第8チェックポイント・ダラス
ロッキー山脈を越え、挑戦者8人はテキサス州ダラスへとやってきた。
この地は「JFK」ことケネディ大統領暗殺の場所としても有名であり、ケネディ暗殺の日が日本とアメリカを結ぶ衛星生中継最初の日だった、というのも何かの皮肉だろうか。
さて、会場に集まった8人を前にしてcaviarさんが話しかける。
「さて、皆さん。ここで優勝賞品を発表したいと思います。皆さんへの優勝賞品ですが…、ロッキー山脈の麓にあるログハウスを差し上げます。ここに権利書があります」
そう言うとcaviarさんは権利書を取り出した。
「これにサインをすれば、その時点でログハウスは優勝者のものとなります」
それを聞いた8人がざわめく。
「さて、ここで行ないますクイズですが…、あれを見ろ!」
そしてcaviarさんが指差すと8つの早押しハットが付いた車がトラックに引かれてやってきた。
「まさか…」
「そう、ここで行なうクイズはマラソンクイズです。問題を出すのでわかった時点で早押しボタンを押して問題に答えてください。お手つき、誤答は1回休み。3ポイント先取で勝ち抜けとなります。そしてここで落っこちるのは1名。ここを抜けますと次はニューオーリンズへと行きます。さあ、一列に並んで」
そういわれて8人の挑戦者は早押し機の前に一列に並んだ。
そしてcaviarさんが早押し機を積んだ車に乗る。
「よーい、スタート!」
そして車が走り出し、8人がそれについて行くに走り出した。
*
車が大通りに出た(勿論このクイズのためにわざわざ通行止めにしてもらった)ところでクイズが始まった。
「それでは行こう、問題。ここ、テキサス州の州旗にもなっている一つ星を何と言う?」
ポーン!
「工藤君!」
「ローンスター」
「正解! 1ポイント獲得。…問題。宝塚歌劇団、記念すべき旗揚げ公演の演目は?」
ポーン!
「服部君!」
「桃太郎」
「正解! 服部君も1ポイント獲得! 問題。迷惑メールのことをスパムメールといいますが、このスパムとはもともと何の商品名?」
ポーン!
「蘭さん!」
「缶詰の名前」
「正解!」
*
「工藤君」
caviarさんが新一に話しかけた。
「なんですか?」
「かなり走ったけど、全然ペースが落ちないね」
「サッカーじゃいつもこのくらい走ってますからね」
「そう言えば工藤君はサッカーやってたんだね。それでは問題。緑一色の国旗を採用している国といえば?」
ポーン!
「工藤君!」
「リビア」
「正解! さあ、工藤君早くもリーチが掛かった。それでは問題。野球のバット、テニスのラケット、ゴルフのクラブ。このうち長さの規定がないのは?」
ポーン!
「工藤君」
「ゴルフのクラブ」
「正解。1抜け〜!」
それを聞いた新一、例によって小さくガッツポーズをする。
「さあ、後ろの車に乗って!」
そして新一が勝者のみが乗ることが出来る車に乗り込んだ。
そして7人で再びクイズが始まった。
*
「問題。天気予報の『一時雨』と『時々雨』。降る確率が高いのはどっち?」
ポーン!
「快斗君」
「時々雨」
「正解! 抜けた〜!」
「問題。かつては勝新太郎の当たり役。2003年、北野武監督・主演で映画化され、ベネチア国際映画祭の監督賞を取った作品といえば?」
ポーン!
「服部君」
「座頭市」
「正解! 勝ち抜け〜!」
「問題。誕生日は1956年5月3日。お父さんの名前はピエール。お母さんの名前は織江という今でも女の子に愛されている人形といえば?」
ポーン!
「蘭さん!」
「リカちゃん」
「正解! 勝ち抜け〜!」
…と新一、快斗、服部、蘭と勝ち抜け、残りはとーやさん、稼頭矢さん、さばらさん、山崎佳実さんというCNRの4人となった。
勝ち抜けた4人が後ろで見守る中、クイズが続けられた。
「問題。上半分が白、下半分が赤というまったく同じデザインの国旗を使っているのはモナコと何処?」
ポーン!
「山崎さん」
「インドネシア」
「正解! 山崎さん、まだ大丈夫かい?」
「まだ大丈夫です」
「そうですか。それでは行こう、問題。お昼の番組でおなじみの司会者で本名・御法川法男と言ったら誰?」
ポーン!
「稼頭矢さん」
「みのもんた」
「正解! さあ、稼頭矢さんにリーチが掛かった! 問題。カーリングで主将のことを何と呼ぶ?」
ポーン!
