第四章:夕暮れ
―10日後―
夕暮れ時、日が暮れていくのを訓練場で壁に持たれていたクレイズが眺めている。
…いよいよ、今夜か…
何故、皇女が城を抜け出そうとするのか、その理由をティアラはとうとうクレイズに話さなかった。
全ての準備を終わらせ、ボーと夕暮れを見ていたクレイズだったが、剣の素振りの音に気が付き中庭を見ると、ガルドが1人で剣の稽古をしていた。
…化け物か…あの人は…
人一倍ハードな練習メニューをこなしているのに、まだ、己を鍛えている。
クレイズがガルドに畏怖を抱いて見ていると、この国の国王、メルード・ファンレインが訓練場にやってきた。
それに気付いたガルドが剣の素振りを止めて王の側へ駆け寄った。
王とガルドの会話が風に乗って微かにクレイズの耳に届く。
「…〜訓練のしすぎは体を壊してしまうぞ…。
私はお前が倒れやしないかと、心配で仕事が手に付かない。今日は私の為に、体を休めてくれぬか?」
「…〜隣国との問題で忙しいのはわかりますが三日間、ろくに寝てないでしょう?」
「〜…そろそろ休め」
「〜…メルード様こそ、お休みになって下さい」
クレイズはその会話を聞くと、罪悪感を感じて急いで訓練場を後にした。
…すみません。陛下、ガルド団長…
それでも、クレイズの決心が変わらなかった。
夜になり、10日前と同じ月が出ていた。
クレイズは皇女、ティアラの部屋に行くとあの夜と同じようにテラスで待っていた。
風が皇女の髪をフワフワと揺らしていた。
平民が着る服装を身につけていたが、逆にティアラの高貴さが浮きだって見えた。
…とても、普通の街娘に見えないな…
クレイズはクスッと笑った。
「それでは、行きましょうか」
クレイズが微笑むとティアラも緊張していた顔に笑みを浮かべた。
「はい」
2人はこっそりと城を抜け出した。
だが………、それを見ていた人物がいた………。
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