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  Alcemy of Blood 作者:QUATTRO
第2章
あの後床にへばり付きながらも両親からの説明は続いた。


いわく、
・好き嫌いで善悪を決める事
・表立っての統治はしない事
・神に相応しい活躍をする事
・世界を崩す事はしない


基本この4つのルールとそこから派生するルール等によって統治は完了するらしい。


そして国創りの球から世界の扉を開き、その中に押し込められる時に親父が最大級の言葉を吐きやがった。


「ちなみに、もうこちらに帰る事は出来んからな。」

「ちょっと待てやごるぁあぁ!!」


それがあちらの世界での最後の台詞だった。






「しっかしこの状況どうなのよ?」


扉を半ば強引にくぐらされ、まるで錐揉み落下してるように世界がぐるぐる回ったと思ったら、気がついたら森の中だった。何か見た事の無い色の花とかが咲いてたりするんだけど、これが別世界に来た証拠なんだろうか。


「とりあえず・・・人を探すか・・」


このまま森の中で現実逃避していたい気もするが、一生このままでいられるわけでもない為立ち上がり周りを見渡してみると獣道というわけでは無いが軽く踏み馴らされた道が見える。


「下手すればこれがこの世界の運命と俺の役割が変わる選択になるんだよな・・・」


右に進むか、左に進むか。


迷う事数十分。少し遠くから何かが走ってくる音が聞こえる。


「んー何か嫌な予感がするな。」


どことなく嫌な気配を感じ近くにあった木に登り身を隠していると程なくして何やら武装した集団が左の方から駆け足でやって来た。皆が同じ鎧を着込み後方には真紅に剣の刺繍入りの旗を靡かせている所を見るとどこかの国の軍隊か何かなのだろうか。それにしては兵の顔や目がやけに血走っており、傭兵やならず者の集まりといった印象も受ける。


「どちらにしろあんな物騒な連中には関わりたくは無いな。」


兵達が立ち去るのを合図に地面に降り立つと兵隊の向かった右とは逆に向かって歩き出す。行く先の村や町などであんな奴等と何かあったら冗談じゃない。いきなりトラブル発生よりかは先ずは情報収集である。






「・・・・選択、間違えたかもしれん」


2〜3時間歩いた頃だろうか、日が真上に昇りそうな頃に町の城壁みたいな物が見え喜び勇んで足を進めていると町に入る門には先程見た兵隊と似たような顔付きの門番がこちらを睨み付けてくるし、町に入ったら入ったで殺伐とした空気が辺り一面に溢れている。どいつもこいつも澱んだ瞳でこちらを睨んでくる。まぁ俺の見た目も十分問題なんだろう。周りが金髪や銀髪、赤茶髪の中に黒髪黒眼、中世西洋的な服装にマントを羽織った人達の中に真っ白なジャージでいる俺は飛び抜けて異質だ。


