あい・らぶ・まみぃ!(31/59)縦書き表示RDF


無駄に長くなったのでところどころ省略しました。

あい・らぶ・まみぃ!
作:シロクロ



小枝子との休日


今日は小枝子が相手なので思いっきり男の格好だ。来週にまた女装しなきゃならないのはアレだが…やっぱりこっちのが落ち着く。

時間は…と、もう58分か。5分前には着きたかったんだが…小枝子ならもういるかな。


「じゃあその連れがきたらでいいからさ。一緒に行こうよ。可愛い?」
「可愛い…ですけど…けれど駄目です」
「いいじゃん。おごるよ」

な…ナンパされてる。なんてわかりやすいんだ。

「おーい、小枝子」
「あ、皐月さんっ」
「ってなんだよ…男かよ」
「はいはい、ナンパはお断りで〜す」
「ちっ、ガキが」

男は素直に立ち去った。
ふう…いちいち男ってうざいなぁ。しかし俺…小枝子と同じ歳なんですが。
男にしたら小枝子と変わらない身長でだと、やっぱ幼くみえるのかなぁ

「おはようございます、皐月さん」
「おはよ。ごめん、待たせたな」
「いえ、今来たところですから」
「本当?」
「……はい、勿論ですよ」
「…分かった、信じる」

とても嘘臭い、というか目が泳いでますよ小枝子さん。
だが、それを暴いたところで意味はないので俺は小枝子について家に向かった。

「…マンション住まいなのか?」

意外だな。デかいマンションだしこのあたりの値段も安くはないが…普通だな

「はい。私のは最上階です」
「そう」
「ふふ、何を考えてるか分かりますよ。普通、でしょう?」
「え…ああ、まあ…」
「父の給金が少しばかり平均より上なだけですよ」

でもその割には2階にいるよな。俺はまぁでっちあげた経歴だからで実際の爺ちゃんとの関係なら普通に七海クラスだけどな。

「ではまず、私の階に行きますね」
「? 階?」
「はい」

カードを取り出した小枝子は機械にさしこみ、エレベーターで最上階にあがりドアが開くと、玄関だった。

「…え? …ワンフロア、まるまる?」
「え、はい。そうですけど…どうかしました? 母と父は下のフロアです。その下がダイニングや客間です。私の家はその三つだけです。変ですか?」

きょと、と不思議そうに首を傾げる小枝子に、思いっきりツッコミたい。

『だけ』じゃねーよ! どこが普通か! しかも個人でだろ!? このっ…金持ちが!

だが普段よりニコニコしている小枝子にそんなツッコミができるはずもない。

「? どうかしましたか?」
「…何でもない。そう、普通だよな」

それにさりげに俺も金持ちだよな。いつからこんなことに……いや、幸せだからいいけど。
母さんに会えないのがなぁ…夏休みに一度は会いにくるって言ってたけど…。

「皐月さん?」
「あ! や、何でもない。ってか小枝子の部屋…可愛いよな。寮と同じ雰囲気だけど、パソコンとか…できるんだ?」

しきりはなく、本当にまるまる一部屋って感じだがダイニングのように配置されたソファや、サイドテーブルつきのベッドと色々空間的に分かれている。
窓辺の机にはパソコンが置いてあった。

「メールとインターネットくらいです」

俺もそのくらいか。まだチャットもやったことないし。そのうちやろうとは思うんだけどな。

にしても…やっぱり俺の寮の部屋と系統似てるよな。小枝子の場合、素なんだが。

「可愛い部屋だな」
「えへへ、皐月さんの部屋にはかないませんよ」
「あ〜…まぁ、母さんと爺ちゃんの趣味なんだけどな」

「ふふ、とっても似合ってると思いますよ。皐月さんに。」
「え〜? 小枝子のが断然似合ってるって。だいたいぬいぐるみは可愛いけど、欲しいとはまったく思わないし」
「じゃあどんなのが欲しいんですか?」
「ん? ん、やっぱり男向けな感じがいいな。今度友達にスケボー教えて貰うんだ。体を動かすのは好きだし。」

パーティーで出会った男友人の二人とな。
名前は勇馬(ゆうま)武富(たけとみ)だ。名字は知らんが、冬からの友人だ。ちなみにどちらも二つ上の大学生だ。

「わ、凄い。私、運動は苦手だから、皐月さんには憧れます」

小枝子は素直に俺に尊敬の眼差しを向けてくる。

「いやぁ、照れるな」

やっぱり小枝子は可愛いなぁ。ビバ癒し!









