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いつもどおりの二次創作、今回は二次創作独特のカップリング要素を含みます。無理だな〜という人にはオススメ出来ません。
第八幕 魔法使い達の森 〜Witch in mystic forest〜
 
 
 
 
 
『私は前に進みます』
 
 
 
『決戦は今夜! 我々天狗の力! 山の妖怪の力! 存分に振るおうぞ!!!』
 
 
 
『うっ海!? さっ鮫はいないですよね!?』
 
 
 
『霊夢~服を取りに一回家に戻るぜ』
 
 
 
『レミィ、外に出られないからって家具に当たらないで』
 
 
 
『お嬢様! 「困ったわね~」じゃありませんよ!』
 
 
 
 
 
 ほの暗い水の底、異形の深海魚が泳ぎ回るそんな場所に似つかわしくない、白い壁の大きな建物の最奥、少女はそこにいた。
 
 日本式でありながら、所々に取り入れられた龍のデザインや調度品、どこか大陸の影響を思わせる建築様、豪奢なそれらは華美でありながら品を損ねない正に一級品と呼ぶに相応しいものだった。
 
 少女はそれらをたいして価値の無い物かのように指先で弄ぶ。
 
 一つため息をつくと少女は目を閉じさっきまで聴こえていた声を記憶の底から呼び起こす。
 
 
「ここは幻想郷というのか、幻と実体の共存する世界、懐かしい、昔はそうであったな、妾はこんな世界が在るとはついぞ知らなかった、面白いところじゃ」
 
 少女は水の底から耳をそばだて幻想郷の全てを聴いていた、様々な音を聴き様々な事を知った。
 
「ただ、わらわに刃向かおうというのは許されないの~、フフフ……でもそれはそれで楽しそうじゃ」
 
 少女は妖しく笑う、手首の連輪がシャラリと音を立てる。
 
 
 
 ここはほの暗い水の底、少女は一人、ただずむ。
 
 
 
 
 
―――――――――――――
 
 
 
 
 
「霊夢~服を取りに一回家に戻るぜ」
 
「そう」
 
 霊夢は少しだけこちらに顔を向けると二度とこちらを見る様子はなかった。
 
 霊夢はいつもこうだ、異変が関わると輪にかけて冷たい、こう冷たいと気分が滅入る。
 
「服ありがとうな、後で返すぜ」
 
 そう告げ体を傾け魔法の森へと方向を変えた。
 
 今回の異変解決の旅は静かだ、妖精達が沸いてこないってのが一番にある。
そして、意味もなく難癖を付けて邪魔をする妖怪達もいない。
 
 いつもと勝手が違うので正直気が抜ける、紫の境界を操る力の効果が早く知りたくはあったが、一旦着替えて出直したい、着慣れない霊夢の服というのもあるが、帽子がないと落ち着かないし一度着替えて気持ちを切り替えたいのだ。
 
 やっぱり魔法使いは黒い帽子に黒い服、そうじゃないと決まらない、何事も形から入らないと……。
 
 別に私が形に執着している訳ではない、魔法ってのは形が大切なのだ。
 儀式魔法なんてのがその例、一定のやり方に則って一定の事を成す。
 突き詰めれば魔法とは一種の学問なのだ、魔導書を読み先人の知恵を拝借し、そして様々な実験を繰り返し新しい魔法を開発していく。
 
 それを永遠に繰り返すのが魔法という学問であり、それを成すのが魔法使いだ。
 
 だから、アリスやパチュリーも暇があれば魔導書を読みふけるし自分の魔法の研究を怠らない……。
 私は霊夢と違って縁側でお茶をしばいてるだけじゃない。
 
 
 そんな黙考も束の間、暫くすれば、魔法の森の近くにある香霖の店が見えてきた、魔法の森は海の影響はなさそうだ。
 
「もし家が海に沈んでたらショックで三日は寝込みそうだぜ」
 
 よく見ると沢山の人が香霖の店の近くにいる、村人はこんなところに来てたのか……、少し寄って行こう。
 
 自由落下に身を任せ高度を下げ香霖堂の店先にスタッと着地する。
 
「魔理沙じゃないか、紅白だったんで、一瞬霊夢かと思ったよ」
 
「よう! 香霖、景気はどうだぜ?」
 
「ボチボチだね、それよりも優雅に着地するのはもう止めたのかい?」
 
「世の中、形ばっかりに拘ってちゃダメだぜ」
 
「そうかもしれないね。それよりも魔理沙はまた異変解決に行くのかい?」
 
「勿論そのつもりだぜ、私の華麗な活躍を期待するといいぜ」
 
「そうさせてもらうよ、でもくれぐれも無茶はするんじゃないよ」
 
「心配無用、余裕だぜ」
 
 そう言って薄い胸を反らした。
 
 
 
