3.イレイサーが殺りに来た!!?
「俺と少子化対策して下さい!!」
俺の声が降り注ぐ雨音よりも大きく辺りに響いた。
┏━━あらすじ━━┓
眠りこけてる時に何か
来たと思ったらかわい
い女の子でした!!
┗━━━━━━━━┛
「・・・・ふぇ?いや、あの・・・。」
彼女は俺の突然の告白に困惑したような表情でうろたえる。
よし!いける!これならいけるぞ!!
自分が快楽に溺れたいなどという私利私欲のためならば彼女も首を縦に振ることはあるまい。
しかし少子化対策はどうだ?
この現代日本が抱えている社会問題の解決ということになる。
これは社会貢献、つまり世のため人のため。
こんな人道的な活動を誰が拒否することができようか!?
・・・くくくっ!
いける・・・。いやイケるぞ!
「話聞いてました・・・?」
俺が心の中で断崖絶壁にそびえ立つ魔城に巣くう大魔王のように不気味な笑いを湛えていると突然彼女が問いかけてきた。
「・・・え?」
聞いてたっつか逸らされましたー!!
泣きてーよ!うわ〜ん!
ってかヤりてーよ!うお〜ん!
「いや、ごめん・・・。噛んだ所しか・・・。」
しかしそんな心の泣き声、もとい叫び声を押し殺した俺は真摯に謝る。
これぞじぇんとるめん!
「・・・・・・!!」
すると彼女は顔を見る見るうちに朱色へと染めていき、うつむいた。
か、かわいい!かわい過ぎる!!
反則的なかわいさだ!!
いや、これはもはや反則通り越して犯罪の域だろ!?
おい警察!こんな犯罪者野放しにしていていいのか!?
いや、野放しにしてくれていてありがとう!!
「・・・もうっ!どうしてそんな所しか聞いておら、いないんですかっ!?」
あと三時間程彼女のそんな姿を眺めていたかったが、そんな俺の思惑など尻目に彼女は次の瞬間、顔を上げ俺を見据えた。
とくん
と俺の胸が高鳴った。
「だから私は隼人さんの親せ」
「・・・・・・。」
「あ〜!またぼ〜っとしてる〜!ちゃんと話聞いて下さい!!」
彼女にしばらく見惚れていた俺に彼女がグッと顔を近づけて声を張り上げる。
ち、近い!
「・・・ふゃ!聞いてる聞いてる!すんごい聞いてる!!」
思わず彼女と距離を取った俺は一瞬発音の難しいマヌケな声を漏らしてしまった。
てかなんで動揺してんだ俺?
いつもならここで更に顔を近づけて唇の1つや2つ奪うぐらいやってのけるハズなんだが・・・。
「本当ですか〜?」
そんな俺を彼女は変わらず訝しげな瞳で見つめる。
「ホントホント!すっげぇホント!!・・・で何の話だっけ?」
「やっぱり聞いてないじゃないですか〜!だから私は隼人さんの親戚の冬次美衣という者で」
彼女は一瞬怒ったような表情を見せた後、再び説明し始める。
今度は俺もしっかりと彼女の話しに耳を傾けた。
ってか俺にこんなかわいい親戚いたんだ・・・。
「今まで両親と暮らしていたんです。でも両親が少しの間海外に出張することになって」
それで俺の家に住まわせてくれってことか!
さすが俺冴えてる!!
・・・なんて。
まさか、な・・・。
「一人暮らしは不安が多いということで」
・・・ん?
まさか・・・?
「隼人さんの家にしばらくの間住まわせて欲しいということなんです。」
「・・・・・・!!」
γΣёεΘνξρΦΛЙЖЫджЙЮаб!!
「一応隼人さんのご両親には連絡を入れさせてもらったのですが、何も聞いていませんか?って隼人さん?」
思わず人外的言語概念を軽く超越した思考を走らせてしまった後無言のままうつむき、プルプルと震えている俺に美衣が問いかけた。
「よ・・・。」
「え?」
「よっしゃぁああ!!」
次の瞬間、俺は伸び上がり近所迷惑など一切気に留めず絶叫した。
苦節14年・・・。
いよいよ俺にも麗らかな春の陽射しがー!!
