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  Alcemy of Blood 作者:QUATTRO
第28章
魔族と呼ばれる物達との戦いから4日が経った。あの後各大臣の部屋を探ると全ての部屋に地下牢と地下通路が見付かり、そこからは行方不明だった大臣達の生き残りと死体、それと今まで知られなかった王城の仕組みが分かった。

そして昏睡していたスプライト王もミコトの魔術で日常を送れるよう回復していた。


「今回の貴公達の活躍、真に感謝致します。」


この日、元気になったスプライト王に呼び出されたミコト達3人は事の説明と今後の事を話し合う為に王の部屋に招かれていた。


「特にスキンブル、君のような男がかつて部下だった事を誇りに思うよ。」

「スプライト様・・・」


どこか感慨深い表情をしているスキンブル。やはり自分の夢の1部が叶ったのだ。思う所があるのだろう。


「ミコト殿にも感謝しています。早速シヴ国には使者を送り現状までの説明と正式な交渉を行います。」

「それでは私達の依頼はこれで達成ですね。」

「そうなりますね。ご苦労様でした。」


王の部屋を出て城の廊下を歩いているとネルゼーに出会った。


「お、ネルゼーじゃねぇか!」

「スキンブル!貴様に言っておく事がある!」

「ん?何だ?改まいやがって。」

「貴様が騎士を辞めた時、俺は貴様を怨んだ!カーレ様への恩を仇で返したのだとばかり思っていた。貴様を責めないカーレ様を疑った時もあった。だが違ったんだな。お前はこうして戻って来て国を救ってくれた。感謝している!すまなかった!それだけだっ!」


言うだけ言って走り去っていくネルゼー。


「素直じゃないやつだ。」

「スキンブルみたいだな。」

「どこがだっ!」











依頼を達成した後、王都ヨーグモスの宿に泊まり込んでいた。3人に最上級の個室が与えられるように王自らの達しがあったのだが、いつもの通りミコトの部屋に集まる2人。ミコト達3人は武器の手入れをしながら今後について話し合っていた。


「なぁ、これからどうするんだ?」

「これといってやらなきゃいけない事は無くなったな。」

「シヴとアレンスンを自由に行き来出来るようになったのはいい事なんだがやる事が無いんじゃあなぁ。」

「セェレは何かあるか?」

「1度ハルヴォアに戻ってみたいという気持ちはありますね。」

「ハルヴォアか。確かセェレの育った村なんだよな?」

「この時期はアルゴスの森の魔物達も活発になります。爺様がいれば大丈夫とは思いますが、少しでも楽に出来るなら、と思います。」

「いいんじゃねぇの?」


早速スキンブルは乗り気である。


「セェレの爺さんはAランクなんだろう?その強さも見てみたい所だし、いっその事、俺達もAランクを目指してみようぜ?」

「そうだな、Aランクと言わず、Sランクまで目指してみるか!」

「じゃあ早速ハルヴォアの森で腕試しだ!」


決まったら早いのがミコト達のパーティーである。明日には準備して出発する事となった。









「リックス!元気にしてたかぁ?」
「ミコト!リックス、げんき!ミコトげんきか?」


王城に泊まりがけでの任務だった為、そう簡単にリックスには会えなかったのだが久しぶりに会ってもやはりかわいいものである。


「リックス、とりあえず今日はハルヴォア目指して飛ぶぞ!」

「わかった!はやくのれ!」

「はいはい。」


久しぶりにいるのが嬉しいのか、今日のリックスは少しテンションが高い気がする。


ドヒュゥゥゥ〜


力強くリックスが羽ばたく度に速度がグングン上昇する。ミコトは馴れたものだがまだセェレとスキンブルはまだ馴れないようだ。下を見るとドラインの町が見える。

「スキンブル、ドラインの上空だけどカーレさんに会って行くか?」

「なぁに生きてりゃまた会えるさ、別れなら騎士を辞めた時に済ましてるしな。」


そう言いながらも懐かしそうにドラインの町を眺めるスキンブル。


「素直じゃないねぇ全く。」

「にんげん、すなおじゃないか?」

「少なくとも素直じゃないやつもいるなぁ。」

「何の話をしてるんだよ!俺はいつだって正直者だっ!」


この発言にはリックスも笑い出した。



「お、見えたぞ、ハルヴォアだ。」


ハルヴォアの村が見えるとリックスはスピードを緩めた。


「ミコト、ぼくはどうする?」

「ん〜、ハルヴォアなら村の中でも大丈夫だと思うんだが、セェレはどう思う?」

「私も大丈夫かと。私達が説明をすればみな了承してくれるかと。」

「だそうだ。リックス、村の中央に降りようか。」

「分かった!」


ゆっくり、ゆっくりと降りてくるナーガの姿に村人は皆一瞬警戒するが背に乗っているのが村長の娘セェレと以前この村にいたミコトだと分かるとちょっと緊張を解いたようだった。


