第五話〜メグちゃんがトモくんの部屋で見つけたラブレターは、彼女の知らない人宛だった。
落ち込むメグのとった行動は?
第五話 ラブレター (1)
いつものようにトモの手料理(今日のは青椒牛肉絲でした)を食べて、わたしは彼の部屋にあがった。
トモがコーヒーを煎れてくれるので、わたしはそれを彼の部屋で待つつもりだった。
トモの部屋は男の子の部屋にしては、整理されている。と思う。
床に何かが転がっているっていうことも少ないし、本はきちんと本棚に入れられている。
もっとも、エッチな雑誌がどこかにあるのかもしれないけど、わたしの来るときには隠してるのかな? 今度探してみようか?
机の上も普段はきれいに片づけられている。
卓上カレンダー(ネコの写真だ)に目覚まし時計。机の端にふでばこが置いてある。
ん?
その横に今日は便せんがのっている。
折り目がきれいにのばされて、書いてある文字が読める。
なにかな? ひょっとしてまた誰かに頼まれたラブレターかしら。
わたしは少し興味を持った。
みんなどんなラブレター書いてるのかな?
見ても……いいよね。
わたしは、そっとその便せんを手にとった。
『拝啓 柊 優子 様
突然の手紙、驚かれたと思います。
ですが、僕の気持ちを知ってもらいたいと思い、御手紙いたします。
僕は、あなたのことが、好きです。
この気持ちは、嘘ではありません。
気がつくと、いつもあなたを探している自分がいます。
あなたの一挙手一頭足を、ドキドキする気持ちで見つめています。
恋がこんなに苦しく、切ないものだとは、
あなたに出会うまで知りませんでした。
あなたは、僕のことをどう思っているのでしょうか?
たまに、二人で過ごす時間は楽しいですか?
僕は、あなたの心の中に少しでもいるのでしょうか?
僕は、これ以上ないほど緊張して、この手紙をあなたに渡すでしょう。
あなたの返事が、僕をこの苦しさから救い出してくれることを願っています。』
読みながら、へえ、なんだか古風な手紙ね。と思っていた。少し素敵かも。
わたしも、ラブレターほしいなあ。トモはくれないし……。
そう思いながら、重なっている2枚目をめくっていた。
そこに……
「御薬師」の文字。
あ、あれ? これって、差出人?
御薬師って、トモだよね? こんな名字、トモ以外ありえない。
あれ? 誰宛?
わたしはあらためて、1枚目を見る。
「柊優子」ひいらぎ? 柊さん?
知らない。わたし知らない。クラスの子じゃない。
えっと、誰だろう?
別のクラスの子かな? それとも中学までの知り合い?
……判らない。
カーと顔が熱くなってきて、頭がぐるぐるした。
トモが……トモが……わたし以外のヒトに、ラブレター書いてる。
その子のこと好きって。
えーっ! どういうこと?
その時、後ろでドアノブが回る音が聞こえた。わたしは慌てて手紙を机の上に置いた。
トモが、コーヒーをお盆に持って入ってくる。
でも、わたしは彼の顔をまともに見られない。
「メグ、お待たせ」
いつもの脳天気な声が、わたしの心に刺さる。
わたしは、
「ごめん。用事思い出した」
そういうのが精一杯で、トモの部屋を飛び出していた。
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