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    夏海パニック (8)エピローグ
 電車に揺られ駅についた後、トモの自転車の後ろに乗って家までかえってきた。
 夕飯を食べて、お茶を飲みながらくつろいでいると、テレビからニュースが聞こえてきた。
「つぎのニュースは、本日XX海岸海水浴場で、魚の大量発生があり、それを追うように30頭あまりのイルカと大型のクジラが押し寄せるという現象がありました。地元の方の話では、今まで一度も見たことがないということであり、専門家の話では……」
 わたしはお茶を吹きそうになった。
 うわー、ニュースになってる。
 ごめんなさい。その騒動の原因は私たちです。申し訳ない……。
 トモに電話しようかと思ったけど、やめた。
 知らない方がいいかも。
 ところが……。

 お風呂に入って、体を洗う。
 肩とももに日焼けの跡がくっきりついている。
 今日はさすがに焼けたなあ。それと右足の腫れが痛い。後で湿布しなきゃ。
 浴槽につかっていると、お母さんが声をかけてくる。
「メグちゃん。トモくんが来たわよ。部屋にあがっといてもらうから。早くでなさい」
 ええ! なんで。なんか忘れ物したっけ?
 あ! パジャマしか持ってきてないよ。トモが部屋にいたら服取りにいけないじゃない。
「お母さん、だめ」
 ……遅かった。
 お母さんはもうどこかに行ってしまっている。
 わたしは仕方なく、お風呂から上がってパジャマを着る。
 髪を素早く拭いて乾かして、櫛でといた。
「お、お待たせ」
 自分の部屋の扉を開けて中に入った。トモが床に座ってわたしを見上げる。
 久しぶりにパジャマ姿を見られるのは、なんだか恥ずかしい。
 ヘンだなあ。水着は大丈夫なのにね。
「なんかあった?」
「これ」
 そういってトモが手に持っていた袋を開ける。その中に湿布が入っていた。
「これもトモの家の秘伝?」
「そう」
 わたしは座って、その湿布を取り出す。それをトモに渡した。
 怪訝な顔の彼の前に、右足をさし出す。
「貼ってくれる?」
「うん。いいよ」
 トモが、ちょっと笑って、それから湿布を丁寧に腫れた部分に押し当てた。
 冷たくて気持ちいい。
 彼は持ってきた袋から白い包帯を取り出した。
 わたしの足を持って彼の膝の上に載せる。それから、器用に包帯を巻きだした。
 わたしは、ずっと彼のするままにしている。久しぶりに彼に看病されていた頃のことを思い出した。
 トモが包帯を巻きながら話し出す。
「さっき、テレビで見たんだけどさ。海水浴場のことがニュースになってたよ」
「あ、それ。わたしも見た」
「まいったなあ。前は変なうわさ話だったけど、今度はちゃんとしたニュースになるなんて……」
「そうね。今度から気をつけようね」
 私たちはどちらからともなく笑った。


 トモの湿布は、さすが秘薬というべきか、よく効いた。
 翌日には腫れもとれ、動かしても軽く痛みが走るぐらいになっていた。
 トモの処方箋どおり、何度か取り替えて貼っていたら、翌日の合宿当日にはもう痛みもなくなっていた。わたしは、そのまま合宿に参加できた。
 さすが、トモ。というか、トモのご先祖様というか。
 とにかく感謝。

 そういえば、トモはあの時の女の子に、拾い上げた髪飾りを送ってあげたそうだ。
 女の子とお母さんから感謝の手紙が来た。
 女の子の
「お姉さん、お兄さん、ありがとうございます」
 というかわいい文字を見て、わたしも嬉しくなった。
 トモは、
「なんでお姉さんの方が先なんだ?」
 とかよけいなことを言ってた。
 こら、トモ。そういうこと言わないの。
 わたしがちゃんと言ってあげるから。

「トモ。ほんとに、ありがとう。ご苦労様」
 
 

 第二話 夏海パニック
 おわり
 
  
 
 第二話、いかがだったでしょうか?

 次回から、第三話
 「星降る夜に」
 の予定です。

 よろしく。
 
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