あい・らぶ・まみぃ!(18/59)縦書き表示RDF


今回は性的描写があります
苦手な方は気をつけてください
あい・らぶ・まみぃ!
作:シロクロ



俺、生きててもいい?


「ごめんなさい」
繰り返して言いながら俺は佐枝子の手を両手でギュッと握る

俺には隣に佐枝子がいる
佐枝子が俺に価値があると言う
少なくても、佐枝子が隣にいてくれるだけの価値が…俺にはあるんだ
だから


だから…

俺が存在することを認めて

いや、認めなくても、許さなくてもせめて…

見逃してください



生きていたいんです
死にたくないんです
大好きな人がいるんです

認めなくていいんです
許さなくていいんです

ただほんの少しだけ
我慢してください


俺が世界に存在することを我慢してください

「皐月さん、落ち着いてください!」
「っ…ごめんなさい、弘美さん、ごめんなさい」
「何で…何であんたが謝るのよ!」
「私が…価値がないから…。でも……私にだって…隣にいてくれる人がいます。その価値くらい…あります。私は…あなたに迷惑をかけてます…ごめんなさい。謝りますから…我慢してください」
「迷惑って…?」
「私が…生きてること。でも…でもっ、私は…生きていたいんです。認めなくても許さなくてもいいから…私を嫌悪しても憎んでも軽蔑してもいいから…ほんの少しだけ、見逃してくれませ―」
「あんたバカじゃないの!?」
「っ」
「バカよ! なんでそんなことにヒロの許可がいるのよ!!」
「だっ…て……だって………弘美さんは私に…価値がないって…。価値がないものなんて……存在したって仕方ないじゃないですか…価値がないのに…存在なんかしちゃ駄目なんです! でもっ…生きたいんです! だから私は弘美さんに謝るしかないんです!!」
「……」
「…皐月さん」
「佐枝子さん…私…生きてても…い―」
「いいんです。いえ、良いとか悪いじゃなくて皐月さんは、生きなきゃ駄目です」
「……うん」
暖かいな
暖かくて…心地よい
繋いだ手から、少しずつ『俺』が作られるような、包まれるような安心感
「皐月…あなた、何をそんなに怯えているの?」
「何をトラウマとか?」
「っ……はい、まあ、少し。あの…七海様と紗理奈さんは…私の存在を許容してくれますか?」
「まあ…そんなくらい全然構わないよ。つかあたし、君とクラスメートだし」
「私はあなたを許容しないほど狭量ではないわ」
恐る恐る勇気をだして尋ねると、返ってきたのはそっけないけど俺には何よりありがたい言葉
「ありがとうございます」
「皐月様」
「……あ、その…ごめ―」
「禁止」
「え…」
「謝るの禁止。次に謝ったらデコピンね」
「……」
何だろう。じゃあ何を言えばいいのか。ありがとう? 何だかおかしいような。弘美が怒ったらどうしよう
また…言われたらどうしよう
ああ本当に俺は弱い。未だにあんな言葉一つにビクビクしてる

だけど本気で恐いんだ
嫌でも思い出してしまうから



あの俺を舐めるように見る目を
あの俺をなじる声を
あの俺を殴って拘束する腕を
あの分厚くて抵抗してもびくともしない体を
あの俺に向かい精液を放つ醜悪な物体を

嫌でも、脳裏に焼き付いて離れない




何度も殴られて俺の体は黒いほど痣だらけ、骨は折れないように手加減されたけど痛くて、夢なら覚めろと思った

何度も裸の俺を舐める。撫でる。掴む。叩く。冷たい床におしつけられて、悪夢だと思った


俺の口に押し込められた熱い、先生の股間から生える棒は俺の喉を何度も突き、視界を白に染めた
口から吐いた血は精液とまざりピンクになっていて、死んだほうがマシだと思った


俺の下半身にある二つの穴に何度も堅い物体が突っ込まれた
体が割けたかと思った。痛くて痛くて楽しそうな先生が恐くて、いっそ殺せと思った

俺の体の全てが液体でまみれて、俺の股間からも白い先生の精液があふれていた

とにかく死にたくてたまらなかった

それからのことはよく覚えてない。ただ寒くて俺はもう死んでると思った

何を見て何を聞き何をしてるか分からない

暖かくて、顔をあげたら、母さんがいて、いつの間にか半年もたっていた


「ごめん」
「え…」
「悪かったわよ。別に本気であんたが無価値だなんて思ってない。ただ、ちょっと言っただけ」
「…許して、くれるんですか?」
「皐月様は? ヒロが理不尽なことしたのに怒らないの?」
「…いいえ、だって……私が生きちゃいけないのは本当なんです。ただ私の我が侭で生きてるだけなんです」
俺は汚れたんだ。けがれた不潔で不浄で醜い、それが俺だ
それに、未だに生理もこない。精神的なものらしいけど、きっともうこない
俺は一生未完成なんだ
女でなく、男でない
何でもないただの生物。しかも汚れた生物だ。そんなの俺が何より知ってる
俺自身、俺が汚くて仕方ない
時々思い出しては何時間も体を洗うけど、綺麗にはならない
そんな俺を許してくれるのは、みんな俺が汚れてるって知らないからだ
だけど、知らないのでも許してくれるのは嬉しい
ずっと知らずにいて
知ったらきっと、みんな俺から離れるだろうから
「…つまり怒ってないわけ?」
「はい」
「じゃあいいわ。皐月様、とりあえずヒロの下僕としてせいぜい頑張ってね」
許してくれたんだ。俺はもう、あなたの前にいてもいい。生きてもいい