「セェレ様、お帰りなさい。」


村の子どもは無邪気にセェレには近寄るがまだリックスに近付ける程緊張を解いていない。


「ただいま、この龍はミコトの飼っている龍よ心配しないで?そして私の新しい仲間、スキンブル。彼もいい人だから心配しないでね?」


セェレがそう言うと子どもは恐る恐るといった感じでリックスを撫でた。


コォォォォォ


少し気持ち良さそうに鳴くリックスにすっかり警戒心を解いた子ども達は次々に近寄ってくる。大人達もそれを見てある程度警戒心を解いたようだ。


「お爺様はどこかしら?」

「今森に薬草を取りに行っています。もうそろそろ帰るかと。」

「ミコトさん、スキンブル、少し外で待ちましょう。」


ヘライアさんが戻ってくるまでの間、ミコトとセェレは村の人達と談笑しながら過ごしたが、リックスとスキンブルも子ども達の遊び相手になり遊んでいる姿にミコトは少しびっくりした。


「スキンブルって子ども苦手じゃないんだな。」

「俺はカーレさんとこで小さい奴等の面倒も見ていたし、騎士やってる頃も近寄って来てくれる子どもは得意な方だな。」


両腕に4〜5人子どもをぶら下げながら答えるスキンブル自身も少し楽しそうに見えた。









ヘライアさんは帰ってくると、先ず村の真ん中にいる大きな龍に驚いたがセェレから説明を受けて納得したようだ。


「やはりミコトはワシ等より偉大な存在のようじゃな。」


そう言って屋敷に入るヘライアさんに続いてセェレ、ミコト、スキンブルも屋敷に入った。



「狩りじゃと?」


席に着いてセェレがお茶を出した所でミコト達は話を切り出した。


「えぇ、本当は久しぶりの帰宅だけでもよかったんですけどね、どうせなら俺達が狩りに参加して大量に食材確保をしようかと。」

「ふむ・・・」


話を聞いたヘライアさんは少し思案顔を見せた。


「申し出はありがたいんじゃがの、近頃森での狩りは行っておらんのじゃ。」

「どうしてですか?」

「ミコトはマーシュバイパーという魔物を知っておるかの?」

「いえ、知りません。」

「マーシュバイパーというのは猛毒を持った蛇でな、大型の魔物ですら1噛みで死んでしまう程の毒じゃ。マーシュバイパー自体も人間より少しばかり大きい。そんな奴が今アルゴスの森で大量発生しておるのじゃよ。」

「毒・・・ですか。その点なら俺達には問題ありませんよ。毒は効きませんから。」


そう言って3人が3人とも腕にかけている装飾品を示した。


「これは俺お手製でして、全ての毒は無効化されます。」

「ほぅ・・・」

「それじゃあそういう事で!待っていて下さいね、俺達が少しだけ良い明日にしてきますから。」



屋敷を出ると子ども達の遊び道具と化しているリックスの姿があった。

「リックス、俺達は少し狩りをしてくる。大人しく待っててくれな。」

「わかった、いいこにしてる!」


良い返事が返ってきたのが少しやる気になった。





「本当にうじゃうじゃいるな。」


アルゴスの森を歩くこと小1時間、目の前の草むらが揺れたと思ったらそこから赤と黒の斑模様の蛇が飛び出てきた。咄嗟に斬りすてたがそれが合図のように全方位から一斉にマーシュバイパーが飛び掛かって来たのだ。


「何かラサの群れを思い出すな。」

「あの時よりは楽だがな。」

「毒が無効化されている安心感で動き易いのでしょう。」


軽く言葉を交わしながらも腕は止めない。俺はいつも通り銃と刀を振り回し、セェレは一帯を凍らせ双剣を休みなく振り回している。スキンブルにいたっては殴る蹴るだけじゃなく掴んでひきちぎっている。



程なくしてマーシュバイパーの群れは破滅した。


「戦闘の形が固定されるとここまで戦いやすいのか。」


スキンブルの呟いた台詞は他の2人も同意だったと言える。



「仕事も終えたし帰るか?」

あらかた保証部位の牙を取り付くした後そうスキンブルが告げたが、俺はある1点に気が向いた。


「待て、村の人達に土産が出来そうだ。」

そう言って刀を上段に構えいつでも振り下ろせるように準備をする。他の2人も気がついたのか武器を取り出し構え始めた。

ジリジリと草むらに近付いて行き、草むらの向こうが見えた瞬間、俺は刀を振り下ろした。



この日、村には久しぶりの食材、ギガンテリウムの焼かれる匂いと森からマーシュバイパーがいなくなった祝いとで賑やかな夜となった。


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