「初めまして、崎山皐月です」

よく考えなくても男として会うのは初めてなのでそう言うと、小枝子の母―香織は
「あら?」と首を傾げた。

「皐月…さん? 小枝子の友達の? あら? 女子校、だったわよね?」
「あ、え、それは…」

慌ててフォローしようとしてしどろもどろになる小枝子を遮り、俺はにっこり笑う。

「ああ、滝口皐月でしょ? 俺の従姉妹です」
「ああ! そうなの、そっくりなのね」
「よく言われます」

よっし、誤魔化せた!


「ささ、二人とも座って。今用意するから」
「皐月さん、どうぞ。お母さん、私も手伝います」

小枝子に言われるまま俺は席につくと小枝子は俺の前にコップを置いて台所に行く。

「ありがとう」

持ってこられたのはカレーライスだ。まぁ臭いで分かってたんだけどな?

「うまそ〜」
「そう言ってもらえると嬉しいわ。じゃあ食べましょうか」
「はい」

「いただきます」と声を揃えて言ってから俺はスプーンを動かして口に運ぶ。

「……! ほ、ほれは…」

甘い…カレーのくせに、かんなり甘いっす。
そりゃ甘いものはかなり好きだが…カレーは辛くなきゃ駄目だろ! こんなの…こんなのカレーじゃないやい!


叫びたくなった。だから

「どうかしら、皐月君?」

と香織さんに聞かれたので俺は勿論

「とっても美味しいです」

とにっこり笑って言った。
ああ…俺ってやつは何て自己主張のないやつなんだ。

「小枝子は?」
「美味しいですよ」

く…こいつら甘党か!? つーかお子様か!?









「あ、これとかどう? 格好よくない?」

俺は小枝子の家から一駅離れた大型デパートの携帯電話販売店頭で、新型の携帯電話を持て遊びながら尋ねる。

「皐月さんに似合いま…あ、似合いますけど、制服には似合いませんね。なおかつ、男の方でもおかしくないデザインですから……やっぱり、シンプルな形が一番ですかね」
「う〜ん…そっか。さすが小枝子、色々考えてくれてるんだな。ありがとう」
「そんな、当然ですよ。」

あれ? 今の話の流れおかしくないか?

まぁいいや。

「色は…赤でいいかな」
「はい。皐月さんにぴったりだと思います」
「ありがと」

最新式から一番シンプルなやつの赤を選んで、小枝子が選んでくれたストラップをつける。
勿論、同じやつをそれぞれにつけたのだが見分けがつくように色は違う。誰もそこまで見ないだろ。
見たとして気分でつけかえてるって言えばいいしな。


そして女の俺の知り合いにメルアドを送ってから、ようやく俺は本日のメイン、水着売り場へと向かった。


「皐月さんは…どういうのが好みですか?」
「いや、俺に聞くの?」

間違ってるだろ。色々と。
だって俺、水着なんて選んだことないし。

「いいんです。皐月さんが好きなら、私どんな水着だって着ますから」
「うん、どんなのを選ぶと思われてんの俺?」

とりあえず小枝子が実は俺を信頼してないことは分かった。

「皐月さんは何色が好きなんですか?」
「色…か」

好きなのはまぁ赤とか青とか緑や黒、白も好きだし…何だって好きだな。淡い系も好きだし…そもそも色に好き嫌いとかあんのか?
まぁいいや。小枝子は肌が白いから、はっきりした色がいいな

「…思い切って、オレンジ…とか?」

小枝子は性格が静かだし私服も大人しいから、たまには分かりやすく派手なのもいいだろ。

「お、オレンジですか?」
「ああ、これはどうだ?」

適当に取り出してみる。黄色が基本でオレンジや赤系のラインが不規則に入っている。
そこまで派手でもないし、ところどころフリルがついていて可愛さもある。

「良いですけど…少し派手じゃないですか? それに背中のきれこみが…」

言われて見れば腹は隠してるが背中は丸見えだ。
でも…いいじゃん。だいたい派手って言うが普段が大人しすぎなんだよ。
小枝子は可愛いんだからいいだろ。背中があいてるっても痩せてるし。

