栄えある第1問は、これだーっ!」
 それを言うと同時にボードの幕が開いた。

『ニューヨークの自由の女神とお台場にある自由の女神は同じ方角を向いている』

 思わずざわめきが起こる場内。
「ニューヨークの自由の女神とお台場にある自由の女神は同じ方角を向いている」
 caviarさんがボードに書いてある問題をそのまま読む。
「…これが今回の第1問です。答えが○だと思う方は○側の受付を通って3塁側のスタンドへ、×だと思う方は×側の受付を通って1塁側のスタンドへ移ってください。午前8時30分までに入場されなかった方はその場で失格となります。それではまた後でお会いしましょう」
 そしてcaviarさんはドームの中へ消えていった。
 そして早くも受付を済ませて○×両方のスタンドへ入っていく挑戦者達もいるが、ここではドームの外で第1問の答えを考えている皆さんをちょっとウォッチしてみよう。

「…ねえ、新一」
 毛利蘭が工藤新一に話しかけてきた。
「何だ、蘭」
「新一はどっちだと思う?」
「そういわれてもなあ…。オレNYもお台場の自由の女神も両方見たけど、どの方角を向いているか、何て気にも留めなかったぜ」
「でもどっちなんだろう?」

「平次はどっちや思うてるの?」
 遠山和葉が聞いた。
「こういうのは、あまり深く考えん方がええんや」
 隣にいる服部平次がボードを見て呟いた。
「じゃ、平次はどっちか決めてるの?」
「まあな」

「…あ、あったあった」
 白夜さんが持参のガイドブックを広げた。それに集まる一同。
「…NYの自由の女神は海の方を向いてるのよね」
「…ってことは西の方を向いてないってことですよね?」
 そう言ったのはミストラルさんだった。
「ところで、お台場の自由の女神ってどっち向いてたっけ?」
 櫃割帝王さんが言う。
「何かで見たけど、東京タワーに背を向けて立っていたような…」
 ぴぃたぁ☆ぱんさんだった。

 時間が経つにつれドームの中に入っていく観客が少しずつ増えていき、締め切り時間前にはほぼ全員がドームへの入場を終えていた。
 面白いことにこれだけ多くの人数がいるにもかかわらず、時間が経つにつれ○・×それぞれがほぼ半数近く分かれていた。
   *
 8時40分近くだった。
 米花大学マーチングバンドのファンファーレが高らかに鳴り響き、バックスクリーンのゲートからオープンカーに乗ったcaviarさんが現れた。
 そしてマウンドに設置されたMC台の上に立つ。
「お待たせいたしました! CNRウルトラクイズ国内第一次予選を開催したいと思います!」
 2万5千人を軽く超えるであろう、挑戦者達の歓声がドームの中に鳴り響いた。
「ここを突破できるのは100名。そして数々の難関を乗り越えて初代CNRクイズ王の栄冠を手にするのは果たして誰なのでありましょうか?」
 再び歓声が起こる場内。
「それでは行くぞ! …みんな、ニューヨークに行きたいかーッ!」
「オーッ!」
「どんなことをしても絶対にニューヨークに行きたいかーッ!」
「オーッ!」
「罰ゲームは怖くないかーッ!」
「オーッ!」
「絶対に第1問突破するぞーッ!」
「オーッ!」
 25000人がこの瞬間一つとなっていた。

「それではお待たせを致しました。第1問の正解を発表したいと思います!」
 自然と3塁側からは「○」コールが、1塁側からは「×」コールが起こり始めた。
「第1問『ニューヨークの自由の女神とお台場にある自由の女神は同じ方角を向いている』○か×か。…○の皆さん、自信はありますか?」
「オーッ!」
「×の皆さん、自信はありますか?」
「オーッ!」
「それでは答えを発表いたします。第1問の答えは…」
「まーる! まーる! まーる!…」
「ばーつ! ばーつ! ばーつ!…」
「これだっ! 来い!」

 一瞬の間を置いて東京ドームのスコアボードに表示された答えは、

「×」

 その瞬間一塁側スタンドは興奮の坩堝に包まれ、もう一方の三塁側スタンドは呆然としたままだった。

「…ニューヨークの自由の女神は大西洋からやってくる船舶を見守る、という意味を込めて南南東の方角を向いています。一方、お台場の自由の女神像は外洋、南の方角を向いています。したがって答えは×! ×の皆さん、おめでとう!」
 caviarさんが第1問の正解の解説をする。
 しかし、である。まだまだ第1問目を突破しただけである。
 これからまだまだ100しかない席を巡っての○×クイズバトルが続くのである。
    *
 その後、スタンド・グラウンド○×お別れクイズ、内外野お別れクイズと続きいつの間にか東京ドームのグラウンドに残っているのは2000人ほどとなっていた。

