第十六話〜ひょっとして優奈さん、トモのことを……?ある日、メグが感じた不安。
否定しようとする彼女の前にとんでもない事実が突きつけられて……その時、メグの選択は?
第十六話 恋のライバル(1)
どうしよう?
どうしたらいいんだろう?
彼のことが好き
好きになってしまった
恋人のいる人なのに
友達の彼氏なのに
こんなのいけないことなのに
でも、想いがとまらない
あたしには、止められない
あたしは、どうすればいい?
なにが、できるの?
誰か、助けて
そうじゃないと、想いが溢れてしまう
溢れたら、どこに行くのかしら?
ねえ?
*
5月に入って五月晴れの日が続いている。
わたしはクラブで忙しかった。
だって、5月末の競技会が3年生の引退試合だから。
3年間の部活の最後の大会。
だから、毎日悔いのない練習をしている。
お天気が続いてよかったな。
ゴールデンウィークにいっぱい遊んだから、しばらくはそれも自粛。
今はクラブに全力を注ぐ。
三年生って、そうやって、ひとつひとつ何かの区切りをつける学年なんだと思う。
放課後、クラブに向かおうとしていたら優奈さんが近づいてきた。
最近少し元気がなさそうに見えるんだけど、どうしたのかな?
「メグ、あのさ」
「うん。なに?」
「あの、ちょっと……」
優奈さんが、なぜか迷うようなそぶりをする。何だろう? えっと……。
「どうしたの?」
「あの……話が、あるの」
それだけ言うと彼女は俯いた。
何だろう? 話しにくそう。
もしかして……
「えっと、優奈さん、もしかして、あのことで何かあった?」
「え?」
「ほら、こないだのこと。月のお姫様」
わたしは小声で尋ねる。
「困ったことがおきたの?」
優奈さんが顔をあげて言う。
「あ、ううん。そうじゃない。そうじゃないんだけど……」
「じゃあ……」
優奈さんが意を決したように口を開いた。
「えっとね、メグと、御薬師くんのことなんだけど、あの……」
それでピンときた。そうか。
「わかった」
優奈さんが驚いたようにわたしを見つめる。
「あの、プレゼントのことでしょう? わたしたちがいつまでたっても返事しないから、困ってたんだよね」
「え?」
「えっとね。トモとふたりで決めたよ。みんなで御飯食べようよ」
「あ、あの」
「トモってね、料理うまいんだ。だから、優奈さんに食べたい食材持ってきてもらって、みんなで料理して食べようよ。ね、いい考えでしょ?」
わたしが言うと優奈さんはちょっと気が抜けたような表情をして、それから弱く微笑んだ。
あれ? だめかな?
「だめ?」
「あ、ううん。それでいいよ」
優奈さんはまだちょっと思案顔だった。
わたしが心配して見つめていると、気づいた優奈さんが笑って言った。
「ああ、うん。それがいいよ。楽しそうだね。そうか、御薬師くんって料理できるんだ。へえ、じゃあ、なに持っていこうかなあ? えっと……」
優奈さんは突然おしゃべりになったように話し出した。
あ、でも、いつもは、こんな感じだよね。最近少し元気がなかっただけ。うん。大丈夫かな。
「優奈さんもクラブ?」
「それで、御薬師くんは、なにが好き……あ、えっと、うん。クラブ」
「じゃあ、一緒に更衣室行こう」
そうして、わたしたちは歩き出した。
なにを作るかを相談しながら。
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