「絶対似合うって。小枝子可愛いんだから、ちょっとくらい見せても大丈夫。自信持てよ」
「…本当に、私、可愛い…ですか?」

頬を染めてうつ向きぎみに俺を見る小枝子は掛け値なしに可愛い。てかあんまり自覚がないのもどうかと思うな。

「うん。てかさっきだってナンパされてたの忘れてたのか?」
「忘れてはないですが…ああいう殿方は…女の人ならどなたでもいいのでしょう?」
「………。えっと…否定はしないけど…」

なんだその思考回路。

こいつ、マジで天然記念物だな。ん? そういや七海も自分で美人美人言うわりに普通に外出したりしてたな。

「まぁいいや。着てみてよ。褒めるから」
「え…前提? いいですけど…わ、笑わないでくださいね」
「頼まれたって笑わないよ」


そして試着


「うん、似合うぜ」
「ありがとうございます。じゃあ…これにしますね」
「そうしろ。さて俺は…」

ピピピッ!

電子音がして震えるポケットを押さえる。

「? 母さんからメールだ」

なんだ?

小枝子が試着室に戻ってる間にチェック。


『この前の話だけど、水着ならスクール水着がいいわ。皐月ちゃん全然着ずに小中学校終わったじゃない? ね?
ちゃんと写メールで送ってね』


…いや、どうせ学校では着なきゃならないんだからさぁ。
って言っても二学期からしかないんだけどな。
しかも温水プール。暑さをしのぐためじゃないのかよって感じだよな。


まぁ仕方ないか…母さんは普通の娘が欲しいのに俺の好きに生活させてくれてたんだし……それに慣れないと授業受けれないしな


あれ? 俺って泳げたっけ?






全く記憶にございません。

う〜…そういやずっとやってないしなぁ。幼稚園と小学生の1年の時だけだったし…あんまりあの頃のこと覚えてないんだよな。
先生だって声や仕草は覚えてるのに顔や名前は忘れたし。


まぁ、何とかなるだろ。

「お待たせしました」

試着室のカーテンが開いて私服に戻った小枝子が出てくる。

「いやいや、ところで俺ってどんな水着が似合いそう?」
「う〜ん…スクール水着!」

( ̄□ ̄;)!!

な…小枝子まで…俺って……そんなイメージなんだ。

「なぁんて…ってあの、冗談、ですよ?」
「え、冗談? あ…なんだ。良かったぁ」
「まぁ本当に似合ってましたけどね」
「……それはあれですか? 俺が幼い、と?」
「え……あ〜…わ、私欲しい本があるんです。本屋さんに付き合ってくれますか?」