 
「どうせ魔理沙は無茶をするに決まってるだろ……」
 
 嘆息混じりに魔理沙と霖之助に話しかけるのは上白沢慧音だった。
 いつもの青いワンピースドレスに弁髪帽を被り、長い青髪を手櫛ですき、呆れた様に顔でこちらを見てくる。
 まったく失礼なヤツだ。

 
「よ! 慧音」
「どうかしましたか?」
 
「あぁ、霖之助に頼みがあってな食料の調達に行ってくるから私のいない間、村人に何かあった時の事を頼みに来たんだ」
 
「そんな事なら構いませんよ、どうせ店番のついでですし、村の人にうちの店をアピールしたいですしね」
 
「そう言ってくれると助かる、じゃあ行ってくる。
魔理沙、早く異変を解決してくれよ、こっちは食料の調達だけで手一杯だ」
 
「食料なら森にキノコがあるぜ?」
 
「村人は普通の人間だぞ」
 
「私だって普通だぜ」
 
「普通の人間は魔法使いになんかになりはしないだろ、まったく……、無駄な時間をくった気分だ、ちなみに魔理沙、避難してきた村人の中にお前の両親もいるからな、じゃあ行ってくるぞ」
 
「いっ!? それは不味いぜ、じゃあな霖之助、私も行くぜ」
 
 慧音は飛び立ち、私は慌てて箒に股がった、勘当された手前あまり顔を合わせたくないのだ。
 
「そうだ、ちょっと待って魔理沙」
 
 霖之助が何かを思い出したのか呼び止めてきた。
 
「あ? なんだぜ?」
 
「ちょっとお使いを頼まれてくれないか、アリスの家に届けて欲しい物があるんだ」
 
「私は忙しいんだぜ」
 
「そう言わないでくれ、どうせ通り道だろ? 魔理沙が欲しがってた星の欠片をあげるからさ」
 
「星の欠片? ん~……、まぁどうしてもって言うなら頼まれてやらないでもないぜ」
 
「じゃあよろしく頼むよ」
 
 そう言って霖之助は店の奥へと行き直ぐに戻ってきた。
 
「この小瓶をアリスに渡してくれ」
 
 小瓶と黒い石を受け取る。
 
「これは何なんだぜ?」
 
「一時的に魔力を補充する薬さ」
 
「そりゃいい薬だな」
 
「ちなみに人間用じゃないからな」
 
「残念だぜ、じゃあな」
 
「気を付けるんだよ」
 
 手をヒラヒラと降りながら魔理沙は風のように去って行った。
 
 
 
―――――――――――――
 
 
 
 
 
 薄暗く、じめじめした森を突き抜けていく。
 アリスの家は香霖堂からそう遠くはない、飛ばせばほんの数分だ、とっとと用事を済ませて海へ行きたい。
 
 やはり異変解決の旅は楽しいワクワクする、私にとっては一種の娯楽なのだろう。
 
 暫く飛んでいると見慣れた後ろ姿が見える、肩まで伸びたブロンドの癖っ毛に水色のワンピースと白いケープ、あんな格好で森をうろつくヤツなんて一人しかいない、アリスだ。
 
「おーい! アーリースー!」
 
 振り返ったアリスは一瞬怪訝な顔をし、ちょっと嬉しそうな顔をしたかと思うと、今度は不機嫌そうにしかめる。
 なんだ? 百面相か?
 
 追い付こうかという時、突然アリスの体がグラリと傾き、そのまま糸が切れた人形のようにうつ伏せに倒れてしまった。
 
「え? あっ!? おいアリス!」
 
 流石に突然の事なので慌てる、箒から飛び降りアリスの元へ駆け寄る。
 
「おい! アリス!」
 
 揺すっても反応はなく息はしてるが顔色が悪い、頬を叩いてもやっぱり反応はない。
 
「死んでるなら置いて行くんだがな~仕方ないか……」

 
 何が原因か知らないけどこのまま死なれても困る、私はアリスを背中に担ぐと箒に股がり、アリスの家に行く事にした。
 
 
 
 
 
 
 
 背中に人を乗せて飛ぶなんて初めての事だ、多少ふらついたが無事アリスの家に着いた。
 勿論、誰もいないのでノックもせずに堂々と入らせてもらう、寝室に向かいアリスをベッドに下ろし一息つく。
 インドア派というだけあって軽いが私より身長はあるからやっぱり重い。
 よく見れば森でぶっ倒れたせいだろう、あちこち泥だらけだ。
 
「あーー……仕方ないか……」
 
 靴を脱がせ、ワンピースを脱がせる、思ったより眠っている人の服を脱がせるのは重労働だ。
 今度服を脱がす魔法でも研究しようかとさえ思える。
 
 スリップとドロワーズ姿のアリスをベッドの中央に寄せ、布団をかける、アリスの薄い胸が浅く上下する、呼吸が少し速い、あくまで人間の基準の話だが、見るからに楽そうに呼吸をしてはない。
 
 何があったのだろう……、風邪か?
 
