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    失われた宝玉 (3)
 ダムへは(くろがねダムって言うんだけど)、駅前からバスが出ている。
 だいたい1時間ぐらいかな?
 ダム湖の一帯は、県民の森になっていて、整備された公園が広がっている。
 近くにキャンプ場や、フィールドセンターもあった。
 でも、今日は枝村さんの車で直接ダムまで送ってもらう。
 ちょうど30分ぐらいで着いた。
 駐車場からダムに向かうと、たしかに水がなかった。眼下に湖底が広がっている。
 所々に、10年たっても崩れない建物が見える。
 学校だったり、お屋敷だった建物は汚れているけれど、そのままの姿で建っているようだった。

 私たちは斜面に続く細い道を降りていった。
 途中に係りの人がいて止められたけど、枝村さんが何か話すと通してくれた。
「元村民は入ることが出来るんですよ」
 と彼が説明してくれた。
 私たちはかなり長い道を歩いて、窓ガラスが割れて無くなっている学校の廃墟や、根本から折れて転がっている木の間をすり抜けて、彼が案内してくれた神社の場所まで来た。
 鳥居であった石の棒が倒れ、建物が半壊状態で建っている。
 所々に枝村さんが掘ったのであろう穴が開いていた。
「トモ、どうする?」
 わたしは枝村さんに聞こえないように小声できいた。
「いつものやつを使ってみるつもりだけど……。彼に知られないように、メグが相手しててくれる?」
「うん。わかった」
 この神社の敷地ぐらいの範囲なら、トモで十分よね。

 わたしは、枝村さんに近づいて話しかける。
「なんか、すごいですね。建物がこんなになっているなんて」
 トモが素早くカプセルを口に含むのが眼のはしに映る。
「わたし、ダムの底を見るのなんて、初めてです」
「そうだろうねえ。わたしも自分の村がこんな事になるなんて、子供の時は考えもしなかったよ」
 トモが、崩れかけた建物の隙間から中をのぞき込んでいる。
「枝村さんは、この中も探されたんですか?」
「ああ。何度も探したよ。そりゃあ、そこら辺をひっくり返してね。掘り返しもしたよ。でも見つからないんだ」
 トモが隙間から中に入っていく。姿が消える。
 あぶなくないかな? チラッと頭の隅をかすめる。
「そういえば、神社の方にはお聞きになったんですか?」
 わたしがそういうと、彼はちょっとあわてたような素振りを見せる。
 あれ? なんか……
 わたしは気になったが、彼は、
「いやあ。もう亡くなられてね。だから、聞けなかったんだ」
「そうなんですか……」
 
 
 
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