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    星降る夜に (5)
「メグ、手伝って」
「ハイ、ハイ、分かってる」
「あ、でも、その前に」
 トモが取り出したカプセルを自分で飲んだ。
 それから、見事なネコ語を話した。つまりニャアって言ったていうことなんだけどね。
 織姫様が興味深そうに見ている。
 足元のネコと二言三言(?)話した後、ネコはすっと垣根を越えて見えなくなった。
 トモが普通の人間の言葉で言う。
「ネコたちは夜行性だからね。流れ星の落ちたところを仲間に訊いてもらいにいった」
 何度見ても不思議だけど……。それにしても人の言葉も話せるのね。
「後は……だいたいの場所が分かったら、メグ、確かめてくれる?」
「OK」
 織姫様は私たちの会話を聞くともなしにきいているようだった。
 それから、星を見上げて、何かを祈るように胸の前で腕を組んだ。
 その姿は、全くこの世のものではないように、薄く光り輝いて、とてもきれいに見えた。


 どのくらいそうしていただろう?
 わたしもその姿をずっと見つめていた。
 足に、柔らかい毛の当たる感じがした。
 ネコが戻ってきていた。
 トモはそのネコを抱き上げて、また鳴いた。
 一人と一匹の間に会話が成立している。
 それから、ネコはトモの手を離れ、地面に寝転がった。
「メグ。窟寺くつでらってあるじゃない。山の方に。ここからだと、2〜3キロ離れてると思うけど……」
「うん。分かる」
「その辺りに光が落ちてきたんだって。今何かあるか確かめてほしい」
 トモがポケットから白いカプセルを取り出した。
 それを慎重に真ん中から、二つに引っ張って分ける。トモの手のひらに粉が広がった。
 わたしは、その手に顔を近づける。
 織姫さんが驚くかな? という考えがチラッと頭をよぎる。
 ほのかな香りが鼻に届いた。
 とたんに、いろんな音が耳に飛び込んできて、頭の中をぐるぐる回る。
 五感が異常に鋭くなっていく。
 そしてわたしの体は、色素がぬけるように薄くなり、透明になっていった。

 ……あれ? いつもと違う?
 気がついた。
 わたしの体の輪郭が、光に照らされたように浮き上がって見えている。
 透明なはずのわたしの体を光が照らしているんだ。
 その光は……織姫様から来ていた。
 彼女の体から出ている光がわたしの体の輪郭を照らしている。
 へえ。不思議。不思議なことばかりね。
 わたしはちょっとそんなことを思った。

 トモがやっぱりびっくりして、輪郭が見えているわたしの手を握った。
 そしてわたしの目を見た。
 わたしは、トモに合図して、それから目をつぶって集中する。
 山の方。
 窟寺っていったら、たしかあっちの方角よね。
 何か物音とか、匂いとか、変わったことは……
 音も、匂いもなかった。
 ただ、目をつぶってるのに、微かに光が感じられた。
 それは、織姫さんに感じているのと同じ様な感じ。
 たぶん、きっといる。今のわたしの五感が教える。

「トモ、その場所、当たり」
 
 
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