「と、とととにかく、は、はは入って!そ、そそそのままじゃ、か、かか風邪ひいちゃうでしょ!?」
「・・・ふぇ?あっ、は、はい!」
俺の絶叫にしばらく呆然としていた美衣を俺はしどろもどろになりながらも家の中へ入るように促した。
逃さねぇ。決して逃さねぇぞ!
逃がした魚はデカかった、なんつーマヌケ話は漫画や小説だけで十分だー!!
この白魚ちゃんは俺がおいしく頂いちゃるぜ!!
俺は心の中でそう叫んだ。
決して彼女がこの場から消えてなくなってしまうなんてことはあるわけないが、それすらも疑ってしまう程気が気じゃなかった。
「これからよろしくお願いしますね、隼人さん。」
ニヤリ
そんな俺に背中を押されていた彼女が扉をくぐり抜ける途中、俺に微笑みながら言った。
ゾワッ
「・・・・・・?」
この時感じた鳥肌が立つような殺気は今考えれば気のせいではなかったのだろう。
それから十数分。
「美衣はどこかおかしい・・・。」
俺は今、先ほどの殺気に疑念を抱きつつも、美衣の荷物を置くために一人空き部屋へと向かっている。
美衣は雨で濡れていたのでシャワーへと誘った。
一緒に入ろうかとも思った。
確かに思ったがそれでは面白味がない。
これから美衣とは毎日一緒にいるのだ。
時間はたっぷりある。
だったら結果よりもプロセスを楽しまなくっちゃ♪
「よいしょっ。」
ドサッ
空き部屋に着いた俺は美衣の荷物を床に下ろす。ちなみにこの部屋は俺の隣だ♪
「さて、と・・・。」
俺は彼女のキャスター付きケースに手を伸ばし、
「ふんぎぎぎぎぎぃ〜!!」
力を込めて開けようとした。が、しかしケースはビクともしない。
「俺の腕力でも開かないなんて・・・。」
なんかあるな・・・。
って
「鍵かかってるだけかよ!!」
・・・・・・。
うーん・・・。
なんて原始的なオチなんだ。
こんなんじゃお笑いのメッカと化した現代日本においてクスリとも笑ってもらえないぞ。
ってんなこと考えてる場合じゃねぇや。
「しっかしどうすっかなぁ・・・。」
本気出しゃ壊せっけど美衣にバレるし・・・。
「しゃあねぇ。かったりぃけどピッキングすっか。」
ガサ
そう言って俺はどこからともなく針金を取り出し、
「・・・・・・。」
ガサゴソ
・・・どこからともなく取り出し、
「・・・・・・。」
ガサゴソガサゴソ
・・・取り出し、
〜しばしキレイなお花達の姿をご想像して暇をお潰し下さいませ〜
「・・・・・・。」
ガサゴソガサゴソガサゴソガサゴソ
ガサッ!
「あったぁ!!」
・・・げふん!
俺はどこからともなく針金を取り出しケースの鍵穴へと差し込む。
カチャカチャ、ガチャン
「よし開いた。」
ものの五秒と経たない内に見事鍵を開けてみせた俺は早速情報収集を試みる。
美衣は色々裏がありそうだからな。
俺の天性の勘がそう告げているぜ。
どんな裏があるにせよ情報はあった方がいい。
ま、言ってみりゃコッチの世界のセオリーだわな。
「さぁ〜てと・・・。」
ガサゴソガサゴソ
俺は美衣のスーツケースの中を漁り始める。
言っとくけど個人情報保護法とかプライバシーの権利とか関係ないから。
情報収集には仕方ないことだか、ん・・・?
「・・・こ、これは!」
しばらく美衣の荷物を漁っていた俺はケースの中から一枚の布を取り出す。
「ぱ、ぱんちー!!」
そう、俺の手に持たれたそれはかわいい子猫のアップリケの施されたパンツだった。
きょろきょろ
俺は辺りを見回した。
・・・誰も、いないな?
