決勝…の前に
ニューヨークは快晴だった。
その抜けるような青空の下、2機のヘリコプターが摩天楼を眼下にして飛んでいた。
そして、その2機のヘリを追いかけるように飛んでいる1機のヘリがあった。
そのヘリに乗っているのはcaviarさんだった。
「…ニューヨークは素晴らしい晴天に恵まれました。そして、この青空は1ヶ月に及ぶ長い旅をし、ようやくここまでたどり着いた我々を温かく迎え入れてくれるようにも思われます」
caviarさんがカメラに向かって話していた。
「ニューヨークの皆さん、こんにちは。私は今日、とても誇れる若者2人を連れて、このクイズの都へとやって参りました」
そしてカメラが2機のヘリを映す。
「…思えば、残暑の厳しい日本を後にして、グアム、ハワイ、ロサンゼルス、グランドキャニオン、ダラス、アトランタ、マイアミ、ワシントン…、アメリカ各地で数々の熱戦が繰り広げられ、数多くの敗者が涙を飲んで戦いの場から去っていきました。そして今、残った二人が最終決戦の地に馳せ参じようとしているのであります。果たしてヘリコプターから見える摩天楼の風景に今、二人の若者は何を思っているのでありましょうか」
そしてカメラが先頭のヘリを映す。
「まず、前方のヘリに乗っているのは服部平次君であります」
よく見ると服部がcaviarさんの乗っているヘリに向かって手を振っている。
「大阪府出身、改方学園高校2年生。機内ペーパーテスト第3位であります。関西人特有の明るい性格がそうさせるのでありましょうか、今回の旅においても我々のムードメーカーとして挑戦者達を引っ張っていた頼れる存在でありました。クイズの方もその実力を遺憾なく発揮し、その戦法はじっくりと様子を見て、機会を見て一気に攻め込む、という彼が得意としている剣道に似ているものがあります。ニューオーリンズのリレークイズで敗者になりかけたのが唯一のピンチらしいピンチでありましたが、それ以外のチェックポイントでは安定した強さを見せております。決勝戦を前にして彼は対戦相手の工藤君は一番戦いたくなかった相手、しかし、彼と決勝で戦うことを楽しみにしていた、と私にこう言っておりました」
そしてカメラが後方のヘリを映す。
「そして後方のヘリに乗っているのは工藤新一君であります」
新一の方もcaviarさんの乗っているヘリに向かって手を振っていた。
「東京都出身、帝丹高校2年生。機内ペーパーテスト第1位であります。彼はいつでも沈着冷静。どのような場においても決して慌てることはなく、その冷静さはクイズにおいても遺憾なく発揮され、その戦法はまさに電光石火の早業。その切れ味はまさに鋭いナイフのようにも思われます。それを証明するかのようにほとんどのチェックポイントで上位抜け。特に、ロサンゼルスや準決勝では我々もあっと驚くような華麗な1抜けを見せてくれました。しかしそれだけではありません。アトランタで2対0の圧倒的に不利な状況から3ポイント連取して勝ち抜く、という粘り強さも彼は持っております。彼は服部君についてこう語っておりました。これ以上ない素晴らしい対戦相手。決勝戦という最高の舞台に於いて、彼と雌雄を決することはこれ以上ない光栄なことである、と」
カメラは2機のヘリコプターを映す。
「偶然ではありますが、二人ともミステリーが大好きでそれぞれ『西の名探偵』『東の名探偵』との異名を持ち、また、服部君は剣道が、工藤君はサッカーが好きという若者でもあります。知力、体力、時の運、いずれをも兼ね備えている挑戦者でもあります。この二人はいわば宿命のライバルとでも言うべき関係であり、この決勝戦の場に於いてこの二人が戦う、ということはある意味運命だったのかもしれません」
そしてヘリは自由の女神が立っているリバティ島へと近付いてきた。
「さあ、自由の女神が見えてまいりました。東京ドームに集まった25000人誰もが憧れたニューヨーク、そしてその象徴とでも言うべき自由の女神は、本日も満面の笑みを浮かべております。じっくりと攻めるタイプの服部君、片や電光石火の早業で攻める工藤君。この2人の男が25000人の頂点に立つべく雌雄を決する時が今やってきたのです。果たして東の工藤か、西の服部か。自由の女神の微笑を手にすることが出来るのはどちらなのでありましょうか? それを知っているのはただ自由の女神のみ。そして『真実はいつも一つ』しかないのであります!」
(今度こそ本当に決勝に続く)
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