星降る夜に (4)
えーっ! 織姫さま? 織姫さまって、七夕の? 訳が分からない!
「へえ。あなたよく知ってるわね。昔、私たちの星の人がそう呼ばれたこともあったわね。でも、ずっと昔の話よ」
わたしは、トモの腕を引っ張った。
ねえ、どういうこと?
「いや、8月初めに星が落ちて、星の精なんて噂があったからさ。考えてたんだ。でも、まさかと思ってたんだけど」
「なんで? 七夕って、7月じゃない」
「旧暦だと8月だよ」
はっ!? 旧暦? そんな!
「正解。その時期がこの星に来るのに一番都合がいいから……」
現代の織姫様がそう応えた。
その笑みをたたえる美しい顔を見ながら、わたしは今更ながらに驚いていた。
この人が、宇宙人で、織姫様。
へえ。昔話ってバカにならないのね。本当だったんだ。
トモが、さらに口を開く。
「あの、もしかして、何か困られてるんじゃないですか?」
「どうして、そう思うのかしら?」
「いや、どういう理由で地球に来られたのか分かりませんが、もう2週間以上になるし、夜の街をさまよっていらっしゃるようですし……」
トモは考えていたことを口に出すように言う。
織姫様は、視線を落とし、初めて疲れたような顔を見せた。
「そうね。あなた達はこの星の人だし……協力してもらえば、解決するかもね」
その言葉が終わるか終わらないぐらいで、急に女の人の姿が薄れて見えなくなった。
「見えなくなっちゃたよ」
「あっ、薬が切れたかな」
トモがつぶやく。
その時、光の中で女の人の姿が浮かび上がってきた。
「これで、また見えるかしら?」
私たちは、ハイ、と答えた。
それから、彼女が話し出した。
わたしね、今、旅行中なの。夫と一緒に。
結婚して初めての長旅。だから、いろんな星を回っているのよ。
この星も、私たちのご先祖様が好きだった星だから、一度来たいと思っていたの。
でも、降りるときに夫とはぐれてしまったの。
そういうときは、ここで待ち合わせることにしてたんだけど、いつまでたっても彼が現れないから、心配なの。
それで、街の中を探したりしたのだけど、まだ見つからなくて、今日もこの場所で待つつもりで来たのよ。
そしたら、あなた達に会ったっていうわけ。
あなた達、この星の人にしては変わってるけど、わたしの夫を捜すことが出来るかしら?
また、人捜しだ。
わたしはトモの顔をのぞき込んだ。彼の目が、やろうといっている。
仕方ないわね。最初から分かってたけど……
でも、これは難しいよ。
元々見えないかもしれないし、どこら辺にいるのかの見当もつかないもの。
トモも考え込んでいた。
そこへ、どこからともなくネコが歩み寄ってきた。
ああ、さっき向こうの塀の上にいたネコね。
ネコは、わたしの足にまとわりついてから、トモの足の上に乗った。
「そうか。出来るかも」
トモが、何かを思いついたようにそういった。
「探してみます」
織姫様に返事をした。
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