・・・・・・。
ガサッ
俺はそのパンツを自身のポケットの中へとしまい込む。
重ねて言うがこれは情報収集だ。
よってこれは証拠物件として押収♪
「よ〜し!あと2、3枚証拠物件を押収せんといかんなぁ♪」
ガサゴソガサゴソ
俺は再び'情報収集のために'美衣の荷物を漁り始める。
「これもかわいい♪コッチもなかなか♪・・・よし両方もら、げふん!押収だ!!っと、お?」
次々に証拠物件を押さえていった有能な俺の目にパンツとは違う下着が映る。
・・・・・・。
付けてたんだな、一応・・・。
「・・・これも一応押収しとくか。」
パサッ
そう言って俺がその布を持ち上げると何かが床に落ちた。
「・・・・・・!!」
それはそれを下着と身体の間に挟むことを目的としたアレだった。
驚いた。
コレを入れてあの大きさだということに激しく著しく驚愕した。
そして同時に
なんかかわいいなァ・・・。
とか思った。
自然に頬が緩んだ。
「ははは。頑張っちゃってぇ♪ん・・・?」
そう言ってソレを拾い上げた俺はそこでソレが少しおかしいことに気が付いた。
ソレには普通ならあるハズのないファスナーがついていた。
俺は疑念を抱きつつもファスナーを開け、逆さまにしてみる。
コトッ
パサッ
すると先にカードのような物が、続いて一枚の紙が床へと落下した。
「何だ、コレ・・・?」
俺はしゃがみ込んでそのカードを拾い上げ、目を走らせる。
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No.31
Name:MIU KASUGA
春日 美羽
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カードにはそう書かれてあった。
「・・・・・・。」
俺は無言のままカードを見つめる。
・・・なるほどね。冬次美衣は・・・。
「偽名、か。ふーん、春日だから冬の次で冬次、No.31だから美衣ってわけか。」
ま、偽名なんかこんなもんか・・・。
しかし偽名使ってまで俺の家に侵入したのはなぜだ?
しかもこんな所に退蔵してるなんて、よっぽど何かあるのか・・・?
でもいいじゃないか!
春日美羽なんて名前!!
俺の名前と相性ぴったりだと思わない?
春の日に向かって飛ぶ隼の美しい羽根!!
ぴったりマッチぃ!!
あ、いいね!このどこにもなかったかけ声!
みんなで『ぴったりマッチぃ!』を流行らせようぜ!!
え?やだ?
これは長官命令だ!
つべこべ言わず従いたまへ!!
「で、コッチはっと・・・。」
そんなことを考えつつも今度は紙の方を拾い上げ、内容を確認する。
そして俺はこの紙によって美羽が偽名を使って俺の家に侵入した目的を知ることとなった。
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指令。
我ガ組織ノ活動ノ支
障タル日向鷲ノ家宅
二潜入シ情報ヲセシ
メヨ。
マタ将来我ガ組織ノ
妨ゲトナルデアロウ
日向鷲ノ実子、日向
隼人ヲ暗殺セヨ。
━━━━━━━━━
「・・・・・・。」
俺はその指令状を黙読した。
・・・ちっとしたイタズラのつもりだったが、本当にビンゴだったとわな。
しかも指令状に書かれてた名前・・・。
「日向鷲・・・。親父関連かよ・・・。」
・・・お〜や〜じ〜!
俺に散々目立つ行動をとるなとか言っときながらテメェで尻尾出しやがって・・・。
ったくめんどくせぇ・・・。
アイツがボロ出したせいで俺が尻拭いかよ・・・。
弱冠14歳にして命狙われるってどうなのよ?
まぁ、日向家に生まれちまったからにはいつしかこんな事態になることも想定してたが、いくら何でも早すぎだろ?
しかもあの娘結構できそうだし・・・。
「あの殺気・・・。」
俺は先ほど彼女が家に入る際に放った殺気を思い出した。
あれは並み大抵のヤツが出せるもんじゃねぇ。
相当な修行を積んでやがんな。
まさかあんなかわいい娘が俺の命を狙いに来る腕利きの暗殺者だったとは・・・。
ま、つっても爪は甘ぇか。
指令状は内容を暗記した後処分するっつーコッチの世界のセオリー忘れてるし。
なんとかなるっしょ!
「それにどんな形であれかわいい娘と一つ屋根の下で同棲生活だしな。」
これでいよいよ大人の男に・・・。
じゅる
俺は手の甲でよだれを拭い、これからの日々を思い描いた。
そうは言ってもこりゃちっとばかし厄介なことになりそうだな・・・。 |