「さばらさん!」
「スキップ」
「正解! さあ、さばらさんにもリーチが掛かった。問題。ギリシャ神話の美の女神アフロディーテ。ローマ神話ではなんと言う名前?」
ポーン!
「稼頭矢さん」
「ヴィーナス」
「正解、抜けた〜!」
そして稼頭矢さんが後ろの車に乗り込む。
「さあ、残る席は後二つだ。問題。『判官びいき』の『判官』とは誰のこと?」
ポーン!
「さばらさん!」
「源義経」
「正解、抜けた〜!」
と、稼頭矢さん、さばらさんの二人が相次いで抜け、残ったのはとーやさんと山崎佳実さんの二人となった。
稼頭矢さん、さばらさんの二人が相次いで抜けた後は一進一退の攻防が続き、数問続いた後、とーやさんが2問正解し、ようやくリーチが掛かった。
「さあ、とーやさんにリーチが掛かった。それじゃ行こう、問題。アドルフ・ヒトラーが生まれた国は?」
ポーン!
「とーやさん!」
とーやさんが勝負をかけたようだ。
「ポーランド」
「残念。正解はオーストリア。とーやさんは1回休み。次の問題は山崎さんのみに出されます。問題。リトマス試験紙の『リトマス』とはもともと何のこと?」
「え…」
山崎さんは早押しボタンに手が伸びなかった。
「…来ないか?」
そして5秒が過ぎた。
「残念、正解は苔のこと。さあ、再び二人で対決だ」
二人ともスタートの頃と比べると明らかに走るスピードが落ちているようだった。
「問題。四角形の対角線は2本。では五角形は何本?」
二人が早押しボタンを押したが一瞬とーやさんのほうが早かった。
「とーやさん」
「5本」
「正解、抜けた〜!」
それを聞いたとーやさんが何度もガッツポーズをする。
一方の山崎さんはそれを聞くと天を仰ぐ。
そして、ゆっくりと2台の車は停止した。
後ろの車では最後に勝ち残ったとーやさんを6人が出迎えていた。
「…ふうっ…」
蘭はとーやさんを出迎えた後に早押し機に取り残された山崎さんを見てため息をついた。
そう、彼女が敗者となったことでついに女性は蘭ひとりとなってしまったのだから。
「それでは、ニューオーリンズに向かってバンザイ!」
そして7人がバンザイをする。
ニューオーリンズ行き7名決定!
*
「…お疲れ様」
caviarさんが山崎さんに話しかける。
「大変だったでしょう、ここまで」
「はい。最後の問題も答えがわかってたんですけど…、早押しボタンになかなか手が届かなくて…」
「今回の旅はどうでしたか?」
「一度復活できたし、ここまで勝ち残ることが出来たから満足です」
「そうですか。じゃ、これからもCNRで面白いコラボレーション小説を書いてくださいね」
「はい」
そういう山崎さんの顔は何処となく晴れやかだった。
〈罰ゲーム〉
山崎さんが連れて行かれたのはダラス郊外にあるロデオのスタジアムだった。
「実はですね、山崎さん。今日ここでロデオの大会がある、というんですがね」
「もしかして、馬に乗るんですか?」
「いくらなんでもそれは危険ですよ。山崎さんにやっていただきたいのはですね、馬から落ちた人を暴れ馬から守るためのピエロの役をやっていただきたいんですよ」
「え…」
そして山崎さんは地元のカウボーイから徹底的に特訓を受けた。
そして「最後の特訓」としてピエロの扮装をしてスタジアムの真ん中に連れてこられた。
ここで、迫り来る馬から逃げる練習をする、というのだ。
「山崎さん、大丈夫ですよ。あぶない、と思ったらすぐそこの小部屋に逃げればいいんですからね。それに何かあったらの為にスタジアムの外では救急車とドクターが待機してますから」
「…はい」
そう言う山崎さんの顔は緊張の色が隠せなかった。
「それでは行こう。…Come on!」
caviarさんが言う。
そしてゲートが開いた。
次の瞬間、
「やだあ…」
思わず山崎さんの顔から笑みがこぼれる。
出てきた馬はどう見たって人を襲いそうにない子馬で、しかも傍らでカウボーイが手綱を引いていたのだ。
そう、これは所謂「ドッキリ」だったのだ。
山崎さんが安堵の表情を浮かべた。
「はい、お疲れ様」
caviarさんがねぎらいの言葉を描ける。
9月☆日 第8チェックポイント失格 山崎佳実 帰国
(第9チェックポイント・ニューオーリンズへ続く)
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