ブックリスト登録機能を使うには ログインユーザー登録が必要です。
 
第十三話〜高校3年になったトモとメグ。
     新しい同級生が持ってきた相談事とは?
     久々の探し物だ(笑)
第十三話 月の雫(1)
 4月、新学期。
 わたしは高校3年生になった。
 新しいクラス。新しいクラスメート。
 でも、今年もトモと一緒。
 だって、わたしもトモも一クラスしかない『理数科クラス』だからね。
 元々、一学年3クラスしかない田舎の高校だし。
 よかった。

 でも新学期になったら、いきなり進路調査票なんてプリントを渡された。
 もう、やっと3年生になったばかりなのに、そんなのどうすればいいんだろう?
 将来何になりたいか?
 どんな仕事をしたいのか?
 そろそろ、そういうことをちゃんと考えないといけない頃なんだ。
 でも、大学に行くにしても、そうじゃないにしても、わたしは何になりたいんだろう?
 何がしたいんだろう? 
 そして……何ができるんだろう?
 そんなこと、今すぐ分かんないよ。困ったな。
 わたしは、そのプリントにとりあえず『進学』と書き入れた。
「トモはなんて書いたの?」
 通学路で並んで歩きながら尋ねた。
「えっと、とりあえず、進学」
「そっか、そうだよね」
 でも……
「なりたい職業とかあるの?」
「えっと、それは……」
「やっぱり薬師っていうか、薬剤師とか?」
 トモが、あははと笑った。
「それは、ちょっと分かんないな。できることと、したいことが同じかどうか分かんないし」
「じゃあ、したいことは何?」
 トモがちょっと首を傾げる。
「う〜ん。それがまだ、はっきりしないかな。メグは?」
 わたしのしたいことは何だろう?
「わたしも、まだ分からないよ」
 そうして、ふたりで顔を見合わせた。
 私たちって変な経験いっぱいしてるけど、こういうところはまだまだだよね。
 ふたりで肩をすくめた。


 新学期が始まって一週間ぐらいが過ぎた。
 放課後。
 授業が終わるとすぐに新しいクラスメートの女の子が、わたしのところにやってきた。
「えっと、天野さんだよね」
「うん」
「あたし、竹宮優奈たけみやゆうな。よろしくね」
 その人は、同性の私からみても、とてもきれいな子だった。
 くりっとした瞳が印象的で、真っすぐなつやつやした黒髪が背中にかかっている。
 まるで日本人形みたい。
「うん。知ってる。よろしくね」
「ほんと? やった。うれしい!」
 え? え?
 彼女の弾けるような笑顔にちょっとびっくりしてしまった。
 あかるい人だなあ。えーと、そんなにうれしいのかな?
「えっと、それでね、天野さん」
「あっ、メグでいいよ」
「うん、分かった。私も優奈でいいからね」
 そういって、にこっと笑う。ほんと綺麗な笑顔。
「あ、それで、何?」
 彼女はちょっと眉の間にしわを寄せた。
「実は、相談があるんだけど」
「相談?」
「うん、メグってさ、探し物とか得意なんだよね?」
 あ、それは、わたしっていうか……
「そう聞いたんだけど……」
 彼女が少し不安げな表情をした。
「えっと、それは、わたしというか、トモのことだと思う」
「トモ?」
「うん。御薬師トモ。ほら、あそこ」
 そういって、鞄をもって立ち上がりかけているトモを示した。
「ああ、御薬師くん。彼、変わった名字だよね」
「うん。そうなんだけど……彼が、よく頼まれて探し物とかしてるけど」
「そうか。じゃあ、わたしの聞いたのが間違ってたのかな?」
「あ、いえ、わたしも彼を手伝ったりすることがあるから……」

 そういうと、優奈さんはいきなり訊いてきた。
「メグと御薬師くんってさ、どういう関係?」
 え? えっと、それは……
「ど、どういうって、あの……幼なじみっていうか」
「ふ〜ん。そうなんだ」
 わたしはちょっと焦ってしまった。
「な、なんで、そんなこと……」
 優奈さんが笑っていう。
「なんか、仲がいいなと思っていたの」
「え? そんなこと……」
 別に、いつもと同じだったような気がするけど……
「そうか、幼なじみだったんだ」
「ええ、そうなんだけど」
 わたしはチラッと付合ってることを言った方がいいのかどうか迷った。
 だけど、やめておいた。
 そんなこと、自分からは恥ずかしくていえないよ。
「あ、相談があるんだったら、トモ、呼ぼうか?」
 早く話題を逸らそうと思ってそういった。
 彼女がこくりと頷いた。
 
 
 
以下のランキングに参加しています。
cont_access.php?citi_cont_id=158005725&size=135
長編小説検索Wandering Network
オンライン小説ランキング
恋愛ファンタジー小説サーチ
NEWVEL


+注意+
・特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
・特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)
・作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。