生きてもいい



安堵に、俺の中にあった弘美に対する恐怖が無散する。恐くてたまらなかったのは目の前の小娘
自分でもどうかしてる。いつだって本気でやったら殺せるような小さな女の子に怯えるなんて
だけど…認められないのはそれだけで、俺を縛り、俺は身動きすらできなくなるんだ
「あと特別にヒロが皐月様にもっと楽な生き方を教えてあげる」
「生き方、ですか?」
「そうよ。あんた不器用すぎ。もっと図太く生きなきゃ駄目よ」
「はぁ…」
いやあんたが我が侭放題なだけだろと思うが口には出さない
なんつか、いくらトラウマが原因とは言えこのガキにびびってたのが我ながら情けない
まぁ治らないし、同じことを言われたらまた同じようにパニクるし恐いんだけど…なんかムカつくなぁ
「あ、佐枝子さん、ありがとうございます。今日は…佐枝子さんがいなかったらやばかったです」
恥ずかしいなあ。、助かったし嬉しいけど
「いいえ。あと、私が言ったのは全部本当ですよ」
ウインクをする佐枝子は、凄く可愛かった
「……ありがとうございます。私もですよ。佐枝子さんのこと前より大好きです。また頼ってもいいですか?」
それは凄く都合がよく自分勝手な話。佐枝子が優しくて奇跡的に俺を好むと言ってくれる、その感情につけこんでいる
「いつでもどうぞ」
だけどそう答えてくれる佐枝子。まぶしいくらいに優しくて暖かい。ますます俺の醜さがうきだつようで思わず目をそらしたくなる
だけど、それはしちゃいけない。利用してる俺が言える立場じゃないけど、佐枝子を傷つけたくはないから
だから俺はにっこりと、感じた喜びを出しきるように微笑む
「えへへ」
ああ、俺は体だけじゃなくて、心も醜い
「ちょっと皐月様! ヒロの話聞きなさい!」
「っ…は、はい!」
あうぅ…でもまだ怒鳴られるとさっきの言葉がリフレインして恐いかも
こんなガキに恐怖心を感じることが悔しいし…何よりムカつく
「皐月様! ちょっとこっち来なさい!」
ああもう! 何をキレてんだよ! あれか? 最近のよくキレる十代かてめぇ!?
しかし内心とは裏腹に俺は素直に弘美の前に立つ。なんてチキンな俺!
「な何でしょう弘美さん?」
うお〜! 情けないぜ俺!
「座れ」
特に服に頓着しない俺は素直に床に正座。相手はソファに座っているので膝が目の前にある
「……」
弘美は微妙な表情になったがすぐにふふんと不敵に笑んで足を高く組んだ
あ、パンツ見えた。小さい猫の顔がたくさんプリントされていた
「猫…見た目通り子供っぽいんですね」
ちなみに俺はストライプのでかめサイズのトランクスが好きだが、スカートが捲れて見られたら問題があるので、無理矢理トランクスの上にスパッツをはくという荒業をしている。かなり気持悪い
「っ! 死ね!」
「ごっ…」
蹴られた。至近距離からで反応が遅れて真面目に蹴られた
痛い…鼻血出てないか? 俺は鼻をさする。うん、セーフ
「てぇ…なにするんですか」
「ふん! そういうあんたはどうなのよ!」
「は?」
どうって何が?
「立て、そしてスカートを捲れ!」
「……変態?」
つか、やるわけあるか
「黙れそして早くしろ蛆虫(うじむし)
「うじっ…!?」
こいつ口の悪さが段々上がってないか?
だがもはや逆らっても無駄なのは分かってるので、立ち上がる
「……。……あの…マジですか?」
いや普通に恥ずかしいんですけど。てか女同士って普通にそういうことするわけ? 俺…男に戻りたい
「いいから早く。笑うから」
笑うの前提!?
「……」
助けを求めて七海と紗理奈を……普通に無視して何か話してる
興味ないなー! あとは佐枝子……
何かを期待した目で見られていたりする
「さ、佐枝子さん…?」
「! あ…その、が、頑張ってください
さりげなく位置移動して近づいてくるのは何故に!?
「とりゃ! ってスパッツじゃん!」
スカートめくりをされた。どうしていいか分からずにはためくスカートを見る
「ねぇ、スパッツ脱いでよー」
「勘弁してください!!」
俺はこれ以上ない真っ赤な顔で叫んだ















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