「し、視線が痛すぎる・・」


なるべく目立たないよう街路の端っこを歩き進んでいると目の前の店先から怒号が聞こえて来た。


「酒だっつってんだろーが!!」


言葉が通じなかったらどうしようという懸念はこの一言とドアを壊しながら飛んできたイスで吹き飛ばされた。

そぉっと壊れて開きっぱなしになったドアから顔だけ出して中を覗き込んでみると予想した通りの状況が広がっていた。


「こちとらてめぇらを守る為に働いている兵士様だぜ!?その兵士様を持て成すのがてめぇら市民の義務だろうがぁ!!」

「そうは言われましても店にあるお酒は連日のお食事等でもう底が・・・」

「口答えする気かぁ!!」


酒にでも酔っているのだろうか、真っ赤な顔をしたつるっパゲが3人程、テーブルやイスを壊しながら暴れ回っている。店の作りからするとどうやら酒場のようだ。


「タコが3匹・・何てベタな展開・・・」


これは助けに飛び出した方が正解なのだろうか?周囲の状況は人としては見過ごせない、しかし環境を知らずに我を通すのは危険も伴う。どうしたものか。


「義務すら果たせねぇならてめぇ等はいないも同然なんだよ!変わりなんていくらでもいるんだぁ!!」


タコの1匹が腰に掛けてた剣を抜き、主人らしき人に歩んで行く。

はぁ・・・

周りを知らずに行動するのは身の危険に繋がるが、このまま見過ごしても寝覚めが悪すぎる。だ、大丈夫だよね?一応この世界を創造するための神としてやって来たんだし、いきなりバッドエンドなんて無いよね?それに好き嫌いで選択しろってルールだし?


拒む理性を寝覚めの理由で押さえ付け一声かけてみる。


「あのぉ〜・・・」


音には敏感なのかタコが3匹ともこちらを向く。あぁ正面から見ると恐持ての顔が余計に警報鳴らしちゃうんですけど。


「何だおめぇは?」

「まさかこの国で兵士に逆らうつもりか?」

「逆らうというか理不尽な人死にが見たくないだけなんですけどね・・」

「ならてめぇから死ぬかぁ!?」


タコの割には一足飛びに間合いを詰めて来ると、突進の勢いそのままに抜剣してきた。


「うわっ!!」


ガキィィィン


子どもの頃からイカレた両親のシゴキにより防衛本能は育っていたのか、つい剣から身を守る形、身を包む形で透明な膜を創り出す。


「あ・・・」


「てめぇも兵士様に抵抗する気かぁ!!」


自分の剣が弾かれた事で余計に逆上し赤身を増したタコが、これでもかと剣を振り回した。


ガィィン!!ギンッ!!ギギギーッ!!ガッ!!


薙ぎ、払い、突き等を交えながら2合目3合目と手数を増やしていく。

何をやっても無駄なんだけどなぁ

両親の攻撃を防御する内に、自分で編み出した絶対不可侵の膜に何度も剣を振った1匹は、元々そんなに強くなかったのか既に肩で息をしている。


「はぁっはぁっ・・何で・・切れね・・・くそっ・・」


膜なぞ張らなくても倒せたんじゃないだろうか?そう思えるくらいこの兵士の動きは稚拙だった。もしかしてこいつ弱いんじゃないの?


ズドッ!!


「ガハッ!」


余りにも隙だらけなせいでついボディを殴ってみたら1発で倒れた。


「隊長っ!」

「貴様ぁ〜!!」


ドカッ!ドゴッ!


相手するのもめんどくさくなったため同じように殴って黙らせる。ふむ、隊長って言われたって事はこいつらは下の下の上って所か。


「ありがとうございますありがとうございます。」


ノビたタコ3匹を店から放り出していると安心したのか主人がお礼を言い始めた。弥次郎兵衛でもないのにペコペコと腰が低い。国の兵士と言っていたタコ共があんな振る舞いだからいつもペコペコするようになったのだろうか。


「あぁ、気にしなくていいよ?あのままだと寝覚めが悪そうで・・」

「?」

「あぁ・・・何でも無いです。」

「お助けして貰えたのは嬉しいんですがうちは余りお金も無くて・・」

「別にお金目的で助けたわけじゃないんだけど・・・・」


助けたから金寄越せ!なんて考えも無い。このままこの世界で過ごさなきゃいけないがこんな形での金稼ぎはしたくない。


グウゥゥ〜


そういえば朝飯も食わずに異世界に押し込まれたんだった。時間的にはそろそろお昼を回った頃だろう。成長期の男子の胃袋が分かりやすい音で限界を訴えてきた。


「あのぉ〜・・・良かったら食事でも・・?」


「お願いします!!」


二つ返事で食事を出して貰える事になった。このくらいの善意に縋るのは良いだろう。良いよね?良いといいなぁ・・

う、主人の温かい目が逆に痛恥ずかしい・・・


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