ラブレター (6)エピローグ
それから、トモはわたしに一通の手紙を渡した。
宛名もない白封筒。それを渡して、
「あとで読んで」
と言った。
「なに?」
「僕がとうさんの手紙を持っていた理由」
「あっ」
わかった。
トモのラブレターだ。一回書いた事があるといった。
わたしが開けようとすると、トモは慌てて
「あとで、あとで」
と照れたように言う。
わたしは、トモに訊いた。
「わたし宛?」
「そうだよ」
ああ、初めてもらうラブレター。トモからの。
良かった。
わたしは、本当に、心の底からホッとしていた。
それから、訊いてみた。
「ねえ、どうしてわたしがトモの部屋にいるってわかったの?」
「う〜んと、カンと推理かな?」
「推理?」
「そう……昨日からメグの様子がちょっと変だったし、今日、部屋の中がなんだかいつもと違ってる気がした。それで、考えてたんだけど、思い出した。昨日とうさんの手紙、机の上に出してたなって。それを、メグが見たのかなって。それで、慌てて飛び出したんだけど……」
「……その時、わたしは……トモの部屋にいた」
わたしは、正直に白状した。
「ああ、そうか。そうだったんだ」
「それは、気づかなかった?」
「うん。……メグの家にいったんだけど、いなかったから、もう一度手紙を持って出た。それで、ここを通るとき、声が聞こえたんだ」
わたしはトモをもう一度見つめた。
「誰かのすすり泣く声。すぐにメグだってわかった。だって、この場所だから……」
私たちは、かつて遊んだ大きな蔵の中を見回す。
そこには、懐かしいおもちゃやら、調度品やら、そして巻物と試薬の数々。
「ここは、僕らの秘密基地だから。それから、僕が、メグを守ろうと思った場所だから……」
わたしの胸は、トモのその言葉でもう一度熱くなった。
でも、もう泣かない。だって、こんなにも嬉しいから。
部屋に帰って、トモから受け取った手紙を開く。
トモの手紙は、こんなふうに始まっていた。
『おはよう、メグ。
えっと、初めて君に手紙を書きます。
とっても、緊張しています。
メグ。
君のことが好きです。
子供の時からずっと。
今更かなあ?
もう、バレバレだよね。
でも、今は、もっと大好きです。
どうして、突然こんな手紙を書いているかというと、
メグに伝えておきたいことがあるからです。
ありがとう、たすけてくれて。
こないだだけじゃなくて、いつも、いつも、
メグは、僕を助けてくれた。
とっても、感謝してる。
ありがとう。
それから、
最近、メグと一緒に、
素敵なことも、
あぶないことも、
不思議なことも経験したよね。
僕は、これからも、
君と一緒に、もっといろんな事を体験したい。
いいかなあ?
そして、最後に、今度は、僕が、
君を守れるようになりたい。
だから、これからも僕のそばにいてください。
天野恵様へ
御薬師友之』
第5話 ラブレター
おわり
いつも読んでいただいてありがとうございます。
第五話『ラブレター』いかがだったでしょうか?
さて、次回からは、
第六話『秋祭り』です。
よろしく。
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