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    失われた宝玉 (9)
 いつの間にか、おじさんも部屋に入ってきていた。わたしはトモの容態を訊いた。
「だいじょうぶだよ。傷はきれいにふさがっているし、栄養を付ければ快復するから」
「そうですか」
 ようやくほっとした。おじさんが言うのなら間違いない。
「わたしからもお礼を言うよ。トモを救ってくれてありがとう」
「そんな、わたしは……」 
 なんにもしてないのに。
 それから、おじさんに、私たちを襲った犯人について訊かれた。
 わたしは、名前と連絡番号を言った。
 おじさんは、後のことは私たちに任せなさいと言った。
 そう言われたとき、わたしの中に、急に怒りがこみ上げてきた。
 犯人に対する怒りだ。
 トモを傷つけて、トモの好意を裏切って、私たちを殺そうとした。
 許せない。それは許せない。
 わたしは、絶対許せない。
 そして、犯人をこのまま逃がすわけにはいかないと思った。
 そう、絶対逃がさない。どこに行っても、絶対見つけるんだから。
 このまま、どこかへ逃がしたりしないんだから。
 そう決心して、おじさんに答えた。
「おじさん。犯人の居場所は、私たちが見つけるわ。必ず見つける。だから……後のことはお願いします。必ず、捕まえられるようにして!」
 子供のわたしのこんな言葉、許してもらえないかしら? 信じてもらえないかしら?
 でも、おじさんも、おばさんも、なにも訊かず、ただ、わかったというように頷いてくれた。
 おかあさんは、困った子というふうに、ため息をついただけだったけど。

 わたしは、その夜ずっとトモに付き添った。おかあさんたちも許してくれた。
 トモは、ずっと寝ていた。
 青かった顔色が、だんだん戻ってくるのがわかって、わたしは嬉しかった。
 握っているトモの手の温かさが、少しずつ戻ってくる。
 明け方、射し込みだした光で彼の頬が色づくのを、わたしはほっとして見ていた。
 それから……そこまでしか覚えていない。


 トモの声がする。
 わたしを呼んでいる。
 わたし、呼ばれてる?
 ハッとした。
 眼を開けた。
 トモの顔が目の前にあった。
 彼が布団の中からわたしを見ている。わたしの上にも、彼の掛け布団がかかっていた。
「トモ。もうだいじょうぶ?」
「うん。もう何ともないよ」
「ほんと?」
「ああ。ありがとう。メグ」
 突然、涙が出てきた。
 なんでこんな時に出てくるのよ。そう思いながら、涙が止まらなかった。
 涙に濡れた視界の中で、トモの顔が大きくなる。
 わたしは、自分の唇に彼の唇の柔らかさを感じた。
 暖かい。
 昨日とは大違いだ。
 そして、今日はなんて嬉しいんだろう。
 涙が出るほど嬉しいんだ。
 
 
 
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