うわぁ…なんて下手な話のそらしかただ。隠し事できない性格だな、分かってたけど。
まぁ、いいか。小枝子だしな。

「いいよ。じゃあそれ買ったら、色々回ろうぜ」
「はい!」







「う? あ…雨か。後で傘買わねぇと」

一通りデパートを一周してから最上階のレストランエリアのファミレスにきている。
窓際なのですぐに雨に気付いた。ポツリポツリだったのがすぐに雨足が強くなる。

おいおい…天気予報メチャはずれじゃん

「あ、あの…私、傘持ってますよ」
「マジ? 天気予報、雨だっけ?」

でもそれなら使用人の人が誰か言ってくれたと思うんだが…。

「いえ、降水確率10パーセントでしたけど…でも皐月さんとのお出かけですから。もしもがあったら困るでしょう? どうぞ、折りたたみですけど」

言いながら小枝子は鞄から紺の折りたたみ傘をだして俺に渡す。
「サンキュー。念のために聞くけど小枝子の分は?」
「勿論持って……あれ?」

小枝子は鞄をガサガサあさってから「えへ?」と可愛らしく笑う。

「…お決まりのギャグをありがとう」
「あ、あはは…えっと、買ってきますから、待っててください」
「待て」
「え」

立ち上がろうとする小枝子受け取った傘をかざして止める。
そりゃ色々間違いすぎだろお前。本当、人を思いやるにもほどがある。

「一本ありゃ十分だろ。てか、小枝子が持ってきたのに俺が使ってお前が買うとか…バカか?」
「う…でも…ご迷惑じゃ?」
「だから、逆だろ」

なんなら俺が自分の分買うぞ? と言うと小枝子は「駄目です!」と慌てて言うので俺は苦笑する。
優しすぎる。バカだなぁ。

「んじゃ、問題ない。てか、俺をあんまりろくでなしにしないでくれよ。ただでさえ小枝子には情けないとこ見せてんだからさ」
「皐月さん…」
「よし、んじゃ次はどうする?」
「ん、カラオケでも行きますか? 私、割引券持ってますよ」

割引券…。金持ちのくせにやっぱり小中学校は普通にしてただけあって庶民的だな。
そのくせあのマンションは普通って…感覚の幅広っ。

「くくっ、オッケー」

笑いながら答える俺を小枝子は不思議そうに見ていた。









「う〜、やっぱり納得いきません」

デパートから最寄りの駅まで戻ってくると小枝子がしつこくそうもらす。
だから俺は傘を閉じながらわざととぼける。

「え? 納豆いりません? 好き嫌いは駄目だろ」
「違います! 納得できないって言ったんですー!」
「分かってるって、軽くボケただけだって」
「! それはツッコミをすべきでしたね。すみません」
「……まぁ、なんだ?」


さりげにこいつ、わりとボケてツッコむキャラだよな。でもどっちも弱いけど。
とりあえず普通に謝るな。

「はい?」

「いや…まぁいいだろ別に」
「よくありません。私だって少しはお金持ってます」
「ちなみにいくら?」
「10万ほど」



このセリフ、前の俺なら殴ってたな。でも今はもうできない…。
だって俺の財布にもそれくらいあるし。しかも爺ちゃんからカードも渡されてるし。

ちなみに何をもめてるかと言えばファミレス代金とカラオケの2時間代を俺が全部払ったからだ。
しかしおごられて文句を言うとは…。何となく予想はしてたがな。
金銭感覚は普通のつもりだが…所持してる金額と上限が甘くなってるな。
高級品でもいいものなら高いとは思わないし…。ああ…ビバ金持ち…。

さて…んじゃ、そろそろお開きにするか。
ちょっと早いが、爺ちゃんと一緒に晩御飯をどっかに食いに行く約束してるし。

「小枝子、悪いけどこれから爺ちゃんと約束あるんだ。今日はもう解散でいいか?」
「はい。今日はありがとうございました。楽しかったです」
「俺も。んじゃ家まで送るよ」
「え、いいですよ。歩いて帰れる距離ですし」
「え。歩きなら尚更…」

てか行きは電車だったのに?

「いいんです。その…実は電車は…その…痴漢によくあうので。あ! も、勿論今日は皐月さんがいたので大丈夫でしたけど」

俺の視線に慌ててフォローする小枝子だが、なんのフォローにもなってない。

くそ! この…こんな大人しい小枝子に好き勝手しやがって。なんてやつだ!
ああもう! 見つけてぶち殺してやりたい!
これだから、これだから男ってやつは!!! 死ねばいい!!

「…小枝子」
「え?」
「絶対にこれから電車は使うなよ。タクシーにしろタクシー。金なら俺が払うから」

俺が真剣に言うので気迫に押されながらも小枝子は頷く、

「わ、分かりました。」
「絶対だぞ? もしどうしても乗る時は誰かと一緒に乗れ。もし、痴漢にあったら勇気をだして告発しろよ。お前は被害者なんだからな」
「はい。分かりました。でもお金はいいですよ。じゃあタクシーにします。皐月さんは?」
「俺もタクシー。ちょくで帰りたいし。傘、ありがとな」

傘を返すと小枝子はビニール袋にいれてから鞄にいれる。

「じゃあ行きましょう。乗り場はあっちです」
「ああ…いいな。しつこいようだが困ったことがあったら絶対に、俺に言えよ」
「はい! …ありがとうございます。大好きです、皐月さん」

小枝子の笑顔を見て、ますます俺は憤慨する。
こんなに純粋な小枝子に、なんてことをするんだ。男なんて…男なんて、やっぱり大嫌いだ。





















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