 こういう時はおでことおでこを合わせて熱をみるのが一番だ。
 
 ん~……魔法使いがどうかは知らんが、平熱だな。
 
 
 
 
 
「ひゃうっ!」
 
ゴスッ
 
 変な悲鳴をあげアリスの体が小さく跳ねる、その拍子に額と額を強か打つ。
 
「なっななな! 何やってるのよ魔理沙!」
 
「イタタタ……、急に起きるな痛いぜ」
 
 痛む額を押さえ訴えるがアリスはまったく聴いている様子はない、相当びっくりしたのだろう、ベッドから跳ね起きると一気に壁際まで後ずさる。
 
 速いな、ゴキブリか。
 
「そっそんな事よりもなんなのこれは……キャっ!」
 
 どうやらアリスは自分が下着姿だという事にやっと気付いたのだろう、ベッドのシーツをひっぺがすと体に巻き付けしゃがみこんだ。
 
「なっなな何でこんな恰好なのよ!」
 
 もの凄い顔で睨んでくる。
私は悪くないだろ、それに女同士なんだし。
 
「アリスが森でぶっ倒れたからここまで運んできてやったんだぜ? それに泥だらけのまま寝かせる訳にはいかないだろ……」
 
 私にしては至極真っ当な事を言ってるはずだ。
 それなのに『う~』と顔を真っ赤にして睨んでくる。
 
 礼くらい言ってもいいだろうに、抗議の声を上げようかと思ったその時、アリスの体がグラッと傾きコテンと横に倒れてしまった。
 
 またぶっ倒れたやがった、何なんだいったい、忙しいヤツだ。
 
 仕方ないのでもう一度ベッドに抱えあげる、こういうのお姫様抱っこって言うんだっけな、アリスが重いから踏ん張らないといけないから、がに股でまったく様にならないけど……。
 
 うん……重い……。
 
 アリスを寝かせ、一息ついてベッド横に椅子を引き寄せ座る。
 それにしてもアリスのヤツどうしたんだろう……。
 
 幽々子の異変以来の付き合いで長い付き合いとは言えないが、アリスの家はわりと行く場所の一つだ。
 パチュリーのところと違ってお茶だけじゃなくて、たまに晩御飯が出る時もあるしな。
 そんな感じで付き合いがあるからアリスについてはそれなりに知っている。
 
 先ず第一に滅多に弾幕らない、本当に必要な時しかやらないし、やっても本気にならない、それどころか本気になるくらいなら負けてもいいや~と思ってる節がありそうだ。
 私は負けるのが嫌いだから、まったく理解出来ん。
 弾幕を例に出したが弾幕に限った話ではない、何事においても本気にならない。
 そういう性格なのだろうか?
 
わからん
 
あ~……そうだ、人形作ってる時は本気っぽい、それでも余裕みたいだけどな。
 
 正直、あの手先の器用さは羨ましい、あのくらい器用だとマジックアイテムを作るのもきっと楽なんだろうけどな。
 
いかん、脱線した……。
 
え~と……、アリスの話だ……。
 
 とにかくアリスは本気にならない、根をつめない、でもアリスはぶっ倒れた。
 
 しかも森の中で。 
 たぶん、何か無理をしたんじゃないだろうか……。
 
 
「何なんだぜ……」
 
 魔理沙の問いに人形の様に眠るアリスは答えるはずもなかった。
 
 
 


閲覧ありがとうございます。
オリジナルキャラにちょっと触れつつ今回は魔理沙視点での話でした。

魔理沙とアリスのカップリングは東方二次創作では筆頭のものです。
実際のところ魔理沙は魔法使い達からはよく思われておらず、永夜抄時点で魔理沙とアリスは仲が悪いとなっていますが、やり取りを見る限り仲が良さそうに見えたりと、その辺りがマリアリ要素に繋がった一因と言われたりしているそうです。

ちなみに
霖之助について、東方香霖堂を読んだ事が無いので完全にイメージで書きました、霊夢や魔理沙との関係を見るからにいいお兄さんイメージです。
でも、霊夢の巫女服を季節毎に作ってるのは霖之助なのですよね…
デザインに関しては霊夢の趣味なのか霖之助の趣味なのか不明ですが、巫女服にフリルやパニエを入れてる姿は実にシュールだと思います。

魔理沙について
妙な言動が多く勢いのあるキャラというイメージがありますが、地霊殿でのさとりとの会話を見る限り、口で言っている以上に色々考えているのだと思ってます。
なので、ふざけたような素振りが多いが頭がよく回るキャラ
というイメージです。

イメージは人各々ですし、皆さんも色々なイメージがあるのでしょうね、そういうのも二次創作の良さかなとも思います。


次はアリスについての話、カップリング要素が強くなります。


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