『トモくんメグちゃん』シリーズ、スタートします。
よろしく
第一話は〜ネコだらけの倉庫でその筋の人に囲まれたトモとメグ。
トモにわたされたクスリでメグは見る見るうちに白くなっていき、そして……
第一話 透明少女 (1)
薄暗い倉庫の中は、ネコで満ちていた。
200匹以上いるんじゃないかと思う。
最初見たときはびっくりしたけど、もう慣れた。
それより今は、倉庫の扉に神経が集中している。
さっき見たあれは、どう見ても普通の人には見えなかった。
ハデな色シャツに、スーツのズボン。角刈りや、パンチの人もいた。絶対その筋の人たちだ。
私たち(わたしとトモ)は、倉庫の角のなんだかわからない資材の裏に隠れていた。
「どうすんのよ、トモ。これじゃ出られないじゃない」
わたしの傍らで、彼は携帯を操作していたが、
「だめだ、こんな山奥じゃ、旗一つ立たないよ」
と情けなさそうに言った。
「だから、さっさとネコたち逃がして、帰ろうっていったのに。バカ、トモ」
「そんなこと言ったって、頼まれたネコさん捜さないといけなかったし……」
そりゃそうだけど……どうやってこんなたくさんの中から探し出すのよ。
「うん、それは考えてたんだけど……」
倉庫の外が騒がしくなった。
「おーい、こんな所に自転車が転がってるぞ」
「誰か、盗みに来やがったんじゃねえか?」
そういえば、二人乗りしてきた自転車を扉の脇に置いていたんだっけ。
「やっべー、探しにくる」
トモが、ポケットを探っていた手を出した。
手のひらに白いカプセル(薬のような)がのっていた。
「よかった。まだ一つあった」
彼がそれをわたしの方にさしだして、
「これ。で、服脱いで」
「ええーっ!ここで?いやよ!」
どうして、こんなところで脱がなきゃいけないのよ!
「でも……ここに隠れてて、見つからなければいいけど……もし二人とも見つかって、捕まったりしたら逃げられなくなるし……」
だからって……。
「だから……メグが逃げて、警察、呼んできて」
「だって、こんなところで裸になるって、それで、外歩かなきゃなんないのよ」
「でも、見えないし……」
そういう問題じゃない!
これでも、花も恥じらう16歳の乙女なんだからね。
その時、倉庫の扉ががたがたと開けられる音がした。
「ネコ、逃がさんように気いつけろよ」
頭立つ者が声をかける。電気がつけられ周りが明るくなる。
「さあ、早く」
トモがそういって、カプセルをわたしに渡す。
「いつもは、香りだけだけど、飲めば30分ぐらい効くはずだから……自転車飛ばせば家につく」
もう、わかったわよ。
わたしは、カプセルを口に含んで飲み込んだ。
とたんに、周りじゅうの音が耳の奥で響く。鼻につーんとする匂い。あらゆる感覚が尋常でなく鋭くなる。
わたしは、意識して、よけいな感覚を押さえ込んだ。そうしないと目眩がしてくる。
この辺りの感覚の制御は、もう慣れた。
すぐに、目の前の手が、色素を失ったように白くなってくる。
見る間に、白い色も薄くなっていき、そのうち透き通ってきて手が消えた。向こう側が見える。
そう、わたしは、透明になっていた。
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