星降る夜に (7)エピローグ
それから、織姫さんと彼(やっぱり彦星さんかな?)が私たちの所にやってくる。
「ありがとう。あなた達には、とても感謝するわ」
そういって、織姫さんが、トモと抱擁し、わたしと抱擁してくれる。
きらきらとした光りに包まれて、かぐわしい香りがする。
やっぱり、織姫さんなんだ。
納得する。
わたしと離れるとき、彼女がちょっと首を傾げわたしに尋ねる。
「あなたと、前に会ったことがあるかしら?」
わたしはとまどった。
「いいえ」
「そう、じゃあ、改めて、あなた達の名前をきかせて。あなたは?」
「天野、天野恵」
彼女がちょっと眉を上げる。
「そちらの彼は?」
「御薬師友之」
「わかったわ。では、これでお別れね。いつかまた会うこともあるでしょう。その時まで、ごきげんよう」
その時、暗かった境内が突然光に包まれた。
空から光が降ってきた。
その光は太陽の明るさではなく、無数の星の輝きのよう。
わたしは空を見上げた。
そこに、巨大な船が浮かんでいた。
星のように銀色に輝く、岩のように大きな船底。
わあ! すごーい! おとぎ話の船のよう!
その船を見上げているわたしの耳元に、織姫さんがささやいた。
「彼氏とお幸せにね」
ドキンとした。
ハッとして彼女の顔を見る。
この世のものとは思えない美しい微笑がひろがっていた。
わたしは、自分の顔が赤く染まっていくのがわかった。
それからすぐ、二人は光の中を船に向かって登っていった。
やっぱり重力は関係なさそう。
トモとわたしは一緒に手を振った。
「さようなら。気をつけて」
わたしも織姫さんに叫ぶ。
「さようなら。あなた達もお幸せに」
そうして、巨大船は瞬く間に飛び去り、見えなくなった。
ああ、まったく。夏の夜の夢。夢のような出来事だわ。
翌日。
起きたら、あれは夢だったなんて事になるんじゃないかと思っていた。
ところが、街に瞬く間に噂が広まっていた。
それは、空を飛ぶ巨大岩を見たというのから、夜の街を幽霊が自転車を追いかけていたというもの、ネコが伝言ゲームをしていたというのまであった。
もう、なんていったらいいのやら。
でも逆にその噂で、わたしの見たものが夢でなかったことを信じられた。
また、どこかで会えるといいな。彼女が言ったように。
そうそう、窟寺の大岩がどうなったのか気になってたんだけど、トモが見に行くと元通り崖にめり込んでいたらしい。
私たちが帰るときはそのままだったから、いつの間に直したのかしらね。
それから、わたしもクラブの行き帰りにネコたちを撫でてあげることにした。
でも、あんまりたくさんはダメだからね。時間に遅れちゃう。
もうすぐ夏休みも終わり、二学期が始まる。
どんな二学期になるのかな?
楽しいことがいっぱいあるといいな。
ねえ、トモ。
第三話 星降る夜に
おわり
第三話『星降る夜に』いかがだったでしょうか?
次回から、第四話『失われた宝玉』です。
よろしく
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