「…それではいよいよ○×走りクイズを始めます。答えが○だと思ったら○のボールを持って○のサークルへ。×だと思ったら×のボールを持って×のサークルへと行って下さい。制限時間内にサークルに入らなかった人は失格となります。よろしいですね?」
 caviarさんが挑戦者を見回しながら言う。
 そして、その挑戦者達の目の前には何千個と言う○×のボールが置かれていた。
「それでは問題。福岡ダイエーホークスの王監督の血液型はO型である。さあ来い!」
 その声とともに挑戦者がそれぞれ○×のボールを持ってサークルに駆け込んでいった。
 そして30秒後。
「きれいに分かれましたね〜。…それでは行こう、正解はこれだ!」
 スコアボードに「○」の文字が浮かび上がった。
   *
 一方こちらは敗者となった挑戦者達が座っているスタンド。
「皆さんご苦労じゃった」
 何故か野球のヘルメットを被った阿笠博士が現れた。
 今回のウルトラクイズで「敗者の味方」役を受け持っているのだ。
 勿論敗者の味方と言ったらやることは唯一つ。
「ちきしょう、この野郎!」
 そして博士のヘルメットに向かってピコハンマーが振り下ろされる。
 そう、阿笠博士は敗者にピコハンマーで殴られる役である。
「悔しい〜!」
 ピコ!
「…トホホ、何でワシがこんな役をやらにゃならんのじゃ…」
    *
 一方グラウンドでは、
「問題。『ルパン三世』の銭形警部の名前は『平八』である」
(答え・×。銭形警部の名前は「幸一」)
「問題。読売ジャイアンツの応援歌『闘魂こめて』と阪神タイガースの応援歌『六甲おろし』の作曲家は同じである」
(答え・○。どちらも古関裕而氏の作曲)

 といった問題が続き、そのたびにある者は○のボールを持って○のサークルへ、ある者は×のボールを持って×のサークルへ駆け込んでいく。
 そのたびに片方のサークルでは歓声が、もう片方のサークルでは落胆の声が上がる。
 やがて、
「…正解は○! まずはあなた方が予選突破だーッ!」
「答えは×! おめでとう、予選突破だ!」
 少しずつ第一次予選突破者が出てきた、次第に「合格者席」が埋まっていく。

 そして、いつの間にやら99の席が埋まり、残る椅子はわずか一つとなった。
 グラウンドには2人の人物がいた。
 一人は毛利小五郎、もう一人は真っ向くじらさんだった。

「さあ、残る一つの席を巡ってこの二人が残りました。まずは皆さん、このお二人に拍手をお願いします」
 場内が暖かい拍手に包まれる。
「それでは最後の1名を決める問題だ。問題。『グルになる』の『グル』とはグループのことである。さあ来い!」
 それを聞いて真っ先に飛び出したのは小五郎のほうだった。
 小五郎は○のボールを取ると○のサークルに駆け込む。
 一方の真っ向くじらさんの方は出遅れてしまったこともあったからか、×のボールを拾い、×のサークルに駆け込んだ。

「…そこまで〜! …毛利小五郎さんは○へ、真っ向くじらさんは×へと駆け込みました。…毛利さん、自信はありますか?」
「勿論!」
「真っ向くじらさん、自信はありますか?」
「は〜い!」
「…それじゃ会場の皆さんに聞いてみましょうか。会場の皆さん。○と思う方、拍手をお願いします」
 かなりの拍手が聞こえてきた。
「…それでは×と思う方、拍手をお願いします」
 これも同じくらいの拍手が聞こえてきた。
「…会場も同じくらいに分かれてますね。それでは答えを見てみましょう。泣いても笑ってもこれが最後。答えは、…これだ!」

 スコアボードに表示された答えは「×」。

「嘘!」
 真っ向くじらさんが叫ぶ。
 そしてもう一方の小五郎は膝をがっくりと落としてしまった。
「…『グルになる』との『グル』とはぐるぐると輪になるところから付けられたものです。したがって答えは×。おめでとう、真っ向くじらさん。あなたが100人目だ!」
   *
「…ということで第一次予選突破100名が決定いたしました。それでは皆さん、成田空港に向かってバンザイ!」
 100名が万歳をする。

「じゃ、お父さん行ってくるね」
 100人の中に残った蘭が小五郎に向かって言う。
「ふん、成田でとっとと落っこちまえ!」

8月×日 国内第一次予選突破100名決定!

(第二次予選・成田空港へと続く)






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