星降る夜に (2)
家を11時過ぎに出ようとしたのだけど、運悪くお母さんに見つかった。
「何処いくの、こんな遅くに?」
「あ、えっと……て、天体観測」
わたしはとっさに嘘をついた。
「天体観測? どうして?」
「学校の……夏休みの宿題」
「ふ〜ん。一人で?」
「えっと、トモと一緒」
あれ? 一人でって言った方がよかったかな? とチラッと思う。
お母さんはちょっと考えるような表情をして、それからふっと息を吐いた。
それから改まって、
「メグちゃん。トモくんと一緒なら、心配しないけど……ちゃんと責任ある行動をしてね」
はあ? お母さん。なんか勘違いしてない?
「おかあさん。なにいってるのよ。……天体観測だから。天体観測!」
おかあさんはにっこり笑って居間に去っていく。
ああ、絶対なんか誤解してる。
おかあさんの考えてることなんて、起こらないわよ。……今日は。
でも、嘘ついてることはちょっと後ろめたかった。
わたしは何となくこっそり家を出た。
依頼人の家は、例の星降りが丘の辺り。
昔はススキ野原が広がっていたらしいけど、今ではごく普通の住宅街だ。
ちょっと高台だから、トモの自転車の進みが遅くなる。
私たちは夜中の1時過ぎ頃に依頼人の家に着いた。
昔から幽霊がでるのは丑三つ時(だいたい夜中の2時頃)って言われてるから、ちょっと早かったかしら。
裏門を開けておいてもらったので、そこから入って家の隅から庭を見る。
結構大きな庭。
トモの家もわたしの家も、ただ古いのだけが取り柄のお屋敷だから、結構大きな庭がある。
それに比べると小さいけど、所々に大木が植えられている庭には、風情があった。
でもあの木が柳だったら、本当に出そうかも。
「トモ、どうやって探すの? いつもの薬?」
「いや。夜だから、それ用のと思って……」
トモが白と青のツートンカラーのカプセルを手のひらに出した。
「これは、夜目が効くようになるんだ」
へー、そうなの。そんなのもあるんだ。
もうこれぐらいじゃ驚かない。
「じゃあ」
と言って、私たちは一つずつカプセルを飲んだ。
一瞬目の前が真っ暗になる。
変ね、見えなくなっちゃたわよ。
しばらくすると焦点が合ってきた。
そして、周りの景色がまるで、薄い色の付いた白黒映画のように見えてきた。
いや、違うかな? なんていうか……
そうだ、夜中の野生動物の記録映像を見るような感じ。
「トモ、これって……」
「うん。赤外線カメラみたいだね」
そう、そんな感じだ。
庭の景色ははっきり見える。
この家の低い垣根の先に、道路を挟んでお隣の家の塀も見える。
その上で、2匹のネコの目が明るく輝いている。
「トモ、あそこにネコたちがいるよ」
…………あれ? 返事がない。
横を見るとトモがわたしを見ている。
その目の先……わたしの胸?
あっ!
とっさに気がついて、手で胸を押さえてしゃがみ込んだ。
「見たでしょ! トモのエッチ!」
そう、服が透けて見えるんだ。
トモのズボンは黒だから、わたしにはぼんやりとしか分からないけど、わたしのTシャツもブラも明るい色だし、夏だから薄い。
絶対胸まで見られた。
「ごめん」
トモが一言だけ謝った。
そういう素直なところは良いとこね。
「えっと、明日の昼ご飯で許してあげる。……それから、しばらくこっちを見ないこと」
トモが向こうを向いたことを確認して、わたしは立ち上がった。
仕方ないからトモの見ていない方を見た。
以下のランキングに参加しています。
長編小説検索Wandering Networkオンライン小説ランキング恋愛ファンタジー小説サーチNEWVEL
+注意+
・特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
・特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)
・作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。
この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。