修学旅行〜二日目・トモのバカ!(3)
トモがなかなか迎えに来ない。
男の子同士で暴れてて、忘れてるのかな? 仕方ないなあ。
わたしは彼の部屋に向かった。
そういえば優奈さんも帰ってこない。どこいっちゃたんだろう?
もし見つからなかったら、ふ、2人で、出かける?
そう思いながらトモの部屋まで来ると、山岸くんが部屋の前でなんだかソワソワしていた。
ん? なにやってるんだろう?
少し顔が蒼い。
「どうしたの?」
「あ、天野」
「こんなとこで、なにしてるの?」
「いや、なにも……」
「そう……」
まあ、いっか。
「山岸くん、トモいる?」
「え? 御薬師?」
「うん。約束があったんだけど……優奈さんもいないのよね」
山岸くんがあからさまにギクッとした。
「御薬師、いないよ。まだ帰ってきてない」
そういう山岸くんは挙動不審だ。
「怪しい」
「な、なにが?」
「それは、こっちのセリフよ。なにがあったの?」
「なにがって……」
「ちゃんと教えなさい! トモに関することでわたしに嘘ついたら、あとで怖いわよ」
山岸くんが、うっと詰まるのがわかった。わたしはもう一度彼に言った。
「は、や、く!」
「はあ? 優奈さんに告白するのにトモに呼び出させたあ?!」
「う、うん」
「トモはそれ引き受けたの?」
「ああ、なんとか」
まったく、トモのお人好し。ていうか、バカ。
「それで、告白するとき、竹宮さんが御薬師に立ち会いを求めて……」
「ええ?!」
「いや、ほんとなんだ。それで告白したら、彼女泣き出しちゃって」
「泣き出した?」
「ああ。何でかなあ? 何とも思ってなかったのなら、そんなに泣かなくても良さそうなのに……」
山岸くんの話を聞きながら、わたしは考えていた。
それって、ショックだったんじゃ?
優奈さんがトモにいてほしいって言ったのは、よくわかんないけど、きっとトモがそんな話を自分の所に持ってきたのがショックだったんだ。
「バカじゃないの!」
「へ? そうかな?」
山岸くんがうろたえている。でも、わたしは心の中で思っていた。
トモのバカ!
いくら鈍感だからって、自分を好きな人の所に他の人の告白話を持っていくことないじゃない。
ほんとにバカだ。優奈さんが傷つくに決まってる。
わたしだったらトモをひっぱたいてる。
ほんとに、もう。トモは……
「どこに行ったの?」
「へ?」
「2人は、どこに行ったの?」
わたしは訊いた。
「ああ、ハッキリしないんだけど、竹宮さんがホテルを飛び出して御薬師が追いかけて……」
「わかった」
わたしは急いでトモ達の部屋に飛び込んだ。男の子達が驚いてわたしを見る。
「なんだ? なんだ?」
「天野、なに?」
「トモの荷物は?」
「え?」
「教えて! どこ?」
わたしの剣幕に誰かが指さした。
わたしはトモのスポーツバッグを勢いよく開けた。
よく整頓された荷物の上にドラッグケースが乗っていた。その中から例の薬のカプセルを探して手に取った。
急いでホテルの玄関に向かう。
暗い夜道にでてからカプセルを割ってその匂いをかいだ。
とたんに五感がとぎすまされる。
「待ってなさい、トモ。見つけてとっちめてやる!」
わたしは2人を捜して走り出した。
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